ブラック・ジャックの登場人物(ブラック・ジャックのとうじょうじんぶつ)では、手塚治虫の医療漫画『ブラック・ジャック』の登場人物について記述する。
なお、メディアにより各キャラの情報に差があるが、ここでは第一に漫画版、第二にテレビアニメ版を基本として記述している。
ピノコ以外に女性とは縁の無い孤高の存在に見えるBJだが、シリーズ中にはロマンスもいくつか存在した。
- 如月 めぐみ(きさらぎ めぐみ)
- 「めぐり会い」「海は恋のかおり」「人生という名のSL」(最終話)に登場。
- BJの大学の後輩、BJと同じ医局で勉強するうちに共に愛し合うようになる。医局員時代のBJの手によって子宮癌を治してもらうが、その結果、女性としての機能を失ったため男性として生きることを決意し、船医となってBJのもとを去る。現在は名前の字の読みを変え、「如月 恵(きさらぎ けい)」と名乗っている。BJと相思相愛であったことが確認できる唯一の女性であり、BJの中では特別な存在であった。BJのファーストキスの相手であり、BJが「心から愛している」と告白した。ピノコに対しては、改名後の「けい」は「めぐみ」の兄だと説明している。如月が船医になったあと5年後にBJと横浜で再会したが、その後は会っていない。最終話では、BJの夢の中に登場する。
- 登場回のアニメ化は無いが、『ブラック・ジャック21』初回ではセリフなしで数カット登場した。末期と見放し処置を放棄した上司に逆らってBJはめぐみを手術し成功するが、上司が医師会の有力者だったため医師免許をはく奪されたという設定。
- 桑田 このみ(くわた このみ) / 鈴木 このみ(すずき このみ)
- 声 - 田中敦子(テレビアニメKarte15)→松井菜桜子(テレビアニメKarte59以降)
- 「ブラック・クイーン」「終電車」に登場。正確無比に手術を行う優秀な外科医だが、手足を切断するような手術も平気な顔で行うため、女性版ブラック・ジャックという意味でブラック・クイーンの異名で呼ばれたことがあった(後にBJからこう呼ばれた際には「その名をおっしゃらないで」と、頬を赤らませた)。
- 恋人(ロック・ホーム)が大怪我をし切断しなければならなくなったが足を切ることができず、BJに助けを求めた。BJは彼女に睡眠薬を飲ませ、その間に足を切らずに治した(クリスマスに「ジャックからクイーンへ」と記した手紙を渡そうとしたが破り捨てた)。恋人との結婚後、BJと再会したが、その時は夫との仲が危機的な状況になっていた。ブラック・ジャックから「あなたの生きがいは本当に仕事(手術)か」と問われ、「あなたとなら一緒になれる」と告白する。今度は逆にBJが夫との仲を復活させるため、一計を案じる。BJが一時期「心に焼き付いた」女性であった。
- 配役されているのは、『地球を呑む』のヒロイン、「ゼフィルス」。
- ロミ
- 声 - 本多知恵子(テレビアニメ)
- 「ふたりのピノコ」(初出時題名は「緑柱石」[注 13]に登場。公害病で苦しむ幼い少女。医学雑誌に写真が掲載されたとき、BJはその顔が気に入り、ピノコの顔をロミの顔と同じ顔にした。
- 近くの工場が排出するベリリウム(原作記述)によって肺を冒されており、BJはロミを診察する保健所の医師に公害病を告発するよう促すが、医師は工場に買収され、告発を躊躇してしまう。その間にロミは死んでしまい、ついに医師は工場と戦うことを決意する。
- 彼女が死亡した際にBJが見せた怒りの表情は筆舌に尽くしがたいものである。ピノコとの縁もあるため、BJは彼女を死に追いやった現状に対して、凄まじいまでの憎しみをこめた表情を見せていた。
- テレビアニメ版の「Karte61:二人のピノコ」では雑誌で子供服のモデルをしていたことがあり、それを見たBJがピノコの顔のモデルにした。架空の「ゼータ金属」に冒されたが、BJの手によって一命をとりとめ、町の病院に入院したところで終わっている。
- 杉並 井草(すぎなみ いぐさ)
- 「スター誕生」に登場。女優志望の少女。女優になるため上京し、BJに整形手術を依頼するが、BJは人間の個性ともいえる顔を変えることに反対し、家に帰るよう説得して追い返す。しかし、家に帰らず小さな芸能プロに入り、のちに芸能プロの社長に依頼されBJの整形手術を受け、美貌を手にいれ、有名女優となる。
- BJは手術を引き受けた際に「つくられたマネキンとあう気はない」と言い、手術後は二度と自分の前に現れないことを要求するが、井草は手術後、BJを熱烈に愛するようになり、BJの家が見える場所に別荘を買う。井草が意を決して、BJの家に行ったとき、BJは井草の整形手術前の顔の写真を部屋に飾っていた。後に井草は女優を引退し、ブラジルに移住した。
