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人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる自動車 ウィキペディアから
自動運転車(じどううんてんしゃ、英: autonomous car)とは、人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる自動車。英語では"Self-driving car"や"Autonomous car"などと表記され、制御システムが「自律型」であることが要件となっている。その他、「ロボットカー」や「UGV(Unmanned ground vehicle)」、「ドライバーレスカー(driverless car)」などとも呼ばれている。
完全な自動運転車は、カメラやレーダー、LiDAR、超音波センサー、GPS等で周囲の環境を認識し、行き先を指定するだけで自律的に走行する。過去には道路に磁気マーカー(磁気ネイルと呼ばれる永久磁石)を埋め込む方式も開発されていたが、道路にマーカーを埋め込むコストがかかることや、積雪の影響や除雪の障害にもなるためほとんど普及していない。そのため現在では基本的に車のセンサー主体で自動運転できる自動運転車開発が中心となっている。マーカー方式は、ガイドウェイバスとしてIMTSが過去に日本で運行していたが、すでに終了している。
自動運転車には、カメラやLiDARなどのセンシング技術、ディープラーニングによる物体認識などさまざまなテクノロジーが使用されている。また、超音波センサーやGPSの働きにより、障害物がないかを自動認識し、自律的に走行できるよう設計されている。
すでに実用化されているロボットカーとしては、イスラエル軍で運用されているガーディアムと呼ばれるあらかじめ設定されたルートをパトロールする無人車両[1] や、海外の鉱山、建設現場などで運用されているダンプカーなどの無人運行システム等がある[2]。
公道以外の限定された環境(鉱山、建設現場等)では、ロボットカーの需要が広がりつつあり、建設機械大手のコマツ[3]、キャタピラー等の企業がロボットカーの販売を拡大している[4]。
一般人が公道で走行でき、かつ自動運転レベル定義(後述)におけるレベル4ならびに5に相当する完全な自動運転車は、2019年(令和元年)時点では市販されていない。[いつ?]発売されている自動運転車は、自動運転レベル定義で言うところのレベル3までである。
初期の自動運転システムの研究は少なくとも1920年代から行われており、1950年代には走行実験が開始されている[5]。最初の半自動運転車は、1977年(昭和52年)に日本の筑波大学機械工学研究所によって開発された。この車両は、2つのカメラ(ステレオビジョン)を利用して道路上の白線を感知し、32 km/hで走行することができた[6][7][8]。
本格的な自律走行車が登場したのは1980年代で、1984年にアメリカ合衆国で国防高等研究計画局(DARPA)の資金提供を受けたカーネギーメロン大学の「Navlab[9]」と「ALV[10]」計画が始まり、1987年には西ドイツ(当時)でもダイムラー・ベンツ(現在のメルセデス・ベンツ・グループ)とミュンヘン連邦軍大学による「EUREKAプロメテウス計画」が始まった[11]。
1985年までにALVは、2車線道路を31 km/hで自律走行し、1986年には障害物回避機能が追加され、1987年には昼夜を問わないオフロード走行が可能となった[12]。1995年には、NavLab 5が初の自動運転によるアメリカ合衆国横断に成功し、自動運転史における大きなマイルストーンとなった[13][14][15]。ペンシルベニア州ピッツバーグからカリフォルニア州サンディエゴまでの4,585 kmのうち、4,501 kmが自律走行であり(98.2 %)、平均速度は102.7 km/hであった。1960年代から2005年の第2回DARPAグランド・チャレンジまで、アメリカにおける自動運転車の研究は、主にDARPA、アメリカ陸軍、アメリカ海軍が、研究機関や企業に資金を提供し、速度や様々な環境下での運転能力、制御、センサーシステムなど、段階的な進歩を遂げてきた[16]。
路面の開発も検討され、アメリカ政府は1991年に6億5000万ドルの予算を自動道路システムに投じることを決定し、マーカー(磁気ネイルと呼ばれる永久磁石)を埋め込むことで車両と連携する実験用高速道路も製作した[5]。1997年には実験に成功。しかし、大規模に実用化する方向性や資金が定まらず、この研究は終了している[17]。
