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1940年のアメリカのアニメーション映画 ウィキペディアから
『ピノキオ』(原題:Pinocchio)は、1940年2月7日に公開されたウォルト・ディズニー・プロダクションによる長編アニメーション映画。原作はカルロ・コッローディ作の童話『ピノッキオの冒険』である。
ピノキオ | |
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Pinocchio | |
監督 |
ベン・シャープスティーン ハミルトン・ラスク |
脚本 |
テッド・シアーズ オットー・イングランダー ウェッブ・スミス ウィリアム・コトレル ジョゼフ・サボ アードマン・ペナー オーレリアス・バタグリア |
製作 | ウォルト・ディズニー |
出演者 |
ディッキー・ジョーンズ クリフ・エドワーズ |
音楽 |
ネッド・ワシントン リー・ハーライン ポール・J・スミス |
主題歌 | 星に願いを |
撮影 | ボブ・ブロートン |
編集 | ロイド・L・リチャードソン |
製作会社 | ウォルト・ディズニー・プロダクション |
配給 | RKO |
公開 |
1940年2月7日 1952年5月17日[1] |
上映時間 | 88分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $2,600,000 |
興行収入 | $164,000,000 |
前作 | 白雪姫 |
次作 | ファンタジア |
前作『白雪姫』が大ヒットをした後、「再び同じような映画を」という依頼がウォルトに多数寄せられたが彼はそれを拒否し、前作とは異なる冒険物語である「ピノキオ」を選んだ。
しかし、原作は社会風刺の小説であり、ピノキオは悪戯っ子で、子供っぽい性格がみられ、白雪姫のような華がなかったため、夢のある物語にするのは容易ではなかった。ウォルトはストーリーの制作に数か月も悩み、すでにアーティストたちは作業に入っていたのにもかかわらず制作を一時中断する。その間にピノキオは無邪気な性格に変更され、さらに原作ではピノキオにハンマーをぶつけられすぐに死んでしまうコオロギをピノキオの良心、そしてストーリーテラーとしての役割も持つ重要なキャラクター、ジミニー・クリケットとして登場させる事になった。制作が再開された後にも熟考を重ね、2年の歳月を経てついにテンポのよい夢と希望にあふれた冒険物語が完成した。
前作『白雪姫』のように莫大な制作費を掛けたが、公開された当時は(第二次世界大戦中という世相もあり)『ファンタジア』同様にヒットには至らず、会社は大赤字になり、更にディズニー社の労働条件の劣悪さからくる大規模な労働争議も相まって、会社の株式が1株25ドルから4ドルへと大暴落して経営危機にさらされウォルトは大ピンチに陥った。しかし劇中でジミニー・クリケットが歌った『星に願いを(When You Wish Upon a Star)』は第13回アカデミー賞で歌曲賞を受賞し、アメリカン・フィルム・インスティチュートによる、「映画史における偉大な歌100選」でも第7位に入るなど、古典アニメーションの傑作として今日でも愛され続けている。日本でのセルビデオ出荷本数は100万本[2]。
本作品には原作小説とは異なる場面が多い。ゼペットとピノキオを呑みこむのが巨大なサメ(フカ)ではなく鯨であることや、ものをいうコオロギが洒落ていない、ブルー・フェアリー(仙女)の性格だけでなく、原作はかなり残酷でするどい皮肉に満ちていること、などがあげられる[3]。
(世界各国の公開年については、シンプル英文版「Pinocchio (1940 movie)」も参照)
ピノキオはおもちゃ職人のゼペットが作ったあやつり人形である。子供のいないゼペットは、ピノキオが「自分の子供になりますように」と星に願う。皆が寝静まった頃、ブルー・フェアリーが現れてピノキオに生命を授けた。そして一部始終を見ていたコオロギのジミニー・クリケットを良心役に任命し、「勇気を持って正直で優しい性格になれば人間になれる」と言い残し、消えて行った。
騒音で目覚めたゼペットは、生命を授かったピノキオを見て大喜びし、翌日ピノキオを学校へ送り出す。しかし、世間知らずのピノキオは詐欺師の狐のJ・ワシントン・ファウルフェローと、その子分で猫のギデオンの「スターの暮らし」の甘言に乗せられ、きちんと断るようにというジミニーの忠告も聞かず、ストロンボリ一座に売り飛ばされてしまう。
