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『ロジャー・ラビット』(原題: Who Framed Roger Rabbit)は、1988年のアメリカ合衆国のコメディ映画。タッチストーン・ピクチャーズ提供、アンブリン・エンターテインメント作品。並びに本作に登場するウサギのキャラクターの名称である。
ロジャー・ラビット | |
---|---|
Who Framed Roger Rabbit | |
ロゴ | |
監督 |
ロバート・ゼメキス アニメーション監督 リチャード・ウィリアムス |
脚本 |
ジェフリー・プライス ピーター・シーマン |
原作 | ゲイリー・K・ウルフ |
製作 |
フランク・マーシャル ロバート・ワッツ |
製作総指揮 |
スティーヴン・スピルバーグ キャスリーン・ケネディ |
出演者 |
ボブ・ホスキンス クリストファー・ロイド |
音楽 | アラン・シルヴェストリ |
撮影 | ディーン・カンディ |
編集 | アーサー・シュミット |
製作会社 |
タッチストーン・ピクチャーズ アンブリン・エンターテインメント シルバー・スクリーン・パートナーズⅢ ウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーション |
配給 |
ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ ワーナー・ブラザース |
公開 |
1988年6月22日 1988年12月3日 |
上映時間 | 103分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $70,000,000[1] |
興行収入 |
$156,452,370[1] $329,803,958[1] |
配給収入 | 14億4600万円[2] |
舞台は1947年のハリウッド。トゥーン(アニメーションキャラクター)が実社会に存在しているという設定で、トゥーンと人間の関係を描いている。先に撮影された実写にアニメーションを合成する形で制作された。1988年のアカデミー視覚効果賞・アカデミー編集賞・アカデミー音響効果賞を受賞。
この映画に出てきたトゥーンたちが住む街・トゥーンタウンは、その後実際に世界各地のディズニーパークに作られ、キャラクターたちが住む街という設定も踏襲されている。なお、この映画に出演しているトゥーンはディズニー作品だけでなく、バッグス・バニー(ワーナー・ブラザース)やドルーピー(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)、ベティ・ブープ(フライシャー・スタジオ)など、アメリカン・アニメーションの黄金時代を飾った他社のキャラクターが幅広く出演しているクロスオーバー作品である。当初、制作総指揮のスピルバーグは、他にもポパイやトムとジェリーなどのキャラクターを登場させたかったが、権利を獲得しなかったため白紙となった。この世界のテリー・トゥーンズのマイティマウスとアニメ映画版のスーパーマンは最初の脚本(マーヴィン・アクメの墓場のシーン)で登場するはずだったが、後にそのシーンごとカットになってしまった[3]。
当時のCEOであるマイケル・アイズナーとウォルト・ディズニー・カンパニーの副会長だったロイ・E・ディズニーは、この映画は大人向けや性的言動で際どすぎると感じた[4]。アイズナーとゼメキスは、その様々な要素について意見が合わなかったが、ゼメキスはファイナル・カットの特権を持っていたので、彼は変更を加えることを拒否した[5]。ウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーションの責任者であるロイ・E・ディズニーは、スタジオ長のジェフリー・カッツェンバーグとともに、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズの名義ではなく、ディズニーの大人向けのスタジオであるタッチストーン・ピクチャーズの名義で映画を公開することが適切であると感じた[4]。そのため、本作において、アメリカではかつてDisney Movie Insidersを運営していたのに対し、日本ではディズニー公式を運営しない代わりに、ウォルト・ディズニー・スタジオ公式を運営することとなった。