1995年、カーネギーメロン大学のNavLab Vが、ワシントンD.C.からサンディエゴまでの4,800 kmの98 %以上の行程を自動運転で走破し、この記録は2015年まで20年間破られなかった[18]。ただし、自動化されていたのは操舵制御だけで、ブレーキペダルとアクセルペダルはドライバーが操作した[5]。
2010年代前半に始まった第三次AIブームを背景として、自動運転車の開発に大きな注目が集まった。
2015年には、ネバダ、フロリダ、カリフォルニア、バージニア、ミシガンの各州とD.C.が、自動運転車の公道でのテストを許可した。
EUでは、2016-2018年の「CARTRE」や「SCOUT」、2019年に発表された「STRIA」といったプロジェクトで研究資金支援がなされている[19]。
2015年11月、フォーミュラEでは2016年-17年シーズンに人工知能を搭載した自動運転車によるRoboraceを行うと発表した[20]。
自動運転(レベル3と4相当)に関する特許の件数は、2016年以前の10年間では、1位がトヨタ自動車。GM、独ボッシュ、米フォード・モーター、米グーグルと続く。他社による被引用件数、すなわちその特許がどれだけ別の特許に引用されているかを見ると、GMが圧倒的に多く、グーグルとトヨタが続く。[21][22]
2017年9月9日、ドイツ連邦交通省(BMVI)より「自動運転車に関する倫理ルール」20項目が発表された[23]。特筆すべき点は”「避けられない事故が起きた場合、人間の年齢、性別、心身の状態などをカテゴライズして考慮することを厳しく禁じる。一般レベルでのルールとして犠牲者の数を減らすよう挙動する、というものは受け入れられる」”というより具体的な部分まで踏み込んだ点など[24]。
2017年11月、ウェイモが運転者がいない無人運転車のテストを開始したと発表した[25]。テストはアリゾナの公道で行われ、実際には社員が搭乗しているが、運転席にはいないこともあるという。これはレベル4に値する。2018年10月に自動運転距離が1,000万マイルに到達したことを報告。同12月には、アリゾナ州フェニックスで限られた地域の限られたユーザーであるが、自動運転タクシーの全米初の商用運用を開始した。しかし、やはり安全のためのドライバーは配置されていた。そして、2020年10月に、完全無人車両での自動運転配車サービスを同区域で開始すると発表した[26]。これには運転手がおらず、トラブルの際はリアルタイムで監視しているエンジニアが遠隔操作する。[27]。
2021年3月4日、ホンダは、世界で初めてレベル3の型式認定を取得した自動運転装置搭載の新型「レジェンド」を同月5日に発売すると発表した[28][29]。国土交通省の型式指定を取得したものなので日本限定であり、限定100台のリース専用車種となる。1000万通りの状況下での安全を確認し、証明してきたという[30]。
中国でも自動運転に対する取り組みが進められ、北京市は、2021年4月に自動運転を段階的に普及・推進していくための先行区を設立した。その後、同年10月から11月にかけて、中国で初めて車両に安全担当者を乗せた自動運転のテストとタクシーサービスの商業化テストを実施した。2023年3月に先行区で完全無人自動運転の実証を開始し[31]、同年7月には、完全無人自動運転の商業化テストを実施すると発表した[32]。他にも、百度やPony.aiなどが、重慶市や湖北省武漢市、広東省等で自動運転タクシーの許可を得ている[32][33]。
この節では公的機関から発表された自動化レベルの定義のみに関する節である(開発予定、開発目標、販売予定などの情報は後述)
日本政府やアメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)では自動化のレベルを以下のように定義している[34][35][36][37][38][39]。
本節では、実際に道路を走行している自動車、サービスとして運用されている自動運転車について記述する[注釈 3]。
経路および乗降場所が固定されたシャトルバス型の自動運転車が実用化されている。この種の自動運転車は、主にサービスとして提供される。日本では、2023年5月28日のZEN drive(福井県永平寺町)がはじめての認可例である[40][41]。
日本の中山間地域における自動運転サービスでは、従来型とグリーンスローモビリティ型、バス型と乗用車型の組み合わせで下記4種類の車両が検討された[42]。
そのうち初期に社会実装に至ったものは磁気を利用したゴルフカート型のものが利用されている。磁気を利用した自動運転は、道路に埋め込んだ磁気マーカーや誘導線に沿って決められたルート上を車両が走行する仕組みである[43]。国土交通省では、高齢化が進行する中山間地域の人流や物流、生活の足を確保するために、「道の駅」等を拠点とした自動運転サービスやその実証実験を実施している[44][45]。