糸の無い人形ということで一座のスターになったピノキオだったが、何も知らず家に帰ろうとした途端、怒ったストロンボリによって鳥籠に閉じ込められてしまう。そこへ最後の別れを告げに来たジミニーと再会し、自分が騙されていたことに気づいて脱出を試みても、錠前が錆び付いていてまったく開かず困り果てる。そこへブルー・フェアリーが現れてピノキオを問いただすが、ジミニーに本当のことを言うように忠告されるも、嘘をついたピノキオの鼻は伸びはじめてしまう。嘘をついたことを反省したピノキオと、彼にチャンスを与えて欲しいとジミニーの説得もあり、ブルー・フェアリーの手助けでピノキオはストロンボリ一座を逃げ出して家に帰ろうとする。
しかし、家に帰る途中で再びファウルフェローとギデオンに呼び止められ、今度は、遊びの島「プレジャー・アイランド」へ行こうと誘われ[注釈 1]、拉致同然に連れて行かれたピノキオは馬車に乗り、島へ向かう。そこではどんな悪いことでも許される島で、ピノキオはそこで過ごすうちに悪いことは楽しいと認識してしまい、二度にわたって言いつけを忘れてしまう。さらには散々心配したにもかかわらず、自分を侮辱した悪童ランプウィックを庇った挙げ句に彼を「親友」と呼ぶピノキオにとうとう愛想が尽きたジミニーは怒って帰ろうとした矢先、プレジャー・アイランドにいる子供達がロバになっていき、最後には町に売り飛ばされることを知ると、大慌てでピノキオの救出に向かった。その頃ランプウィックが目の前でロバになってしまい、自身にもロバの耳としっぽが生えて来たため混乱しパニックになったピノキオは、戻ってきたジミニーと一緒に危機一髪でプレジャー・アイランドを脱出し、家へと帰っていった。
ところが、家に帰ると明かりがついておらず、ゼペットはおろか猫のフィガロと金魚のクレオもいなくなっていた。二人が途方にくれていると、空から一枚の手紙が落ちてくる[注釈 2]。ジミニーが読み上げると、そこには驚くべき事が書かれていた。いつまで経っても帰って来ないピノキオを心配して探しに行ったゼペットが、船で海へ出かけた矢先クジラの王様・モンストロに飲み込まれてしまっていたのだ。
ピノキオとジミニーは海に行き、ゼペットを救出しようと尻尾に石を縛り付けて飛び込むも自身もモンストロに飲み込まれ、腹の中でゼペットとの再会を果たす。ピノキオにロバの耳や尻尾が生えていたことに驚くゼペットだが、何も言わずに優しく抱いた。船にあったイカダを見たピノキオは知恵と勇気で腹の中で焚き火を起こし、ゼペットといっしょにモンストロの腹の中から脱出することに成功するが、怒ったモンストロに追いかけられることになる。イカダが壊れてもピノキオは力尽きかけたゼペットを庇い必死に岩場まで泳ぐも、モンストロは執拗に追いかけて来る。そこでたまたま目に止まった岩場の隙間に逃げ込み、続けてモンストロもまた勢いよく突っ込んだが、それを最後に生死不明となる。
水飛沫によって運良く浜辺に打ち上げられたゼペット達と、傘をクッションにしたジミニーはかろうじて生還するが、ピノキオは砕けた岩に巻き込まれ、波打ち際にうつ伏せで倒れているところをジミニーに発見されるも、既に息絶えてしまっていた。
死んでしまったピノキオを前に、ゼペットとジミニー達は悲しみに暮れていた。そこへブルー・フェアリーが現れ、ピノキオは勇気ある行動を讃えられる。そして彼女の力で生き返らせるとともに本当の人間の子供に姿を変えた。目を覚ましたピノキオは、ゼペットと喜びを分かち合った。ジミニーが外へ出て空の星に向かい礼を言うと、胸元に良心の証である金色のバッジが現れ、ジミニーは感激に浸った。
役名 | 原語版声優 | 日本語吹き替え | ||
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1959年公開版 | 1983年公開版 (追加録音部分) | ポニー・バンダイ版 | ||
ピノキオ | ディッキー・ジョーンズ | 佐々木清和 歌:宮下匡司 | 初沢亜利 (辻治樹) | 後藤真寿美 |
ジミニー・クリケット | クリフ・エドワーズ | 坊屋三郎 歌:宮本正 | 肝付兼太 歌:田村しげる | 江原正士 歌:田村しげる |
ゼペットじいさん | クリスチャン・ラブ | 三津田健 | 熊倉一雄 | 内田稔 |
女神 | イヴリン・ヴェナブル | 松田トシ | 一城みゆ希 | 小沢寿美恵 |
正直ジョン | ウォルター・キャトレット | 三升家小勝 | 山田康雄 | 関時男 |
ギデオン | メル・ブランク | 原語音声流用 | ||
ランプウィック | フランキー・ダーロ | 畑爽 | 新井昌和 (内田崇吉) | 牛山茂 |
ストロンボリ | チャールズ・ジューデルス | 中村哲 | 大塚周夫 | 遠藤征慈 |
コーチマン | 古今亭今輔 | 辻村真人 | 金尾哲夫 | |
オランダ娘の人形 | パトリシア・ページ | 和田京子 | 一城みゆ希 | |
フランス娘の人形 | 富沢志満 | |||
ロシア娘の人形 | 依田緑 | |||
けんか小屋の声 | クラレンス・ナッシュ | 梶哲也 | ||
遊園地の呼び込み | ドン・ブロディ スチュアート・ブキャナン ジョン・マクリーシュ | 野坂昭如 | 峰恵研 沢りつお 山崎哲也 | 岡田吉弘 金尾哲夫 牛山茂 |
