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メジャーリーグベースボールの第116回優勝決定シリーズ ウィキペディアから
2020年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第116回ワールドシリーズ(英語: 116th World Series)は、10月20日から27日にかけて計6試合が開催された。その結果、ロサンゼルス・ドジャース(ナショナルリーグ)がタンパベイ・レイズ(アメリカンリーグ)を4勝2敗で下し、32年ぶり7回目の優勝を果たした。
2020年のワールドシリーズ | |||||||
シリーズ優勝を記念して2021年7月にホワイトハウスを表敬訪問し、当時のアメリカ合衆国大統領ジョー・バイデンおよび副大統領カマラ・ハリスにユニフォームを贈呈するドジャース一行。背番号はバイデンが第46代大統領、ハリスが第49代副大統領であることにちなむ[注 1] | |||||||
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シリーズ情報 | |||||||
試合日程 | 10月20日–27日 | ||||||
観客動員 | 6試合合計:6万8622人 1試合平均:1万1437人 | ||||||
MVP | コーリー・シーガー(LAD) | ||||||
責任審判 | ビル・ミラー(第2戦を除く)、 ジェリー・ミールズ(第2戦のみ)[1] | ||||||
ALCS | TB 4–3 HOU | ||||||
NLCS | LAD 4–3 ATL | ||||||
チーム情報 | |||||||
ロサンゼルス・ドジャース(LAD) | |||||||
シリーズ出場 | 2年ぶり21回目 | ||||||
GM | 空位 | ||||||
監督 | デーブ・ロバーツ | ||||||
シーズン成績 | 43勝17敗・勝率.717 NL西地区優勝 | ||||||
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タンパベイ・レイズ(TB) | |||||||
シリーズ出場 | 12年ぶり | 2回目||||||
GM | エリック・ニアンダー | ||||||
監督 | ケビン・キャッシュ | ||||||
シーズン成績 | 40勝20敗・勝率.667 AL東地区優勝 | ||||||
全米テレビ中継 | |||||||
放送局 | FOX | ||||||
実況 | ジョー・バック | ||||||
解説 | ジョン・スモルツ | ||||||
平均視聴率 | 5.2%(前年比2.9ポイント下降) | ||||||
ワールドシリーズ
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当時は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下にあったため、開催地が出場両球団の本拠地球場ではない中立地となるなど、様々な特別ルールが設けられる異例のシリーズとなった。両リーグの最高勝率球団どうしがシリーズで対戦するのは、1995年の地区シリーズ導入以降では、2013年以来7年ぶり4度目[2]。両球団の平均勝率は.692で、1906年シリーズ出場時のシカゴ・ホワイトソックスとシカゴ・カブスが記録した.690を上回り、シリーズ史上最高となった[3]。シリーズMVPには、第5戦の初回表に先制適時打を放つなど、6試合で打率.400・2本塁打・5打点・OPS 1.256という成績を残したドジャースのコーリー・シーガーが選出された。またドジャース監督のデーブ・ロバーツはアフリカ系アメリカ人の父親と日本人の母親を持つことから、アフリカ系アメリカ人として史上2人目かつアジア系アメリカ人として史上初のワールドシリーズ優勝監督となった[注 2][4]。
2019年、中華人民共和国の湖北省武漢市で新型コロナウイルス "SARSコロナウイルス2" の発生が確認された。ウイルスは世界中へ拡散し、感染症(COVID-19)を罹患する人が増え続けていった。アメリカ合衆国では、2020年1月下旬にワシントン州スノホミッシュ郡で初の感染者が確認され[5]、2か月後の3月下旬には感染者数が発生源の中国を抜いて世界最多となった[6]。これを受けてMLBは、レギュラーシーズン開幕を3月26日から7月23日へ延期し、試合数を1球団あたり162試合から60試合へ削減したほか、様々な特別ルールを設けた。ワールドシリーズに適用された主な競技ルールや運営要項は以下の通り。
