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日本の光学機器メーカー ウィキペディアから
株式会社ニコン(英: Nikon Corporation)は、日本の光学機器メーカー。カメラ、双眼鏡、望遠鏡、顕微鏡、ステッパー、メガネ、測定機、測量機、光学素材、ソフトウェアなど光学関連装置の大手メーカーであり、三菱グループの一員。三菱金曜会[4] および三菱広報委員会[5] の会員企業である[6][7]。
2024年7月から稼働した、ニコン新本社とイノベーションセンター | |
種類 | 株式会社 |
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機関設計 | 監査等委員会設置会社[1] |
市場情報 | |
本社所在地 |
日本 〒108-6290 東京都品川区西大井1丁目5-20 本社/イノベーションセンター |
設立 |
1917年(大正6年)7月25日 (日本光学工業株式会社) |
業種 | 精密機器 |
法人番号 | 5010001008763 |
事業内容 | カメラ、半導体製造装置(ステッパー)、顕微鏡、双眼鏡、メガネ、など、光学機器の設計、製造 |
代表者 | [2] |
資本金 |
654億7,600万円 (2022年3月31日現在) |
発行済株式総数 |
3億7833万6521株 (2022年3月31日現在) |
売上高 |
連結:6,281億0,500万円 (2023年3月期) |
経常利益 |
連結:570億5,800万円 (2023年3月期) |
純利益 |
連結:449億7,900万円 (2022年3月期) |
純資産 |
連結:5,999億4,400万円 (2023年3月31日現在) |
総資産 |
連結:1兆502億6,700万円 (2023年3月31日現在) |
従業員数 |
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決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任監査法人トーマツ[3] |
主要株主 |
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主要子会社 | (株)ニコンイメージングジャパン 100% |
関係する人物 | 歴代イメージキャラクターの節も参照 |
外部リンク |
www |
現在の社名「ニコン(Nikon)」は、元は、戦後に参入した35 mmフィルムカメラの商品名ないしブランド名である(ニコンのレンジファインダーカメラ製品一覧#ニコンSシリーズを参照。後続のモデルとの区別のため現代では「ニコンI型」といわれることが多い)。アメリカ合衆国では「ナイコン」と発音されているが[注釈 1]、他では「ニコン」の発音が主流である[注釈 2]。
事業規模としては2020年(令和2年)3月期時点でカメラなど映像事業が売上げの38%、半導体製造装置などの精機事業が同40%、顕微鏡などのヘルスケア事業が10%、光学測定器などの産業機器事業が10%となっている。
2010年代以降の映像市場の縮小および半導体露光装置事業の慢性的な赤字という状況に直面し、2015年発表の中期経営計画、および2016年11月より実施した構造改革において、映像事業において高付加価値製品への注力、半導体装置事業の縮小といった「勝てる領域に人材・資本を集中する」事業戦略の見直しを行った[44]。そのため2020年現在は、従来のニコンの主力だった映像事業よりも精機事業の方が売り上げが高く、とりわけ4K液晶・有機ELテレビ製造向けに絶好調のFPD露光装置が会社の利益を支えており[45]、またヘルスケア領域(顕微鏡や細胞受託生産など)などの成長領域にも積極的な投資を行っている。
ライカ判一眼レフカメラのニコンFシリーズ、デジタル一眼レフニコンDシリーズ、コンパクトデジタルカメラCOOLPIXシリーズなどで知られる。2007年(平成19年)にはデジタル一眼レフカメラはそれまで首位だったキヤノンを抜いて国内年間シェアナンバーワンであった(BCN調べ)。また、シャープから「液晶ビューカム」のOEM供給を受け「液晶トリム」という商品名で、Hi8ビデオカメラを発売していたこともあった。
2006年(平成18年)1月12日、フィルムカメラ部門を大幅に縮小しデジタルカメラ部門に集中することを発表した。当初、コンパクトデジタルカメラの一部機種は三洋電機からのOEMによる供給であった。2018年(平成30年)にはフルサイズミラーレス機である「Z7」を発表。デジタル一眼レフからミラーレス一眼カメラにシフトしていく中、2019年(平成31年)にはレンズ交換式デジタルカメラのシェア争いで上位2社に猛迫していたソニーに抜かれ、3位に転落した[46]。なお、フィルムカメラについては、事実上の最終機種「ニコンF6」が2020年に販売終了となっている。2022年(令和4年)には一眼レフカメラの開発を停止していることを発表[39]。同年ミラーレスカメラのフラッグシップカメラ「Z 9」を発売。ニコンZシリーズのミラーレス一眼カメラへ注力していく方針である。
