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ホッカイドウ競馬(ホッカイドウけいば)は、北海道が主催する地方競馬の名称である。
1986年までは道営競馬(どうえいけいば)の名称を用いていた。
主催者は北海道庁(担当部局は農政部)。開催実務は、2008年まで「北海道競馬事務所」が担当していたものの、2009年度より「一般社団法人北海道軽種馬振興公社」(HRA)が受託している[1][2]。地方競馬の主催者が開催業務を公社に全面委託するのは全国初の試みとなった[要出典]。
過去に開催していた競馬場も含め競馬場施設はいずれも賃借しており、純然たる「自前」の競馬場は持っていない(ただし、門別競馬場は土地所有者が北海道軽種馬振興公社であることから、自前に近い状態ともいえる)。
場外発売については「ホッカイドウ競馬が運営する場外発売所」節も参照。
従前より札幌競馬場・函館競馬場・帯広競馬場・旭川競馬場・岩見沢競馬場の5箇所を巡回しながら開催していたが、道内不況の長期化やレジャーの多様化に加え中央競馬等との競合などの要因による売上の伸び悩みから赤字運営が深刻化したため、1997年限りで函館・岩見沢・帯広での開催を廃止し、代わって門別トレーニングセンターを改装した門別競馬場を新設、札幌・旭川を含めた3場での開催に集約した。
その後も開催競馬場の集約は進み、まず旭川競馬場での開催が2008年をもって終了し、2009年は札幌と門別の2場で開催。2010年度からは札幌競馬場での開催も休止され、全日程が門別競馬場での開催となった。ただし札幌競馬場の開催権は引き続き保持しており、収支の状況を見ながら札幌での開催を再開する可能性も残している。
ホッカイドウ競馬の競走編成の特徴として、2歳馬戦に力を入れていることが挙げられる。
また牝馬戦を充実させる方向性も明確化され、その一つとしてブリーダーズゴールドカップが2014年から牝馬限定戦に変更された。競走馬の流通では牡馬が先に売れてゆき、牝馬が残りがちになるため、ホッカイドウ競馬の在籍馬に牝馬が多い(2歳馬では6割が牝馬)。牝馬戦の充実はこういった事情を活かし、馬産地に立脚した競馬を目指していくものとしている[29]。また、牝馬限定の重賞競走も2013年にブロッサムカップ(2歳牝馬)、2014年にフルールカップ(2歳牝馬)、2015年にヒダカソウカップ(3歳以上牝馬)が新設された。
古くから騎手交流が盛んであり、1980年代には海外から女性騎手を招待し、騎乗させるなど積極的な騎手交流が行われた。現在も他地区の騎手が期間限定騎乗したり、廃止された競馬場から騎手を積極的に受け入れており、中津競馬場から移籍してきた服部茂史はリーディングジョッキーのタイトルも獲得している。
上述の函館競馬場や札幌競馬場で行われるJRAの競走では、騎手もスポット騎乗を行っており、ホッカイドウ競馬よりも高い中央競馬の賞金や手当は貴重な収入源となっている。
市場で買い手がつかなかった馬を生産牧場が法人馬主として所有したり、関係者の名義で所有するケースが多いことから、他地区の地方競馬に比べオーナーブリーダーの比率が高い。これは市場などで売れ残った馬の一部を生産者が自ら保有し、ホッカイドウ競馬で育成し競わせることで力をつけさせて売却を目指す側面も併せ持ち、北海道軽種馬振興公社専務理事の井村勝昭は『ホッカイドウ競馬は馬産地にとってのセーフティネット(救済策)』と位置づけている[30]。
公式の競走成績表では従来走破タイムのみ掲載していたが、2005年8月16日から上がり3ハロンタイム[31]を、同年8月18日から上がり4ハロンタイムを掲載するようになった[32]。
以前は開催日程に左右され、年毎に開催地や距離がたびたび変更される競走も多かったが、2010年度以降は門別単独開催となったため、全ての競走を門別競馬場で施行している。
前述の通り、2歳馬による重賞競走も多い。
2002年からホッカイドウ競馬独自のグレード制(H1・H2・H3)を採用した。ただしダートグレード競走には独自グレードを格付けせず、統一格付けのみ表記している。
2024年度の重賞競走は以下の通り[33]。★はダートグレード競走(中央競馬や他地区の地方競馬所属馬も出走可能)、○は地方競馬全国交流競走(他地区の地方競馬所属馬も出走可能)を表す。
ダートグレード競走を除き、すべてJRA認定競走。
