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九州旅客鉄道が運行している特別急行列車 ウィキペディアから
九州横断特急(きゅうしゅうおうだんとっきゅう、TRANS-KYUSHU LIMITED EXPRESS)は、九州旅客鉄道(JR九州)が、熊本駅 - 別府駅間を豊肥本線・日豊本線経由で運転している特別急行列車である。
九州横断特急 あそ | |
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九州横断特急(2010年8月 人吉駅) | |
概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 熊本県・大分県 |
前身 | 特急「あそ」(初代) |
運行開始 |
2004年3月13日(九州横断特急) 2020年8月8日(あそ) |
後継 | 特急「いさぶろう」「しんぺい」「かわせみ やませみ」 |
運営者 | 九州旅客鉄道(JR九州) |
路線 | |
起点 | 熊本駅 |
終点 |
別府駅[注 1](九州横断特急) 宮地駅(あそ) |
営業距離 |
160.1 km (99.5 mi)(熊本 - 別府間) 53.4 km (33.2 mi)(熊本 - 宮地間) |
列車番号 |
号数+1070D(九州横断特急2・3号) 号数+8000D(九州横断特急81・84号) 号数+1060D(あそ) |
使用路線 | 豊肥本線・日豊本線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
技術 | |
車両 |
キハ185系気動車 (大分車両センター) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 |
交流20,000 V・60 Hz(熊本 - 肥後大津、大分 - 別府間)[注 2] 非電化(肥後大津 - 大分間) |
最高速度 | 100 km/h (62 mph) |
本項では、JR九州が熊本駅 - 宮地駅間で運行している特急「あそ」(2代)、熊本駅 - 別府駅間で運行している臨時特急「あそぼーい!」、および豊肥本線内での「九州横断特急」の前身にあたる、熊本駅 - 大分駅・別府駅間で運行されていた特急「あそ」(初代)など豊肥本線で運転されていた優等列車の沿革についても記述する。
特急「九州横断特急」は、2004年3月13日の九州新幹線鹿児島ルート部分開業の際、前述の特急「あそ」と、熊本駅 - 人吉駅間で運行していた急行「くまがわ」を再編する形で運行を開始した。この時に再編対象外の「くまがわ」に関しては列車名・運行区間を変えずに特急に格上げとしたため、熊本駅 - 人吉駅間には「九州横断特急」「くまがわ」の2系統の特急列車が運行されるようになった。
豊肥本線は古くから観光路線としての位置づけが強く、1954年に熊本駅 - 別府駅間運行の快速「火の山」(ひのやま)が設定されたのを端緒として多くの優等列車が設定された[1]。それらの優等列車は、2006年に廃止された三角島原フェリーを介して阿蘇山と島原半島が観光ルートとして一体化してとらえられていたことから、三角線三角駅までの直通列車も多く設定されていた。その後、豊肥本線の優等列車は1975年3月10日に急行「火の山」に一本化された[1]。三角線への直通を終了した1986年11月1日以降は熊本駅 - 別府駅間で3往復の運行となり、四国旅客鉄道(JR四国)から購入したキハ185系気動車を充当して1992年7月15日に特急「あそ」に格上げされ[1]、2004年(平成16年)3月12日、九州新幹線鹿児島ルート部分開業までこの体制で推移していた。
「九州横断特急」は2011年3月12日のダイヤ改正で人吉駅発着列車の約半数について熊本駅 - 人吉駅間を「くまがわ」として系統分離し、2013年3月16日のダイヤ改正で「くまがわ」を再統合していた。2016年3月26日のダイヤ改正で「九州横断特急」の熊本駅 - 人吉駅間および「くまがわ」が廃止され[広報 1]、「九州横断特急」の運行区間は「あそ」と同様になった。その直後の4月14日夜から発生した一連の熊本地震の影響で全区間運休となり、2016年7月9日に阿蘇駅 - 別府駅間[2]、2020年8月8日に熊本駅 - 阿蘇駅間の運行を再開した。
