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イオン株式会社が運営していた総合スーパー ウィキペディアから
ジャスコ(JUSCO)は、かつてイオングループが展開していた総合スーパーの店舗ブランド名である。また、イオン株式会社の旧商号としての「ジャスコ株式会社」も意味する。総合スーパー「イオン」の前身である。
イオングループの主力ブランドとして日本国内では40年余りにわたって展開していたが、2011年3月1日にサティとの統合によりイオンへ転換[1]。海外においては統合後も中国やマレーシアで「JUSCO」ブランドを継続していたが、順次「AEON」へ屋号変更され、2013年3月までに使用を終えている[2]。
転換前日の2011年2月28日での店舗運営は、日本国内5社(イオンリテール・イオン北海道・マックスバリュ長野・イオン九州・イオン琉球(旧:琉球ジャスコ))、日本国外7社の計12社で運営を行っていた。大型駐車場を備えた大規模店舗を、地方都市周辺などの郊外幹線道路沿いに出店する戦略を基本としていた。
旧岡田屋の創業家である岡田家の家訓「大黒柱に車を付けよ」そのままに、時流に合わせた店舗のスクラップアンドビルドを頻繁に行っていた。手法として2000年代以降では、イオンスーパーセンターへの業態転換、あるいは同一商圏内でも郊外にイオンショッピングセンター、イオンモールなどを開設することで、旧来の中心市街地に立地していた既存店舗を閉鎖・移転させる傾向があった。ただしそうした閉鎖店舗の一部では、跡地にマックスバリュをオープンさせることもあった。
店舗勤務の従業員は、地元雇用のパートタイマー(コミュニティ社員と呼ぶ)や、学生アルバイトが多かった。
ドラッグストア事業にも力を入れていたが、一部店舗では薬剤師・登録販売者不足のため、営業時間の一部しか薬局部分の営業ができなかった。
ジャスコの店名には、ジャスコ新茨木店(現:イオンスタイル新茨木)のように「新」が付く店があった。これは店舗の移転や建て替えを伴う場合に見られた。ジャスコ村上東店のように方角を表す文字が入る物もあったが、これは既存店舗を補完する新店舗を開店し、旧店舗の営業も継続する場合に見られた。
出店地域については「#運営会社」の節を参照。
1969年2月に当時はローカルスーパーマーケットチェーンの域を出なかった岡田屋(三重県四日市市)、フタギ(兵庫県姫路市)[注釈 1]、シロ(大阪府吹田市)の3社が提携し、合弁で共同仕入会社の「ジャスコ株式会社」(初代)を大阪市福島区のシロ野田店5階を登記上本店として設立したことを起源とする[3]。
当初は新社名を従業員から募集して「日本ユナイテッド・チェーン株式会社」が選出されたものの、その後に英語訳である "Japan United Stores COmpany" の頭文字を取って日本語読みした「ジャスコ (JUSCO) 」が正式採用される[3]。
会長にフタギの二木一一、社長に岡田屋の岡田卓也、副社長にシロの井上次郎が就任した[3]。なお、3名のうち副社長に就任した井上は1969年4月29日に心筋梗塞のため41歳で急逝し、シロ自体も経営不振で負債を抱えていたため「京阪ジャスコ」へ社名を変更して2年後に岡田屋およびフタギの後身となる(2代目)ジャスコへ合併された。
2001年に商号をイオン株式会社に変更したが、店舗ブランドとしては「ジャスコ」を引き続き使用していた。2008年8月21日にイオン株式会社が持株会社になったことで、北海道、九州・沖縄地区以外の店舗の運営をイオンリテールに継承。2010年2月21日にはマックスバリュ長野の設立に伴い、イオンリテールから長野県下の4店舗を継承した。
2010年8月27日に、持株会社であるイオン株式会社が、宣伝効率の向上とブランド力の強化のため「ジャスコ」と「サティ」の店舗ブランドを、2011年3月以降段階的に廃止して「イオン」に統一する方針を決定したと報じられた[4][5][6]。報道によれば、イオンリテール(ジャスコなど)がマイカル(サティ)・イオンマルシェ(イオン、旧:カルフール)を吸収合併し、仕入れ部門と総務部門の効率化を図ること、イオンリテール(および将来的には九州・北海道の地域法人)が運営する店舗のブランド統一を行うこと、その結果向上する収益により、中国をはじめとする日本国外への進出を加速するとされた。
これについて2010年10月6日、イオン株式会社が完全子会社のイオンリテール、マイカル、イオンマルシェ3社の合併と、運営する店舗ブランドの統一を正式発表し[1]、その後、イオン北海道・イオン九州・イオン琉球(旧・琉球ジャスコ)も相次いでブランド統一を発表した[7][8][9]。
