亡命

政治的その他の事情により、政治家、軍人、学者、芸術家、文化人、スパイなどが他国に逃れること ウィキペディアから

亡命(ぼうめい)とは、主に政治的な事情により、政治家軍人学者芸術家文化人スパイなどが他国に逃れることを意味する。

亡命した志士・名士を亡命客と称する[1]場合がある。

概説

亡命の理由として政治的迫害弾圧によるものが多いが、宗教対立民族紛争、経済的窮乏など、その他の理由によるものが含まれることもある。

クーデターなどの政変により国を追われた政治家や王族が他国に亡命したり、政治的抑圧から逃れるため、周辺国または亡命者の親族、保護者等が在籍する国など、亡命者の安全が確保できると思われる国に亡命する例などがある。

越境して亡命する以外に大使館などの在外公館に保護を求める場合もある。

近年は北朝鮮から亡命を試みる者が、北京など当事国外に所在する亡命先、または第三国の在外公館外国人学校などへ駆け込むケースもみられた。脱北者瀋陽総領事館北朝鮮人亡命者駆け込み事件に詳述がある。

亡命者の多くは交通を制限された状況下で脱出を図っており(ベルリンの壁等)、途中で落命する者もいる。

東ドイツからの場合は例外もあり、政治犯として逮捕されて西ベルリンへ「追放」される形で、脱出に成功した者もいる。反体制側の要人の場合は亡命先で暗殺される恐れもあるため、保護が必要である。

亡命者らが組織した政府は亡命政府と称され、世界の各所に現存する。古くは第二次世界大戦中、ドイツに占領されたフランスポーランドチェコスロヴァキアなどで組織された。

政治家や官僚や王族ではない一般市民が他国に越境する場合は難民として区別される。

「refugee」の訳語で、亡命者難民のいずれか、あるいは両者は同一、とする見解もある。大家重夫は『「亡命者」と「難民」』[2]で、「外務省は「refugee」の訳語に「難民」の文字をあてることにして、難民条約に加入することにし、「亡命者」、「難民」等の定義については、一義的な定義を行ったり、区別を明確にすることは困難な実情がある」としている。

主な亡命事件

要約
視点

このほかの亡命の事例についてはCategory:亡命者を参照。

アメリカへの亡命

アメリカ合衆国では、政治的迫害などを理由に亡命(難民認定を含む)申請する者が多数存在する。

2016年の出身国別傾向では、ベネズエラ人が14,700人を超えてトップであり、以下、中華人民共和国メキシコグアテマラエルサルバドルと続く。ベネズエラは経済的に混乱が続いており、2017年も増加傾向にある[23]

報酬

亡命元と亡命先が対立国の場合、亡命先の国から亡命者に対して報酬が出る場合がある。

北朝鮮から韓国へ亡命(脱北)する例では、機密情報や軍艦爆撃機などを韓国内に持ち込んだ場合、報労金として最大で10億ウォンが支払われる[24]

亡命による兵器取得作戦
  • ムーラー作戦英語版 ‐ 朝鮮戦争時に国連軍司令官マーク・W・クラークにより計画された。MiG-15パイロットへ向けた亡命募集作戦。
  • ダイヤモンド作戦英語版 ‐ イスラエルの情報機関モサドによるMig‐21パイロット亡命による取得作戦。
  • Synytsia作戦英語版 - ロシアによるウクライナ侵攻が行われていた2023年8月に行われたMi-8のパイロットの亡命作戦。

出典

関連項目

外部リンク

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