特急「あそ」(2代)は、豊肥本線が全線で運転再開した2020年8月8日より、熊本地震前に熊本駅 - 宮地駅間で運転されていた「あそぼーい!」が別府駅発着に変更されたのに伴い、従来の「あそぼーい!」の運転区間を引き継ぐ形で運行を開始した。16年ぶりに「あそ」の列車名が復活した[広報 2]。
本項では特記ない限り、「あそ」は2代のことを指すものとする。
「九州横断特急」は熊本駅 - 別府駅間に2往復(2・3・81・84号)が運行されている。このうち81・84号は「あそぼーい!」との共通ダイヤで、「あそぼーい!」の運転日は運休となる。
「あそ」(初代)時代は3往復、全列車3両編成での運行で、号数は熊本駅発が下り、別府駅発が上りとなっていたが、「九州横断特急」に改組された際に4往復、全列車2両編成での運行となり、JRグループの特急としては異例のワンマン運転が導入された(多客期など、3両以上で運転する際には車掌が乗務していた)。また号数は鹿児島本線・肥薩線内での方向に合わせて、別府駅発が下り、人吉駅・熊本駅発が上りと改められた。2016年3月26日のダイヤ改正で全列車熊本駅 - 別府駅間の運行になったのに合わせて3往復、全列車3両での運行となり、車掌乗務開始、号数も「あそ」時代と同様に戻されていた。約半月後の4月14日に熊本地震が発生し、全区間運休となった。7月9日に、阿蘇駅以東で運行再開した際には、全列車2両での運行となり、ワンマン運転が復活している。2017年3月4日のダイヤ改正では2往復に削減され、さらに「九州横断特急」としては初めて大分駅発着の列車が設定された。なお、2016年7月9日の運行再開時点では阿蘇駅 - 宮地駅間は快速列車扱いで、この区間は「九州横断特急」以外の列車は運行されていなかったが[注 3]、2017年3月4日より普通列車の運行再開を受けて、阿蘇駅 - 宮地駅間も特急列車として運行されるようになった。2018年3月17日以降は、別府駅発着の1往復のみにさらに削減され、豊肥本線の全線復旧までこの体制で経過した。
大分駅は高架化工事により高架化されたが、工事進捗の都合により2008年3月15日から2012年3月16日までは日豊本線は地上ホーム、豊肥本線・久大本線は高架ホームと分けられていた。そのため日豊本線と豊肥本線・久大本線の直通運転は中断されていたが、「九州横断特急」のみは別に設けられた渡り線を経由して、地上ホームに発着し、この期間も別府駅発着で運行されていた。
「あそ」は熊本駅 - 宮地駅間の運行で、毎日運転の列車は1往復、土曜・休日などは最大3往復に増発される。号数は毎日運転の列車が3・4号、それ以外の列車は1・2・5・6号が与えられている。ただし新型コロナウイルス感染症による利用客減少の影響のため、3・4号以外の列車は2020年10月以降は運転されておらず、2021年3月13日ダイヤ改正時点で時刻表にも記載されていない。
列車番号は「九州横断特急」が号数+1070D(81・84号は号数+8000D)、「あそ」が号数+1060Dとなる。
熊本駅 - 新水前寺駅 - 水前寺駅 - 武蔵塚駅 - 光の森駅 - 肥後大津駅 - 立野駅 - 赤水駅 - 阿蘇駅 - 宮地駅 - 豊後荻駅 - 豊後竹田駅 - 緒方駅 - 三重町駅 - 中判田駅 - 大分駅 - 別府駅
「九州横断特急」の熊本駅 - 宮地駅間の停車駅に準じる。ただし武蔵塚駅・光の森駅は3・4号のみ停車。
九州横断特急・あそ | ||||
← 別府・宮地 熊本 →
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「九州横断特急」「あそ」とも、大分鉄道事業部大分車両センターに配置されているキハ185系気動車「九州横断特急」仕様の2両編成を充当している。普通車のみの編成で、指定席と自由席が1両ずつ設定されている。