1998年、続編を製作すべく案が浮上し、スピルバーグも興味を示した。だがスピルバーグはドリームワークス設立のためにプロジェクトを離脱し、3D上映の需要も高まってきていたためそのプロジェクトはしばらく頓挫する。しかし2010年現在、監督のゼメキスはインタビューで「続編の可能性はありうる」と発言し、現在もそのプロジェクトは存在している。
もともとはゲイリー・K・ウルフが1981年に執筆した小説『Who Censored Roger Rabbit?』をディズニー社が映画化権を購入したことから始まり、1982年にはゼメキス監督も決定して、映画化が始動した。しかし、当時はまだゼメキス監督の手腕も分からずじまいだったため一時制作を中断。後にスティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を担当することになり、再び映画化が再始動する。小説版では、映画のように有名キャラクターが多数出演するようなストーリーではなかった。だが、映画に特色をつけるため、1940年代当時に黄金期を迎えていたアニメ映画を彩ったキャラクターたちが登場するようなストーリーに変更された。製作者陣は脚本段階から多数のアニメキャラクターのカメオ出演を想定していたが、権利関係の問題もあってメジャー級のキャラクターでも登場していない者(トムとジェリーやポパイなど)もいる。また、ワーナー・ブラザースは、同社のキャラクターを映画に貸し出す前に、ディズニーの主要キャラクターとの動画面での共演を条件とした[6]。その条件を元に、ミッキーマウスとバッグス・バニー、ドナルド・ダックとダフィー・ダックそれぞれの共演シーンが実現している。
当初のスピルバーグとゼメキス監督は、主役のエディにビル・マーレイを第一候補としていたが、なかなか連絡がつかなかったために[6]、マーレイを諦めてボブ・ホスキンスを主役に据えた。映画が公開された後に、マーレイはインタビューにおいて、その事が載った記事を見て、「もしもオファーが来ていたら間違いなく引き受けていた」と語っている[6]。また、クリストファー・ロイド演じる判事をより不気味な印象を与えるために、ゼメキス監督はロイドに瞬きをしないよう演出している[6]。判事役にはロイドの他にもティム・カリーやクリストファー・リーなどが打診されていた[6]。
映画に登場するアニメキャラクターのカメオ出演に関しては、実際には設定年代以降にデビューしたキャラクター(ロードランナーやワイリー・コヨーテ、ティンカー・ベル等)も混じっているが、脚本を担当したピーター・S・シーマンはインタビューで「同映画はアニメ史についてのストーリーではなく、あくまでもエンターテイメント」として、時代錯誤は特に問題ではないと語っている。
撮影時は多くのシーンで実写とアニメーションが登場することもあり、出演者たちは常にアニメキャラクターの動きを予測しながらの演技を要された。また、アニメキャラクターが実写の物を持つような場面においては、人形を操るプロのパペッターなどが採用されたほか、専用のロボットなども用いて撮影が行われた。
トゥーンと人間が共存している、架空の1947年。アニメーション映画スターであるロジャー・ラビットは今日もベビー・ハーマンと共に映画撮影の真っ只中。しかし、いつもの調子が出ずNGばかり出してしまう。ロジャーの妻:ジェシカ・ラビットが浮気をしてるのではとの噂があるからだ。スランプに陥ったロジャーを心配した映画会社の社長:マルーンは私立探偵を雇う事にした。一方、私立探偵のエディ・バリアントは、かつてトゥーンに関わる仕事が大好きだったが、一緒に探偵をやっていた弟をトゥーンに殺害されて以来、トゥーンを憎んでおり、酒浸りの生活を送っていた。
エディはマルーンにジェシカの浮気現場を押さえるように依頼される。生活に困っていたエディはしぶしぶ了承。そして、彼女の浮気の証拠をつかみ、写真をロジャーに見せた翌日、ジェシカの浮気相手にしてトゥーン・タウンの所有者:マービン・アクメが何者かに殺害された。金庫を頭上から落とされるというトゥーンのような手口で。そしてその手口は、かつてエディの弟が頭の上にピアノを落とされて殺された方法と全く同じだった。
この事件に、新任のドゥーム判事が乗り出した。彼はトゥーンたちを嫌い、本来不死身のトゥーンを溶かして元の絵具に戻してしまう溶解液「ディップ」を発明しており、容疑者であるロジャーを「処刑」しようとする。逃亡犯となったロジャーはエディの私立探偵事務所に逃げ込んで救いを求め、懐中の窮鳥ならぬロジャーを見殺しにはできないエディは、事後従犯覚悟でロジャーを匿いつつ調査を進める。そしてその調査によって、この事件には大きな裏があり、トゥーン・タウン全体の運命が関わっていることが明らかになっていく。