2011年3月1日、ジャスコとサティ、北海道のみに縮小展開されていたポスフール[注釈 2]がイオンへ統一された。新しい店舗名は基本的に「ジャスコ札幌元町店→イオン札幌元町店」、「ジャスコレイクタウン店→イオンレイクタウン店」、「ジャスコ三光店→イオン三光店」、「ジャスコ那覇店→イオン那覇店」などと、ブランド名のみを変更する場合ががほとんどだったが、サティやポスフールとの店舗名重複を避ける[注釈 3](例:ジャスコ釧路店→イオン釧路昭和店、ジャスコ福岡東店→イオン福岡ルクル店[注釈 4])、"新"を取る(例:ジャスコ新小松店→イオン小松店、ジャスコ新名張店→イオン名張店)[注釈 5]、地名やモール名に変える(例:ジャスコカヨー店→イオン日永店、ジャスコ小川店→イオン宇城バリュー店[注釈 6]、ジャスコイオン倉敷店→イオン倉敷店[注釈 7])など、一部店舗ではブランド名だけでなく、店舗名の変更も行われた。
日本国内におけるジャスコ業態の最終出店は、2010年5月28日に開店したイオン札幌西岡ショッピングセンター内の「ジャスコ西岡店」であった。
中国とマレーシアの店舗については日本でのブランド消滅後もしばらくの間「ジャスコ」のブランドで営業されていたが、2013年3月までに「イオン」ブランドに統一されている。
2024年5月25日・26日、かつて「ジャスコ下妻店」として営業していたイオンモール下妻で映画『下妻物語』の公開20周年を記念したイベントが行われ、店舗の看板や店内BGM等を映画の舞台となったジャスコ時代のものに復元して営業。これにより、日本国内における「ジャスコ」の屋号が一時的ではあるものの13年ぶりに復活した(後述参照)。
初代ロゴマークは、当時のジャスコの社章「J」で店舗サインにも使用していた。「ジャスコ」の看板を初めて掲げた店舗となったのは1969年10月10日の焼津店(静岡県焼津市)であった[10][注釈 8]。デザインは奈義良勝人が考案したものが選ばれ、滝を登る鯉を表している。これはジャスコが大きく飛躍してほしいという思いが込められている。
2代目ロゴマークは赤と緑を使用し、Jの字の先がカールしたようなデザインで、1974年2月に制定され同年3月29日開店の名張店(三重県名張市)で採用されて以来15年間使用された。景観条例のある京都市の店舗や塩釜店(閉店・宮城県塩竈市)では、周囲の景観に配慮して緑色一色で掲げられていた。ただし、同様な景観条例がある金沢市においては、全ての店舗で赤と緑のものがそのまま掲げられていた。
1990年のグループ名変更に伴う3代目ロゴマーク変更により、2代目から3代目への看板移行が一部店舗(主な例として画像にある菰野店や東住吉店など)を除き、素早く行われた。ロゴマーク変更時期に開催され、当時のジャスコグループが協賛していた国際花と緑の博覧会では、開催終了まで2代目ロゴが使用されていた。この2代目ロゴは、2004年10月2日に東住吉店が閉店したことにより、メインで使用している店舗は無くなった[注釈 9]。2代目ロゴはそれ以降も、つくしが丘店の壁面看板や、ノア店の観覧車などに極少数ながら使用されていたが、2011年3月のイオンへのブランド変更の際に撤去された。
3代目ロゴマーク(ページ冒頭部参照)は「JUSCO」という英文名称自体をデザインしたもので、1990年11月の川口店(埼玉県川口市、2018年8月31日閉店)の増床時に初めて店舗サインとして使用された。カラーはローズレッド一色となっている。ただし、景観条例のある洛南店(京都市南区)やもりの里店(金沢市)では、周囲の景観に配慮し店舗外壁は白一色であり、「JUSCO」のロゴも掲げられていなかった。
2000年代中頃以降に開店した店舗では、屋上に「JUSCO」の看板塔ではなく、従来の「ÆONGroup」を短縮した「ÆON」ロゴの看板塔が設置されることが多く(イオンモール核店舗などで壁面の一部に「ÆON」を配置した)、「JUSCO」の看板は店舗玄関上の部分や店舗外壁側面などに設置されている場合が多かった。また、大塔店(長崎県佐世保市)のように、リニューアルに伴って屋上看板を「JUSCO」から「ÆON」に置き換えたところもあった。
このため、一部の店舗では屋上看板の「ÆON」ロゴの地色が褪せて、「JUSCO」あるいは別の前身店舗である「SATY」のロゴが浮かび上がると、ネット上で話題に上ることがある[11]。
旧ジャスコ株式会社の社歌「人間の園」は、作詞は石原慎太郎、作曲は神津善行が担当した。
かつてジャスコで配布された紙袋には楽譜が書かれていたが、これはヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲の「ゴルトベルク変奏曲」の中の曲の楽譜にデザインを加えたものであり、上記イメージソング等とは関係が無い。
GM(衣料)
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SSM(食品)
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SS(住居余暇)
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後方
