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ニコンの銀塩一眼レフカメラ製品一覧は、日本光学(ニコン[注釈 1])の銀塩写真・一眼レフカメラの一覧である。ただし「ニコノスRS」はニコンの全天候カメラ製品一覧#ニコノスRSを参照のこと。
ニコンの35mm(135フィルム)一眼レフカメラは、フィルム時代を通して(さらには現在のデジタル一眼レフも)一貫して「ニコンFマウント」である。同マウントは1959年(昭和34年)の「ニコンF」以来のもので、「不変のFマウント」の言葉に代表されるようにオートフォーカス化などでマウントそのものを変更してきた他社と比較すれば、バヨネットの形状とフランジバックがそのままに保たれ、その意味では、新旧のレンズとボディ、相互の互換性は高い。
しかしそれ以外の点、すなわち、レンズの開放絞り値のボディ側への情報伝達をはじめとして、オートフォーカス化、電子接点の追加といった、機能の追加が重ねられてきたという点では他社と何ら変わることがなく、それらを、互換性を比較的高く保って行ってきたという点が評価されるべきであろう。歴史が長くなるにつれ、過去のレンズが新しい機体に装着できるものの機能に制限がつく場合・新しいレンズは旧機体では機能しない(若しくは取り付け不可)があり、CPUレンズ[注釈 2]装着時のみ露出計が動作する、あるいは露出モードが制限される機種がある、初期のオートフォーカス機は後に登場したオートフォーカス駆動用モーター内蔵レンズが動作しない、逆に最近はオートフォーカス駆動用モーター内蔵レンズでしかオートフォーカス動作しない機種も登場している、「Gタイプ」及び外部メーカーのGタイプ相当レンズは絞り環を持たないためボディ側で絞り制御ができない機種では装着はできても使用はできない、など互換性に関しては年々混乱が見られるようになってきている。中には機械的な情報伝達機構の干渉により、レンズやボディを損傷してしまう組み合わせも極少数ながら存在するので注意が必要である。
2020年(令和2年)11月、最後のフィルムカメラであるニコンF6が販売終了となり[1]、レンジファインダー機「ニコンI」から72年間、一眼レフ機「ニコンF」から61年間続いたニコンのフィルムカメラの歴史に幕を下ろした。
135フィルムを使用する24×36mm(ライカ)判一眼レフカメラであり、フラグシップ機。
ニコンFシリーズの1桁ナンバーはニコン銀塩カメラのフラッグシップモデルに冠せられ、ニコンFからニコンF6まで6モデルがある。「F一桁」(エフ・ヒトケタ)とも呼ばれる。全てバヨネットマウントの「ニコンFマウント」で統一されている。旧連動式レンズはAi方式露出計連動に対応する連動爪が邪魔になってニコンF5以降のボディーには取り付けできないが、連動爪を可倒式にするカメラボディ改造サービスを提供しており可倒式改造でほとんどのレンズが使用可能となる。
ニコンFボディ | |
メーカー | 日本光学 |
---|---|
種類 | 一眼レフレックスカメラ |
レンズマウント | ニコンFマウント (大口径バヨネットマウント) |
レンズ | レンズ交換式 |
F値 | 1:2(標準レンズ NIKKOR-S Auto 50mm の時) |
イメージセンサー種類 | フィルム |
イメージセンサー サイズ | 24×36mm(ライカ判) |
記録メディア | 135フィルム |
焦点 | マニュアル |
露出 | 露出計ニコンメーターを装着可能 |
ストロボ | JIS B型 準拠アクセサリーシュー(事実上ニコンF独自)、フラシュ同調[2] |
シンクロ接点 | 4種の同期設定に対応[3] |
フレームレート | 1コマ1動作ラビットワインダー |
シャッター | フォーカルプレーンシャッター |
シャッター速度 | タイム、バルブ、同調、 1秒~1/1000秒 |
露出計測 | ニコンメーターを装着可能 |
露出モード | バルブ、タイム、露出計連動(ニコンメーター装着時) |
計量モード | セレン光電池式(ニコンメーター装着時) |
連続撮影 | モータードライブ装着で1秒間に約3コマの撮影が可能 |
ファインダー | 交換式(ニコンF用ファインダー) |
バッテリー | 電池なしで動作。 |
オプション データバック | 直結式電池ケース(モータードライブ専用) |
