平成21年台風第18号
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平成21年台風第18号(へいせい21ねん たいふうだい18ごう、アジア名:メーロー/Melor、フィリピン名:ケダン/Quedan)は、2009年9月に発生し、愛知県に上陸した台風。日本への台風上陸は2007年の台風9号以来2年ぶりで、2009年に日本に上陸した唯一の台風でもある。
概要
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2009年9月29日21時頃、マーシャル諸島近海にあった熱帯低気圧が台風18号になり[3]、アジア名「メーロー(Melor)」と命名された。命名国はマレーシアで、ジャスミンを意味する。また、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)はこの台風について、フィリピン名「ケダン(Quedan)」と命名している。台風は西北西に進みながら発達し、10月4日には中心付近の最大風速が55m/sと猛烈な勢力となった[4]。さらに、先に発生していた台風17号と藤原の効果となった。6日には進路を北寄りに変え、中心付近の最大風速が45m/sと非常に強い勢力で南大東島の南に進んだ。7日には非常に強い勢力を維持したまま、四国の南海上へと進んだ。8日には中心付近の最大風速が40m/sと強い勢力で紀伊半島の南を北東に進み、同日5時過ぎに愛知県知多半島付近に上陸後、東海地方・関東甲信地方・東北地方を進み、夕方には太平洋に達した[4]。この間、最大風速は次第に弱まったが強風域は広がり、8日9時に群馬県高崎市付近で大型の台風となった。台風は9日、暴風域を保ったまま北海道の南を北東進し、同日15時に千島列島の近海で温帯低気圧に変わった[4]。
日本に上陸するまでのこの台風の進路は、1959年の伊勢湾台風に類似していたという指摘もある。
この台風は、非常に強い勢力を維持したまま南西諸島から西日本に接近し、強い勢力で上陸したため、沖縄地方から北海道地方にかけての広い範囲で暴風が吹いた[4]。また、台風を取り巻くように発達した雨雲の影響で、8日朝に茨城県と千葉県で竜巻が発生。愛知県東海市東海で8日5時48分までの1時間に83.5mmの猛烈な雨となったほか、近畿地方の一部では6日から9日までの総雨量が300mmを超えるなど、沖縄地方から北海道地方にかけて広い範囲で大雨が降った。7日から9日にかけは南西諸島から北日本の太平洋側や日本海沿岸、オホーツク海沿岸などで高さ4mをこえるしけとなり、近畿地方や東海地方の太平洋側や伊豆諸島などでは、一部で高さ9mをこえる猛烈なしけとなった[4]。
気象状況
大雨
愛知県東海市で8日5時48分までの1時間に83.5mmの猛烈な雨(2000年の東海豪雨に次ぐ2位の降水量)が降ったほか、近畿地方の一部で6日から9日までの総雨量が300mmをこえるなど、沖縄地方から北海道地方の広い範囲で大雨となった[5]。
暴風
沖縄地方から北海道地方にかけての広い範囲で暴風となった。また、台風をとりまく発達した雨雲の影響で、8日朝に茨城県と千葉県で竜巻が発生した[5]
被害
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台風による被害
倒伏した稲
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台風による被害
- 兵庫県1名死亡[2]、和歌山県1名死亡[6]、埼玉県3名死亡[7][8]、宮城県1名死亡[9]。総負傷者135名となっている。[1]
- 沖縄地方から北海道地方の広い範囲で、住家損壊や土砂災害、浸水被害などが発生[4]。
- 農業・林業・水産業被害や鉄道の運休、航空機やフェリーの欠航等による交通障害も発生した[4]。
- 茨城県土浦市と龍ケ崎市、千葉県九十九里町と山武市で竜巻が発生した。被害の大きかった土浦市では計106棟(非住家等・49棟)が被害に遭い、全壊1棟(同・16棟)・半壊11棟(同・7棟)・一部破損94棟(同・26棟)に上った。龍ケ崎市では計114棟(非住家等・40棟)の全壊0棟(同・13棟)・半壊が5棟(同・1棟)・一部破損が109棟(同・26棟)・車両被害19台となる。九十九里町と山武市では計37棟(同・31棟)が被害に遭い、全壊が1棟(同・10棟)・半壊0棟(同・7棟)・一部破損36棟(同・14棟)・ビニールハウス7棟。[10][11]
- 愛知県・埼玉県・福島県・宮城県を中心に浸水被害が発生。床上浸水538棟・床下浸水2865棟。全壊4棟・半壊34棟・一部破損3370棟となる。[1]
- 各地において電柱の倒壊や樹齢300〜400年のマツ・約800年の直径約3メートルのスギなどの巨木が根元から折れるなどの被害をだしている[12][13][14]。
影響
