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日本の囲碁の棋戦 ウィキペディアから
NHK杯テレビ囲碁トーナメント(NHKはいテレビいごトーナメント)は日本放送協会及び日本棋院が主催する囲碁の棋戦である。創設当初から第40回(1992年度)までは「NHK杯争奪 囲碁トーナメント」と称されていた。早碁のトーナメント方式で、優勝者には「NHK杯選手権者」(略称「NHK杯」)の称号が贈られ、次期の優勝者にその称号が贈られるまで主にNHKの囲碁番組内などで呼称される。棋譜はNHK出版のテキスト『NHK囲碁講座』に掲載されるほか、放送の翌日頃にNHKの公式サイトでも勝敗結果とともに掲載される。
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NHKは放送の伝達手段がラジオしかなかった1946年(昭和21年)、R2で囲碁の放送を始めた。毎週日曜日の午後1時から囲碁講座と大手合の好局の解説を始め、やがて本因坊戦や十番碁も取り上げるようになり、囲碁が定期的に放送されることになった。
特別番組として散発的にスタジオでの対局も行われていたが、1953年(昭和28年)、旧東京日日新聞在職中に実力制本因坊戦を企画し将棋のNHK杯争奪早指しトーナメントも提案した経営委員阿部眞之助の肝入りで本棋戦が開始された。
第1回は8人の出場者により、持時間50分、秒読み30秒で行い、毎週1時間ずつ、2週に分けて放送。島村利博が優勝した。また第2回までで黒番が12勝2敗と優位であったため、第3回からはコミが4目半から5目半に改められた。なお、コミは第51回以降、さらに6目半に改められた。1956年には放送時間が30分となり、持時間も25分に短縮された。
阿部が第9代NHK会長に就任した後の1961年(昭和36年)4月、NHKにおける初めての囲碁のテレビ放送として高川格とアマ本因坊村上文祥によるプロアマ本因坊の二子局が行われた。この時は、解説者と聞き手が大盤で解説を行う形で放送された。その後何回か試験的な放送がされ、1962年度第10回から本棋戦もテレビでの放送に切り替えられた。1965年には初級者コーナーが作られ、出場者も16名となり、持時間も15分となった。
出場人数は下記:
本戦には棋士50名が出場する。対局はNHKのテレビスタジオで収録され、その模様が毎年4月から翌年3月にかけて毎週1局ずつ放送される。
抽選時(前年12月末時点)において下記の条件を満たす者はシードとなる。シード順は以下の通り(2023年度現在)。なお出場棋士は前年度優勝・準優勝者を除き日本棋院・関西棋院の棋士に振り分けられる。
互先で先番に6目半のコミが課される。持ち時間は無く、一手30秒の秒読み[注 1]。ただし途中1分単位で任意の10分間の考慮時間が設けられている。
本棋戦を通算10回優勝すると、七大タイトル戦の名誉称号に相当するものとして、「名誉NHK杯選手権者」(名誉NHK杯)の称号が贈られる。2022年度終了時点で、名誉NHK杯選手権者の称号獲得者は坂田栄男(優勝11回)のみである(2012年に羽生善治が将棋の名誉NHK杯となるまでは囲碁将棋を通して唯一の称号獲得者だった)。
なお、坂田がNHK杯で打つ際は現在の選手権者同様、坂田名誉本因坊(二十三世本因坊)ではなく、坂田名誉NHK杯選手権者と呼ばれていた。
棋士 | 期 | 連覇 | 年 |
---|---|---|---|
坂田栄男 | 11期 | 3連覇 | 1957-59、61-62、64-65、72、76-77、82 |
第70回(2022年度)までの最多優勝は坂田栄男の11回であり、次いで大竹英雄、依田紀基、結城聡が5回優勝している。
連覇したのは坂田、依田、結城、井山裕太、一力遼の5人。また坂田、依田、結城は三連覇も達成している[注 2]。
最年長優勝は第29回(1981年度)の坂田(当時62歳)、最年少優勝は第62回(2014年度)の伊田篤史(当時20歳)である。
称号・段位は当時のもの。かっこ内数字は、その時点での通算優勝回数。
回 | 年度 | 優勝 (優勝回数) | 準優勝 | ベスト4 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1953年 | 島村俊廣 | 高川格 | |||
2 | 1954年 | 岩本薫 | 藤沢朋斎 | |||
3 | 1955年 | 橋本宇太郎 | 坂田栄男 | |||
4 | 1956年 | 坂田栄男 | 藤沢朋斎 | |||
5 | 1957年 | 坂田栄男NHK杯(2) | 木谷実 | |||
6 | 1958年 | 坂田栄男NHK杯(3) | 高川格 | |||
7 | 1959年 | 木谷実 | 藤沢朋斎 | |||
8 | 1960年 | 坂田栄男(4) | 木谷実 | |||
9 | 1961年 | 坂田栄男NHK杯(5) | 橋本宇太郎 | |||
10 | 1962年 | 橋本宇太郎(2) | 藤沢秀行 | |||
11 | 1963年 | 坂田栄男(6) | 藤沢秀行 | |||
12 | 1964年 | 坂田栄男NHK杯(7) | 宮下秀洋 | |||
13 | 1965年 | 高川秀格 | 藤沢秀行 | |||
14 | 1966年 | 橋本昌二 | 藤沢朋斎 | |||