2023年現在、トヨクラダイオー(1981年)・モミジイレブン(1999年)・ミヤマエンデバー(2001年)・クラキンコ(2010年)・リンゾウチャネル(2019年)・ラッキードリーム(2021年)・ベルピット(2023年)の7頭が三冠を達成している。
サラ系・アラ系とも、廃止年が早かった順に記載している。格付けは廃止当時のもの。
以下の競走が行われており、いずれも勝馬が認定馬となる。
2012年度より、2歳重賞競走(ダートグレード競走を除く)の優勝馬もすべて認定馬となる。
2014年度は、全国の地方競馬で最多となる118競走(新馬・未勝利・上級認定競走・重賞の合計)を施行[70]。新馬・未勝利戦でJRA認定競走を行っているのは、2012年以降ホッカイドウ競馬のみとなっている。
ホッカイドウ競馬で施行される以下の競走をステップとして、JRAで施行される特別指定交流競走へ出走が可能になる(出走要件・競走施行日は2024年のもの[72])。
優勝馬の馬主または生産牧場に対し、副賞として「特定種牡馬への次年度の種付権」を与える競走。当初はホッカイドウ競馬のみで行われていたが、その後岩手(盛岡・水沢)、東海・北陸地区(名古屋・笠松・金沢)、兵庫(園田・姫路)の「HITスタリオンシリーズ」[73][74]、高知・佐賀の「高知・佐賀スタリオンシリーズ」[75]も実施されている。
ホッカイドウ競馬の馬主には生産牧場の関係者が多いことから、時には賞金よりも価値が高くなる場合もある。種付権が不要な場合は換金することも可能。また新規供用開始された種牡馬も一部含まれており、注目度は高い。
名称は、対象となる競走が特別競走の場合は「(種牡馬名)賞」となり[注 4]、重賞競走の場合は「第54回道営記念〔H1〕(ゼンノロブロイ賞)」のように種牡馬名がサブタイトルとなる。
シリーズのうち、新規供用開始種牡馬の種付権が付与される競走(2021年)は以下のとおり[77]。
種牡馬の名称を冠して賞金を贈呈する競走[78]。ただしスタリオンシリーズ競走のような種付権などの副賞はない。2007年度に、JBC協会より寄贈された特定種牡馬の種付料を元に賞金とし、その種牡馬名を冠した特別競走を実施したのが始まりである[79]。
2021年は以下の17競走を施行[77]。ただし「ドゥラメンテ・プレミアム」(9月8日施行)については、同馬が8月31日に死亡したことを受け、その功績を称えるため「ドゥラメンテ・メモリアル」の名称に変更して施行された[80]。
平日(土日ではない祝日を含む)のみの開催となっている。原則として火曜から木曜・もしくは水曜と木曜(頭数が揃いにくい開幕直後など)の週2-3日開催。2011年からは祝日に限り、金曜日に開催を行う場合がある。以前は月曜開催もあったものの2001年以降は廃止している。
1986年までの開催日程は原則土・日を含めた3-6日開催であり、競馬場によって開催する曜日も異なっていた。1984年まではギャンブルホリデーであった火曜以外の曜日で土日中心に編成された。札幌競馬場では当時の中央競馬開催終了後に8月から10月の開催が定着していた。中央競馬の札幌開催が行われる6月から7月は札幌圏の売上が期待できないため、平日中心の開催であった。
1980年代半ばまでは集計の都合上、北海道地区における中央競馬の場外発売では投票締切が発走予定時刻の30分以上前であった。その後中央競馬が北海道地区での場外発売網を充実させ、集計がコンピューター化されたことで締切時間のタイムラグが無くなった事などから、土日の開催を終了した。
2014年は4月23日から11月13日まで15回・80日間開催。門別競馬場で全日程ナイター開催(グランシャリオナイター)[82]。
他地区の地方競馬と異なり長期休催期間があるため、一部の騎手は冬季に南関東など他地区で騎乗する事があるほか、中央競馬で騎乗する例もある。馬も一時的に他地区に移籍する事もある。調教師や厩務員は管理馬の世話はもちろんの事、早々に入厩する2歳馬の馴致やトレーニング、調教、能力検査といった多数の作業があり、冬期休催中であっても仕事は多い。
2002年頃からは売上増加や新規ファン獲得のため、以下の独自施策を展開している。