これらの特別ルールが採用された一方で、レギュラーシーズンで導入されながらポストシーズンでの採用が見送られたり、ポストシーズンの他シリーズで導入されながらワールドシリーズでの採用が見送られたりしたものもある。そのひとつが、延長戦では無死二塁からイニングを始める "タイブレーク" である。これは、レギュラーシーズンが67日間で60試合を行う過密日程だったことから、延長戦を早く決着させて選手の負担を減らす目的で導入されたものであり、ポストシーズンでは延長戦は通常通り無死無走者から始まる[17]。また、7戦4勝制のシリーズでこれまで設けられていた第2戦と第5戦の翌日の休養日(移動日)が、シーズンを長引かせないためにこの年の両リーグ優勝決定戦では廃止されたが、ワールドシリーズでは変わらず設けられている[18]。
10月17日にまずアメリカンリーグでレイズ(東地区)が、そして18日にはナショナルリーグでドジャース(西地区)が、それぞれリーグ優勝を決めてワールドシリーズへ駒を進めた。
レイズはこの年、選手の年俸総額はMLB全30球団中3番目に低いながらも、レギュラーシーズンでは2番目に多く勝ち星を挙げた。もともと選手起用については伝統的な役割分担にとらわれず、プラトーン・システムやオープナーなどの戦術を駆使してきたチームであるため、起用の選択肢が増えるという点でロースター拡大が有利に働いた[19]。選手たちも求められる役割が頻繁に変わる難しい状況ながら、チーム内の雰囲気を良好に保ち意思を統一していた[20]。8月下旬以降は地区首位を守り、9月17日にはポストシーズン進出が確定[21]、その後も勝利を積み重ね最終的にはリーグ最高勝率となった。平均得点4.82はリーグ6位、防御率3.56はリーグ2位。打線では2桁打点を記録した打者が16人で両リーグを通じてこの年最多、投手陣ではセーブを挙げた投手が12人でMLB史上最多タイとなった[22]。柔軟な投手起用に加えて、野手陣の守備の良さも失点阻止に一役買っており、UZR/150をはじめ様々な指標でMLB上位に入った[19]。ワイルドカードシリーズではトロント・ブルージェイズを2勝0敗で[23]、地区シリーズではニューヨーク・ヤンキースを3勝2敗で[24]、リーグ優勝決定戦ではヒューストン・アストロズを4勝3敗で[25]、それぞれ下した。
ドジャースは前年もリーグ最多の106勝を挙げて地区7連覇を達成し、地区シリーズ敗退後のオフにはトレードで外野手のムーキー・ベッツを補強した。2020年も開幕から、地区優勝の最有力候補という前評判通りに勝利を重ねていく[26]。折り返しの30試合終了時点では22勝8敗で、これは例年通りの162試合に換算すれば119勝に到達する勢いだった[27]。9月16日には両リーグを通じて一番乗りでポストシーズン進出を確定させ、翌週22日にはリーグ最高勝率とともに史上3球団目となる8季連続地区優勝を果たした[注 4][28]。平均得点5.82と防御率3.02のいずれもリーグ最高。打線の打順別OPSは4番打者以外が全て.761以上、20イニング以上を投じた12投手のうち防御率が3.90より悪いのはシーズン途中で放出されたロス・ストリップリングのみ、と投打に層の厚さが際立つシーズンだった[26]。ベッツはフィールド上で走攻守に高い能力を発揮したのみならず、加入1年目からリーダーシップを振るってチームを牽引した[29]。ワイルドカードシリーズではミルウォーキー・ブルワーズを2勝0敗で[30]、地区シリーズではサンディエゴ・パドレスを3勝0敗で[31]、リーグ優勝決定戦ではアトランタ・ブレーブスを4勝3敗で[32]、それぞれ下した。
ドジャース編成本部長アンドリュー・フリードマンは、2005年10月から2014年10月まではレイズでGMを務めていた。今シリーズ時のレイズGMエリック・ニアンダーも、2007年にインターンとしてレイズに入団した、かつてのフリードマンの部下だった[33]。レイズOBのカルロス・ペーニャは、今シリーズを「フリードマンは自らの手で作り上げた怪物と対峙するんだ」と表現する[34]。今シリーズに際しては、レイズがフリードマン時代と同様に金をかけずに勝ち進んできたのに対し[注 5]、ドジャースは選手の年俸総額がMLB屈指の高額である[33]。Baseball-Reference.comの集計では、ドジャースの年俸総額は30球団中3位であり、28位レイズとの順位差25は、1998年以降のワールドシリーズ23回中で最も大きい[注 6][35]。またSpotracの集計によると、ドジャースが先発投手クレイトン・カーショウと外野手ベッツのふたりに費やしている額だけで、レイズの年俸総額2830万ドルの93%に相当する[36]。
