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オフロード(英: off-road)は、舗装されていない道路や、公道ではない脇道のことである。
舗装されていない草地や礫地、砂地だけでなく、人が歩くことも困難な泥濘地や岩場など、車両が進入できる地形のあらゆる場所を指す。なおこうした路面のことを「ラフロード」(英: Rough road)と呼ぶこともある。
オフロードで行われる自動車競技の中でも、ラリーと同じく公道で行われるものを「クロスカントリーラリー」や「ラリーレイド」と呼ぶ。
またこれらと対比して、舗装された道路は「オンロード」(英: On-road)という。
オフロードを走行することを前提として設計された車両や改造された車両をオフロード車、略してオフ車などと呼ぶ。またオフロード車両や運転者を含めてオフローダーとも言う。またクロスカントリー車(略してクロカン車)、またはヘビーデューティー車とも呼ばれる。SUVの一種であるが、本格オフロード性能を特に重視した車のことをクロスカントリー車と言う場合が多い。
サスペンションは路面の凹凸が大きくても衝撃を緩和する能力やタイヤが路面から離れないようにする能力が求められ、比較的ストローク(伸縮量)を長く、ばね定数や減衰力は低めに作られる。ホイールストロークをより稼ぐ目的で、スタビライザー(アンチ・ローリング・バー)を無効化する機構を装備する車種もある。また、車体が地面に接触して破損したり、引っかかって動けなくなってしまったりといった事態を防ぐため、最低地上高は比較的高く作られている。
もし強い衝撃を伴って地面に触れた場合でも重要な部品が壊れないように、自動車やオートバイのエンジンや変速機、自転車のチェーンホイールなどの下には、金属やFRPなどの板で作られた保護材が備えられる場合もある。あるいはソリ状の板(スキッドプレート)を取り付けて、地面の凹凸に引っかかりにくいようにする場合もある。
自動車のクロスカントリー車には、商標が普通名詞化した「ジープ」や、北米由来の単語のSUV、四輪駆動の乗用車が一般的で無かった時代の4WD、4×4(Four by Four)などの名称が用いられることもある。
一般的にクロスカントリー車(略してクロカン車)は悪路走行中にボディ全体が歪んで走行不能にならないよう、重いが丈夫なラダーフレームを採用している。障害や急勾配を乗り越えられるように最低地上高は高く、次の三つの角度が大きい。
これら3つの角度を対地障害角やスリーアングルといい[1]、悪路走破性能の目安とする。これらを大きく取ると、必然的に最低地上高は大きくなり、前後のオーバーハングとホイールベースは短くなる。
クロカン車のドライブトレインは一般的に縦置きエンジンの後輪駆動(FR)をベースとしたパートタイム式、またはセンター・デフを持つフルタイム式4WDであり、悪路走破用の副変速機(高速側と低速側の歯車比が1:2前後かそれ以上)を持ち、車種によってはリミテッド・スリップ・デフやアクスルデフロックをも装備する。変速機は基本的にMTまたはトルクコンバーターを用いた有段式ATである。
なお外見がクロカン車であってもモノコック構造を採用しているものは、たとえ四輪駆動でもクロスオーバーSUV(CUV)に分類される。近年のSUVは特に設計や生産の合理化(乗用車との共通化)やオンロード性能重視のため、クロスオーバーSUV化が進んでいる。このことは自動車の取扱説明書にも明確に表れており、ラダーフレーム車の本格クロカン車には取扱説明書には浅い川を渡る(渡河)の方法まで書かれているが、クロスオーバーSUVの場合は「渡河などの水中走行は絶対にしないで下さい」と書かれている。一例として、モノコック構造の日産・エクストレイルは初代(T30型系)のテレビCMで悪路をジャンプしたり渡河をする様子が表現されていたが、あくまでもこれは消費者の購買意欲を刺激するための演出であり、真似をすると衝撃で車体が歪んだり、浸水で走行不能に陥ってしまう恐れがある。なお、クロスオーバーSUVという用語が定着する以前は、初代スズキ・エスクードのようなラダーフレーム・四輪駆動・副変速機を備えながら、乗用車と同様に舗装路での乗り心地や燃費を重視した車種をライトクロカンと呼んでいた。
一例としてハスラーがモノコック構造・横置きエンジンのスタンバイ式四駆・マニュアルまたはCVTと街乗りがメインのクロスオーバーSUVであるのに対して、ジムニーはラダーフレーム構造・縦置きエンジンのパートタイム式四駆・マニュアル又は有段オートマチックミッションといったオフロードを走るための機構を多く備えている。ほとんどの軍用車両もジムニーと同様の構成を採っており、陸上自衛隊の高機動車や軽装甲機動車、73式小型トラックもこの仕様である。
日本では三菱・パジェロが火付け役となり、1980年代末 - 1990年代初頭のスキーブームと共にクロカン車が流行した。しかし人々がクロカンのファッション性と積載性を重視しながらも、オフロード性能よりも燃費、操縦安定性、乗り心地を求めたことから、1990年代半ば以降流行の中心はクロスオーバーSUVにとって代わられていった。
モータースポーツではFIA(国際自動車連盟)によりグループTというクロカン車向けの規定が存在し、ラリーレイド競技で用いられている。
自転車にもオフロードでの走行を前提とした設計の車種がある。
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