Mastercard contactless(マスターカードコンタクトレス)は、Mastercardの決済(電子決済)サービスである。但し、日本では、Mastercardタッチ決済と呼称している。
概要
近距離無線通信 (NFC) を採用し、EMVに準拠する電子決済(非接触決済)サービスである。
1999年11月、「OneSmartPaypass」として米国で実証実験を開始。翌2000年10月、「OneSmartPaypass」の実証実験が成功。アメックス、JCB、VISAへ技術供与する。
2002年、「OneSmartPaypass」を「PayPass」へ名称変更してサービス開始[1]。世界初の非接触決済サービスの誕生である。
しかし、日本では、それに先駆け2001年に、当時のビットワレット(後の楽天Edy[2])が、非接触決済サービス「Edy」(現在の楽天Edy)をサービス開始している[3]。
アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、スイス、トルコ、日本、韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、レバノン、オーストラリアなどで展開が行われている。特に普及しているのはアメリカで、ガソリンスタンド、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ファーストフードなどで利用できる。
また、台湾の高雄捷運[4]や桃園捷運[5]、シンガポールの陸上交通庁[6]では公共交通機関の乗車にも利用できる。日本では、2024年から同サービスに対応している[7]。
利用方法
対応する非接触ICを搭載するカード(ICカード)や携帯機器で利用する事が出来る。
対応する決済端末にカードや携帯機器を翳せば決済が完了する。ただし、一定の金額(国や地域によって異なる)以上を支払う場合は、磁気ストライプカードで決済する際と同様に署名を求められる事がある。
カード
携帯機器
携帯機器で利用するには、Appleの Apple Pay、Googleの Google Pay、Samsungの Samsung Pay、Garminの Garmin Pay、Fitbitの Fitbit Pay などのデジタルウォレットに対応しているスマートデバイスが必要である。ただし日本では、Androidを搭載するスマートフォン(一部を除く)に限り、楽天ペイメントの楽天ペイアプリで楽天カードを利用することも可能である。
対応機種
Apple Pay
Apple Pay で利用するには、 Apple Pay に対応するAppleのiPhone又は Apple Watch が必要である。
iPhone
Apple Pay に対応しているiPhoneは、次の通りである[8]。
- Touch ID 搭載モデル
- Face ID 搭載モデル
- iPhone X
- iPhone XS/XS Max
- iPhone XR
- iPhone 11
- iPhone 11 Pro/11 Pro Max
- iPhone 12/12 mini
- iPhone 12 Pro/12 Pro Max
- iPhone 13/13 mini
- iPhone 13 Pro/13 Pro Max
- iPhone 14/14 Plus
- iPhone 14 Pro/14 Pro Max
- iPhone 15/15 Plus
- iPhone 15 Pro/15 Pro Max
- iPhone 16/16 Plus
- iPhone 16 Pro/16 Pro Max
Apple Watch
Apple Pay に対応している Apple Watch は、次の通りである[8]。
- Apple Watch (第1世代)[9]
- Apple Watch Series 1[9]
- Apple Watch Series 2[10]
- Apple Watch Series 3
- Apple Watch Series 4
- Apple Watch Series 5
- Apple Watch SE (第1世代)
- Apple Watch Series 6
- Apple Watch Series 7
- Apple Watch SE (第2世代)
- Apple Watch Series 8
- Apple Watch Ultra
- Apple Watch Series 9
- Apple Watch Ultra 2
- Apple Watch Series 10
Google Pay
Google Pay で利用するには、 Androidを搭載するスマートフォン又はWear OS を搭載するスマートウォッチにGoogleウォレットがインストールされている必要がある。
楽天ペイ
楽天ペイで利用するには、Androidを搭載するスマートフォンに楽天ペイがインストールされている必要がある。ただし、一部機種は対応していない[11]。
日本
歴史
2004年にオリエントコーポレーション(Orico)がPayPass(現在のMastercardタッチ決済)の実証実験を始めると発表した[1]。
2005年にポケットカードが伊藤忠エネクスと提携し発行する「CARENEX itsumoカード」の会員にキーホルダー型非接触ICデバイスを配布し、PayPass(現在のMastercardタッチ決済)の実証実験を行った[12]。
2006年にOricoがイクスピアリと提携し発行する「イクスピアリカード」にPayPass(現在のMastercardタッチ決済)を搭載し、合わせて、イクスピアリにPayPass(現在のMastercardタッチ決済)を導入した[13]。
2008年に当時のソフトバンクモバイル(現在のソフトバンク)らが、PayPass(現在のMastercardタッチ決済)に対応するアプリケーションソフトウェアを搭載したSIMカードを差し込んだ携帯電話を使用した決済のフィールド実証実験を日本で初めて行った[14]。同年にKDDIも、PayPass(現在のMastercardタッチ決済)に対応するアプリケーションソフトウェアを搭載するau ICカードを差し込んだ携帯電話を使用した決済の実験を行い[15]、2009年にKDDIらがフィールド実験[16]、2010年にKDDIらが実証実験を行った[17]。2011年に当時のソフトバンクモバイル(現在のソフトバンク)らも実証実験を行っている[18]。
