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活動中または将来活動するおそれのある火山 ウィキペディアから
活火山(かつかざん、かっかざん)とは、国際的には一般に過去1万年以内(ほぼ第四紀完新世に相当)に噴火したことがある火山のこと[1]。
日本の火山噴火予知連絡会・気象庁による定義でも「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」とされており、この定義による2017年時点の日本の活火山数は111である[2]。
従来、火山は定性的な噴火活動度に応じて分類されていた[1]。
英語にはActive volcano、Dormant volcano、Extinct volcanoといった呼称があり、例えば日本の地質学者である横山又次郎は『地質學教科書』(1896年、冨山房)において、それぞれ活火山、睡眠火山、消火山という語をあてている[1]。また、佐藤伝蔵は『地質學提要』(1928年、中興館)において、活火山、休火山、死火山という分類を用いている[1]。
しかし、活火山、休火山(睡眠火山)、死火山(消火山)のような分類法はあくまでも便宜的なものと考えられており、横山又次郎は『地質學教科書』において、有史以来活動していなかった火山が突然活動を開始することもあるなど、このような分類を「非学術的」と述べていた[1]。また、佐藤伝蔵も『地質學提要』で「全く便宜上のもの」としていた[1]。
活火山と休火山の関係については、火山ごとに噴火や噴気活動の間隔は一定したものではないことから、次第に活火山と休火山に分けることは困難で科学的な論拠たりえないと考えられるようになった[1]。また、死火山の定義についても、有史以降に活動の痕跡がないものを基準としていたが、そもそも文字文化の進展には世界各国で地域差があるため「有史時代」を基準にした厳密な定義は困難と考えられるようになった[1]。
そこで過去の噴火活動の地質学的・歴史学的記録から活火山が定義されるようになった[1]。これに伴い休火山や死火山の語は用いられなくなった(休火山、死火山を参照)。
噴火記録の有無の扱いは、「歴史時代に人が目撃し記録されていたかどうか」であり、一般に休火山や死火山と考えられていた火山が相次いで活動をし、休火山、死火山の分類区分が無意味であることが一般的にも認知された。
研究が進むにつれて、2000年以上の休止期間をおいて噴火する火山もあることが明らかとなり、国際的には1万年以内に噴火した火山を活火山とするのが主流となってきた。
種別 | レベル[7] | 呼称 | 対応する警報等 | 火山活動の度合い | 避難行動などの目安 |
---|---|---|---|---|---|
特別警報 | 5 |
避難 | 噴火警報 (居住地域) | 居住地域に重大な被害をもたらす火山活動(噴火)が発生した、あるいはその恐れが高く切迫した状態にある。 | 危険な地域ではすべての住民が避難する。 |
4 |
高齢者等避難[注 1] | 居住地域に重大な被害をもたらす火山活動(噴火)が発生すると予想され、その恐れが高まっている。 | 災害時要援護者は避難する。危険な地域ではほかの住民も避難の準備を行う。 | ||
警報 | 3 |
入山規制 | 噴火警報 (火口周辺) | 生命に危険を及ぼす火山活動(噴火)が発生し、居住地域の近くにも及んだ、あるいはその恐れがある。 | 状況に応じて、登山禁止や入山規制などが行われる。災害時要援護者の避難準備が行われる場合もある。 |
2 |
火口周辺規制 | 火口内や火口の周辺部で、生命に危険を及ぼす火山活動(噴火)が発生した、あるいはその恐れがある。 | 火口周辺は立ち入りが規制される。 | ||
予報 | 1 |
活火山であることに 留意 |
噴火予報 | 火山活動はほぼ静穏だが、火山灰を噴出するなど活動状態に変動があり、火口内では生命に危険が及ぶ可能性がある。 | 火口内では立ち入りの規制をする場合がある。 |
機関と時期 | 定義 | 火山数 | |
---|---|---|---|
測地学審議会 1998年8月から | ◎ 活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山 | 13 | |
○ 活動的火山及び潜在的爆発活力を有する火山 | 24、海底火山を除く | ||
気象庁 2003年1月から[11] A,B,C のランク分け ただし、火山学的に評価された過去の活動度。 海底火山及び北方領土を除く |
A 100年活動度、または1万年活動度が特に高い活火山 | 13 | |
B 100年活動度、または1万年活動度が高い活火山 | 36 | ||
C 100年活動度、および1万年活動度がともに低い活火山 | 36 | ||
気象庁 2009年6月から[12] ランク分けにかわる示標として47火山を選定。2016年3火山を追加[13] ランク分けにかわる示標として50火山を選定 | |||
1 | 近年、噴火活動を繰り返している火山
