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アメリカ合衆国の日刊新聞 ウィキペディアから
ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に本社を置くニューヨーク・タイムズ・カンパニーが発行している高級日刊新聞紙。アメリカ合衆国内での発行部数はUSAトゥデイ(162万部)、ウォール・ストリート・ジャーナル(101万部)に次いで第3位(48万部)[4]。
The New York Times | |
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1851年9月18日付の創刊号1面 | |
種類 | 日刊紙 |
サイズ | ブランケット判 |
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事業者 | ニューヨーク・タイムズ・カンパニー |
代表者 | A・G・サルツバーガー |
創刊 | 1851年9月18日 |
言語 | 英語 |
発行数 |
全体:1084万人 デジタル版:1021千人。紙媒体:63万人(2024年6月末)[1] |
ウェブサイト |
www |
本社所在地 |
ニューヨーク州ニューヨーク市 NYタイムズ・ビルディング |
従業員数 | 2000人(2022年) |
種類 | 公開会社 |
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市場情報 | NYSE: NYT |
略称 | NYT |
本社所在地 |
アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク市 NYタイムズ・ビルディング |
設立 | 1851年9月18日 |
業種 | 新聞 |
代表者 |
アーサー・オックス・サルツバーガー・ジュニア (会長) メレディス・コピット・レヴィン (社長兼CEO) |
売上高 | 17億4859万ドル(2018年期)[2] |
営業利益 | 1億1236万ドル(2017年期) |
純利益 | 1億2568万ドル(2018年期)[2] |
純資産 | 7億3291万ドル(2017年期) |
総資産 | 20億9978万ドル(2017年期) |
従業員数 | 3710人(2016年末) |
所有者 |
サルツバーガー家: 9% [3] カルロス・スリム: 17% |
関係する人物 |
共同創業者: ヘンリー・ジャーヴィス・レイモンド ジョージ・ジョーンズ 取締役: 伊藤穰一(2012年から) A.G. サルツバーガー(2018年から) |
外部リンク |
www |
ニューヨーク・トリビューン紙に対する高級新聞というスタイルをとって1851年にニューヨーク市で創刊された。当初は優れた体裁が人気を集め順調に発行部数を伸ばしたが、南北戦争後に南部に対する寛大な論調が反感を呼び一時低迷した。その後20世紀に入ると世界各地に取材網を張り巡らせ、ワシントン・ポストやウォール・ストリート・ジャーナルと並ぶアメリカを代表する高級紙としての地位を確立した。
アメリカではしばしば The Times と略される。" times.com " ドメインはニューヨーク・タイムズが所持している。All The News That's Fit To Print(印刷に値するニュースはすべて掲載する)とのモットーが毎号A-1面の左上に印刷されている。
日本においては、朝日新聞社と提携しており、東京支局を朝日新聞東京本社ビル内に設けている。また、かつては共同で英字紙ヘラルド朝日(International Herald Tribune/The Asahi Shimbun)を発行していた。東京支局長は、マーティン・ファクラー(Martin Fackler、2011年10月現在)。
ビリー・ジョエルは代表曲、「ニューヨークへの想い」で、ニューヨーク望郷の念をデイリーニューズとニューヨーク・タイムズに込めた。
ニューヨーク・タイムズは1851年9月18日に、ヘンリー・ジャーヴィス・レイモンドとジョージ・ジョーンズによって、ニューヨーク・デイリー・タイムズの名で創刊された。レイモンドは、AP通信の創設者でもある[要出典]。この新聞は、1896年にアドルフ・オックスによって買収され、彼の指導のもとで国際、経済などの記事を強化していった。1897年には、" All The News That's Fit To Print " というスローガンを採用したが、これは競合するニューヨーク市の新聞、『ニューヨーク・ワールド』や『ニューヨーク・ジャーナル・アメリカン』などのイエロー・ジャーナリズムに対する牽制と思われる。本社を42番通りに移した後、1904年にこの界隈はタイムズスクエアと呼ばれるようになった。9年後、同社は43番通り229番地に本社ビル、タイムズ・タワーを建設した。しかし、タイムズ・タワーは1961年に売却されている。