前述にもあるように、同作はクロスオーバー作品で、ディズニー以外のアニメキャラクターも多数出演している。劇中エディが車で訪れるトゥーンタウンの世界観は、ディズニーが製作したシリー・シンフォニーシリーズの中の『子守唄』をモチーフとしており、太陽は短編『ノアの箱舟』から、木々や植物は『ファンタジア』と『花と木』からそれぞれ引用された。ダウンタウンの世界観は短編作品の『ちいさいおうち』や『うさぎとかめ』等からの引用。
キャラクターたちのカメオ出演は細かい部分にまで及んでおり、街中のポスターやシルエットなどで確認できるキャラクターもいる(ピグレット等)。ディズニー以外の会社のメジャーなキャラクターのみならずサブキャラクターらも細かい部分で多数出演しており、MGMの短編アニメ『デカ吉チビ助のアフリカ探検』で登場する緑色のタコ(同作品ではバーテン役)や、『ベティ・ブープ』に登場するウィッフル・ピッフル、『ウッディー・ウッドペッカー』のパパ・パンダ、ルーニー・テューンズの短編『幻のドードーを探せ』のドードー鳥などが例として挙げられる。ちなみに、実際には登場していないがフィリックス・ザ・キャットは、マルーンのオフィスにある写真立てで確認できる。またトゥーンタウン内でエディを追い回すキス魔の「リーナ・ハイエナ」も原作があり、40年代当時はアニメとしてのキャラクターではなく『Li'l Abner』というコミックキャラクターで、同作品で初めてアニメーションとして登場している[7]。
なお、キャラクターの声を担当する声優は製作当時、現役の専属声優が起用されたものの、日本語吹替版では製作当時ディズニー以外の会社のメジャーなキャラクターは専属の吹替声優が定まっていなかった事から独自の配役がなされている。
役名 | 俳優・声優 | 日本語吹き替え | |
---|---|---|---|
ソフト版 | 機内上映版 | ||
エディ・バリアント | ボブ・ホスキンス | 内海賢二 | 田中信夫 |
ドゥーム判事 | クリストファー・ロイド | 大木民夫 | |
ロジャー・ラビット | チャールズ・フライシャー | 山寺宏一[8] | |
ジェシカ・ラビット | キャスリーン・ターナー エイミー・アーヴィング(歌声のみ) | 一城みゆ希 | |
ドロレス | ジョアンナ・キャシディ | 横尾まり | |
マービン・アクメ | スタッビー・ケイ | 緒方賢一 | |
R・K・マルーン | アラン・ティルヴァーン | 藤本譲 | |
サンティーノ警部補 | リチャード・ルパルメンティエ | 広瀬正志 | |
ベビー・ハーマン | ルー・ハーシュ エイプリル・ウィンチェル(赤ちゃん声) | 石森達幸 松本梨香(赤ちゃん声) | |
ベニー・ザ・キャブ | チャールズ・フライシャー | 鈴置洋孝 | |
スマート・アス | デヴィッド・L・ランダー | 二又一成 | |
グリージー | チャールズ・フライシャー | 鈴木勝美 | |
サイコ | 納谷六朗 | ||
スチューピッド | フレッド・ニューマン | 二又一成 | |
ウィージー | ジューン・フォーレイ | 河合義雄 | |
ボンゴ・ザ・ゴリラ | モーガン・デア | 島香裕 | |
ミセス・ハーマン | エイプリル・ウィンチェル | 鈴木れい子 | |
カメオ出演 | |||
ミッキーマウス | ウェイン・オルウィン | 納谷六朗 | |
ドナルドダック | トニー・アンセルモ | 山寺宏一 | |
グーフィー | トニー・ポープ ビル・ファーマー(歌声のみ) | 島香裕 | |
ビッグ・バッド・ウルフ | トニー・ポープ | 鈴置洋孝 | |
ピノキオ | ピーター・ウェストリー | 坂本千夏 | |
ヒヤシンス・ヒッポ | メアリー・T・ラッドフォード | ||
バッグス・バニー | メル・ブランク | 鈴木勝美 | 富山敬 |
ダフィー・ダック | 石森達幸 | ||
ポーキー・ピッグ | 緒方賢一 | ||
ヨセミテ・サム | ジョー・アラスカイ | 槐柳二 | |
シルベスター・キャット | メル・ブランク | 石森達幸 | |
トゥイーティー | 坂本千夏 | ||
ベティ・ブープ | メイ・クエステル | ||
リーナ・ハイエナ | ジューン・フォーレイ | ||
ウッディー・ウッドペッカー | チェリー・デイヴィス | 緒方賢一 | |
ドルーピー | リチャード・ウィリアムズ | 鈴木勝美 | |
その他 | 篠原あけみ | 矢島晶子 | |
日本では過去に2度地上波放送されたことがある。
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