かつては「九州横断特急」のロゴ入りの専用塗装車が用意されていたが、検査などで「ゆふ」塗装車が運用されることもあった(冒頭画像も参照)。2018年6月より「九州横断特急」塗装と「ゆふ」塗装を「AROUND THE KYUSHU」塗装へ統一している[3]。
あそぼーい! | |
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概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特急列車 |
現況 | 運行中 |
運行開始 | 2011年6月4日 |
運営者 | 九州旅客鉄道(JR九州) |
路線 | |
起点 | 熊本駅 |
終点 | 別府駅 |
営業距離 | 160.1 km (99.5 mi)(熊本 - 別府間) |
運行間隔 | 1往復 |
列車番号 | 熊本発 8092D, 別府発 8091D |
使用路線 | JR九州:豊肥本線・日豊本線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
展望 | 1・4号車「パノラマシート」 |
技術 | |
車両 |
キハ183系気動車 (熊本鉄道事業部熊本車両センター) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 |
交流20,000 V・60 Hz(熊本 - 肥後大津・大分 - 別府間)[注 4] 非電化(肥後大津 - 大分間) |
最高速度 | 100 km/h (62 mph) |
特急「あそぼーい!」は、1988年 - 2010年に熊本駅 - 宮地駅間で運行されていた観光列車「あそBOY」「あそ1962」の後継列車として、2011年6月4日に運行を開始した[4]。表記は異なるが「あそBOY」の愛称が6年弱ぶりに復活した。
2011年3月12日の九州新幹線鹿児島ルート全線開業に合わせて計画された列車で、当初は同日からの運行予定としていたが、車両改造の都合により同年5月29日までは「あそぼーい!」と同ダイヤの「
当初は「あそBOY」「あそ1962」と同様に熊本駅 - 宮地駅間で運転されていたが、豊肥本線の全線復旧に合わせて運転区間を熊本駅 - 別府駅間に変更した。現在の列車番号は熊本発 8091D、別府発 8092Dである。
土曜・休日および長期休暇中に熊本駅 - 別府駅間を1日1往復している。ダイヤは「九州横断特急81・84号」のものを使用している。号数表記はない。
宮地駅発着時代は2往復の運転で、号数は101 - 104号が与えられていた。2011年10月から2013年2月までは、1ヶ月に1回程度の土日または3連休に限って101・104号を博多駅まで延長運転していたが、2013年3月以降は設定がない。
2012年7月の九州北部豪雨で肥後大津駅 - 緒方駅間が不通になった際には、肥後大津駅 - 宮地駅間が復旧する同年9月まで、91・92号として博多駅 - 人吉駅間で1往復運転していた。
大規模検査時や車両故障などで運休する場合は、同時刻で「九州横断特急81号・84号」として運行する。
2016年4月の熊本地震で豊肥本線の一部区間が不通になった際には、9月までは金・土休日を中心に91・92号として門司港駅 - 博多駅間で1往復運転していた[5]。2016年10月8・9日には「ポポンデッタ九州鉄道フェスティバル2016」開催に伴い、「あそぼーいポポンデッタ号」が博多駅 - 大分駅にて主催者による貸切運行が行われた。10月から12月までは「長崎デスティネーションキャンペーン」の一環として81・82号が博多駅 - ハウステンボス駅、2017年1月より91・92号が門司港駅 - 博多駅間に運行区間を戻し、6月まで金・土休日を中心に運行される[広報 3]。 同年7月から翌2018年1月までは91 - 94号として阿蘇駅 - 大分駅・別府駅間に金・土・休日を中心に2往復運行され、団体専用列車を除けば、熊本地震後初めて阿蘇駅・宮地駅に乗り入れた[広報 4]。2018年3月ダイヤ改正からは1往復に削減され、豊肥本線全線復旧まで1往復のままで推移した[広報 5]。2018年6月27日には筑肥線筑前前原駅 - 唐津駅間で1往復運行され、初めて筑肥線を走行した。
