旭川市旭山動物園
北海道旭川市にある動物園 ウィキペディアから
北海道旭川市にある動物園 ウィキペディアから
旭川市旭山動物園(あさひかわしあさひやまどうぶつえん)は、北海道旭川市東旭川町倉沼にある旭川市が運営する動物園。通称は旭山動物園。
日本最北の動物園。園内の一貫したテーマは、『伝えるのは、命』。
動物の自然な生態が見られる行動展示(後述)を実施して、一躍有名になった。1997年以降は入園者数が増加し、北海道を代表する観光地として定着している。日本国内だけではなく海外[5]からも数多くの観光客が訪れている。2004年6月の「あざらし館」公開以降は7月は18万5,461人、8月は32万1,500人と、恩賜上野動物園を抜いて日本一の月間入園者数を記録した。2006年度の入園者数は300万人を超え、350万人の来園者があった上野動物園に次いで国内2位[6]、2010年以降は、愛知県の東山動植物園に抜かれ第3位[7][8]になったが世界レベルでも上位の入場者数を記録している。寒冷地域に生息する動物の飼育繁殖に実績があり、旭山動物園が国内で初めて飼育下での自然繁殖に成功した動物にホッキョクグマ、アムールヒョウ、コノハズクなどがいる。
日本の動物園で一般的な、動物の姿形を見せることに主眼を置いた「形態展示」ではなく、行動や生活を見せる「行動展示」を導入したことで注目を集めた。
ペンギンのプールに水中トンネルを設ける、ライオンやトラが自然に近い環境の中を自由に動き回れるようにするなど、動物たちが動き、泳ぎ、飛ぶ姿を間近で見られる施設造りを行っている。環境エンリッチメントとして、冬のペンギンの運動不足解消から始められた雪の上の散歩は人気イベントで、積雪時に限り毎日開催される。このほか、食事時間をもぐもぐタイムと称し[10]、動物の行動を展示する催しも行われている。旭山動物園の行動展示は今後の動物園展示の指針として国内外の動物園関係者が視察に訪れるなど注目されている。
異なる動物を同じ場所で飼育する「混合展示」も新たな取り組みとして試みられている。現在はゴマフアザラシとオジロワシ・オオセグロカモメ、ジェフロイクモザルとカピバラ、ニホンザルとニホンイノシシの混合展示を行っている。過去にはペンギン館でアザラシの仔を飼育していたことがあるほか、マルミミゾウとモモイロペリカンの混合展示もあった。動物同士のストレス解消などの狙いがある。
かつて動物園は大都市にしかない施設であり、北海道では1951年にようやく札幌市円山動物園が開園した。高度経済成長の到来した1960年前後から全国の地方都市で盛んに動物園が建設されるようになり、1963年にはおびひろ動物園が開園した。
旭川市でも動物園開設を求める声が大きくなり、当時の五十嵐広三市長(後の建設大臣・内閣官房長官)が、1964年度以降開園へ向け予算をつけた。建設地には市内数カ所の候補があったが、地形や地質が適していたこと、また市内中心部から旭川電気軌道の路面電車(旭川電気軌道東旭川線、1972年限りで廃止)が運行されていたことなどが決め手となり、市の東部にある旭山が選ばれた。1966年4月着工、1967年6月完工、総事業費は約2億5千万円であった。各地に預託されていた動物を運び入れて開園したのは1967年7月1日である。当初の動物は75種505匹だった。なお、これにはコイ200匹も含まれている。当時は動物園以外に遊園地も併設されており、観覧車やメリーゴーラウンド、ジェットコースター(1983年設置)などが設けられていた[11]。
当初40万人ほどだった年間入園者数は、旭川市の人口増とともに右肩上がりに増加したが、1983年の約59万7千人をピークに減少に転じた。1994年にはニシローランドゴリラ[12]とワオキツネザルが相次いでエキノコックス症で死亡するという事態が発生、施設面も含めて予防策を検討するために8月27日で営業を切り上げた。人間への感染の恐れはほとんどなかったが、市民の不安は大きく、入園者減少に追い打ちをかける形となった。1996年には約26万人まで入園者数は落ち込んだ[12]。