都道府県 | 拠点 | 期間 | |
---|---|---|---|
1 | 秋田県 | 道の駅かみこあに | 2017年12月3日 - 12月10日(短期) 2018年12月9日 - 2月8日(長期) 2019年11月30日 - (実装) |
2 | 栃木県 | 道の駅にしかた | 2017年9月2日 - 9月9日(短期) |
3 | 滋賀県 | 道の駅奥永源寺渓流の里 | 2017年13月11日 - 17日(短期) 2019年11月15日 - 12月20日(長期) 2021年4月23日 - (実装) |
4 | 島根県 | 道の駅赤来高原 | 2017年11月11日 - 17日(短期) 2020年9月1日 - 10月10日(長期) 2021年10月4日 - (実装) |
5 | 熊本県 | 道の駅芦北でこぽん | 2017年9月30日 - 10月7日(短期) 2019年1月27日 - 3月15日(長期) |
6 | 北海道 | 道の駅コスモール大樹 | 2017年12月10日 - 12月17日(短期) 2019年5月18日 - 6月21日(長期) |
7 | 山形県 | 道の駅たかはた | 2018年2月25日 - 3月4日(短期) |
8 | 茨城県 | 道の駅ひたちおおた | 2017年11月19日 - 11月25日(短期) 2019年 6月23日 - 7月21日(長期) |
9 | 新潟県 | やまこし復興交流館 おらたる | 2019年3月17日 - 3月23日(短期) |
10 | 長野県 | 道の駅南アルプスむら長谷 | 2018年2月11日 - 2月15日(短期) 2018年11月5日 - 11月30日(長期) |
11 | 富山県 | 道の駅たいら | 2017年11月26日 - 11月30日(短期) |
12 | 岐阜県 | 道の駅明宝 | 2019年3月2日 - 3月8日(短期) |
13 | 愛知県 | 道の駅どんぐりの里いなぶ | 2019年3月16日 - 3月20日(短期) |
14 | 滋賀県 | 道の駅妹子の郷 | 2019年3月16日 - 3月20日(短期) |
15 | 岡山県 | 道の駅鯉が窪 | 2018年3月10日 - 3月16日(短期) |
16 | 徳島県 | 道の駅にしいや・かずら橋夢舞台 | 2017年12月3日 - 12月9日(短期) |
16 | 栃木県 | 足利市 | 2023年3月18日 - 3月17日(短期) |
17 | 山口県 | 楠こもれびの郷 | 2019年3月23日 - 3月28日(短期) |
18 | 福岡県 | みやま市役所山川支所 | 2018年2月17日 - 24日(短期) 2018年11月2日 - 12月21日(長期) 2021年7月11日 - (実装) |
19 | 沖縄県 | 北谷町フィッシャリーナ(北谷トランジットセンター) | 2021年3月31日 - (実装) |
20 | 和歌山県 | 道の駅たいじ | 2022年8月1日 - 9月30日(実装) |
21 | 高知県 | 道の駅よって西土佐 | 2022年7月14日 - (実装) |
22 | 愛媛県 | 道の駅ふたみ | 2024年1月31日 - (実装) |
アダプティブクルーズコントロール、レーンキーピングアシストなどを組み合わせ、先行車との車間距離を一定に保った自動追従走行を実現する機能[50][51][52]。
あくまでも運転を支援するシステムであって、常に運転の主体や責任はドライバーにある。そのため、10 - 15秒以上ステアリングから手を離しているとシステムが解除される等の仕様となっており、自動運転はできない。また、ステアリングアシストは、約65 km/h以上でないと作動しない車種がある。車線の逸脱を防ぐシステムにおいてもハンドルを制御する前に警告を発するなど、先に人間の操作を促す仕様となっている[53]。
詳細は下記、渋滞時追従支援システムを参照。
「渋滞時追従支援システム(Traffic Assist)」とは渋滞の低速時に限定したアダプティブクルーズコントロール(ステアリングアシスト付き)である。
BMWでは、「Traffic jam assistant」という名称で販売されており[59]、各社で機能名が異なる。
フォルクスワーゲン・パサート等の輸入車に搭載されて日本国内でも販売された[60]。日本では海外と異なりステアリングアシストの作動は、約65 km/h以上でのみとの規制が長くあった為[61] 海外より遅れていたが、日本車では日産が2016年8月より発売の日産・セレナのプロパイロットに初搭載した。