宇宙開発においての長年の採用でも知られる。1971年のアポロ15号における初採用以降、各国の宇宙機関に採用されており、2020年においてはD3SやD5など、2024年においてはZ9の市販モデルが宇宙空間向けの特別な改良を行うことなく採用されている[47][48][49][50]。
受注生産による天文台向け大型望遠鏡や周辺装置を手掛けているほか、一時期、小型で個人むけの屈折式天体望遠鏡を量産していた。
Fマウント対応で写真撮影が可能な携帯型光学顕微鏡「ネイチャースコープ ファーブルシリーズ」。
半導体の製造に用いる露光装置であるステッパー(縮小投影型露光装置)を1980年(昭和55年)に日本で初めて製品化し、以後日本および世界市場で事業を行っている。
2019年(令和元年)現在のニコンの半導体露光装置を出荷額ベースのシェアを、光源波長ごとに見た場合、ArF液浸では5.7%、ArFドライでは61.7%、Krfでは2.6%、紫外線を用いたi線では12.8%の市場シェアを持っている[51]。キヤノンがKrFとI線で世界シェア1位、ニコンはArFドライで世界シェア1位、ASMLがEUVとArF液浸で世界シェア1位と、微細化の世代によってメーカーですみ分けている。一方、同年の出荷額ベースのシェアを全体でみた場合、ASMLが81.2%(1位)、キヤノンが11.0%(2位)に対し、ニコンは5.9%(3位)となっている。
半導体露光装置事業は、かつては映像事業と並ぶ経営の柱で、1983年(昭和58年)以後売上高・出荷台数で世界トップとなって、1989年(平成元年)の頃には既に世界シェアが8割超、同事業がニコンの売上高に占める比率は約4割になっていた。1999年には世界初のArFドライスキャナーの開発に成功。しかし、2002年にオランダのASML社にシェアが抜かれて2位となった。2003年(平成15年)度は出荷台数で世界シェア44%(ガートナー調べ)と、首位1位を取り戻したが、2004年に再びASMLに抜かれて以降、シェアが下がり続けている。ニコンは、自社向けの露光装置の開発の為にニコンに莫大な開発費を投資し続けたインテル社の他は、東芝など日系半導体メーカーに露光装置を納入しており、そのため日系メーカーの撤退に伴ってシェアが下がり続け、次第にインテル一本足となり経営も悪化した。一方、ASML社は韓サムスン・台TSMCなど日米半導体協定によって成長したアジアの新興半導体メーカーに半導体露光装置を納入しており、そのため韓国・台湾メーカーの成長に伴ってシェアが上がり続けた。
2010年代に入ると半導体露光装置事業の慢性的な赤字が深刻化したため、2016年(平成28年)11月に構造改革の実施を発表し、ArF液浸露光装置の新モデル開発を縮小するなど半導体装置の開発費を削減し、加えてリストラで乗り切ることになった。その結果、半導体装置事業は2018年度に黒字化した。
ニコンが2002年に経営危機に陥った際、半導体世界最大手(当時)の米インテル社が露光装置の開発費100億円を負担した経緯もあって、2000年代以降はインテル社に半導体露光装置部門の経営を依存している。ニコンの市場シェアが下がり続け、2010年代以降に経営が悪化する中でも、インテルは2012年にニコンの次世代露光装置開発のために数百億円とされる開発費を負担するなど[52]、インテルだけは頑なにニコンの露光装置を使い続けていた。2014年当時、競合する半導体露光装置メーカーであるキヤノンが最先端プロセスであるArFの開発から撤退してKrFとI線に絞り、またASMLが次世代ArF露光装置の開発を一時停止してまで実現の見通しが立たないEUV露光装置の開発に社運をかけていたのに対し、ArF液浸に社運を賭けるニコンはシェアは低いながらも2014年当時で世界最先端の半導体露光装置メーカーであり、インテルはニコンのArF液浸露光装置を用いて2014年当時で世界最先端である14 nm世代の半導体の製造に成功した。しかしASML社がEUV露光装置の開発に成功し、2010年代後半よりインテルの競合他社がASML社の製造したEUV露光装置の導入によって7 nm世代(またはそれ以降)の半導体を製造するなか、頑なにニコンのArF液浸露光装置を使い続けるインテルは7 nmプロセスの開発が大幅に遅れ、14 nm / 10 nm世代から移行できずに業績が悪化し、2018年には半導体世界2位に転落。インテルも7 nm世代ではASMLのEUV露光装置を導入することになり、2020年上半期にはニコンからインテルへの露光装置の納入が半減。同時に半導体装置の7~9割がインテル向けであるニコンの半導体装置事業の業績も悪化するリスクが懸念されている[53]。