オプション モータードライブ | F-36(36枚撮り用モータードライブ)F-250(250枚撮り用モータードライブ) |
オプション アクセサリ | ニコンFシステム(ニッコールレンズ、ファインダー、フラッシュユニット、顕微鏡写真装置、など)[4] |
寸法 | 147×98×89ミリ(標準レンズ装着時)[2] |
重量 | 905g(標準レンズ装着時) +120g(ニコンメーター) |
発売 | 1959年 |
生産地 | 日本 |
補足 | シャッター速度とレンズ絞りの両方が連動する露出計システムを世界で初めて実現した。 |
ニコンFは、ニコン初の一眼レフファインダー式カメラでありニコンFマウントが初採用されたモデルである[5]。 開発は1956年(昭和31年)秋より松永梧郎ら4名の技術者チームによって開始され、設計方針としてニコンSPの部品をできる限り流用しつつ視野率100 %のファインダーを搭載した新生一眼レフカメラシステムを計画することに焦点が注がれていた[6]。ゆえに基本的にはニコンSPのボディを左右に二分割し、間にミラーボックスを挟んだ「一眼レフカメラ版ニコンSP」といった設計である。そして、ほぼ100%のファインダー視野率、ファインダー交換可能、ミラーアップ機構の搭載、自動絞りなどユーザーにとって使いやすいカメラとなった。また交換レンズ群、アタッチメントやアクセサリーなど周辺機器をシステム体系として供給し、ユーザがそれらから選択し活用することで多くの撮影場面に利用できた。意匠デザインは亀倉雄策が担当[6]し、1966年(昭和41年)9月ニコン製品として初めてグッドデザイン賞を受賞した[7]。
裏蓋は取り外し式で通常のパトローネ入りフィルムのほかフィルムマガジンも使用可能。シャッター幕は初期生産モデルの約100台がゴム引き布幕であったが、後にチタン幕に変更されている。オーバーホールされている機体が多いため、初期ロットでもシャッター幕やセルフタイマーレバーや巻き上げレバー等に後期の部品が使用されている場合がある。
報道分野などのプロユースでも広く使われ、特に1964年(昭和39年)に行なわれた東京オリンピックでは、多くの超望遠レンズによる迫力ある写真を提供したことによってその地位を確たるものにした。 ニコンFには、前期型と、後期型とがあり、後期型は前期型の構造を、多少簡素化したものである。愛好家のあいだでは、とくに前期型が珍重され、中古カメラ市場でもたいへん品薄になっていて、入手は困難である。前期型と後期型を見分けるのは簡単なことである。カメラを上から見たとき、右側にローマ字で、NIPPON KOUGAKUと書いてあるのが前期型で、Nikonと書いてあるのが後期型である。
フォトミックファインダー装着モデルの測光素子は寿命が尽きているものが多いものの、ボディー本体には消耗的な電子部品による寿命の制約がなくまた構造に無理がなく各部品が頑強なため、発売後50年近く経つ今でもメーカーの補修用部品在庫の範囲で修理が可能。またパーツを生産しオーバーホールする修理専門店が多くあり、このため中古品としては比較的高額で売買されている。
生産終了は1974年(昭和49年)6月で、日本経済新聞の記事にもなった。
2019年(令和元年)9月10日、国立科学博物館が選定する重要科学技術史資料に、2019年度の26点(うちスチルカメラ3点)の一つとして登録された(登録番号第00280号)[9][10]。登録基準の一つである「国際的に見て日本の科学技術発展の独自性を示すもの」に該当し、タイトルは「世界が認めた一眼レフカメラの完成形」とされた。
アイレベルファインダーのほかウェストレベルファインダー、アクションファインダーなどと交換できた。また後には露出計を内蔵したフォトミックファインダー、TTL露出計を内蔵したフォトミックTファインダーが発売され、これらは従来のボディーにも使用できた。
当初ボディー内部に露出計を持たないがアクセサリーとして外付けながら露出計連動爪のついたレンズの絞り値と連動しセレン光電子素子式の外付け露出計ニコン・メーターを取り付けることができたが、後にCdS露出計内蔵のフォトミックファインダーを取り付けた状態でも販売されまた単体で販売され、従来のボディーでもファインダー交換することにより測光が、またフォトミックファインダーTの発売でTTL測光が可能となった。ただしシリアルナンバーの冒頭が68以前のボディーにフォトミックFTnファインダーを装着するには銘板を一部削る必要がある。電源はファインダー内にMR9×1。