これを打開すべく、1997年より行動展示を実現する施設づくりに着手した。同年には巨大な鳥籠の中を鳥が飛び回る「ととりの村」が完成。翌年以降「もうじゅう館」、「さる山」、「ぺんぎん館」、「オランウータン舎」、「ほっきょくぐま館」、「あざらし館」、「くもざる・かぴばら館」、チンパンジーの森と毎年のように新施設をオープンさせ、そのたびに入園者を増やしていった。一方で遊園地の遊具の更新はほとんど行われなくなり、結局2007年に遊園地自体を廃止した[11]。
2005年11月15日、NHKの番組「プロジェクトX〜挑戦者たち〜・旭山動物園〜ペンギン翔ぶ〜」に取り上げられた。また、2006年5月13日には、フジテレビ系列で旭山動物園をモチーフとしたスペシャルドラマ「奇跡の動物園〜旭山動物園物語〜」が放送、次いで2007年5月11日、2008年5月16日に続編が放送され、その後もたびたびドラマの撮影や映画の撮影が行われている。
年間入園者数は、2005年度には前年比55万人増の206万人、2006年度には304万人、2007年度には307万人を記録している。恩賜上野動物園の350万人に肉薄し、夏休み期間中はそれを凌ぐ入場者を集め、北海道を代表する観光地のひとつとなった。なお、入園者数は2007年度をピークにその後はブームの沈静化に伴い減少に転じたが、2011年度頃からは160万人台の入園者数となって減少に歯止めがかかった(2015年度現在)。現在でも恩賜上野動物園・名古屋市東山動植物園に次ぐ日本第3位の入園者数を誇り、2位までの動物園が大都市にあり、かつジャイアントパンダやコアラなどの集客力のある動物を飼育していることを考慮すると驚異的な成績と考えられる。展示施設はその後も毎年のように充実を続けており、今でも北海道を代表する観光地のひとつであることに変わりはない。特に外国人の来園が多く、北海道に外国人観光客を誘致するための重要な観光地のひとつと位置づけられている。
Webページではマイクロソフトと連携し、Microsoft Windows Vistaの標準機能であるWPFを活用した、旭山動物園の紹介や動物について詳細に紹介する無料コンテンツ「Mother Earth〜母なる地球」が2007年に作られた。
2009年4月には、旭川市が制定した旭山動物園オフィシャルサポーター制度で承認された「あさひやま"もっと夢"基金応援サイト 旭山動物園モバイル」がJNN系列である北海道放送よりリリースされ、「あざらし館」「ほっきょくぐま館」「ぺんぎん館」のライブカメラや、開園当時の様子などの貴重なテレビ放送の動画を配信した。2013年3月のHBCフィーチャーフォン向け有料サービス終了に伴い配信を終了。
北海道北部に位置する動物園のため、北方系の動物の展示が多い傾向にある。主に斜面地建築物構造の建物となっている。
かつては「ノシオ」と言う名のミナミシロサイが展示されていたが、2009年11月17日に腎不全で死亡[25]。このため、北海道の動物園からはサイが見られなくなった。また、ゾウもいなくなったため、北海道には円山動物園に5頭アジアゾウがいるのみである[26]。また、開園以来48年飼育していたアメリカアリゲーターが2015年5月に死亡した。
西門と東門、しろくま館隣に食堂を設置する。園内への弁当持ち込みは可能。ただし、バーベキューなど火気の使用は禁止されている。
旭山動物園限定のお土産やグッズも販売される。正門と東門の売店付近に設置されているカプセルトイ「旭山動物園カプセル・ズー」では動物園の完全オリジナル商品が購入可能。原型制作を海洋堂が手がけ、ホッキョクグマが水中に飛び込むシーンや、キングペンギンの散歩など、旭山動物園を代表する光景がヴィネット(情景模型)として再現されている。全6種類、各300円。
2023年11月11日(2023年度冬期開園開始日)現在[28][29]。
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