- 沖縄県の北大東島、南大東島において670世帯が、奄美大島や喜界島では計約1万100世帯で停電[15]。鹿児島県でも約1万世帯が停電[16][17]。
- 関東など全国各地において停電が発生した[18]。
- 首都圏では鉄道各線において運休が相次いだ。225万人以上に影響。[19][20]
- 幼稚園・小中高校・大学などの教育機関で41都府県・1万4853校において臨時休校。35都府県・4297校が授業の早期切り上げや遅れて開始。[21]
- 台風としての勢力が強く、台風17号との間で藤原効果を発生させている[22]。
港湾
鉄道
- JRグループ
-
- 10月7-8日 : 特急9本を含む計95本が運休(部分運休含む)[29]。
- 名古屋鉄道
- 10月8日 : 全線で1017本が運休[23]。
- 常滑線
- 名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)
道路
国道
都道府県道
- 11月18日現在、5区間で通行止め[40]。
高速道路
- 10月8日 : 中島出入口(IC)-六甲アイランド北出入口(IC)が一時通行止め[31]。
航路
- 10月7日 : 2便が欠航[44]。
- 大分ホーバーフェリー(大分基地-大分空港)
- 10月7日 : 終日欠航[45]。
- 10月7日 : 8時半発の便から終日欠航[45]。
- 10月7日 : 臼杵行きは、八幡浜9時40分発から、別府港は10時15分発から終日欠航[45]。
- 九四オレンジフェリー(八幡浜港-臼杵港)
- 10月7日 : 上下計4便が欠航する[46]。
- その他
- 10月7日 : 夕方から欠航[48]。
- せと観光ボート(松山港-広島港)
- 10月7日 : 夕方から欠航[48]。
- 10月7日 : 午後3時半以降、上下7便欠航[31]
- 10月7日 : 午後に2航路、計12往復24便が欠航(内、松阪-中部空港航路については 3往復6便が欠航)[50]。
- 10月8日 : 全便欠航[50]。
- 10月8-9日 : 全便が欠航[34]。
- 10月7日 : 午後から最終便まで欠航[34]。
航空
空港
- 宮崎空港
- 鹿児島空港
- 10月7日 : 約70便(内、全離島便の30便)が欠航[17]。
- 10月8日 : 計11便が欠航。約400人に影響。[54]
- 関西空港
- 10月7日 : 国内線・国際線、計23便が欠航[31]。
- 伊丹(大阪国際空港)
- 神戸空港
- 10月8日 : 21便が欠航[38]。
- 10月8日 : 4便が欠航[38]。
イベント・その他
イベント
- 10月7日
- プロ野球、秋季教育リーグ(フェニックス・リーグ)全8試合が中止[17]。
- サッカーJ2、愛媛県総合運動公園陸上競技場(ニンジニアスタジアム)での愛媛FC - ロアッソ熊本も中止[48]。
- 志摩市・「伊勢えび祭保存会」による伊勢神宮への伊勢エビの献納を10月13日に延期[50]。
- 10月8日
- 尼崎競艇場で開催中のSG第56回全日本選手権競走の2日目をはじめ、桐生競艇場・江戸川競艇場・蒲郡競艇場・常滑競艇場の競走が中止、順延[55]。
- 全国障害者スポーツ大会、鹿児島・宮崎両県選手の団結団式が中止[17]。
- 11月1-8日に開催される島津発祥まつり(宮崎県都城市)のPRイベントが延期[17]。
- 伊勢市戦争犠牲者追悼式が中止[50]。
- 10月7日・8日
- 10月10日・11日
- 大館市の長木川市民広場で開催予定の「本場大館きりたんぽまつり」が10月11・12日に変更[36]。
その他
- 10月8日
- 10月8日・9日
- 伊勢神宮外宮において倒木のために参拝を中止[14]。
- 10月8日-10月21日
- 10月8日-
- 金剛生駒紀泉国定公園・葛城山(大和葛城山)の登山道全域において寸断や崩落・倒木など多数[59]。
- 10月9日
- 気象庁が気象情報会社のウェザーニューズに対し、台風の上陸地点について独自の情報を発表したとして気象業務法に基づき再発防止を口頭で指導。同社は、台風は三重県の志摩半島に上陸したと発表していた。[60][61][62]
- ウェザーニューズは、気象庁が発表した台風18号の経路の確定値について、「速報値よりも西寄りの経路が出された」という認識を示し、気象庁の確定値が、同社が独自に出した進路解析の地点に近づいたという見解を発表した[63]。
- 気象庁は、ウェザーニューズが1月6日付で発表した資料に関して、同社に対する指導を行ったことを発表した。 同発表の中で気象庁は、「速報値は度分単位で表現し、確定値は0.1度単位で表現した。単位の違いであって、経路を変更したのではない」としている。[64]
関連項目
- 昭和62年台風第19号 - 年間唯一の台風上陸が10月になった台風。
脚注
外部リンク
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