ニコンFでは、モータードライブの取付けに際して本体をサービスステーションに預ける必要があった。これはカメラ内部機構の組み立て寸法が標準化されておらず、1台ごとに微調整した上での装着が求められたためである。
開発時はF'(エフダッシュ)、後にAカメラと呼ばれていた。「ニコンFの改良版」と表現される場合もあるが実際には全面的に設計が変更されており、互換性を保ったファインダースクリーンを除いてネジ一本に至るまで全く別の部品が使用されている。ニコンF一桁機唯一の自社内デザインとなり、最後にして最高峰の機械式シャッター機となった。ニコンFにおいて、ニコンSシリーズの配置を踏襲したため「背面寄りの位置にあり使いにくい」という声のあったシャッターボタンを前に移動し、カドの取れたフォルムにするなどより手にフィットする筐体となった[注釈 3]。裏蓋は開閉式になったがフィルムマガジンの使用に対応したため、フィルム交換などで裏蓋を開閉するには底部のレバー操作が必要である。シャッター速度は10秒~1/2000秒。10秒~2秒はセルフタイマー併用、1/80秒~1/2000秒は中間速度も使用可能である。横走りシャッター機は横に動く被写体を自然に写し込む特徴があり、電池切れによる影響が少ないため、厳冬期においていまだに愛用するプロカメラマンが多い。スピードライトには1/80秒以下のシャッター速度で同調する。巻上機構は分割巻き上げが可能で、レバーにはプラスチックの指当てが付く。ニコンFの欠点であった望遠レンズ使用時のミラー切れ対策としてミラーは大型化され、昇降機構も改良された。その他250枚長尺フィルム、750枚長尺フィルムに対応するフィルムバックとの背板交換、絞りリングをサーボモーターで直接操作する機構でシャッター速度優先自動露出撮影を可能にした「EEコントロールユニット[注釈 4]」など、多くの機能を利用できるシステムカメラだった。
単にニコンF2と呼んだ場合は露出計のないアイレベルファインダーDE-1を装着したタイプを指すが、ニコンF2では当初からフォトミックファインダー搭載のニコンF2フォトミックを標準としており、生産開始当時からTTL測光が可能なF2フォトミックシリーズがリリースされた。交換可能なファインダーの違いによるもので、外装がチタンのニコンF2チタンを除けば本体は同一である。ニコンF3が登場した1980年(昭和55年)に生産を終了した。
以下は限定モデル。
MF10付きで価格236,000円 受注生産品で製造数は少なく、正確な数字は不明だが1000台以下という希少モデル。 フィルムに時刻を映し込むデータバックには手巻き式のアナログ時計と日付カウンターが装備されており、手書きによるデータも映し込むことが出来る。 そのため、フィルム室内の一部が切り抜かれており遮光板が入っている点が他のF2と異なる。また製品番号の上にDATAの文字が刻まれる。
以下は特殊モデル。
ニコンFの時点で実現されていたTTLファインダーの実装は前提とされ、その電源はボディ本体に設けられた電池室から銀電池SR44×2またはアルカリ電池LR44×2により行なわれることとなり、ニコンF用に比べ小型化されたフォトミックファインダーが用意された。
露出計内蔵ファインダーは測光素子の寿命が尽きているものが多いものの、ボディー本体には消耗的な電子部品による寿命の制約がなく、また構造に無理がなく各部品が頑強なため、今でもメーカーの補修用部品在庫の範囲で修理が可能。またパーツを生産しオーバーホールする修理専門店が比較的多くある。シャッター耐久性能は公称値15万回、社内規格としては実に20万回という数値を設定して企画されたが、高速側のシャッター速度は使用過程で誤差が生じる場合が多いことが1971年12月号のアサヒカメラニューフェース診断室で確認されており、適宜調整は必要である。
ボディーの銘板を外せばニコンFにも使用でき、またニコンF用ファインダーはそのままにニコンF2にも使用できる。
ニコンFとは異なりユーザーが無調整で装着できる。
以下のどちらかを直結して使用する。
