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日本のファストフードチェーン ウィキペディアから
モスバーガー(MOS BURGER)は、株式会社モスフードサービス(英称:MOS FOOD SERVICES, INC.)が展開する日本発祥のハンバーガー(ファストカジュアル)チェーン、および同店で販売されているハンバーガーである。
本社が入居するシンクパークタワー | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
機関設計 | 監査役会設置会社[2] |
市場情報 | |
略称 | モス、モスフード |
本社所在地 |
日本 〒141-6004 東京都品川区大崎二丁目1番1号 ThinkPark Tower 4階 |
設立 |
1972年(昭和47年)7月21日 (株式会社モス・フード・サービス)[1] |
業種 | 卸売業 |
事業内容 | フランチャイズチェーンによるハンバーガー専門店「モスバーガー」の全国展開、その他飲食事業など |
代表者 |
櫻田厚(代表取締役会長) 中村栄輔(代表取締役社長) |
資本金 | 114億1,284万円(2019年3月末現在) |
売上高 |
連結:709億2909万4000円 単独:523億4600万円 (2017年3月期) |
営業利益 |
連結:46億6388万2000円 単独:38億2300万円 (2017年3月期) |
純利益 |
連結:30億6152万4000円 単独:23億5800万円 (2017年3月期) |
純資産 |
連結:461億4022万円 単独:423億4900万円 (2017年3月31日現在) |
総資産 |
連結:615億8919万7000円 単独:550億6300万円 (2017年3月31日現在) |
従業員数 | 1,377人(2021年3月現在) |
支店舗数 |
直営店:37 加盟店:1,253(2020年1月末時点) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
紅梅食品工業(株) 4.37% (株)ダスキン 4.11% (株)ニットー 3.79% 日本生命保険相互会社 3.78%(2016年9月30日現在) |
主要子会社 |
(株)モスクレジット 100% (株)エム・エイチ・エス 100% (株)四季菜 100% |
関係する人物 | 櫻田慧(創業者) |
外部リンク |
www |
日本人の好みにあったハンバーガーを提供することを掲げ、日本のハンバーガーフランチャイズ店でのシェアは、日本マクドナルドに次ぎ第2位。同社の公式サイトによると、2023年4月現在での店舗数は日本国内で1287店舗(直営店42、フランチャイズ加盟店1245)、国外で457店舗(後述)となっている[広報 1]。
素材を厳選し、注文を受けてから作る「アフターオーダー方式」[注釈 1]など、スローフードの要素を取り入れている(ファストカジュアル)のが特徴である。ファストフード店として分類はされているが、「ファストフード」 (fast food) という語が表すように「すぐに食べる」ことはできず、ハンバーガーという商品をメインとして扱っていることからファストフードとされているだけだとも言える[3]。
1990年代後半のマクドナルドに端を発するファストフードチェーンの値下げ戦争の中で、ハンバーガーを10円程度しか下げず、大幅な値下げを行うことはほとんどなかった。「一番売れているタバコの値段を元に“モスバーガー”の値段を考える」という、基本的なポリシーを遵守してのことである(櫻田の講演より[どれ?])。
モスバーガーのMOSは、MはMountain(山のように気高く堂々と)OはOcean(海のように深く広い心で)SはSun(太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って)という意味とされている[広報 2]。ただし、創業者・櫻田慧がモス・フード・サービスの前に起こした株式会社モスの社名には、これに加えて、Merchandising Organizing Systemの意味もある[4]。
初期にはMOST delicious hamburgerのポップを店頭に貼っていたため、一部の客からはこの略だとも思われたこともあったようだが、MOSの意味に変化はないという[3]。略称・愛称は「モス」で、それを使った「今日モス気分」などのキャッチフレーズがある。
日興証券(現・SMBC日興証券)を脱サラした櫻田慧と吉野祥が、1972年3月12日、東京都板橋区の東武東上線成増駅南口に1号店をオープンさせる(当初は丸井成増店等が入居し、後にダイエー成増店として建て替えられたショッピングセンター『成増名店街』地下で実験店を営業)。店舗は同駅近隣から増えていった経緯があり、東上線沿線に老舗店が多い。この際、アメリカのハンバーガーショップ「トミーズ (Tommy's)」を経営の参考とした。
マクドナルドとの差別化を考えていたモスバーガーは、高価格、高品質という高級路線を今日まで歩んできた。高いコストをかけてでも商品の味の向上を徹底させるという経営戦略は「日本人は味にうるさいので、食べ物はうまくなければいけない」という創業者たちの理念に基づいている。創業当時は資金不足のために他のファストフード店より宣伝力が弱く、一等地への進出も難しかったため、顧客に口コミで評判を広めてもらうことでしか事業拡大が見込めなかったことも高級化を行った理由の一つである[5]。