- ネーミングは東京都杉並区と、同区内の地名である井草から(当時の手塚治虫の在住地)。
- 青鳥 ミチル
- 声 - 川澄綾子(テレビアニメ)
- 「かりそめの愛を」に登場。末期癌を患う少女。「病室にこれからいちばん最初に入ってきた男の人と結婚式をあげたい」と両親に言い、両親はミチルの幼なじみの久磨(声 - 松本保典(テレビアニメ))という男性を呼ぶが、久磨が到着する前にBJが入ってきたため、BJと「結婚式」をあげる。BJに命を救われ、本気で彼に恋するが、BJはそれは真の恋ではないと見抜き、突き放し、姿を消す。その後、久磨と結婚した。
- 名前の由来は童話劇『青い鳥』と、その登場人物のミチルから。
- 美江
- 「霧」に登場。緊張病[注 14]を患う少女。病気の影響で通学できず、自暴自棄になる。両親からも見捨てられ、死ぬために谷川岳の一ノ倉沢に登り、転落して重傷を負う。BJはそんな彼女を放っておけず、彼女を追い、一ノ倉沢まで助けに行く。帰路に濃霧のため10日間にわたり下山できなくなるが、BJは最後まで彼女を見捨てなかった。ようやく救助隊が駆けつけたとき、BJへの愛を呟いて意識を失う(生死は不明)。
- 綿引 十枝子
- 「きたるべきチャンス」に登場。女医であり、兄の綿引博士(下の名は不明)とともに病院を営む。兄は癌の特効薬たるポリサチニンの開発でノーベル賞を受賞するが、それはあくまで予防薬のため、食道癌に侵される。名誉ある死を選んだ兄の意に反し、BJに手術を依頼する。助手を務めるも小腸の自家移植などを見て卒倒した。
- 回復した綿引博士は転移をも防ぐ、より完全なネオポリサチニンを完成させ再受賞し、BJを祝賀会に誘うがBJは断った。
- 配役されているのは、『人間昆虫記』のヒロイン「十村十枝子」。
- ジェーン・ギッデオン伯爵夫人
- 「盗難」に登場。ハネムーン中に落石事故に会い、BJによって両手両足の切断手術を受け、さらに義手義足まで作ってもらった元患者。
- リハビリテーション中にBJに恋してしまい、密かにBJへの恋文をしたため、BJの写真とともに義手義足のケースに収めていた。しかしそのケースが金目のものと勘違いされて盗難に遭う。その中身ゆえ、彼女はケースを探したがらなかったが、BJはそれを探し出し、一緒に収められていた写真や恋文を焼き捨て、義手義足だけを彼女の元に返した。
- 新宿南外科の女医
- 「B・J入院す」に登場。本名は不明。院長(配役は『どろろ』の百鬼丸の弟、多宝丸)の妹。留学中にBJの名声を聞き、憧れを抱いていた。本人が自分の病院に入院したことで、BJに夢中になり、医学の勉強を疎かにしてしまう。兄はそんな妹を心配し、BJに妹と結婚するか退院するかのどちらかを選ぶよう迫り、BJは病院から去る。そのため一時半狂乱になるが、兄の事故をきっかけに医師としての自覚を取り戻し、BJに(BJ自身の手術でなく)自らの執刀に対する指南を乞う。
- 清水 きよみ(しみず きよみ)
- 声 - 沢海陽子(テレビアニメ)
- 「土砂降り」に登場。瀬戸内海の小島で診療所を営む女医。兄の幾男(いくお)はBJの窮地を救った医師だったが、がけ崩れで死亡している。きよみはBJの冷静な判断力と手術の腕前に惚れ込み、一人の男性としても愛するようになるが、がけ崩れから子供を救おうとして死亡する。きよみはBJに死の間際に自分の肌をBJの顔のつぎはぎの部分に移植するよう願うが、BJは移植はせず、彼女の墓前で「美しい顔にメスをいれたくなかった」と語った。
- テレビアニメ版の「Karte23:土砂降りのち恋」では終盤が改変されており、命を取り留める。
- ヨーコ
- 声 - 折笠富美子(OVA、月子)
- 「しずむ女」に登場。OVAでは名が月子とされている。晦日市に住む身寄りのない少女。海で魚を捕りながら生活していたが、工場廃液による公害病が原因で言語[注 15]と足の機能を失い、工場側からの治療費も役人にごまかされてしまう。BJの手術により、カタカナが書けるまでに回復したヨーコは彼のために海に魚を捕りに行くが、溺死。BJに抱きしめられた、数少ない女性の一人。
- ユリ
- 声 - 久川綾(テレビアニメ)
- 「弁があった!」「99.9%の水」に登場。ドクター・キリコの妹。家族思いの女性で、父や兄のことを大切に思っている。兄との仲は悪くはないが、彼の所業である安楽死に対しては否定的であり、彼の仕事にはいつも反対している。一方でBJを医師として非常に尊敬しており、少なからず好意を抱いているようである。初登場の「弁があった!」では、BJに「ドクター・キリコにそっくり」と言われた。しかし、後に再会した際にはBJはユリのことを(キリコにそっくりであるにもかかわらず)ピノコに言われるまで忘れていた。