日本将棋連盟
将棋の棋士活動を運営する公益社団法人 ウィキペディアから
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公益社団法人日本将棋連盟(こうえきしゃだんほうじんにほんしょうぎれんめい)は、将棋の棋戦を主催し、棋士および女流棋士の活動を通じて将棋の普及発展を担う公益社団法人[1]。
四段以上の棋士、女流棋士、指導棋士によって組織[1]、棋士総会で2年ごとに選出された役員および職員によって運営される[1]。「将棋の普及発展と技術向上を図り、我が国の文化の向上、伝承に資するとともに、将棋を通じて諸外国との交流親善を図り、もって伝統文化の向上発展に寄与すること」を目的とする[1]。
1612年に初代大橋宗桂が徳川家康から将棋所(名人)[注 1]に任ぜられたのが現在のプロ将棋界の起源である。
江戸時代には、初代宗桂が興した大橋本家、初代宗桂の子・初代大橋宗与が興した大橋分家、初代宗桂の孫娘の婿・初代伊藤宗看が興した伊藤家の家元三家の中から棋力の秀でた者が名人位を襲い、江戸幕府の権威を背景に将棋界を牽引してきた。
しかし、1868年に江戸幕府が崩壊すると、家元三家は後ろ盾を失い、将棋界も混乱に陥る。1879年に伊藤家の八代伊藤宗印が将棋所を復興して名人を襲位するも、1893年に死去して伊藤家は断絶。それ以前の1881年には大橋分家の九代大橋宗与が投獄の末獄死して断絶しており、家元は大橋本家を残すのみとなった。大橋本家の十二代大橋宗金は棋力に乏しく、結局1898年に大橋本家の門人であった小野五平が名人となり、家元制の時代は終わりを告げた。
家元の権威が失われたことにより、この後、棋界は様々な将棋団体が乱立して、離合集散を繰り返すようになる。小野の次代の名人候補と目されていた実力者は、八代伊藤宗印門下の関根金次郎、大阪の小林東伯斎(元は大橋分家の門人で後に大橋本家・天野宗歩の弟子)門下で東京で活動していた井上義雄、同じく小林門下で関西で活動していた阪田三吉(当時は坂田三吉)の3名であった。これら3名とその弟子たちによって現在の日本将棋連盟の原型となる将棋団体が結成されることになる。
東京将棋連盟が創立した1924年9月8日を日本将棋連盟では創立記念日と定めている[2]。この日付にしたがって日本将棋連盟は1999年に創立75周年、2005年に創立81周年、2014年に創立90周年を祝っている[3]。
1924年には日本棋院(7月17日)と国際チェス連盟(7月20日)も設立されている。
時系列で整理すると以下のようになる。
公益社団法人日本将棋連盟の社員総会として、棋士総会が行われる。会員の除名、連盟の役員(理事・監事)の選任又は解任や、定款の変更といった重要な事項を決議する。日本将棋連盟において、棋士総会に出席する「社員」は正会員(棋士、および、女流四段以上またはタイトル経験のある女流棋士[7])である。それ以外の女流棋士、および、奨励会員、指導棋士、支部会員らは連盟の正会員ではなく、棋士総会に参加する権利を持たない。
定例総会は年に1回、順位戦が開始される前の6月上旬に行われる。その他重要な議決が発生したときは、臨時総会が開かれることもある。
役員の任期はおよそ2年である。定款[10]第23条の規定により2年おきの総会の終結が区切りとなるため、総会の日程によっては2年に満たない(もしくは超える)場合がある。役員は、棋士総会の決議によって選任する。
公益社団法人移行以後は、総会に先立って4月頃に「予備選挙」を行い、会員による互選で選ばれた棋士・女流棋士および職員からなる常勤理事候補と、連盟事務局の推薦した棋士・女流棋士・外部有識者等からなる非常勤理事候補・監事候補を選出し、これらの候補者を棋士総会で選任する形を取っている。
2023年6月9日より[11]
2023年6月9日より[11]
2023年6月9日より[11]
役職 | 名前 | 職業 |
---|---|---|
監事(再任) | 松岡幸秀 | 公認会計士 |
監事(再任) | 佐藤義則 | 九段(引退) |
2022年6月10日 理事会において選定・就任[13]
公益社団法人移行後の2011年以降のみ。
会長 | 専務理事 | 常務理事 | 理事 | 非常勤理事 | 監事 | ||
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2011 - 2012 |
米長邦雄 | 谷川浩司 | 東和男 / 田中寅彦 中川大輔(2011年12月21日辞任) |
北島忠雄 | 島朗 谷川治恵 |
滝誠一郎 | [14] [15] [16] |
2012 - 2013 |
米長邦雄 (2012年12月18日死去) |
谷川浩司 | 東和男 / 田中寅彦 | 北島忠雄 | 島朗 杉本昌隆 藤井猛 深浦康市 谷川治恵 |
滝誠一郎 | [17] [18] |
谷川浩司 (2012年12月25日選任) |
田中寅彦 | 東和男 島朗(2013年1月1日より) |
北島忠雄 | 杉本昌隆 藤井猛 深浦康市 谷川治恵 |