初期のタイムズは、日刊であるものの、毎週日曜日には発行されていなかったが、南北戦争中に日曜版の発行を開始した。1918年に、第一次世界大戦に関する記事で、ピューリッツァー賞を初受賞している。翌年1919年には、ロンドンへの紙面輸送が開始された。
クロスワードパズルは1942年に特集記事として開始された。ファッションの項目は1946年の開始である。1946年からは国際版が発行されていたが、1967年にそれを停止し、ニューヨーク・ヘラルド・トリビューンやワシントン・ポストと共同でパリにインターナショナル・ヘラルド・トリビューンを創刊した。Op-edは同紙が世界で初めて1970年に掲載を始めた。1996年にはインターネット上に自社のサイトを開設した。新しい本社ビルはレンゾ・ピアノの設計による超高層ビルで、マンハッタンの8番アヴェニューと41番ストリートの交差点に建設されている。
タイムズ紙はクラシック専門のラジオ局WQXR(96.3 FM)とWQEW(1560 AM)を所有していた。WQXRはタイムズ紙よりWNYCに移行し、2008年10月8日午後8時(ニューヨーク時間)に周波数は(96.3 FM)より(105.9 FM)に変更となった。[5]
現在のニューヨーク・タイムズは、部数の面では2大全国紙のUSAトゥデイ(227.8万部)、ウォール・ストリート・ジャーナル(206.2万部)の半分程度だが、一般紙としてはワシントン・ポストと並び著名な新聞であり、地方紙でありながらも米国を代表する新聞と見なされている(米国内の日刊新聞は99パーセントが地方紙で、全国紙はUSAトゥディとウォール・ストリート・ジャーナルだけである)。
タイムズは、主に米国内の記事が選定対象になるピューリッツァー賞を90余り受賞するなど、その記事は米国内では高く評価されてきた。1971年には、ベトナム戦争に関するアメリカ国防総省の秘密資料ペンタゴン・ペーパーズが掲載された。これをうけ、政府はタイムズ紙を機密漏洩罪で告訴したが、裁判所は報道の自由を政府の文書公開基準に優先するとの判決をくだした。この裁判は、合衆国憲法の修正第1条(言論の自由)を巡る以後の判例に、大きな影響を与えた。翌年1972年には、アフリカ系アメリカ人の梅毒感染者たちが暗密のうちに治療を拒否されていることを報告し、大きな議論を巻き起こした。最近では、2004年の仕事現場の安全性に関する記事で、ピューリツァ賞を受賞している。
重要な演説、議論などが行われた際にはその原稿を一字一句もらすことなく全て掲載することでも知られている。
ニューヨーク州には16の局を持ち、他には11の国内支局、26の海外支局を有する。2004年12月26日時点では、総発行部数はウィークデイで1,124,700部、日曜版は1,669,700部であった。
経営はニューヨーク・タイムズ・カンパニーによって行われ、アドルフ・オックスの子孫であるサルツバーガー家が株式を所有している。
2016年のドナルド・トランプの大統領就任以降、トランプ大統領の意向で政権の発表情報にアクセスすることが難しくなったことから、調査報道に力を入れ始めた。
調査報道をはじめとする権力監視のスタンスが共感を得たこともあり、2018年には電子版の契約者数が昨年比21%増を記録、経営の立て直しに一定の目処がたったことから記者を増員し編集部を1600人体制へと拡大することを発表した。[6]
2019年10月27日までに、ホワイトハウスは全ての連邦政府機関に対しニューヨーク・タイムズの購読停止を求めたと発表した。トランプ大統領は、2016年アメリカ合衆国大統領選挙から一貫してタイムズ紙などの報道をフェイクニュースとして批判を続けてきた[7]。
2022年1月6日、有料スポーツ専門サイトのジ・アスレチック(2016年創設)を5億5千万ドル(約640億円)で買収することに合意した[8]。2023年7月10日には、ニューヨークタイムズのスポーツ部を解散し、スポーツチームや試合に関する取材や報道は、傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」に移行すると発表した[9]。