ワールドシリーズの第1・2・6・7戦を後攻で迎えられる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、それぞれのリーグ内におけるシード順が高位の方に、もしシード順が同じ場合はレギュラーシーズンの勝率が高い方に与えられる[37]。シード順は、まず地区優勝球団が勝率順に第1〜3シード、次に地区2位球団が勝率順に第4〜6シード、最後にワイルドカード球団が勝率順に第7〜8シードとなる。もし仮に地区2位の球団が他地区優勝球団の勝率を上回っていたとしても、シード順で上位とはならない。ポストシーズン進出16球団のアドバンテージ優先順位は以下の通り。
優先順位 | 球団 | レギュラーシーズン成績 | ポストシーズン結果 | |||||
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WCS | DS | LCS | ||||||
1 | 1 | ロサンゼルス・ドジャース | 43勝17敗・勝率.717 | NL西地区優勝 | ワールドシリーズ進出 | 2勝0敗 | 3勝0敗 | 4勝3敗 |
2 | タンパベイ・レイズ | 40勝20敗・勝率.667 | AL東地区優勝 | ワールドシリーズ進出 | 2勝0敗 | 3勝2敗 | 4勝3敗 | |
2 | [※1] | 3オークランド・アスレチックス | 36勝24敗・勝率.600 | AL西地区優勝 | 地区シリーズ(DS)敗退 | 2勝1敗 | 1勝3敗 | - |
4 | アトランタ・ブレーブス | 35勝25敗・勝率.583 | NL東地区優勝 | リーグ優勝決定戦(LCS)敗退 | 2勝0敗 | 3勝0敗 | 3勝4敗 | |
3 | [※1] | 5ミネソタ・ツインズ | 36勝24敗・勝率.600 | AL中地区優勝 | ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退 | 0勝2敗 | - | - |
6 | シカゴ・カブス | 34勝26敗・勝率.567 | NL中地区優勝 | ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退 | 0勝2敗 | - | - | |
4 | 7 | サンディエゴ・パドレス | 37勝23敗・勝率.617 | NL西地区2位 | 地区シリーズ(DS)敗退 | 2勝1敗 | 0勝3敗 | - |
[※2] | 8クリーブランド・インディアンス | 35勝25敗・勝率.583 | AL中地区2位 | ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退 | 0勝2敗 | - | - | |
5 | 9 | ニューヨーク・ヤンキース | 33勝27敗・勝率.550 | AL東地区2位 | 地区シリーズ(DS)敗退 | 2勝0敗 | 2勝3敗 | - |
10 | セントルイス・カージナルス | 30勝28敗・勝率.517 | NL中地区2位 | ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退 | 1勝2敗 | - | - | |
6 | 11 | マイアミ・マーリンズ | 31勝29敗・勝率.517 | NL東地区2位 | 地区シリーズ(DS)敗退 | 2勝0敗 | 0勝3敗 | - |
12 | ヒューストン・アストロズ | 29勝31敗・勝率.483 | AL西地区2位 | リーグ優勝決定戦(LCS)敗退 | 2勝0敗 | 3勝1敗 | 3勝4敗 | |
7 | 13[※2] | シカゴ・ホワイトソックス | 35勝25敗・勝率.583 | AL中地区3位=ワイルドカード | ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退 | 1勝2敗 | - | - |
14 | シンシナティ・レッズ | 31勝29敗・勝率.517 | NL中地区3位=ワイルドカード | ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退 | 0勝2敗 | - | - | |
8 | 15 | トロント・ブルージェイズ | 32勝28敗・勝率.533 | AL東地区3位=ワイルドカード | ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退 | 0勝2敗 | - | - |