15 | 1967年 | 大竹英雄 | 橋本昌二 | |||
16 | 1968年 | 藤沢秀行 | 藤沢朋斎 | |||
17 | 1969年 | 林海峰 | 坂田栄男 | |||
18 | 1970年 | 大竹英雄(2) | 石田芳夫 | |||
19 | 1971年 | 坂田栄男(8) | 大竹英雄NHK杯 | |||
20 | 1972年 | 大竹英雄(3) | 橋本昌二 | |||
21 | 1973年 | 林海峰(2) | 加藤正夫 | |||
22 | 1974年 | 大竹英雄(4) | 武宮正樹 | |||
23 | 1975年 | 坂田栄男(9) | 呉清源 | |||
24 | 1976年 | 坂田栄男NHK杯(10) | 武宮正樹 | |||
25 | 1977年 | 林海峰(3) | 大平修三 | |||
26 | 1978年 | 東野弘昭 | 高木祥一 | |||
27 | 1979年 | 橋本昌二(2) | 趙治勲 | |||
28 | 1980年 | 藤沢秀行(2) | 高木祥一 | |||
29 | 1981年 | 坂田栄男(11) | 杉内雅男 | |||
30 | 1982年 | 趙治勲 | 大竹英雄 | |||
31 | 1983年 | 本田邦久 | 武宮正樹 | |||
32 | 1984年 | 橋本昌二(3) | 石田芳夫 | |||
33 | 1985年 | 小林光一 | 武宮正樹 | |||
34 | 1986年 | 石田芳夫 | 林海峰 | |||
35 | 1987年 | 加藤正夫 | 王立誠 | |||
36 | 1988年 | 武宮正樹 | 小林覚 | |||
37 | 1989年 | 石田芳夫(2) | 大竹英雄 | |||
38 | 1990年 | 依田紀基 | 王銘琬 | |||
39 | 1991年 | 趙治勲(2) | 王立誠 | |||
40 | 1992年 | 依田紀基(2) | 加藤正夫 | |||
41 | 1993年 | 大竹英雄(5) | 加藤正夫 | |||
42 | 1994年 | 小林覚 | 清成哲也 | |||
43 | 1995年 | 趙治勲(3) | 小林覚NHK杯 | |||
44 | 1996年 | 王立誠 | 小林光一 | |||
45 | 1997年 | 依田紀基(3) | 本田邦久 | |||
46 | 1998年 | 依田紀基NHK杯(4) | 東野弘昭 | |||
47 | 1999年 | 依田紀基NHK杯(5) | 今村俊也 | |||
48 | 2000年 | 石田芳夫(3) | 趙治勲 | |||
49 | 2001年 | 張栩 | 羽根直樹 | |||
50 | 2002年 | 三村智保 | 王立誠 | |||
51 | 2003年 | 小林光一(2) | 趙治勲 | |||
52 | 2004年 | 張栩(2) | 依田紀基 | |||
53 | 2005年 | 羽根直樹 | 今村俊也 | |||
54 | 2006年 | 趙治勲(4) | 結城聡 | |||
55 | 2007年 | 張栩(3) | 趙治勲NHK杯 | |||
56 | 2008年 | 結城聡 | 武宮正樹 | |||
57 | 2009年 | 結城聡NHK杯(2) | 井山裕太 | |||
58 | 2010年 | 山田規三生 | 依田紀基 | |||
59 | 2011年 | 結城聡(3) | 羽根直樹 | |||
60 | 2012年 | 結城聡NHK杯(4) | 井山裕太 | |||
61 | 2013年 | 結城聡NHK杯(5) | 河野臨 | |||
62 | 2014年 | 伊田篤史 | 一力遼 | |||
63 | 2015年 | 張栩(4) | 寺山怜 | |||
64 | 2016年 | 井山裕太棋聖 | 一力遼 | |||
65 | 2017年 | 井山裕太NHK杯(2) | 志田達哉 | |||
66 | 2018年 | 一力遼 | 井山裕太NHK杯 | |||
67 | 2019年 | 井山裕太棋聖(3) | 一力遼NHK杯 | |||
68 | 2020年 | 一力遼二冠(2) | 余正麒八段 | |||
69 | 2021年 | 一力遼NHK杯(3) | 高尾紳路九段 | |||
70 | 2022年 | 関航太郎天元 | 一力遼NHK杯 | 鶴山淳志八段 | 許家元十段 | |
71 | 2023年 | 一力遼棋聖(4) | 芝野虎丸名人 | 志田達哉八段 | 井山裕太王座 |
将棋トーナメント同様、原則として事前収録の録画放送である。収録は、東京都渋谷区のNHK放送センターで原則として隔週月曜の午前と午後に各1局ずつ行われ、収録の約1ヶ月後に放映される。
決勝戦の放送では司会をNHKアナウンサーが務め、番組冒頭、トーナメント表で勝ち上がりの結果を大まかに伝える。その後、アナウンサーが解説者と聞き手の紹介を行う。アナウンサーが聞き手に番組の進行を引き渡した以降は決勝戦以外の対局と実質的には同じである。番組最後の部分では準優勝者に賞状、優勝者にNHK杯(優勝カップ)と賞状が贈呈される様子を放送し[注 5]、それぞれの対局者が感想を語る。最後に司会者が次期の放送予定を伝えて番組は終わる。
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