F一桁として初めて電子制御式シャッター・絞り優先AEを搭載。20年の長期にわたって販売されたモデルである。発売当初のキャッチコピーは「Super Nikon」。ニコンではニコマートELにおいて初の電子制御式シャッターとしてコパル製の縦走りシャッター「コパルスクエアSE」を採用したが、ニコンF3では自社設計による横走りシャッターを採用している。シャッター幕はチタンで、開口時間はクォーツを基準として制御されるが、本機の基本動作はFRE(金属薄膜抵抗体;巻き戻しクランク部に位置する)などを用いたアナログ電子式である。マニュアルで使用可能なシャッター速度は8秒~1/2000秒(中間シャッター速度は選択不可)、スピードライトはX(1/80秒)以下のシャッター速度で同調する。ニコンFやニコンF2と同様ファインダーの交換が可能である。ファインダーに測光機構を持つニコンFフォトミック、ニコンF2フォトミックと異なり、測光機構はボディ内部にある。メインミラーに穿設された約5万個のピンホールを通過し、サブミラーを反射してミラーボックス下部のSPDに光を導く方式で、この「ボディ測光」によりニコンF3はすべてのファインダーでTTL測光ができる。同一のSPDがスピードライトTTL調光用素子を兼ねる。ハーフミラーでなくピンホールミラーなので円偏光フィルターだけではなく通常の(直線)偏光フィルターも使用できる。測光方式は中央部重点測光だが中央重点度が高く、スポット測光的に近い。使用電池は、銀電池SR44 ×2、またはアルカリ電池LR44×2、もしくはリチウム電池CR-1/3N。
緊急用として約1/60秒とT(タイム)の機械式シャッターも用意されており、電池が切れても一応は撮影が可能である。
TTL自動調光も本機専用のスピードライトで可能となった。クリップオン式スピードライトはニコンF2と同様に巻戻しクランクの直上部に装着する方式。ただしニコンF3独自規格で、ニコンF2に使用できたスピードライトや一般のJIS規格クリップオン式スピードライトはそのままでは使えずガンカプラーが必要である。またスピードライトやガンカプラーは、裏蓋開放機能を兼ねるフィルム巻き戻しクランクに被せる形で装着するので、フィルム交換のたびにスピードライトを取り外す必要があった。スピードライトを巻き戻しクランクから前方にオフセット装着することによりこの問題点を解決したガンカプラーAS-7が用意されているが、独自規格シューによるスピードライトでないとTTL自動調光に対応しない、前方へオフセット装着することから重心が移動する、外部測光時接写時の微妙な撮影距離の計算に修正が必要等の欠点が伴う。報道用のニコンF3Pはペンタプリズム部にホットシューを装備し汎用品のスピードライトが使用可能となり、フィルム装填時のスピードライト脱着を不要としている。ただしこの接点ではTTL自動調光はできない。
デザイナーには自動車デザインなどで著名なイタリアのジョルジェット・ジウジアーロを起用。モータードライブと本体が一体で設計・デザインされた。右手で保持する部分に盛り上がった手がかり(グリップ)を設け、さらに赤いライン[注釈 7]を入れるなど、従来のニコン一眼レフカメラとは一線を画したモダンな外観となっている。グリップ部の表皮は発売当初メルセデス・ベンツのステアリングに採用されていた柔らかい素材が張られていたが、途中からゴム素材に変更されている。
ファインダー内部表示は、液晶表示装置(シャッター速度などをデジタル表示)・レンズの絞り環を直読する絞り値表示・スピードライトのチャージなどを示すレディライト(赤色LED)の3つである。ファインダー取り付け部の赤色ボタンを押下すると内蔵されたランプが点灯し、液晶表示と絞り値表示を照明する。
バリエーションモデルとしては下記のモデルがリリースされている。
以下は限定モデル。
以下は特殊モデル。
後継のニコンF4が発売されても並行して製造が続き、ニコンF5が発売されて以降も製造され、F一桁シリーズでは最長の20年に渡って製造された。そのため短期間だがニコンF3・ニコンF4・ニコンF5が並行して販売されていた時期があり、3機種が同時に掲載されたカタログも存在する。しかし採用されている電子部品の調達が困難になったこと、その部品の性能試験装置のメンテナンスがこれまた部品の枯渇により不可能になることなどから2000年(平成12年)に製造を終了した。
中央重点式TTL露出計がボディーに内蔵され、どのファインダーでもAE撮影が可能であるため、フォトミックファインダーはラインナップされなかった。ニコンF2との互換性はない。