16 | ミルウォーキー・ブルワーズ | 29勝31敗・勝率.483 | NL中地区4位=ワイルドカード | ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退 | 0勝2敗 | - | - |
10月17日にまずレイズがワールドシリーズ進出を決めた。しかしこの時点では、ナショナルリーグのリーグ優勝決定戦が未決着だった。対戦していたのは、優先順位がレイズより上のドジャースと、レイズより下のブレーブスである。したがって、レイズとナショナルリーグ優勝球団のどちらにアドバンテージが与えられるかは、まだ決まらなかった。翌18日、ドジャースがリーグ優勝を果たし、アドバンテージがドジャースへ与えられることとなった。
ワールドシリーズでこの2球団が対戦するのは、今回が初めてである。レギュラーシーズン中のインターリーグでは、レイズが "タンパベイ・デビルレイズ" として創設された1998年以降の23年間で計17試合が行われ、ドジャースが10勝7敗で勝ち越している[38]。直近では2019年、5月にはレイズの本拠地トロピカーナ・フィールドで、9月にはドジャースの本拠地ドジャー・スタジアムで、それぞれ2連戦ずつが組まれ、いずれも1勝1敗の五分だった。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
タンパベイ・レイズ | ロサンゼルス・ドジャース | ||||||||||||||||
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守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 | ワールドシリーズ経験 | 守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 | ワールドシリーズ経験 | ||
出場 | 優勝 | 出場 | 優勝 | ||||||||||||||
投手 | 70 | ニック・アンダーソン | 右 | 右 | 30 | 初 | なし | 投手 | 52 | ペドロ・バエズ | 右 | 右 | 32 | 2年ぶり2回目 | なし | ||
63 | ディエゴ・カスティーヨ | 右 | 右 | 26 | 初 | なし | 21 | ウォーカー・ビューラー | 右 | 右 | 26 | 2年ぶり2回目 | なし | ||||
84 | ジョン・カーティス | 右 | 右 | 27 | 初 | なし | 51 | ディラン・フローロ | 右 | 左 | 29 | 2年ぶり2回目 | なし | ||||
29 | ピート・フェアバンクス | 右 | 右 | 26 | 初 | なし | 46 | トニー・ゴンソリン | 右 | 右 | 26 | 初 | なし | ||||
61 | ジョシュ・フレミング | 左 | 右 | 24 | 初 | なし | 81 | ビクトル・ゴンサレス | 左 | 左 | 24 | 初 | なし | ||||
20 | タイラー・グラスノー | 右 | 左 | 27 | 初 | なし | 48 | ブルスダー・グラテロル | 右 | 右 | 22 | 初 | なし | ||||
15 | アーロン・ループ | 左 | 左 | 32 | 初 | なし | 74 | ケンリー・ジャンセン | 右 | 両 | 33 | 2年ぶり3回目 | なし | ||||
62 | シェーン・マクラナハン | 左 | 左 | 23 | 初 | なし | 17 | ジョー・ケリー | 右 | 右 | 32 | 2年ぶり3回目 | 1回 | ||||
50 | チャーリー・モートン | 右 | 右 | 36 | 3年ぶり2回目 | 1回 | 22 | クレイトン・カーショウ | 左 | 左 | 32 | 2年ぶり3回目 | なし | ||||
71 | ライアン・シェリフ | 左 | 左 | 30 | 初 | なし | 56 | アダム・コラレック | 左 | 左 | 31 | 初 | なし | ||||
4 | ブレイク・スネル | 左 | 左 | 27 | 初 | なし | 85 | ダスティン・メイ | 右 | 右 | 23 | 初 | なし | ||||
81 | ライアン・トンプソン | 右 | 右 | 28 | 初 | なし | 41 | ジェイク・マギー | 左 | 左 | 34 | 初 | なし | ||||