商品開発の際、櫻田は試作品の新開発メニューを必ず満腹の状態で試食するというポリシーがあった。「満腹の状態で食べても美味しいと感じられる商品こそが本当に美味しい食べ物である」というこだわりからであったという。
1990年代初期まではマクドナルドに似た赤地に黄色いMのロゴマークを使用していたが、白いMマークに改めている。
鳥インフルエンザの発生や外国産野菜の残留農薬の問題等が頻発して「安いだけではダメ、安心して食べられる安全で安いものがいい」という消費者の意識が高まった2004年、モスでは1996年ごろから減農薬や有機栽培の野菜を使い始めていた[広報 3] が、そのことをより広く知らせアピールするために従来赤色であった看板を「安心、安全、環境」を象徴するとして緑色へ転換し始め、従来の店舗を看板の色より赤モス、新型の店舗を緑モスとした。
同時に「ただのファストフード」からの脱却とファストカジュアルへの業態転換を目的に、一般的なファストフード店の内装からレストランに近いイメージの木目調を基調としたゆったりした内装への改装も進め、高級ハンバーガー「匠味」を始めとする緑モス限定の高級感のあるメニューの提供を始めるが、これらは「モスは高い」とのイメージを与えることになった。
当初計画では2008年度中に緑モス化を完了する予定であったが、原料価格高騰もあり不可能となった。さらに、ファストフードの領域を逸脱したメニューの提供による店舗側の混乱や、一部店舗の禁煙化によって客足が遠のいた店もあり、緑モスへの改装費用負担も相まって本社の方針に反発するフランチャイズオーナーもいた。
業績が低下したこともあり、櫻田は「緑モスの路線は間違っていない」としながらも、今後は「ルールを見直しながら緑モスへの転換を進める」としている[6]。この軌道修正を受け、赤モス・緑モスという呼称は公式には使用されなくなり、緑モス限定メニュー「モスのごはん」は「一部店舗限定」と公式サイトでは表記されるようになった。また、緑モスの代表格メニューであった匠味も、2008年に販売を終了した。
現在[いつ基準での現在?]では看板の色でのメニューの違いは無いが、新規出店や改装により順次緑モスの店舗に転換されている。一方でCMやCIマーク、海外出店(台湾、シンガポールなど)では赤モスのロゴも使用されている。この他、従来の「モスバーガー」とは異なる業態の展開や海外事業も進めている。
2018年3月には2020年3月までに国内全店舗を全席禁煙化することを発表[7]。この年、後述の食中毒事件の影響により11年ぶりの最終赤字へ転落した[8]。
2020年現在、モスバーガーはアジアを中心に8か国・地域に展開している。もっとも早い海外進出は1989年のハワイ店であったが、その後撤退。現在[いつ基準での現在?]では台湾・タイ・香港・中国・シンガポール・オーストラリア・インドネシア・大韓民国・フィリピンに展開している[広報 4]。
中でも台湾での拡大はめざましく、2022年現在で同国の首都である台北ほか各地に303店舗あり[広報 5]、ケンタッキーフライドチキンの128店舗[広報 6] に大きく差をつけ健闘している。
(この節の出典[広報 7])
日本人の味覚に合わせたソースや合挽き肉を使用したパティ(一時期牛肉100%のパティを使用)は、他の米国系フランチャイズ・チェーンとは一線を画した独特のものである。
1973年には世界で初めてテリヤキバーガーを発表。このテリヤキバーガーを売るために、常連客の女子高校生からの提案で、彼女の高校の文化祭で50個のテリヤキバーガーを無料で配るなど認知度を上げる工夫を凝らした[14][15]。
1987年には、当時日本国内で問題視されていた米余りを解決するため、パンの代わりに米をベースにしたライスバーガーが発売され、現在のモスバーガー主力メニューのひとつになった[広報 19][16]。農林水産省から表彰される。
現在[いつ基準での現在?]では生野菜の全てが日本国内の提携農家が生産したもの[広報 20] となっており、これらの野菜の一部は、モスバーガー公式オンラインショップ[広報 21] にて購入することが可能である。菜摘(なつみ)と名付けられた「パンを使わない」でレタス等の野菜だけで包むバーガーもある[17]。
2003年から一部店舗において「日本のバーガー匠味」シリーズを発売。当初価格設定が580円(チーズ入り640円)というそれまでにない高価格設定で、高級志向を打ち出す。匠シリーズは2008年に販売終了したが、味と価格のバランスを考慮し単品価格400円前後の商品として開発された「とびきりハンバーグサンド」シリーズがそのコンセプトを受け継いでおり、当商品はハンバーガーチェーンではめずらしく「国産牛肉」を売りにしている。
2015年5月19日からモスバーガーの定番商品で、肉のパティの代わりに大豆由来の植物性たんぱくを使ったプラントベースドミートである「ソイパティ」が選択可能なった[広報 22]。
2020年3月26日より、動物由来の原材料(肉、魚、卵、乳製品など)と、仏教の禁葷食である五葷を使わない「MOS PLANT-BASED GREEN BURGER(グリーンバーガー)」を東京や神奈川の9店舗で先行発売した[18]。