ニコンF一桁シリーズ初の本格的オートフォーカス機構[注釈 8]を搭載したカメラで、予測駆動フォーカスも可能となっている。ボディデザインはジョルジェット・ジウジアーロ。基本操作はニコンF3以前のマニュアル機の感覚そのままに使えるよう配慮されている。F一桁で初めて外装にエンジニアリングプラスチックを採用。ニコンFAで世界で初めて採用された多分割測光(マルチパターン測光)機能を搭載、改造Aiを除くAiニッコール/Ai-Sニッコールでもマルチパターン測光が可能となっており[注釈 9]、多分割測光演算にカメラの縦位置・横位置の情報を取り込むために縦位置センサーを搭載している。F一桁機として初めて縦走りシャッターを採用し、シャッター稼働に伴うカメラボディの振動を軽減するためのシャッターバランサーを搭載。使用可能なシャッター速度は8秒~1/8000秒、スピードライトは1/250秒以下のシャッター速度で同調する。フィルム巻き上げ機構自動化されていること[注釈 10]、明るくピント合わせがしやすいファインダー、マニュアルフォーカスレンズでマルチパターン測光が可能であること、シャッター速度が速く後のモデルにも見劣りしないこと、F一桁機で初めてペンタプリズム頂部にホットシューを標準装備しクリップオン式スピードライトの使用が容易になったことなどによりマニュアルフォーカス使用時の操作性はニコンF5以上であると言われ「(オートフォーカスも使用できる)最高のマニュアルフォーカス機」として今日でも愛用する人が多い。NASAのスペースシャトルにも船内活動用として採用された。細かな弱点としては、オートフォーカス機構組み込みのためかシャッターのタイムラグがニコンF3以前よりわずかに長く、報道(特にスポーツ報道)関係者の中には違和感を覚える例もあった。
以下の3モデルがあり、交換可能なバッテリーパック(グリップ)の違いによるもので、本体は細部の仕様変更を除き同一である。
1996年(平成8年)後継機であるニコンF5の登場とほぼ同時に製造終了した。
1996年(平成8年)10月発売。ニコンで初めて多点測距[注釈 11]のオートフォーカスが採用されるとともに色情報と被写体までの距離を計算に含めて測光する「3D-RGBマルチパターン測光」が採用され測光精度の向上が図られた。F一桁機で初めて露出調整などの操作がコマンドダイヤル式になり、軍艦部に液晶表示部を備えたのも特徴。F3、F4に続くジョルジェット・ジウジアーロによるデザインは、Dシリーズのデジタル一眼レフや、Zシリーズのミラーレス一眼カメラにも進化しながら引き継がれる、その始祖となる重要なデザインとなった。
3D-RGBマルチパターン測光が使用できるレンズは、DタイプレンズとGタイプレンズのみで、Ai、Ai-s、Ai-P、改造Ai、DとG以外のオートフォーカスレンズを装着した場合には機能しない。レンズがCPUレンズの場合はRGBマルチパターン測光として機能し、それ以外は中央部重点測光として機能する。コマンドダイヤル式のためオートフォーカスレンズ使用時には1/2段や1/3段の露出調節が簡単確実にできるようになった。 ニコンF4と違いデフォルトでは非Aiレンズを装着することはできないが、メーカーがAi爪可倒化改造を受け付けており、改造を施すことにより非Aiレンズをマウントし、絞込み測光にて撮影できる。
他の機種ではオプションであることが多いバッテリーパックをボディと完全に一体化してモーターを効率よく配置し、レフレックスミラーの稼働に伴うミラーショック軽減のために搭載したミラーバランサーは、ミラーの連続稼働でも最高8コマ/秒の高速連写が可能となっている他、連写時の動体撮影におけるオートフォーカスの精度向上にも寄与している。また、電池が消耗してもフィルムの巻き戻しができるよう手動巻き戻しクランクも併設されている。
シャッター耐久はニコンF4の10万回から15万回へと引き上げられ、シャッターが切られる度に速度を測って誤差を修正するシャッターモニター機能を搭載する等、プロ用機材としてスペックに現れない部分への配慮や強化がされている。また、コマ送りをニコンF100のように電気的に送るのではなく機械的に送り、非常に高い精度を確保していることもニコンF5の強みといえる。
NASAのスペースシャトル計画では船内・船外で使用され、1999年にはスペースシャトル・ディスカバリーに潤滑剤以外はほぼ市販仕様のニコンF5が、2001年にはコダックによりデジタルカメラに改造されたニコンF5とニッコールレンズなどが使用された。