48 | ライアン・ヤーブロー | 左 | 右 | 28 | 初 | なし | 49 | ブレイク・トレイネン | 右 | 右 | 32 | 初 | なし | ||||
捕手 | 7 | マイケル・ペレス | 右 | 左 | 28 | 初 | なし | 7 | フリオ・ウリアス | 左 | 左 | 24 | 2年ぶり2回目 | なし | |||
10 | マイク・ズニーノ | 右 | 右 | 29 | 初 | なし | 57 | アレックス・ウッド | 左 | 右 | 29 | 2年ぶり3回目 | なし | ||||
内野手 | 1 | ウィリー・アダメス | 右 | 右 | 25 | 初 | なし | 捕手 | 15 | オースティン・バーンズ | 右 | 右 | 30 | 2年ぶり3回目 | なし | ||
43 | マイク・ブロッソー | 右 | 右 | 26 | 初 | なし | 16 | ウィル・スミス | 右 | 右 | 25 | 初 | なし | ||||
26 | 崔志萬 | 右 | 左 | 29 | 初 | なし | 内野手 | 45 | マット・ベイティ | 右 | 左 | 27 | 初 | なし | |||
2 | ヤンディ・ディアス | 右 | 右 | 29 | 初 | なし | 14 | エンリケ・ヘルナンデス | 右 | 右 | 29 | 2年ぶり3回目 | なし | ||||
8 | ブランドン・ロウ | 右 | 左 | 26 | 初 | なし | 13 | マックス・マンシー | 右 | 左 | 30 | 2年ぶり2回目 | なし | ||||
18 | ジョーイ・ウェンドル | 右 | 左 | 30 | 初 | なし | 43 | エドウィン・リオス | 右 | 左 | 26 | 初 | なし | ||||
外野手 | 56 | ランディ・アロサレーナ◎ | 右 | 右 | 25 | 初 | なし | 5 | コーリー・シーガー◎ | 右 | 左 | 26 | 3年ぶり2回目 | なし | |||
39 | ケビン・キアマイアー | 右 | 左 | 30 | 初 | なし | 10 | ジャスティン・ターナー | 右 | 右 | 35 | 2年ぶり3回目 | なし | ||||
13 | マニュエル・マーゴット | 右 | 右 | 26 | 初 | なし | 外野手 | 35 | コディ・ベリンジャー | 左 | 左 | 25 | 2年ぶり3回目 | なし | |||
17 | オースティン・メドウズ | 左 | 左 | 25 | 初 | なし | 50 | ムーキー・ベッツ | 右 | 右 | 28 | 2年ぶり2回目 | 1回 | ||||
14 | ブレット・フィリップス# | 右 | 左 | 26 | 初 | なし | 31 | ジョク・ピーダーソン | 左 | 左 | 28 | 2年ぶり3回目 | なし | ||||
11 | ハンター・レンフロー | 右 | 右 | 28 | 初 | なし | 11 | A.J.ポロック | 右 | 右 | 32 | 初 | なし | ||||
25 | 筒香嘉智 | 右 | 左 | 28 | 初 | なし | 3 | クリス・テイラー | 右 | 右 | 30 | 2年ぶり3回目 | なし |
レイズはリーグ優勝決定戦のロースターから、いずれも救援投手の左腕ホセ・アルバラードと右腕アーロン・スレガーズに替えて、外野手ブレット・フィリップスと左の救援投手ライアン・シェリフを加えた。リーグ優勝決定戦が休養日なしの7連戦だったのに対して、ワールドシリーズでは第2戦後と第5戦後に休養日が設けられている。したがって投手の数自体は減らす余裕があるが、ドジャースがコディ・ベリンジャーやコーリー・シーガーら左の強打者を複数擁することから、救援左腕の数は5人のままとなった[39]。アルバラードが8月に肩を痛めたことを考えると、シェリフのほうがイニングまたぎなどの柔軟な起用をしやすいため[40]、シェリフは今ポストシーズンで登板機会がなかったにもかかわらず抜擢された[39]。外野陣では、正中堅手ケビン・キアマイアーがリーグ優勝決定戦の第3戦で手に死球を受け、翌日から3試合続けて先発ラインナップを外れていた[40]。監督のケビン・キャッシュは、キアマイアーの回復具合は良好だと話すが、もし悪化した場合はフィリップスに代役の働きが期待される[41]。一方のドジャースは、リーグ優勝決定戦からのロースター変更はない[42]。