追従中にカーブに入ると速度を抑制する機能も登場している[52]。
この節の加筆が望まれています。 |
走行アシストとは別に駐車時にステアリング、アクセル、ブレーキの操作を支援するシステムも登場している[62]。ただしシフトの操作は手動とするなどあくまで補助としてのシステムである[62]。発展形としては、ホテルの駐車係(バレー)が鍵を預かって駐車するバレーパーキングを駐車場側のシステムと連携してレベル4相当の自動運転で行うことが開発中である。[63]
自動運転車ないし運転支援機能が引き起こした事故で、特に注目を集めたものを述べる。
2016年5月7日、米フロリダ州にて、運転支援機能が搭載されたテスラ・モデルSが18輪トレーラーと衝突し、テスラの運転手が死亡する事故が発生した[64]。自動運転初の死亡事故と誤報されて話題となったが、このテスラに搭載されていた運転支援機能はレベル2相当であり、NHTSAがレベル4やレベル3に区分している自動運転車には該当しない。テスラのドライバーがレベル3相当の自動運転車だと勘違いしていた可能性が指摘されている[65]。
2016年初めにウェイモが公表した事故報告書によると、同社のテストカーは14件の衝突に巻き込まれ、そのうち13件は他のドライバーに過失があったが、1件は車のソフトウェアが原因となる衝突事故であった[66]。2016年2月14日、ウェイモの車両が進路を塞ぐ土嚢を回避しようとしたところ、バスと衝突した。負傷者は報告されていない。同社は「今回のケースでは、明らかに私たちに一定の責任がある。私たちの車が動かなかったら、衝突は起こらなかったはずだから」と述べた。このクラッシュを誤解と学習経験として特徴付けた。
2024年2月6日、米サンフランシスコ市内で、ウェイモのロボタクシーが対向車線を直進するトラックの通過後に左折を開始したところ、トラックの後方を走行していた自転車に気づくのが遅れ、急ブレーキも間に合わずに接触した。すぐに事故発生を警察に通報したが、自転車に乗っていた男性は「軽傷だから」とそのまま走り去った。[67]
2018年3月18日、米アリゾナ州テンピで、ライドシェア企業のUberがテスト運用していた自動運転車が歩行者をはねて死亡させる自動運転車初[68] の人身死亡事故が起き(Death of Elaine Herzberg)、国家運輸安全委員会が事故調査に乗り出した。配車したUberや車を製造したボルボ・カーズなどを巻き込んで法的責任の所在が議論されるも[68]、Uberが遺族に和解金を支払うこととなった[69]
2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、スポンサーであるトヨタ自動車のAutono-MaaS専用EV「e-Palette」が選手村内の移動車両として供給された[70]。レベル4に相当し、各所の停留所に定着制御することで車椅子ユーザーなどにも配慮している。運転や乗降車に対応するスタッフも添乗した。しかし、パラリンピック期間中の8月26日14時頃、この車両が柔道日本代表の北薗新光と接触事故を起こす。横断歩道を横断しようとした視覚障碍のある北薗選手と接触し、北薗選手は転倒した。その場は立ち去ったが、脳震盪の可能性がある体調不良を訴え、翌日の試合を棄権する事態となった[71]。
豊田章男社長によると、今回の接触はT字路において発生[72]。eパレットが右に曲がっていく際に横断歩道手前で、右に曲がる途中で一旦停止。再スタートした際に選手との接触が発生したという。交差点において右折前は手動操作で発進したが、右折時は自動運転モードであり、オペレーターからは死角であった可能性が示されている[72]。応急的な対策として、eパレットが出している警告音の音量を2倍にすることが言及された。オペレーターを務めていたトヨタ自動車の社員は書類送検された後、不起訴(起訴猶予)となった[73]。
2023年10月2日、米サンフランシスコ市内で、歩行者がGMクルーズの運行する自動運転車の下敷きになった[74]。当該自動運転車の左側の車線を走行していた人の運転する車が、信号無視をした歩行者をはね、衝撃で歩行者が自動運転車の前に跳ね飛ばされた。自動運転車は急ブレーキをかけて衝撃を抑えようとしたが、跳ねたのち路肩に寄せようとした際に歩行者を時速11 kmで6.1 m引きずった。最初に歩行者をはねた車のドライバーは現場から逃走したという。事故直後の情報提供において引きずったことが州当局に共有されなかったことも問題視され、12月に加州から自動運転タクシー運行の営業停止処分を科された。自動運転タクシーの24時間体制での有料営業の許可が下りてから2か月後のことであった[75]。その後、同社は全米での無人タクシー事業を中止、CEO辞任、経営幹部解雇、従業員の大幅なレイオフ、次世代機「Origin」の生産停止、予算削減など、大幅な事業縮小を決定した[76][77]。