なお、ニコンが「次世代露光装置」としてインテルの支援を得ながら社運をかけて開発した450 mmウエハー対応ArF液浸露光装置は、2015年に予定通り試作機が完成し、2017年には量産機が出荷されるはずであった[54]が、競合メーカーのEUV露光装置の実現とともに立ち消えになった。ただし、2021年現在のニコンとしては、競合メーカーのEUV露光装置の需要が伸びたとしても、ArF液浸露光装置の底堅い需要が2026年までは続くので、半導体露光装置事業は大丈夫だと考えている[55]。
EUV露光装置に関しては、α機(プロトタイプ機)の制作までは進んでいた。
EUVに関しては、1986年(昭和61年)にNTTの木下博雄が提案した次世代露光技術の一つである極端紫外線(EUV)露光装置の開発を、1996年より日立中央研究所と合同で進めており、このプロジェクトは1998年には超先端電子技術開発機構(ASET)が参加して日本の国家プロジェクト「極端紫外線(EUV)露光システム開発プロジェクト(EUVA)」に格上げされ、キヤノンなど他のメーカーとも協力してオールジャパンで開発を進めて来た。EUVAと並行して行われたプロジェクト「半導体先端テクノロジーズ(Selete)」では、2008年につくば市の産総研スーパークリーンルームに設置された日本初となるEUV露光機「EUV1」において、30 nmの解像に成功した[56]。その後ニコンはインテルに納入予定のEUV2号機と、2012年に発売予定の量産機の開発を進めていたが[57]、小松製作所とウシオ電機の合弁会社(当時)であるギガフォトンが開発するはずであったEUV光源の出力が上がらないなど、EUVの実用化までの道のりはあまりに遠く、装置自体の高いコストと重厚長大さなどの問題点も明らかになって「コンコルドの誤謬」に鑑み(莫大な資源を投入し続けた結果、仮にEUVの実用化に成功したとしても、事業として成功させるのは難しいとの判断)、収益性を重視する姿勢で2010年代初頭に同開発から撤退した[58]。この時点では人類に本当にEUVが実用化できるのか不透明であり、ニコンはArF液浸装置でシェア8割(当時)を占めるASMLに対し、最先端のArF液浸で新規顧客を開拓して反転攻勢に出るつもりであった[59]。ニコンはSeleteの後継として2011年に発足した日本の国家プロジェクト「EIDEC」(キヤノンのEUV露光計測装置「HSFET」が設置された産総研スーパークリーンルームを使って、EUV露光装置以外のリソグラフィ工程を開発する)に解散まで一応参加していたが、EIDECは2015年に民間プロジェクトに格下げされた後、2019年に解散した。
一方で、ASMLは1999年よりEUのEUV開発プロジェクト「EUCLIDES」を主導しつつ、米国のEUV開発プロジェクト「EUV LLC」(1997年に米国の国立研究所とAT&T・インテル・AMDなどが共同で開始。後にIBM、マイクロンなども参加し、2005年までにEUV露光技術を用いた半導体の製造を目指した)にも参加を許可された。実用化までの困難さからキヤノン・ニコンが続々と撤退する中で、2012年にはアメリカの光源メーカーのサイマー社を買収するなど、社運を賭けてEUVの実用化に向けて開発を続けた結果、当初の予定から10年遅れながらついにEUV露光装置の実用化に成功し、最後の難関であった光源の出力も次第に増大して、2016年頃より7 nm世代以降の半導体の製造にはASMLの露光装置が不可欠となったために需要が増え、予想されていた欠点にもかかわらず事業を成立させている。
液晶ディスプレイの製造に用いるFPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置の市場をキヤノンと二分しており、年度によってどちらかが上になったり下になったりしているが、2018年現在の市場シェアは金額ベースで58%とトップシェアを獲得している[60]。スマホやタブレット用の中小型に強いキヤノンに対し、ニコンは4K・8K用の大型パネルに強く、特に2010年代後半には中国がFPDブームに沸く中で高額な第10.5世代FPD露光装置の市場を独占しているため、キヤノンに比べて販売台数は少ない物の、FPD製造装置の売上高においてはキヤノンを上回る好調が続いている。半導体装置事業が苦戦する中でもFPD露光装置事業で売上を確保しているため、ニコンの多くの事業が赤字となるなかでも精機事業は利益を出している。
2019年(令和元年)には、半導体露光装置によって培われた光利用技術と精密制御技術を活用する新事業として、光加工機を製品化している。造形・肉盛りといった金属3Dプリンタの要素から、マーキング、接合、研磨などの金属加工まで半導体レーザーによって高精度で可能な「Lasermeisterシリーズ」を発表。
ニコン初のコンパクトカメラ「ピカイチ」の発売までは、有名タレントを起用した広告宣伝は行っていなかった。
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