ESPNが自社の記者15人にどちらがシリーズを制するか予想させたところ、ドジャース勝利予想が10人に対しレイズ勝利予想が5人という結果となった[43]。CBSスポーツも同様の企画を記者6人で実施し、こちらでは6人中5人がドジャースを支持した[44]。『USAトゥデイ』の企画でも、同じく6人中5人がドジャースを支持した[45]。『スポーツ・イラストレイテッド』の企画では、5人中ドジャース支持が3人、レイズ支持がふたりに分かれた[46]。『ダラス・モーニングニュース』の企画では、記者・コラムニスト4人のうちレイズ支持がひとりいたものの、残りの3人はドジャース勝利と予想した[47]。
2020年のワールドシリーズは10月20日に開幕し、途中に休養日を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | 先攻球団 | スコア | 後攻球団 | 開催球場 | |
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10月20日(火) | 第1戦 | タンパベイ・レイズ | 3-8 | ロサンゼルス・ドジャース | グローブライフ・フィールド | |
10月21日(水) | 第2戦 | タンパベイ・レイズ | 6-4 | ロサンゼルス・ドジャース | ||
10月22日(木) | ||||||
10月23日(金) | 第3戦 | ロサンゼルス・ドジャース | 6-2 | タンパベイ・レイズ | ||
10月24日(土) | 第4戦 | ロサンゼルス・ドジャース | 7-8x | タンパベイ・レイズ | ||
10月25日(日) | 第5戦 | ロサンゼルス・ドジャース | 4-2 | タンパベイ・レイズ | ||
10月26日(月) | ||||||
10月27日(火) | 第6戦 | タンパベイ・レイズ | 1-3 | ロサンゼルス・ドジャース | ||
優勝:ロサンゼルス・ドジャース(4勝2敗 / 32年ぶり7度目) |
アメリカ合衆国におけるテレビ中継はFOXが放送した。実況はジョー・バックが、解説はジョン・スモルツが、フィールドリポートはケン・ローゼンタールとトム・バードゥッチが、それぞれ務めた。また試合前にはケビン・バークハート進行のコーナーがあり、デビッド・オルティーズやアレックス・ロドリゲス、フランク・トーマスが出演して試合の見所などを語った。FOXがスポンサー企業に販売したCM放送枠の価格は30秒あたり37万5000ドルと推定される[48]。
全6試合の平均視聴率は5.2%で、前年から2.9ポイント下降し、2012年の7.6%も下回って歴代最低となった[49]。また、平均視聴者数は979万人と、史上初めて1000万人を下回った[50]。シリーズを通しての、全米および出場両チームの本拠地都市圏における視聴率等は以下の通り。
試合 | 日付 | 放送時間 | 全米 | カリフォルニア州 ロサンゼルス | フロリダ州タンパ | ||||
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視聴率 | 占拠率 | 視聴者数 | 視聴率 | 占拠率 | 視聴率 | 占拠率 | |||
第1戦[51] | 10月20日(火) | 午後 | 8時 6分〜11時42分5.1% | 11% | 920万人 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
第2戦[52][53] | 10月21日(水) | 午後 | 8時 3分〜11時47分5.0% | 11% | 895万人 | 不明 | 不明 | 16.4% | 31% |
第3戦[54][55] | 10月23日(金) | 午後 | 8時 3分〜11時23分4.3% | 10% | 816万人 | 18.4% | 37% | 不明 | 不明 |
第4戦[56][55] | 10月24日(土) | 午後 | 8時 3分〜 0時33分4.8% | 12% | 933万人 | 21.1% | 43% | 不明 | 不明 |
第5戦[57][55] | 10月25日(日) | 午後 | 8時 3分〜11時39分5.3% | 11% | 1006万人 | 22.2% | 41% | 不明 | 不明 |
第6戦[58][59] | 10月27日(火) | 午後 | 8時 3分〜11時49分6.8% | 15% | 1263万人 | 27.5% | 48% | 18.2% | 33% |
平均[49][59] | 5.2% | 12% | 979万人 | 21.2% | 40% | 15.2% | 29% |
今シリーズ | 前年からの変動 | 裏番組の最高視聴率 | ||||||||