アメリカでは2010年頃から、欧州でも公道を利用し一般車に混在した状況で自動運転車の走行実験が行われていた。
2012年時点でも日本では公道での走行実験は許可されていなかったが、欧米で自動運転車の公道走行実験が広く行われ始めた状況を受けて、2013年9月に日本国内では初めて日産が自動運転車が公道を走行できるナンバーを取得し公道走行実験が許可され[113]、2013年末には日本国内でも一般車に混じって高速道路の公道での自動運転車の走行実験が開始された[114]。また、一般道での公道走行実験も欧米に遅れて、2015年には日本でも始まった[115]。
アメリカ・ドイツでは2015年から、乗用車に加えてトラックの公道での自動運転実験が行われている[116]。一方、日本では、2015年現在、自動運転トラックの公道走行までは許可されていない。
2015年、イギリス政府はミルトン・キーンズで自動運転車(Pod)ルッツ・パスファインダー(LUTZ Pathfinder)を使った公共での試験を開始した[117]。
法整備がなされたとしても実際に自動車を走行させるには物理的な制約があり、大量の走行データを収集するのは難しい。そのためグランド・セフト・オートVのようなゲームソフトをシミュレータとして利用している研究グループもある[118]。
2017年12月、ボルボ・カーズはスウェーデンの一般家庭の協力による自動運転車の開発を開始すると発表した。公道での自動運転車に試乗しボルボ・カーズのエンジニアにフィードバックする[119]。
フィンランドの法律では公道を走行する車両に運転手が乗る必要がないなど自動運転の実験が始めやすい利点がある。2018年からはフィンランドの自動運転技術開発会社Sensible 4が自動運転バスを「2020年に実用化させる」と主張して計画を進めており、2018年から良品計画がデザインした車両による公道走行実験を行った[120]。
国連傘下の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で、自動運転車の国際的な基準作りが議論された。2014年には、自動車基準調和世界フォーラムに自動運転分科会が設立され、共同議長には日本とイギリスが就いた。また、2015年には同フォーラムにて、自動操舵専門家会議が設立され日本とドイツが共同議長となった[121]。
車載用AIの半導体に関しては、自社でもAIや自動運転車の研究を行っているNVIDIAがデファクトスタンダードとなるという予測がある[53]。 2016年時点で、多くの自動車メーカーやその他の企業が、レベル5相当の自動運転車の市販に向けて開発を行っている、と日経ビジネスの記事に書かれた[122]。 日本政府は「レベル5の完全自動運転を2025年を目途に目指す」としていた[123]。
2019年3月19日、国土交通省は国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第177回会合において、自動運転車の国際基準作りに向けた優先検討項目リストが合意されたと発表した[124]。
日本では1980年代にはすでに車線を認識し走行するシステムを試作していた。実用化し市販されたものはほとんどなかったものの、各社で研究は継続され、現在のSUBARU(スバル)のEyeSightなどにつながっていく。しかしながら、2010年代に入り、欧米、特に欧州の自動車メーカーで開発が進展し、また米国でもグーグルが街中で試験走行を行うなど、日本は出遅れてしまった。危機感を抱いた国土交通省では自動運転システムを「オートパイロットシステム」と呼称し、検討会を2012年から開始し2013年に中間とりまとめを発表した[125]。法制度の問題については、国際協調を図りつつ、既存制度の見直しや責任の所在等について検討を行うとしている。
2013年には日本政府の成長戦略にも自動運転システムの推進を盛り込み、商用化を後押しする事が決定した[126]。2016年の伊勢志摩サミットではトヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車によって自動運転車が披露された[127][128][129]。