滝誠一郎 | [19] [20] | |
2013 - 2014 |
谷川浩司 | 青野照市 | 東和男 / 島朗 / 中川大輔 | 片上大輔 | 杉本昌隆 藤井猛 深浦康市 谷川治恵 |
滝誠一郎 | [21] [22] |
2014 - 2015 |
谷川浩司 | 青野照市 | 東和男 / 島朗 / 中川大輔 | 片上大輔 | 谷川治恵 | 滝誠一郎 | [23] [24] |
2015 - 2016 |
谷川浩司 | 青野照市 | 東和男 / 島朗 / 中川大輔 片上大輔 / 佐藤秀司 |
- | 井上慶太 谷川治恵 |
淡路仁茂 | [25] [26] |
2016 - 2017 |
谷川浩司 (2017年2月6日辞任) |
青野照市 (2017年2月27日解任) |
東和男 島朗(2017年2月6日辞任) 中川大輔(2017年2月27日解任) 片上大輔(2017年2月27日解任) 佐藤秀司 |
- | 井上慶太 谷川治恵 |
淡路仁茂 | [27] [28] [29] |
佐藤康光 (2017年2月6日選任) |
[30] [31] | ||||||
東和男 | 佐藤秀司 井上慶太(2017年2月6日選任) |
谷川治恵 | [32] | ||||
2017 - 2019 |
佐藤康光 | 森内俊之 | 井上慶太 / 脇謙二 森下卓 / 鈴木大介 清水市代 |
- | 鈴木輝彦 長沢千和子 |
淡路仁茂 | [33] [34] |
2019 - 2021 |
佐藤康光 | 脇謙二 | 井上慶太 / 森下卓 鈴木大介 / 西尾明 清水市代 |
- | 鈴木輝彦 斎田晴子 |
佐藤義則 | [35] [36] |
2021 - 2023 |
佐藤康光 | 脇謙二 | 井上慶太 / 森下卓 鈴木大介 / 西尾明 清水市代 |
- | 杉本昌隆 斎田晴子 |
佐藤義則 |
(数字は就任順、就任時-退任時)
女流棋士も含む新たな「棋士会」が2009年4月1日に発足した。
就任・交代年月日 | 名誉棋士会長 | 会長 | 副会長 |
---|---|---|---|
2009年[47] | 4月 1日中原誠 | 谷川浩司 | 清水市代 / 佐藤康光 / 森内俊之 / 矢内理絵子 |
2011年[48] | 4月 1日佐藤康光 | 矢内理絵子 / 中村修 / 井上慶太 / 村田智穂 | |
就任・交代年月日 | 会長 | 副会長 | |
2011年[48] | 4月11日佐藤康光 | 矢内理絵子 / 中村修 / 井上慶太 / 村田智穂 | |
2013年 | 中村修 / 井上慶太 / 村田智穂 | ||
2015年[49] | 6月 4日中村修 / 久保利明 / 室田伊緒 | ||
2017年[50] | 1月31日(不在) | ||
2017年[51] | 2月27日中村修 | 久保利明 / 室田伊緒 | |
2017年[52] | 5月29日久保利明 / 畠山鎮 | ||
2019年[53] | 6月 7日畠山鎮 / 糸谷哲郎 / 遠山雄亮 | ||
2023年[54] | 6月 9日糸谷哲郎 / 遠山雄亮 / 村山慈明 |
中原名誉棋士会長の任期は、70歳まで。しかし、2011年4月11日付けで名誉棋士会長を辞退。
この棋士会発足に伴い、女流棋士会独自の役員制度は廃止され、谷川治恵女流棋士会長らの役員は退任した。
谷川浩司初代会長の方針は、下記の通りである[47]。
本部は3ヵ所に設けられていたが、公益社団法人発足に伴い、東海本部は、東海普及連合会と改称したため、2ヵ所となる。所在地は次の通り。
棋士の任意活動としていくつかの部活動がある。
日本将棋連盟は将棋倶楽部24を運営し、将棋ウォーズを公認、81Dojoを後援している。これらのオンライン対局の成績に基づいて免状も発行している[66]。
将棋ウォーズは公式で5手単位でソフト(棋神)による代指し機能が使える(部分的であり、使用回数は制限されている)。ただし、アプリ上の機能以外の将棋ソフトを用いた非公式な代指しは当然不正行為として禁止されている[67]。
1999年、日本将棋連盟は法的根拠がない(棋譜に著作権はない)ながらも収入問題に発展しかねないため、棋譜の頒布を控えてほしいとの「お願い」を行ってきた[68]。2019年9月、「棋譜利用に関するお願い」として私的利用の範囲を超えた棋譜利用に事前申請を求め始める[69]。利用料は商用、非商用で異なる[69]。その後、棋譜の著作権について法的に様々な議論があるとした上で[70]、ガイドラインが制定された[71]。過去に民法上の不法行為に当たるとして、朝日新聞社と日本将棋連盟が共同で主催した棋戦に関する藤井聡太の棋譜を無断で中継した将棋系YouTuberに対し、権利侵害として配信中止を求めた事例があり[72]、有名棋士の対局の場合、その知名度によるパブリシティ権の問題が発生し、損害賠償の対象となる[73]。
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