天王寺動物園
大阪市天王寺区の天王寺公園内にある動物園 ウィキペディアから
大阪市天王寺区の天王寺公園内にある動物園 ウィキペディアから
天王寺動物園(てんのうじどうぶつえん)は、大阪府大阪市天王寺区の天王寺公園内にある動物園。1915年(大正4年)1月1日に開園した、日本で3番目に長い歴史をもつ動物園。面積約11ヘクタールの園内に、約200種1000匹の動物が飼育されている都市型総合動物園。
2006年7月16日に、総有料入園者数が1億人を超えた[1]。国内では恩賜上野動物園に次いで2番目。
大阪市の直営であったが、2020年12月9日の大阪市会で「地方独立行政法人天王寺動物園への職員の引継ぎに関する条例案」他の議案が可決[2]され、2021年4月1日付けで設立された地方独立行政法人天王寺動物園に移管された。
天王寺動物園は開園当初から、「動物の研究」と「種の保存」という動物園本来の目的から離れ、商業主義的なレクリエーション性を重視していた。この背景には、阪急の宝塚動植物園、阪神の浜甲子園阪神パーク、大軌の菖蒲池遊園地など、動物園を併設した遊園地が大阪周辺に相次いで開業したため、「動物を見せること」以外の付加価値をもって対抗する必要があった。
その代表が1932年に来日したチンパンジーの「リタ」(愛称:リタ嬢)で、三輪車や竹馬に乗ったり、フォークとナイフを使って食事をするなどの芸を披露し、一躍人気者となった。しかし第二次世界大戦中には軍服やガスマスク姿などで戦意高揚の広告塔となった一方で、同園でも空襲に備えた動物たちの殺処分(戦時猛獣処分)が行われた[3]。これらのことをふまえ、現在同園では動物に芸を仕込むことは一切行っていない。
開園翌年から、春は夜桜、夏は納涼のため、夜間開園を1937年まで実施していた[4]。戦後も、珍獣の「ライガー」や「タイゴン」づくりなど、「レクリエーション施設」としての客寄せに取り組んでいた[5]。
このような商業路線は1970年代まで続いていたが、現在は、ドリル[6]の飼育展示を日本で唯一行っているほか、シシオザル、クロサイ、ツル類、ニホンコウノトリ、ホオアカトキ、ヨウスコウワニなどの希少動物の繁殖に力を入れるなど、動物園本来の姿に転換している。特にナベヅルについては、飼育繁殖実績があることから、国際血統登録を担当している。
また、大阪ドームの建設候補地に挙げられたことに端を発する「ZOO21計画」が1990年代後半から推し進められ、以後、動物の生息地の環境を可能な限り再現した生態展示に切り替わった。これまでに、爬虫類生態館「アイファー」、日本初の水中観察プールを有するカバ舎やサバンナの環境を再現したサイ舎を含む「アフリカサバンナゾーン」、アジアゾウを飼育しているタイの国立公園を再現した「アジアの熱帯雨林ゾーン」を開設し、展示環境は一新された。
2006年11月3日 - 11月5日に行われた「絶滅の危機にある動物展」で、保存されている絶滅したニホンアシカの剥製が、初めて一般公開された。
天王寺動物園は、戦前の1934年度(昭和9年度)に有料入園者数が年間250万人を超えるなど、古くから東京の上野動物園と並ぶ都市型動物園として認知されてきた。1972年度(昭和47年度)から中学生以下が入園無料になったことで有料入園者は減少したが、翌1973年度の総入園者は335万人を数えた。
その後、入園者数は減少に転じるが、「アフリカサバンナゾーン」がオープンした2006年度は約184万人[15](有料入場者数は68万1,934人[16])、2007年度は約194万人と増加。その後再び減少に転じ、2010年度は約120万人、2013年度には約116万人まで落ち込んでいる。
2013年4月から、従来無料だった大阪市外の小中学生の入園料を有料とするなど、開園100周年となる2015年に向け、集客を増やすための計画が進められた。その結果、2014年には約136万人、2015年には約173万人と見事なV字回復を見せた[17]。
野生動物の種の保存や環境教育に貢献する、新しい動物園のあり方を確立するための計画で、古くなった動物舎を生態的展示の施設に建て替えることが主な目的である。
1995年(平成7年)に大阪芸術大学教授の若生謙二主導の下、爬虫類生態館「アイファー」、1997年(平成9年)にカバ舎、1998年(平成10年)にサイ舎を開設。2000年(平成12年)には「アフリカサバンナゾーン草食動物エリア」、2004年(平成16年)1月31日には「アジアの熱帯雨林ゾーン」、2006年(平成18年)9月には「アフリカサバンナゾーン肉食動物エリア」が開設され、従来の系統分類展示型から環境デザインが一変した。
2007年6月には入場者数を増やすためビジネスパートナーを初めて公募、150社を超える多数の企業が関心を示した[15][16]。
2016年7月21日、天王寺動物園の新たな改革案として、「天王寺動物園101計画」の素案が発表された[18]。20年の長期計画で施設の整備も進めていく予定である。
2007年4月16日、オスのチンパンジーのプテリが、健康診断のために麻酔をしたが、効き目が不十分で逃げ出し、ホッキョクグマ舎に逃げ込んだ。ホッキョクグマとは諍いは起きず、獣医により麻酔銃で眠らされて捕獲された。当日は休園日であり入場者はいなかった[23]。
2023年10月17日もメスのチンパンジーが脱走して急遽臨時休園措置が取られた。
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