2014年2月5日からiD/PayPass(後のiD/NFC)が開始し、NTTドコモが発行する「DCMX」(現在の「dカード」)が対応した[19]。同年3月5日からOricoが発行するクレジットカードが対応した[20][21]。iD/NFCは、2018年7月31日を以て終了した[22]。
また、ジャックス(JACCS)は、2016年4月1日からジャックスモバイル決済サービス(JACCSモバイル決済サービス)の受付を開始したが[23]、2018年10月31日を以て終了した[24]。
2017年9月20日にAppleが公開した iOS 11.0 及び watchOS 4.0 から日本で発行されているMastercardブランドのクレジットカード及びプリペイドカードが Apple Pay を利用するMastercardコンタクトレス(現在のMastercardタッチ決済)に対応した(一部を除く)[25]。
2022年10月4日に楽天ペイが楽天カードタッチ決済を採用し、楽天カードが発行するクレジットカードが対応した[26]。
2024年7月17日にPayPayカードが発行する「PayPayカード」がMastercardブランドのクレジットカードで日本で初めて Google Pay に対応した[27]。
プリペイドカードでは、三井住友カードが2018年11月24日に市立吹田サッカースタジアム(パナソニックスタジアム吹田)に於いて「Jリーグプリペイドカード」と共に配布したリストバンド型プリペイドカードがMastercardコンタクトレスに対応していたが[28]、発行から2年が経ち、有効期限切れとなった。
デビットカードでは、2019年4月1日に住信SBIネット銀行が日本で初めてMastercardコンタクトレス(現在のMastercardタッチ決済)を搭載する「ミライノデビット」(現在の「デビットカード」[29])を発行した[30]。2022年4月18日に同行が発行する「デビットカード」がMastercardブランドのデビットカードで日本で初めて Apple Pay に対応した[31]。同年5月19日に同行が発行する「デビットカード」がMastercardブランドで日本で初めて Google Pay に対応した[32]。
対応するカード
クレジットカード
日本では、次表に記載する各社が発行するクレジットカード(一部を除く)が対応している。
デビットカード
日本では、次表に記載する各社が発行するデビットカード(一部を除く)が対応している。
発行元 | カード | Apple Pay | Google Pay |
---|---|---|---|
楽天銀行 | Yes | No | No |
住信SBIネット銀行 | Yes | Yes[33] | Yes[44] |
GMOあおぞらネット銀行 | Yes | No | No |
プリペイドカード
日本では、次表に記載する各社が発行するプリペイドカード(一部を除く)が対応している。
発行元 | カード | Apple Pay | Google Pay |
---|---|---|---|
三井住友カード | No | Yes[33] | No |
メルペイ | No | Yes[33] | No |
JALペイメント・ポート | Yes | Yes[36] | No[37] |
auペイメント | Yes | Yes[36] | No |
トラベレックスジャパン | Yes | No | No |
ワイズ・ペイメンツ・ジャパン | Yes | No | No |
日本の主な加盟店
括弧内は主な屋号を示す(一部の店舗を除く)。
- Apple (Apple)
- 日本郵便 (郵便局)
- 京王百貨店
- 三菱地所 (丸の内ビルディング・新丸の内ビルディング)
- 森ビル (六本木ヒルズ・表参道ヒルズ)
- イオンリテール (イオン・イオンスタイル)
- イオンリテールストア (イオン・イオンスタイル)
- ダイエー (ダイエー・グルメシティ・フーディアム・イオンフードスタイル・CoDeli)
- マルエツ (マルエツ・マルエツ プチ・リンコス)
- まいばすけっと
- ライフコーポレーション (ライフ・ビオラル・セントラルスクエア・Miniel)
- イトーヨーカ堂 (イトーヨーカドー・ヨークマート・ヨークフーズ・ヨークプライス・コンフォートマーケット)
- セブン-イレブン・ジャパン
- ファミリーマート (ファミリーマート・ファミマ!!・TOMONY)
- ローソン (ローソン・ナチュラルローソン)
- ローソンストア100
- ミニストップ
- ポプラ (ポプラ・生活彩家・くらしハウス・スリーエイト)
- 日本マクドナルド
- モスフードサービス
- ドトールコーヒー (ドトールコーヒーショップ・エクセルシオール カフェ・カフェ レクセル・ル カフェ ドトール・梟書茶房・ドトール珈琲店・ドトール珈琲農園)
- ゼンショーグループ
- すかいらーくレストランツ (ガスト・バーミヤン・しゃぶ葉・ジョナサン・夢庵・ステーキガスト・から好し・むさしの森珈琲・藍屋・魚屋路・chawan・La Ohana・グラッチェガーデンズ・とんから亭・桃菜・ゆめあん食堂・八郎そば・三〇三)
- サイゼリヤ
- カッパ・クリエイト
- あきんどスシロー
- ウエルシア薬局
- カルチュア・コンビニエンス・クラブ (蔦屋書店・TSUTAYA・TSUTAYA BOOKSTORE・TSUTAYA Trading card)
- 文教堂
- ブックファースト
- 千葉マリンスタジアム
- PLANT
- 阪急阪神ホテルズ
- 関西エアポート (関西国際空港・大阪国際空港)
- 関西エアポート神戸 (神戸空港)
- 日本コカ・コーラ (自動販売機)
日本の主な交通機関
CM
- 米国でPayPass(現在のMastercard contactless)のテレビCMに、小林尊とソンヤ・トーマスが出演していた。共に「国際ホットドッグ早食い選手権」の優勝経験者。
脚注
関連項目
外部リンク
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