2001年からの経営再建5カ年計画が順調に進んだことを受けて、2005年11月、北海道知事・高橋はるみは「2006年度以後も、当面向こう3年間を目途に競馬開催を続行する」ことを正式に発表した。ただし、この時点で北海道は「2005年度の赤字額を半分程度に減らすこと」「単年度収支を均衡させるための見通しをつけること」を存続の条件としており、この条件を満たせない場合は3年の期限を待たずに廃止することも視野に入れるとしていた。
その後北海道は2008年3月に「北海道競馬改革ビジョン」を策定し、更なる運営改善と収支均衡を目指した施策を実行に移す一方で、この見通しが破綻した場合は競馬事業を廃止する方針も打ち出している[83]。
「北海道競馬改革ビジョン」では、以下のような施策もあわせて打ち出している。
ミニ場外発売所「Aiba」を道内各地へさらに拡大する一方、運営効率で劣る既存の場外発売所を閉鎖し、新たにミニ場外を設置するなどスクラップアンドビルドの方針が鮮明になった。また首都圏など道外では南関東地区の電話投票システム「SPAT4」や「楽天競馬」での発売を足がかりに更なる販路拡大を目指している。
2010年10月6日には高橋知事が北海道議会において「単年度の収支均衡が期待でき、その後も地方競馬の共同馬券発売システムの運用開始などで収益の向上が期待できる」などと発言し、2011年度以降も競馬開催を存続する方針を表明し[84]、最低5年程度の中長期的な「ビジョン」を立て(2011年3月策定[85])議論などを進めていくとしている[86]。この結果、2011年以降は3年連続で目標売上額を達成。2013年度は前年度比116.4%と大幅に伸び、単年度収支も1億7753万1000円の黒字となり、1991年以来22年ぶりに単年度黒字を計上した[10]。
年度 | 開催日数 | 増減 | 売得金額 | 前年度比(%) |
---|---|---|---|---|
2005(平成17) | 87 | 3 | 114億2169万5500円[87] | 101.5 |
2006(平成18) | 85 | -2 | 118億124万7900円[88] | 103.3 |
2007(平成19) | 83 | -2 | 118億7803万8400円[89] | 100.7 |
2008(平成20) | 82 | -1 | 113億4015万8200円[90] | 95.5 |
2009(平成21) | 81 | -1 | 114億9270万8600円[91] | 101.3 |
2010(平成22) | 80 | -1 | 112億4161万3700円[92] | 97.8 |
2011(平成23) | 80 | 0 | 114億7311万3700円[93] | 102.1 |
2012(平成24) | 80 | 0 | 119億1820万8800円[94] | 103.9 |
2013(平成25) | 79 | -1 | 138億7574万3800円[95] | 116.4 |
2014(平成26) | 80 | 1 | 155億4258万8580円[96] | 112.0 |
2015(平成27) | 80 | 0 | 167億4105万7640円[97] | 107.7 |
2016(平成28) | 80 | 0 | 202億1384万7700円[98] | 120.7 |
2017(平成29) | 80 | 0 | 244億6162万3640円[99] | 121.0 |
2018(平成30) | 76 | -4 | 250億2501万460円[100] | 107.7 |
2019 (平成31/令和1) |
80 | 4 | 329億9935万2360円[101] | 125.3 |
2020(令和2) | 82 | 2 | 520億4480万6060円[102] | 157.7 |
2021(令和3) | 82 | 0 | 522億9969万2470円[102] | 100.4 |
デビュー前の2歳新馬や、中央競馬など他の競馬場から転入してきた馬には「能力検査(能検・専門紙では能試とも呼ばれる)」が義務付けられ、これに合格しなければレースには出走できない。これは地方競馬でのみ行われているものであり、JRAにはない制度である。
能力検査の模様は公式HPで成績表及び動画が見られる他、2歳新馬の能力検査の模様はフレッシュチャレンジのレース前にも放映される。また門別競馬場でも、一部の能力検査を一般のファンに公開している。