マニュアルフォーカスの性能はニコンF4と同等とされていたが、実際にはファインダー倍率がやや低く、これをユーザー側から指摘されたため、ニコンがカタログ表記のスペックを改めるという一幕もあった。
1999年(平成11年)デジタル一眼レフカメラ「ニコンD1」シリーズが発売されると報道関連での主力は急速にデジタルへと移行し、2006年(平成18年)をもって生産が終了した。
2004年(平成16年)発売。それまでF一桁モデルを愛用していた報道をはじめとするプロカメラマンの多くがデジタル一眼レフへと移行したことによりその登場が危ぶまれていた。フィルムカメラとしてのあらゆる性能を追求したモデル。 35mmフィルムを用いるニコンのカメラでは最後まで販売された機種である。また、2000年(平成12年)から2018年(平成30年)まで発売されていたキヤノンのEOS-1Vが唯一の競合機と見る向きもある。
背面に大型液晶ディスプレイを配置することで各種設定がやりやすくなるよう配慮。従来モデルでは別売だったデータバックも標準装備となった。さらに「ニコンF100と同じサイズのF一桁機をつくる」とのコンセプトにより、ニコンF5では一体型だったバッテリーパックは分離式に変更。バッテリーパックなしの状態ではニコンF5よりはるかに軽量になっている。ニコンフラッグシップで初めてファインダーが交換式ではなくなったものの、固定式ファインダーとなったことで更なる防塵・防滴性能の向上が図られた。手動巻き戻しクランクは残されており、カメラに非常事態が生じた場合にも、フィルムが手動で巻き戻して取り出せる。
オートフォーカス測距点は11点。焦点距離と開放F値を入力・設定することによりマニュアルフォーカスレンズでもRGBマルチパターン測光が可能になっている。これはニコンF5では省略された機能の復活であり、マニュアルフォーカスレンズを多く持つユーザーには喜ばれた。
またニコンF6は操作音にこだわって開発され、シャッター音、裏蓋の開閉音等を解析し、ユーザーの操作に対する心地よさが追求された。2020年(令和2年)販売終了[1]。
ニコン一眼レフカメラで最初の普及機(中級機)。低価格を実現するため、結果としてユニークな製品群となった。
このシリーズが企画された1960年頃は、社外から購入できるユニット化されたシャッターはレンズシャッターしかなかった。しかしレンズシャッターを採用するとフォーカルプレーンシャッター用であるFマウントレンズが使用できなくなる。専用交換レンズを揃えるなら全てのレンズにシャッターを内蔵する必要があり、レンズの単価は高くなってしまう。そこでレンズ交換を諦め、必要な時はレンズの前面にコンバージョンレンズを取り付ける、ニコレックス35を発売した。後にフォーカルプレーンシャッターを採用してFマウント交換レンズに対応したニコレックスF、ズームレンズを固定装着したニコレックスズーム35などを展開した。このシリーズで初めて最終組立まで社外に外注した。
OEM供給を試みたニコレックスシリーズの失敗をふまえ、1960年代から1970年代にかけて開発製造されたニコンFマウント廉価版一眼レフカメラ。なお、名称と英語表記は、国内向けが「ニコマート」(英:Nikomat)であり、輸出向けが「ニッコールマート」(英: Nikkormat)であった。
廉価版でありながらニコマートELでは電子シャッターを採用する等、ニコンFシリーズに先立って新しい機能を投入されることもあった。また、コパル製縦走りシャッター等の汎用部品を使ってコストダウンしつつも、ニコン基準の品質を維持するために開発製造はニコンで行われた。先進技術や評価の定まっていない新機能を中級機等で採用してから、その技術や評価が確立した上でフラッグシップ機に順次採用していくというニコンのカメラ造りの伝統はニコマートシリーズに端を発する。
ニコマートシリーズには構造上の違いから2系統が存在し、機械式シャッターを備えたニコマートFT系と、電子シャッター・絞り優先AEを備えたニコマートEL系がある。FT系はニコン一眼レフカメラで唯一、レンズマウント周囲に設置されたリングでシャッター速度を調節するという独特の操作方式であった。
これは当時の機械式コパル・スクエアシャッターの機構上シャッターダイヤル軸がボディ前面に向かうため、操作性を考慮し正面向かって左側のギアボックスを介しレンズマウウト同軸のシャッターリングを設置したものである。