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ここではジャスコ店舗について記載。
導入時期により機種が異なる。
当初はイオンリテール・イオン九州・イオン琉球(旧・琉球ジャスコ)の店舗のみに導入されていたが、その後、マックスバリュ地域法人、ハピコム(旧ウエルシア)地域法人、マイカル、イオンマルシェ(イオン)のグループ各社の店舗にも同一のシステムが導入され(マックスバリュ北海道・マックスバリュ東海・マックスバリュ中部・マックスバリュ九州などでは遅れて導入)、イオングループ共通のPOSシステムに発展した(ただし、マイカルやマックスバリュなどPOSターミナル以外は運営会社により若干仕様が異なる場合あり)。また、かつて共通のPOSシステムを導入していなかった店舗でも、WAONをグループ全体で導入出来る様に、順次イオン共通のPOSシステムへの入れ替えが行われていた。また2008年からはWAONのほかの電子マネーとしてSuica[注釈 11]とおサイフケータイクレジットiDの利用も可能となった。
この節の加筆が望まれています。 |
「イオン」への改称直前には、全国44都道府県に店舗があった。徳島県・福井県には改称前に全店が撤退しており、山梨県には未出店であった。「イオン」に移行した直後の2011年3月、山梨県内に甲府昭和店が出店した。イオンモール甲府昭和は「ジャスコ」として出店予定だったが、工事の遅れにより「イオン」として開業した。仮に遅れていなければ、「ジャスコ」は47都道府県に出店した初のスーパーマーケットとなったことになる。ただし同店の建設時に徳島・福井の両県には店舗がなく、全都道府県での併存は起こり得なかった。
末期には日本国内の店舗は長野県を除き、営業エリアが明確に分けられていた。これは長野県については、マックスバリュやザ・ビッグへの転換を前提として、マックスバリュ長野に一部店舗が譲渡されていたことによる。イオングループで地域ごとの運営企業を設けながら企業間で営業エリアの重複が多かった店舗ブランドとしてはマックスバリュが挙げられ、こちらは運営企業間での営業エリアの整理が2019年までたびたび行われていた(マックスバリュ#店舗展開と運営会社を参照)。
かつてはタイ、台湾でも展開されていたが、現在は撤退。中国語圏では吉之島と表記される。
旧ジャスコ株式会社においては、以下のような社是、憲章、信条、誓いが存在した。
旧ジャスコ株式会社設立時に基本理念となる社是を制定すると同時に、ジャスコの信条とジャスコの誓いが発表された。また、1979年(昭和54年)1月には「ジャスコの憲章」を制定した。これはジャスコの連邦経営の理念を明らかにし、連邦各経営者の初志貫徹と連携の強化を目的としたものであった。
1989年にはジャスコはジャスコグループからイオングループへと名称変更したことに伴い、それまでの「連邦制経営」から「ゆるやかな連帯」へと転換を図られた。また、2001年8月にはジャスコ株式会社からイオン株式会社へと社名を変更すると同時に「イオン宣言」を制定し、基本理念も一新された。そのため、これらの社是や憲章、信条、誓いは、現在使用されていない。
商業を通じて地域社会に奉仕しよう
われわれは、地域の人々の生活文化の向上と発展に貢献することを基本理念とし、この目的と使命に共鳴する同志朋友の参画と結集をもって『連邦制経営』によるジャスコを形成し、誠実と親和を尊び、友愛と情熱に燃えて、商業の理想像を追求し、地域の期待と信頼に応え、ジャスコの永続と繁栄に献身する。
2014年9月発売のライトノベル『女騎士さん、ジャスコ行こうよ』(伊藤ヒロ)の発売にあたり、発行元のKADOKAWAが「ジャスコ」の名称の使用許可を求めてイオンの広報部に連絡したところ、広報部からは「日本ではもう使用していないブランド名なので、連絡なしに自由に使って良い」との回答を得たという[18]。
ただし商標としての「ジャスコ」は、2014年9月現在、日本国内で登録が存続しているものが多数存在している(権利者はいずれもイオン株式会社)。またイオングループ以外にも「ジャスコ」の商号を用いる会社は存在する(ジャスコ (曖昧さ回避)を参照)。
2021年3月15日、ジャスコの店名ロゴをイオンが商標出願し、同年3月30日に出願情報が公開された。またコーポレート・コミュニケーション部の担当者は取材に対し、ジャスコの店名が消滅した後も、過去の商標を引き続き登録するため何年かおきに出願を続けていると回答している[19]。
2024年5月25日・26日、映画『下妻物語』公開20周年を記念し、作中に登場する「ジャスコ下妻店」を再現するとして、イオンモール下妻を2日間限定で「ジャスコ下妻店」に変更するイベントが行われた。駐車場入口の看板が「JUSCO」ロゴに変更されたほか、店内の看板も多くが「JUSCO」ロゴに変更された[20]。
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