内装や食器にディック・ブルーナのイラストを使用した店舗。関東に4店舗存在。
ThinkParkの大崎カフェ店舗では立地条件からサラリーマンやOL層をねらった独自メニューとして、ケーキやビールジョッキをメニューに置いている。
注文から受け取りまで時間がかかることもあり、モスバーガーでは電話による注文を受け付けている。多くは持ち帰りで利用されるが、店内での飲食の場合も利用可能である。また、オフィス街にある一部の店舗では、配達も行なっている(要追加料金)。
電話で注文した利用客に対しては、受取り時に10円玉が入ったぽち袋(お年玉袋)を渡している。これは注文時の電話代であり、「利用客の電話代費用を負担する[3]」という意味である。
近年[いつ基準での近年?]では公式サイトからの注文も受け付けており、電話注文と同様にぽち袋を渡している。
モスバーガーはオリジナルキャラクターとして「モッさん」がおり、グッズやイベント等で使用している。モッさんは2009年に37歳で“アラフォーの星”としてデビューし、2012年で40歳を迎えた立派な中年である。1972年に東京都板橋区で生まれ、趣味は旅行とコスプレ(この趣味が全国モッさん図鑑に反映されている)である[19]。身体はバンズ、肉、トマト、ソースなどで構成されており、それぞれを組み替えることが可能[広報 23]。好物はモスバーガーの「モスバーガー」で、いわば同族であるハンバーガーをいくつも食べることができる[広報 24]。
2022年4月1日からはモッさんの後任として、「リルモス」をオリジナルキャラクターに起用すると同年2月15日に発表した。後述の「モス坊や」を彷彿とさせるイメージを受け継いでいる[20]。
なお、モスバーガーは1974年にも「モス坊や」というキャラクターを起用しており、1987年まで使用された[20]。
「モスワイワイこどもラボ」では、各所とコラボして 「モスワイワイセット」の子供向け玩具を開発しているほか、静岡県限定オリジナルマグカップ(美濃焼・日本製)[21] など、地域に密着したグッズ開発も行われている。その他、バンダイガシャポン経由でのストラップ[22] や、モスワイワイ福袋[23] なども企画している。
一部の店舗にNTTコミュニケーションズの公衆無線LANサービス「ホットスポット」やNTTドコモの公衆無線LAN「docomo Wi-Fi」、NTT東日本・NTT西日本の公衆無線LAN「フレッツ・スポット」のアクセスポイントを設置している。また2012年にはモスカードというプリペイドカードを設定し、個人での利用やギフトカードとしての利用を推進している[広報 25]。
モスバーガーの特徴として、他のファストフード店に比べると環境への配慮がなされているという点がある。具体的には店内の食事にはガラス製のグラス、陶製のマグカップ、金属製の食器を使用、持ち帰りには紙袋のみでビニール袋は出さないなど[広報 26](一部店舗では、お店から本部等会社への要望もあり、雨の日用としてビニール袋を使用している店舗もある)。
2004年12月18日から同20日の間に、「屋島西町店」(香川県高松市)でノロウイルスによる集団食中毒が発生、被害は148人に及んだ。同店は高松市保健所から12月21日より5日間の営業停止処分を受けるが、同25日、保健所による検査の結果、同店の従業員11名からも同ウイルスが検出された。同店は営業再開せず閉鎖[広報 27]。
2014年11月11日、「飯田橋東店」(東京都千代田区)の店頭に、中国人の女性店員を差別やいじめの対象とした黒板が立てられていたのが、ツイッターに写真付きの投稿があり発覚した。黒板に書かれていた内容は、「遅刻を何度もする中国人の女の娘に『今度遅刻したらお前の背脂でラーメン作るぞ!!』遅刻しなくなりました」というもので[24]、翌12日、モスバーガー公式サイトでは「内容は人や国を中傷する表現」と認め、同店店長が謝罪した[広報 28]。
2018年9月10日、長野県上田市天神3の「モスバーガー アリオ上田店」で、腸管出血性大腸菌O121による食中毒が発生したと発表した。県内の男子小学生2人と女子小学生1人、20代女性の計4人が感染した。これにより、上田保健所は営業者に対し、10日から3日間の営業停止を命じた。同月16日、「モスバーガー茅野沖田店」(同県茅野市)で8月18日に商品を食べた20代男女2名の下痢や腹痛症状と、うち1名の入院、2人から同じ遺伝子型のO121が検出されたことを受け、諏訪保健所(長野県諏訪市)は18日までの営業停止処分にしたと発表した[25]。この2店舗を含む関東甲信地方の19店で計28人がO121に感染した[25]。
2014年9月13日、台湾のモスバーガーを運営する現地法人(東元電機グループ[26])は、台湾で廃油を原料とした油脂が食用に流通していた問題で、同社でも主力のモスバーガーなど5つの商品に使用されていたと発表した[27]。問題となった油を製造したのは、日本の月島食品工業や三井物産グループなどが出資する、高雄市の強冠という食用加工油脂メーカーで、同社は台湾の零細業者から廃油を、香港の業者から飼料用油を仕入れていた[28]。
主にアジア地域に事業を展開。
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