従来、他地区の広域場外発売時はホッカイドウ競馬が発売しない賭式を発売していなかったが、2012年2月20日以降の発売から発売主体に準じてすべての賭式を発売する。これに伴い、マークカードも改められた。導入開始時期は発売所により多少異なる[113]。
また、2012年10月3日(当初予定から1日延期)から日本中央競馬会(JRA)が運営するインターネット投票(IPAT)において地方競馬の勝馬投票券を発売開始するのにあわせ、10月2日よりホッカイドウ競馬でもワイドの発売が開始された[114][115]。
2014年8月19日より、インターネット投票サービス「SPAT4」限定で「トリプル馬単(3重勝馬番号二連勝単式)」を発売開始[116]。
○…発売 △…他地区場外発売のみ ★…インターネット投票のみ(2014年8月19日より)
単勝 | 複勝 | 枠番連複 | 枠番連単 | 馬番連複 | 馬番連単 | ワイド | 3連複 | 3連単 | 3重勝馬番連単 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ★ |
2012年10月3日より、以下の在宅投票に対応。
以下の専門紙が販売されている。
2014年6月24日より、ローソンに設置されているマルチコピー機において競馬ブックのネット新聞が有料でプリントアウトできるようになった[118]。2015年2月17日からはファミリーマートやサークルK、サンクスでもサービスを開始した[118]。会員登録も必要無く、全国で利用可能。
道内で発行しているスポーツ新聞では、主に後半5 - 6レースが馬柱で掲載されており、概ねばんえい競馬よりも大きく扱われている。また一般紙の「北海道新聞」には、メインレースのみ簡易出走表と予想印を掲載している。北海道新聞掲載の予想印は道新スポーツの「本紙」の予想印と同じである。北海道新聞には前日の開催成績と売上金額も掲載される。
東京都内で発行のスポーツ報知や日刊スポーツでも、概ね後半2-3レースが馬柱で掲載されている。相互発売が多いため、同じ平日開催の名古屋競馬や園田競馬よりも扱いが非常に大きい。
ホッカイドウ競馬の全競走を発売するほか、一部を除き南関東地区を中心とした道外の地方競馬を広域場外発売する。なお、開催中の競馬場は本場となる。
ばんえい競馬の場外発売も実施する。ただし一部開催日・発売所において取り扱いがない場合もあるため、ばんえい競馬ならびにホッカイドウ競馬の公式サイトを参照のこと。
2001年より「Aiba」の愛称で、小さい面積で運営できる場外発売所を道内各地に展開[119]。地方都市中心部の空き店舗などを有効活用し、数台の発売機と2台ほどの払戻機にモニターを設置し、従来の場外発売所に比べ低コストで運営ができる施設として予想以上の収益を上げた。
2013年3月23日より(Aiba浦河のみ8月10日より[120])門別競馬場と各場外発売所で日本中央競馬会(JRA)の場外発売を開始し、「J-PLACE」の呼称も併用している[121]。ただし2018年9月26日に再開業したAiba札幌駅前では、その時点ではJ-PLACEの取り扱いがなく[122]、その後に2019年9月28日の競走から取り扱いを開始する予定と発表された[123][124](2015年3月31日まで営業していた旧施設では取り扱いはあった)。
以下、いずれも北海道内に所在。
以下のばんえい競馬が運営する場外発売所では、ホッカイドウ競馬を場外発売している。
以下の発売所で、ホッカイドウ競馬の場外発売を行っている。発売日程・発売対象競走は、ホッカイドウ競馬の公式サイトで随時発表されているためそちらを参照のこと。
南関東公営競馬の発売所
その他、下記の発売所でも定期的に発売を行っている。
上記以外の発売所でも、広域場外発売を実施する場合がある。詳細は主催者発表などを確認のこと。
2014年度は下記の事業者が中継放送を実施する他、公式サイトやUstreamでもレース実況を同時配信している。2016年度より場内映像がハイビジョン化された[151]。
2014年度はスカパー!プレミアムサービスにて、以下の通り放送。
道内のラジオ局では、ワイド情報番組内でホッカイドウ競馬に関するコーナーを設けている。
上記のほか、開幕直前には道内各局のテレビ・ラジオ番組でホッカイドウ競馬が取り上げられることもある。
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