熊本駅 - 新水前寺駅 - 水前寺駅 - 武蔵塚駅 - 光の森駅 - 肥後大津駅 - 立野駅 - 赤水駅 - 阿蘇駅 - 宮地駅 - 豊後荻駅 - 豊後竹田駅 - 緒方駅 - 三重町駅 - 中判田駅 - 大分駅 - 別府駅
あそぼーい! | ||||||||||||
← 別府 熊本 →
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熊本鉄道事業部熊本車両センターに配置されているキハ183系気動車1000番台4両編成が充当されている。2011年1月10日までは特急「ゆふDX」として運行していた車両である。内装デザインは、他のJR九州の観光特急同様、水戸岡鋭治が担当している。普通車のみの編成[広報 6]。3号車は「ファミリー車両」で、子供目線で車窓を楽しむことが出来る「白いくろちゃんシート」9席のほか、遊び場、図書室と「くろカフェ」が設置されている[6]。1・4号車の車端部には「パノラマシート」が設けられている。基本的に全車座席指定席で運転されるが、2018年3月17日から2020年8月7日までは1号車のうち12席を自由席としていた。
当初の運行計画では2011年3月12日に3号車を欠番とした3両編成で暫定的に運行を開始し、同年夏ごろに3号車を連結することにしていたが[広報 7]、車両改造計画の見直しにより、「あそぼーい!」は4両フル編成で2011年4月29日に運転開始し、同年3月12日から4月24日までは「阿蘇ゆるっと博号」を運行することが発表された[広報 8]。その後改装内容の見直しにより、「あそぼーい!」の運行開始日は6月4日に再度延期され、「阿蘇ゆるっと博号」の運行も5月29日までに延長された[広報 9]。
「白いくろちゃんシート」「パノラマシート」利用時の特急料金は通年、通常期の料金の210円増しとなる。割引きっぷの場合は720円の追加料金がかかる(一部利用できないものもある)。
キハ183系1000番台は元々は門司港駅 - 佐世保駅間で運行されていた臨時特急「オランダ村特急」用として新製された車両である。1992年に「オランダ村特急」が廃止後は、「ゆふいんの森」、「シーボルト」、「ゆふDX」、「あそぼーい!」と使用車両が変更されているが、「あそぼーい!」のハウステンボス駅乗り入れにより、24年ぶりに長崎本線・佐世保線系統で運行されることとなった。
なお、「阿蘇ゆるっと博号」は「九州横断特急」と同じくキハ185系2両編成(座席区分も同じ)による運転であったが、外装は白地に熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」などがプリントされた独自のものとなっていた。「阿蘇ゆるっと博号」の運行終了後、専用車両として用いられていたキハ185-4・キハ185-1012は三角線特急「A列車で行こう」に転用され、2011年10月8日から運行を開始している。
「あそぼーい!」の車体や内装には「くろちゃん」と称する黒い犬のマスコットキャラクターが描かれている。
「くろちゃん」は、本名を「あそくろえもん」、「黒川の近くで生まれた黒犬2歳」という設定である[広報 10]。
「あそぼーい!」の運行開始後の2011年7月には阿蘇駅の名誉駅長に就任し、改札内に「くろ駅長室」が作られた。本来は「あそぼーい!」のためのキャラクターであったが、JRおおいたシティの屋上施設にミニSL「くろちゃん電車」が投入されたり、子供向けスペース「くろちゃんひろば」の設置がされたり、「あそぼーい!」の運行区間とは関わりのない305系やBEC819系のドア車内側、821系やYC1系、キハ185系のドアの「指引き込み注意」表示に描かれるなど、JR九州全体のキャラクターとしても扱われている。
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