一般的にタイムズはリベラルな論調を持つとされる。これは政治記事と社会記事において顕著である。同性婚についても肯定的で、同性の結婚記事が異性間と差別なく掲載される。もっともアメリカでは大統領選挙などで新聞が特定候補の支持を鮮明にするなど、政治色を強く打ち出すことは許容されている。保守系メディアのFOXニュースから近年、一貫して攻撃を受けている。
マサチューセッツ工科大学のリカルド・パグリシは2004年に "Being the New York Times: The Political Behaviour of a Newspaper" という論文を発表した。この中で彼は1946年から1994年の期間におけるタイムズ紙の取り上げた記事を調査し、タイムズが民主党支持であることを統計から立証している。例えば大統領選では優先的に民主党候補を取り上げ、対立する共和党候補については小さな記事で扱う、などである。
特集項目の中の芸術関連記事(主要項目を参照)における政治的コメントについてはジャーナリズムにおけるバイアスの典型であるとの指摘もある。例として、A・O・スコットの映画評論記事は時折保守派に対する皮肉が散見され、フランク・リッチ執筆のアート関連コラムでは頻繁に芸術とは関連性の薄い保守派攻撃がなされている。
タイムズの専属コラムニストにより執筆される Op-Eds については他の紙面に比べ独立性が高く政治的偏向も少ないとされる。しかしこのセクションについても政治的中立性が批判されることがある。
2002年11月25日、紙面のトップ記事として "女性選手のオーガスタ参加について沈黙を続けるCBS" との記事を掲載した。この記事ではマスターズ選手権の主催者であるオーガスタ・ゴルフクラブが女性ゴルファーの参加を拒否している問題を扱い、ボイコットの支持を示唆していたが、これに対し批評家からは事実報道と論説の混同であるとの批判がよせられた。保守派ブログの主宰者ミッキー・カウスは編集長のレインズが "ニュース" という言葉の再概念化を行っていること、ここでいう "ニュース" とは個人や団体がレインズが望むような失敗をすることであろう、と批判した。
社説のページにおいてエクソンモービルの広告記事を掲載していることにも批判が存在する。紙面に掲載される編集者への手紙 " letters to the editors " を恣意的に選択しているとの批判もある。実際に、ザ・インターセプト、ネイション、DeSmogの共同調査で、タイムズは化石燃料業界の宣伝広告を掲載している大手メディアの1社であると名指しされている[10]。タイムズの気候変動報道を担当するジャーナリストは、気候変動を引き起こし、対策を妨害した企業・業界との利益相反により、気候変動に関する報道の信頼性が低下し、読者が気候危機を軽視するようになることを懸念している[10]。国際連合事務総長のアントニオ・グテーレスは、激化する地球温暖化を受けて、タイムズをはじめとする大手メディアに化石燃料業界の広告掲載(グリーンウォッシングへの協力)をやめるよう警告している[11]。
2004年の夏、上記のような批判に対してパブリック・エディターであるダニエル・オクレント執筆の調査記事が掲載された。彼はタイムズ紙が幾つかの項目においてリベラル支持のバイアスを有していることは確かであるとし、例としてゲイカップルの結婚問題をあげた。彼はこのバイアスがニューヨークの新聞としてのコスモポリタニズムに起因しているとしている。
オクレントは経済、政治、外交問題、市民権などに関する記事については言及を避けている。ただ彼はイラク戦争の問題に関してブッシュ政権批判が不足していたとしている。
2002年9月8日、ジュディス・ミラー記者による記事で「イラクが過去1 - 2年にウラン濃縮技術に必要なアルミニウム管数千本を入手しようとしていた」という政府関係者からの情報を掲載した。その日チェイニー副大統領はTVでのインタビューで「これは今朝のニューヨーク・タイムズにも載っていた確実な情報だ」と述べ、フセイン大統領の核開発疑惑を訴え、イラク戦争への世論誘導に利用した。後に捏造であると判明するこの情報を流したのは、他ならぬチェイニー副大統領のスタッフ(リビー副大統領首席補佐官)だった。チェイニー副大統領の自作自演である可能性が高かったが、ジュディス・ミラーとニューヨーク・タイムズは情報源秘匿の原則に従って、この事実をイラク開戦後もずっと隠蔽していたため「ブッシュ政権の情報操作に加担した」と厳しい批判を受けた。
2004年5月26日、同紙はイラクで大量破壊兵器が発見されなかったことを受け、イラク開戦前の記事に誤りがあったと自己批判をする編集者の記事を掲載した。誤りがあったとされるのは、上記の記事のほかに2001年10月26日付の、イラク国内にテロリスト訓練所と生物兵器製造所があるとする記事と、同年12月20日付の、バグダッドの病院地下に大量破壊兵器の保管施設が存在するというイラク亡命者の話を伝えた記事など数本。同紙は「記事は正確ではなく、あってはならないものが幾つもあった」としたうえ、その後の取材で間違いが分かった記事も修正しなかったという。