ネバダ州で2011年に自動運転車の公道走行実験を許可する法律ができ、グーグルの開発している自動運転車に自動運転車として初めてナンバープレートが交付された。続いて2012年にはカリフォルニア州・フロリダ州、2013年にはコロンビア特別区でも公道での自動運転車の試験走行を認める法律が成立した[150]。このような各州で相次いで独自に自動運転に関する法整備が進む状況を受けて、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2013年から4年間で自動運転車の安全上の問題や利点を分析する計画を発表した。 NHTSAは自動運転車の実現を推進する一方で、自動運転レベル4の無人運転は時期尚早であると中立的な立場をとってきたが、2016年に「自動運転の人工知能はドライバー」であるとレベル4の無人運転を容認する見解を示した。
ドイツで自動運転車の公道走行実験が行われている。イギリスでは2013年に自動運転車の公道走行実験が認められた。
韓国政府は2018年の平昌オリンピックでの試験運行を経て2020年に自動運転車の商用化を目指している[184]。サムスン電子は、同じグループのサムスン物産が所有するエバーランド内のサーキットを利用して、2016年より自動運転車のテストを行っている[185]。
中国では百度が2017年7月5日に、BYD・フォード・ダイムラー・NVIDIA・マイクロソフト (MS)・インテル・ホンダ[186] なども参加する世界最大の自動運転車を共同開発する企業連合「アポロ計画」を設立した[187]。2018年7月4日に世界初の完全自動運転バス「アポロン」の量産を開始した。また、上海汽車等の中国国内自動車メーカーも自動運転車を開発しいた過去があり、コンセプトカーを公開していた過去がある[188]。
自動車レースの世界でも、自動運転車によるレースを行う動きがある。
フォーミュラEでは、2014年のシリーズ発足当初から、自動運転車による「ロボレース」を行う構想がある。ただ、2017年には香港で行われたシリーズ第1戦でデモ走行まで実施されたものの、実際には人間が乗車した状態での走行となっただけでなく、速度面でもレーススピードからは程遠く、しかも途中でトラブルにより車が停まる事態となった[190]。以後デモ走行等が行われたことはなく、構想は暗礁に乗り上げている。
2023年、アブダビの先端技術研究評議会(ATRC)が、ダラーラ・SF23をベースとした自動運転車によるレース『ABU DHABI AUTONOMOUS RACING LEAGUE』(A2RL)の開催を発表した。2024年4月27日、ヤス・マリーナ・サーキットを舞台に初のレースが行われ[191]、ミュンヘン工科大学(TUM)チームが決勝レースを制し優勝賞金の225万ドルを獲得した[192]。
ジュネーブ道路交通条約では「常時人間の運転が必要である」と定義されており[193]、同じ理由により法的にも規制されている。しかし、ジュネーブ道路交通条約と同様、「常時人間の運転が必要である」と定義されていたウィーン道路交通条約(ほとんどの欧州諸国が加盟、日米は未加盟)は、「人間によるオーバーライドと自動運転機能のスイッチオフが可能であれば、規制対象としない」と2014年(平成26年)に改正された[194]。これは「レベル3までは規制対象としない」という事である[195]。また、国連においても、国際基準の改正を含む、自動運転車実現の国際基準作りが進められている[196]。
自動運転レベル1 - 2は運転支援といわれ、運転主体はドライバーである。それに対して、レベル3からは自動運転であり、運転主体がシステムになる。2020年4月から施行された改正道路交通法では、自動運転レベル3の自動車が公道を走行できるようになった。レベル3は「特定条件下で自動運転、作業継続が困難である場合はドライバーが対応」するものであり、運転主体はシステムであるが、作業継続が困難な場合はドライバーになる。そのため、レベル3の自動運転車の走行はドライバーが運転席に座っていることが必須条件である。また、「自動運転が困難であると判断された場合は、ドライバーは直ちに通常の運転に戻らなければならないため、飲酒や居眠りは認められていない。なお、自動運転中に事故・違反があった場合でも、ドライバーが免責されるとは限らない」 さらに、車両の保有者等は運行状況を常に記録し保存する義務があり、交通違反や交通事故が発生した場合には警察官の要求に応じて提出しなければならない[197][198]。
2022年4月27日の道路交通法の改正で、レベル4の自動運転が可能な「特定自動運行」の制度が整備され、2023年4月1日に施行される。[199]
自動運転車は空飛ぶクルマと並んで人々の想像力をかき立てる存在であり、未来社会を扱うフィクションのテーマとなってきた。
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