アレキサンダー | ディッキー・ジョーンズ | 宮川陽介 | 下川久美子 | |
子どもの声 | バージニア・デイビス ダル・マッケノン | 村上雅俊 秋原充 黒田将人 小山友成 | 牛山茂 | |
フィガロ | クラレンス・ナッシュ | 原語音声流用 | ||
モンストロ | サール・レイブンズクロフト | |||
1995年以降、ディズニーから発売されているソフト(VHS・DVD・BD等)には、1983年公開版に一部追加録音[5]を行ったものが収録。
製作 | ウォルト・ディズニー |
原作 | カルロ・コッローディ |
脚本 | テッド・シアーズ、オットー・イングランダー、ウェッブ・スミス、ウィリアム・コトレル、ジョゼフ・サボ、アードマン・ペナー、オーレリアス・バタグリア |
音楽 | ネッド・ワシントン、リー・ハーライン、ポール・J・スミス |
キャラクター・デザイン | ジョー・グラント、アルバート・ハーター、ジョン・P・ミラー、キャンベル・グラント、マーティン・プロヴェンセン、ジョン・ウォルブリッジ |
イメージボード | ドン・クリステンセン |
作画監督 | フランク・トーマス、ミルト・カール、アート・バビット、ウォード・キンボール、エリック・ラーソン、フレッド・ムーア、ビル・ティトラ、ウォルフガング・ライザーマン |
レイアウトチャック | チャールズ・フィリッピ、ヒュー・ヘネシー、ケンドール・オコーナー、テレル・スタップ、ソー・パットナム、マクラーレン・スチュワート、アル・ジンネン、ブルース・ブッシュマン、アーサー・ハイネマン、チャールズ・ペイザント |
原画 | レス・クラーク、チャールズ・オーガスト・ニコルズ、ジャック・キャンベル、バーニー・ウルフ、ドン・ダグラディ、ドン・ラスク、ノーマン・テイト、ジョン・ブラッドベリー、リン・カープ、アート・パーマー ジョシュア・メダー、ドン・トービン、ロバート・マーシュ、ジョージ・ローリー、ジョン・マクマナス、ドン・パターソン、プレストン・ブレア、マーヴィン・ウッドワード、ヒュー・フレイザー、ジョン・エリオット ウォルト・ケリー、ケン・オブライエン オリー・ジョンストン、ジョン・ラウンズベリー |
美術監督 | ケン・アンダーソン、ディック・ケルシー、ジョン・ハブリー |
背景 | クロード・コーツ、マール・コックス、エド・スター、レイ・ハッファイン |
仕上 | マーセリット・ガーナー |
撮影 | ボブ・ブロートン |
録音 | ウィリアム・E・ギャリティ |
音響効果 | ジム・マクドナルド |
編集 | ロイド・L・リチャードソン |
助監督 | フォード・ビービ、ルー・デブニー、ジム・ハンドレ、グラハム・ヘイド、マイク・ホロボッフ、ラリー・ランズバーグ |
キャラクター彫刻制作 | ワウ・チャン |
コンセプトデザイン | グスタフ・テングレン |
J・ワシントン・ファウルフェロー、ギデオン担当演出 | ノーム・ファーガソン、T・ヒー |
演出 | ビル・ロバーツ、ジャック・キニー、ウィルフレッド・ジャクソン |
監督 | ベン・シャープスティーン、ハミルトン・ラスク |
彩色プロセス | テクニカラー |
録音プロセス | RCA |
制作 | ウォルト・ディズニー・プロダクション |
配給 | RKO |
≪1959年版≫
総指揮 | ジャック・カッティング |
台本 | 田村幸彦 |
訳詞・音楽監督 | 三木鶏郎 |
編集 | 上田忠雄 |
録音 | 国際ラジオセンター |
コーラス | ダークダックス 服部リズム・シスターズ |
≪1983年版≫
総指揮 | ブレイク・トッド |
翻訳・演出 | 金田文夫 |
訳詞 | 島村葉二 |
音楽演出 | 多田則彦 |
歌唱指導 | 川田正子 |
協力 | テアトル・エコー |
音楽協力 | コロムビアレコード |
録音 | 東亜映像録音株式会社 |
コーラス | ミュージック・クリエイション |
≪ポニー・バンダイ版≫
声の出演・協力 | 劇団昴 |
翻訳 | トランスグローバル |
原作におけるピノキオ(ピノッキオ)に関しては『ピノッキオの冒険』参照。
2003年6月6日発売の『ピノキオ -スペシャル・エディション-』DVDのPRソングとして『星に願いを』を矢沢永吉がカバーしたものが使用された。
日本で2017年6月21日にウォルト・ディズニー・ジャパンからBlu-ray DiscとDVD、デジタルコピー(スマートフォンやタブレット端末で、本編映像を見ることができるサービス)、MovieNEXワールドがセットになったMovieNEXが発売された[6]。
2021年にロバート・ゼメキス監督[7]、トム・ハンクス主演で実写映画化された[8]。2022年9月公開。
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