5月30日には社外審査役(オンブズマン)による、過去の記事の検証と誤りを指摘する記事を掲載した。同年10月3日には、イラクの核疑惑に関する特集記事を掲載し、その中で米政府の組織的な情報操作があったことを指摘し、ブッシュ政権の責任を厳しく追及した。
ニューズウィーク誌は、ニューヨーク・タイムズの報道姿勢について「同紙が日本関連の記事を書くときは、いつも好意的に書かないのに決まっている」と評する[12]。また東日本大震災におけるニューヨーク・タイムズの報道を賞賛する一方で、「かつて日本に関してステレオタイプな記事を掲載し続けた」と指摘している[13]。北朝鮮による日本人拉致問題では、社説において拉致問題は解決済みとする立場を表明したことがある[14]。
ガーディアンは2018年、ニューヨーク・タイムズが毎日新聞やデイリー・テレグラフなどとともに、中国政府系の英字新聞チャイナデイリーが制作した小冊子「チャイナウォッチ」を折込広告として頒布していることを報じた。ガーディアンはその折込の見出しを引用して「古典的なプロパガンダ手法」と批判し、有名新聞に折り込むことで信憑性を借り受けようとしている可能性があると指摘している。[32]。
2020年にニューヨーク・タイムズはこの批判を受けて「チャイナデイリーを含む、問題ある国営メディアからの広告を受け付けない」ことを決定した[33]。
これまでに何人かの訃報記事をその死に先立って掲載したことがある。
紙面は3つの主要項目により構成されている。
紙面および記事の構成に関しては、一貫して同じスタイルをとっている。人名に言及する際には、通常の名字で呼ぶのではなくその役職、称号を用いる。見出しは語数が多く、重要な記事では副見出しが付される。USAトゥデイにより始められた紙面のカラー化が進んだ際にもモノクロにこだわっていた。紙面におけるトップ記事は一面の上部右側に掲載される。
ニューヨーク・タイムズのウェブ版は1995年に開始された。ニュースサイトの中でも最も利用者が多いサイトの一つである。米国の新聞では、WEB版でもUSAトゥデイ、ウォールストリート・ジャーナルに次ぎ3位である。
2007年9月17日、ニューヨーク・タイムズは、ページビューが増大したことにより、Webサイトの有料部分での購読料金による収入が、トラフィックに伴って増大したサイトの無料部分からの広告収入に見合わなくなったため、課金を取りやめると発表し、翌日の深夜から実施した[34]。サイト全体を全読者へ解放したのに加え、ニューヨーク・タイムズはそれまで最新1週間分を除いて有料だったニュース記事のうち1987年から現在までのものすべてと、米国法の下でパブリックドメインにある1851年から1922年までの全記事を無料化した[35]。
本紙日曜版の別冊(二部紙)として、「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」が発行されている。マガジンは1896年の創刊で、本紙に掲載しきれない長文の記事や、カラー写真を大きく掲載したフォト・ルポルタージュ(報道写真)で知られる。2007年1月現在、発行部数は約168万部。
紙面の特集項目に存在する刊行書籍の書評を、高く評価する人がいる。この書評での取り上げられ方によって、売り上げが左右されると言う人もいる。同時に掲載されるベストセラー・リストも、アメリカの読書会における代表的なリストとして知られている。執筆者の1人としてミチコ・カクタニがおり、ピューリツァー賞の批評部門で受賞するなどその書評は高く評価されているが、極めて辛口な記事を書くため批判を受ける事も多い。
1939年5月18日から初めて紙面上にてテレビ・ラジオ番組表の掲載を開始。近年は全国版での掲載は廃止したが、ニューヨーク市内版には引き続きテレビ欄とそれに関連したコラム(「What’s on TV」)を掲載していた[36][37][38]。
Netflixなどといったオンデマンド配信サービスの普及により、「番組表という形式が人々のテレビ視聴スタイルに合わなくなってしまった」として、2020年8月31日発行分をもって、番組表の掲載を終了した。なお、番組関連のコラムやストリーミング作品の紹介など、テレビに関する記事の執筆や掲載は継続するとしている[36][37]。
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