オリンパスOMシリーズも同様の操作を採用しているが、そちらは小型化の必然性からのものであり偶然の一致である。。
ニコマートシリーズの販売終了後は同等のグレードとして、ニコマートFT系はニコンFMへ、ニコマートEL系はニコンFEへ引き継がれた。
なお、1980年に創業したコンビニエンスストアチェーン「ニコマート」とは何の関係もなく、英語表記も異なる。
縦走り機械制御式シャッターを積んだマニュアル露出・マニュアルフォーカスのシリーズ。1970年代半ば各社の一眼レフカメラは小型化が流行となっており、ニコンFMシリーズ各モデルはそれに対応した製品と言える。ニコマートFTシリーズの後継機と言えるが、さらにコンパクトになり、取り回しの良いバランスのとれたサイズである。F一桁機に比べ小型で安価だが、精度と耐久性が高く、プロカメラマンが使用する例も多かった。姉妹機種として電子シャッターや絞り優先AEを搭載したニコンFEシリーズがあるが、2001年(平成13年)に発売されたニコンFM3Aで両シリーズは統合された。2013年(平成25年)に発売されたデジタル一眼レフカメラニコンDfや2021年(令和3年)発売のミラーレス一眼カメラニコンZ fc、2023年(令和5年)発売のニコンZ fに本シリーズのデザインモチーフが継承されている。
ニコンFMシリーズの姉妹シリーズであり、ニコマートELシリーズの後継シリーズ。ニコンFMシリーズの機械制御式シャッターとLED3灯による露出計表示に対して、電子制御式シャッターと追針式表示を採用。絞り優先AEが使用できる。
ニコンFM/ニコンFEシリーズより下位のエントリーモデルとして開発された。ニコン一眼レフカメラではもっとも小さいボディを持ち、初めてエンジニアリングプラスチックをボディに本格的に用いたシリーズでもある。
シリーズ第一弾のニコンEMはエントリーモデルとして割り切った仕様としたが、発表当時の日本市場であまり受け入れられなかった反省から、続くニコンFGではフルスペック化が行われた。ただし絞り値直読窓を持たないなどあくまでニコンFM/ニコンFEシリーズの弟分という位置づけになっているが、とはいえ小刻み巻き上げが可能など一部ニコンFM/ニコンFEシリーズを上回るスペックを持つ。
コシナの機体(コシナCTシリーズ)をベースにモディファイした、コシナ生産ニコンブランドというOEMによるマニュアル一眼レフカメラシリーズ。形式の記号は共通だが、ニコンが全般的に設計製造したものではないため、ここでは仮に「コシナOEM版ニコンFM/FEシリーズ」と呼ぶ。使用電池は、酸化銀電池SR44 ×2またはアルカリ電池LR44 ×2、もしくはリチウム電池CR-1/3N。
下記の両コシナ機は、OEMにより他にも多くのブランドにモディファイ版(主な相違点はレンズマウント)の兄弟モデルがある。ニコンのレンズが使用可能でありながら廉価で電池に頼らずシャッターが稼動するため、写真を学ぶ学生用として、またプロのサブ機として人気が高く異例に長期間に渡って販売されていた。
海外向け廉価モデルとして企画されたシリーズで、当初は海外向け販売のみだった。しかし一部業者が逆輸入販売したことで人気が盛り上がり、後に日本国内でもニコンより正規販売されるようになった。機械シャッター機と絞り優先AE電子シャッター機のラインナップがある。
オートフォーカスを前提とした中級~普及機シリーズ。ただしニコンの販売戦略の都合でニコンF-301、ニコンF-601Mの二機種のマニュアルフォーカスカメラを含む。フィルムのイージーローディング、巻上げ用モーターの内蔵、フィルム感度自動設定などはこのシリーズから導入された。
レンズ内の距離環の示す距離の絶対値を信号として発生するDタイプレンズに対応したオートフォーカス一眼レフカメラシリーズ。距離情報をオートフォーカスの高速化や、露出やスピードライト制御の高精度化に利用している。またキヤノンやミノルタと比較して遅れていたオートフォーカスセンサーのワイドエリア化、クロスタイプ化、そして多点測距化も導入された。
APSフォーマット用一眼レフカメラ。このシリーズのカメラはAiリングを持たないため、CPU内蔵ニッコールレンズ以降を使用する必要がある。また小さなイメージサークルにあわせて専用に設計されたIXニッコールも発売された。
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