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試合 | 視聴率 | 視聴者数 | 前年視聴率 | 前年視聴者数 | 番組 | 放送局 | 放送時間 | 視聴率 | ||
変動 | 変動 | |||||||||
第1戦[51] | 5.1% | 920万人 | 7.3% | 2.2ポイント下降 | 1219万人 | 299万人減少 | 『ザ・ヴォイス』 | NBC | 午後 | 8時00分〜10時 1分4.7% |
第2戦[52] | 5.0% | 895万人 | 7.1% | 2.1ポイント下降 | 1193万人 | 298万人減少 | Tucker Carlson Tonight | FNC | 午後 | 8時00分〜 9時00分3.3% |
第3戦[54] | 4.3% | 816万人 | 7.1% | 2.8ポイント下降 | 1222万人 | 406万人減少 | Tucker Carlson Tonight | FNC | 午後 | 8時00分〜 9時00分3.0% |
第4戦[56] | 4.8% | 933万人 | 5.9% | 1.1ポイント下降 | 1022万人 | 89万人減少 | Saturday Night Football[注 7] | ABC | 午後 | 8時00分〜11時23分2.7% |
第5戦[57] | 5.3% | 1006万人 | 6.5% | 1.2ポイント下降 | 1139万人 | 133万人減少 | 『60ミニッツ』 | CBS | 午後 | 7時40分〜 8時40分10.1% |
第6戦[58] | 6.8% | 1263万人 | 9.6% | 2.8ポイント下降 | 1643万人 | 380万人減少 | 『ザ・ヴォイス』 | NBC | 午後 | 8時00分〜 9時00分4.8% |
第7戦 | (なし) | 13.1% | - | 2301万人 | - | - | ||||
平均[49] | 5.2% | 979万人 | 8.1% | 2.9ポイント下降 | 1391万人 | 412万人減少 | [註]放送時間は東部夏時間。中部夏時間は-1時間 |
今シリーズは、平均視聴者数では前年の1391万人から30%減少した。ただしこの年、前年比で視聴者数を減らすのは今シリーズ中継に限らず、地上波テレビ放送全体にみられる傾向である。4大ネットワーク(ABC・CBS・FOX・NBC)のプライムタイム合計視聴者数を、年度(9月第1週〜翌年8月最終週)の最初の30日間平均で比較すると、2019-20年度が2580万人だったのに対し、2020-21年度は1800万人で30%減となった[48]。スポーツ中継も視聴者を減らしており、バスケットボールのNBAファイナルは49%、アイスホッケーのNHLスタンレー・カップ・ファイナルは61%、テニスの全米オープンや競馬のケンタッキーダービーなども25%以上減少した[60]。このような傾向の要因として、第59回大統領選挙を11月3日に控え、FOXニュースチャンネル(FNC)やCNNなど、ケーブルテレビのニュース専門放送局が視聴者数を伸ばしたことが挙げられる[50]。また今シリーズに特有の事象としては、レイズの全米人気が高くなく所属選手の知名度も低いことや、中立地開催による場内の微妙な雰囲気が視聴者の盛り上がりに水を差したことなども考えられる[61]。
大統領選挙に関して、今シリーズ中継へのCM出稿で与野党は対照的な姿勢をとった。4年ぶりの政権奪還を狙う野党・民主党のジョー・バイデン陣営は、シリーズを通して60秒CM5回分の放送枠を計440万ドルで購入したとされる[62]。CMには著名俳優が起用され、第1戦中継ではサム・エリオットが[63]、第4戦中継ではブラッド・ピットが[64]、それぞれナレーターを務める新CMが初めて放送された。これに対し、再選を目指す与党・共和党のドナルド・トランプ陣営は、今シリーズでCM放送枠を購入しなかっただけでなく、年間を通じてMLB中継のCM放送枠購入に23万5000ドルしか費やしていない[62]。10月1日時点での選挙資金残高はトランプ陣営の6310万ドルに対し、バイデン陣営は1億7700万ドルと3倍近かった[63]。
日本での生中継の放送は、日本放送協会(NHK)の衛星放送チャンネル "BS1" で行われた。今シリーズでNHKは実況アナウンサーや解説者を現地へ送り込むことができず、現地からの映像をスタジオで観ながら実況・解説を行う形式をとった。さらに、第1戦の解説者のうち大島康徳は、スタジオからも離れて自宅からリモート解説に臨んだ[71]。
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