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アメリカ合衆国国務長官(アメリカがっしゅうこくこくむちょうかん、英語: Secretary of State of the United States)は、アメリカ合衆国の外交を担当する内閣の1人。他国の外務大臣に相当する。大統領が指名し、上院の指名承認公聴会での質疑応答を経た後で、上院本会議にて出席議員の過半数以上の賛成多数をもって就任が承認される。なお初代国務長官はトーマス・ジェファーソンであった。2021年1月26日にバイデン大統領よりアントニー・ブリンケンが第71代国務長官に指名され、上院にて人事案の承認を経て就任している。
国務長官は国務省の長であり閣僚の一員であるが、諸外国における外相よりも強力な権限を持ち、時には外交のみならず通商・国家行事なども統括することがある。
また連邦政府の首席閣僚であり、憲法第2条第1節の6の規定に基づき制定された大統領権限継承法の定めるところにより、大統領が欠けた場合のアメリカ合衆国大統領の継承順位で副大統領(上院議長を兼務)・下院議長・上院仮議長に次いで第4位に位置付けられており、非国会議員(立法と行政を厳格に分離する大統領制のもとでは、閣僚が議員を兼ねることは無い)のなかでは最上位である。
このため国務長官の地位は、実務的には大統領に次ぐ事実上の行政府ナンバー2に近い扱いである。これによって、政権の支持率までもが左右されることもあるため、当ポストは政権の最重要人事の一つとなっている。1973年にリチャード・ニクソン大統領はベトナム和平交渉を主導し各界から信望を得ていたヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官をアメリカ合衆国国務長官に任命し、政権の浮揚を計っている。キッシンジャーは、この直後にノーベル平和賞を受賞したためこの人事は大成功と思われたが、ニクソン大統領は翌年のウォーターゲート事件によって辞任を余儀無くされる。このとき大統領が辞表を提出したのも、キッシンジャーに対してであった。
国務長官代理 |
アメリカ合衆国国務長官に限らずアメリカ合衆国上院における新閣僚の承認の手続きには、公聴会・委員会採決・本会議採決などに少なくとも数日から1週間の期間を要する。アメリカ合衆国大統領選挙後の新政権発足時には通常新大統領が全ての閣僚を新たに指名するので、アメリカ合衆国上院はその承認手続きで大忙しとなる。このため新大統領の就任までに新しいアメリカ合衆国国務長官の承認が間に合わず、アメリカ合衆国国務長官が短期間不在になることが多い。こうした事態を極力避けるため、今日では次期大統領が就任前にあらかじめ新閣僚の指名を行い、アメリカ合衆国上院はそれに基づいて承認手続きをかなり早い時点で開始することが通例となっている[注釈 1]。
またアメリカ合衆国国務長官が死去したり職務不能になった場合や(ただしこれまでにそうした例はない)、アメリカ合衆国国務長官が他のポストに転出したり、やむなき理由により直ちに辞任した場合にもアメリカ合衆国国務長官が一時的に不在になることがある。こうした場合はアメリカ合衆国大統領が指名した後任の者をアメリカ合衆国上院が承認するまでの間、他の公職にある者がアメリカ合衆国国務長官の職務を兼任というかたちで代理する。今日ではアメリカ合衆国国務省の次官級の役職にある者がこの代理務めることが多いが、かつては他の省庁の長官や最高裁判所長官などがこれを兼任することもあった。
以下表中の「代」は代理者が引き継いだアメリカ合衆国国務長官の歴代数に対応する。同じ数字が続くところは代理が代理を引き継いでいるためである。「本官」は代理者の本来の公職。
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