|
23 | |
2 | 過去100 年程度以内に火山活動の高まりが認められている火山
|
18 | |
3 | 現在異常はみられないが過去の噴火履歴等からみて 噴火の可能性が考えられる火山 | 4 | |
4 | 予測困難な突発的な小噴火の発生時に火口付近で 被害が生じる可能性が考えられる火山 | 2 |
火山噴火予知連絡会、活動度による分類[14]。 但し、気象庁では「今後の噴火の可能性や社会的な影響が考慮されていない」として利用していない。
ランク | 説明 | 該当 火山数 |
火山名 |
---|---|---|---|
A | 100年活動度または 1万年活動度が特に高い活火山 |
13 | 十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ケ岳、浅間山、伊豆大島、三宅島、伊豆鳥島、阿蘇山、雲仙岳、桜島、薩摩硫黄島、諏訪之瀬島 |
B | 100年活動度または 1万年活動度が高い活火山 |
36 | 知床硫黄山、羅臼岳、摩周、雌阿寒岳、恵山、渡島大島、岩木山、十和田、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、鳥海山、栗駒山、蔵王山、吾妻山、安達太良山、磐梯山、那須岳、榛名山、草津白根山、新潟焼山、焼岳、御嶽山、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、新島、神津島、西之島、硫黄島、鶴見岳・伽藍岳、九重山、霧島山、口永良部島、中之島、硫黄鳥島 |
C | 100年活動度および 1万年活動度がともに低い活火山 |
38 | アトサヌプリ、丸山、大雪山、利尻山、恵庭岳、倶多楽、羊蹄山、ニセコ、恐山、八甲田山、八幡平、鳴子、肘折、沼沢、燧ヶ岳、高原山、日光白根山、男体山、赤城山、横岳、妙高山、弥陀ヶ原、アカンダナ山、乗鞍岳、白山、利島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、三瓶山、阿武火山群、由布岳、福江火山群、米丸・住吉池、池田・山川、開聞岳、口之島 |
対象外 | データが不足しているためランク分け対象外となっている火山(北方領土や海底火山など) | 23 | ベヨネース列岩、須美寿島、孀婦岩、海形海山、海徳海山、噴火浅根、北福徳堆、福徳岡ノ場、南日吉海山、日光海山、若尊、西表島北北東海底火山、茂世路岳、散布山、指臼岳、小田萌山、択捉焼山、択捉阿登佐岳、ベルタルベ山、ルルイ岳、爺爺岳、羅臼山、泊山 |
※対象は日本国内の火山に限る。
上記以外で地質調査総合センター[15]、またはGlobal Volcanism Program[16]で活火山とされているもの。
上記以外で活火山である可能性が指摘されている火山
「今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び、社会的影響を踏まえ、火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として常時観測を行う50火山が選定されている[13][20]。これらの火山には、気象庁や防災科学技術研究所の火山基盤観測網、大学などの機関が地表地震計、ボアホール型地中地震計[21]、傾斜計、空振計、GPS観測装置、遠望カメラなどの観測施設を整備している[22]、しかし観測適地であっても、国立公園法、森林法、温泉法等に基づく制約を受けるほか、観測施設建設のための掘削機や重機搬入が困難であったり、地すべり地帯であることが多いため最適な観測機器の設置を断念する場合がある[22]。
選定理由 | 火山数 | 火山名 |
---|---|---|
1. 近年、噴火活動を繰り返している火山
|
26 | |
2. 過去100年程度以内に火山活動の高まりが認められている火山
|
18 | |
3. 現在異常はみられないが過去の噴火履歴等からみて噴火の可能性が考えられる | 4 | |
4. 予測困難な突発的な小噴火の発生時に火口付近で被害が生じる可能性が考えられる | 2 |
特に活動が活発で、噴火が経済活動に与える影響が大きな火山(有珠山、岩手山、那須岳、浅間山、富士山、伊豆大島、三宅島、小笠原硫黄島、阿蘇山、霧島山)は、防災科学技術研究所の火山活動観測網 VIVA によっても[24]連続観測が行われている。
2008年に文部科学省測地学審議会において、火山噴火予測の高度化に資する研究を進める価値の大きいと選定された16火山。 大学や国の研究機関においてはそれらの火山を中心に重点的な観測研究が行われた。それまで研究対象とされていた御岳山が外されたが、2014年の御岳山噴火災害を契機に他火山と共に追加指定されて 現在は 25火山となっている。
キラウエア火山のマグマ | 阿蘇山西火口・活火山ランクA | 桜島・活火山ランクA | 御嶽山 (長野県)・活火山ランクB |
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