気象庁地磁気観測所
気象庁の施設等機関 ウィキペディアから
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気象庁地磁気観測所(きしょうちょうちじきかんそくしょ)は、茨城県石岡市柿岡にある気象庁に所属する施設等機関である。
気象庁地磁気観測所 | |
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正式名称 | 気象庁地磁気観測所 |
英語名称 | Kakioka Magnetic Observatory |
所在地 |
日本 〒315-0116 茨城県石岡市柿岡595 北緯36度14分03.1秒 東経140度11分21.4秒 |
活動領域 | 地球磁気・地球電気に関する観測および調査 |
設立年月日 | 1883年3月(内務省・工部省による臨時観測所として) |
上位組織 | 気象庁 |
拠点 | #概要の項を参照 |
公式サイト |
www |
地球磁気・地球電気に関する観測および調査を行う機関である。茨城県石岡市柿岡のほか、北海道網走郡大空町に女満別観測施設、鹿児島県鹿屋市に鹿屋観測施設、東京都小笠原村父島に常時観測点を置く(柿岡以外は無人観測)。
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
電気が流れるとき、「右ねじの法則」により磁気が発生する。直流は、交流と比較すると、漏洩電流が遠くまで伝わる。また、交流電気鉄道は饋電方式の工夫により漏洩電流の発生を抑えることができる一方、直流電気鉄道は特別な対策を行わない限り漏洩電流が大きい。そのため、直流電気鉄道が近傍にあると磁気(ビオ・サバールの法則)により地磁気観測に悪影響が発生する[6]。
そのため、東京で鉄道の直流電化が大きく進展[注釈 3]しはじめたことが1913年に茨城県新治郡柿岡町(後に合併し新治郡八郷町を経て石岡市に)へ移転した理由の一つでもある。
戦後、電気事業法に基づく「電気設備に関する技術基準を定める省令[注釈 4]」が施行された。これには地磁気観測所周辺での鉄道の電化について細かく規制されており、基本的に観測所を中心に半径30 km以内で周囲電化する場合は、原則的に交流電化もしくは観測に影響を出さない対策を施した上での直流電化が義務付けられている。
1928年、鹿島参宮鉄道鹿島線が直流電化が前提という制約のため電化計画を断念した。また、翌年に開業した水戸電気鉄道は、電気鉄道の認可が下りず断念、気動車(ガソリンカー)と蒸気機関車での運行となるなど、柿岡においても鉄道電化への支障が生じ始めていた[7]。
1949年、日本国有鉄道(国鉄→現・JR東日本)常磐線が取手まで直流電化されたが、取手以北の電化については当観測所に与える影響もありしばらくは進展のない状態であった。観測所の移転計画も検討されたものの、同一地点での連続観測に意義があることや、地磁気への影響の少ない交流電化が1955年から仙山線で試験され、実用化とその優位性の目途がたったため、移転は見送られ、1961年に取手 - 勝田間を交流電化[注釈 5]とし、取手 - 藤代間にデッドセクションが設けられた。引き続き1967年の同水戸線の全線電化でも交流電化とし、小山 - 小田林間にデッドセクションが設けられた。また首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスでは、2005年の開業当初から守谷駅以北の区間を交流電化とした。
このほか、観測所の30 km圏内にある関東鉄道常総線・竜ヶ崎線と鹿島臨海鉄道大洗鹿島線は設備費用の問題等から非電化のままとなっており、筑波山ケーブルカーは駅構内(交流電化)を除いて電化設備を省き、車内電源を蓄電池でまかなう方式を採用している。なお、本件については「交流電化」も参照のこと。
なお、女満別出張所はJR北海道石北本線沿線となるがこちらは非電化。鹿屋出張所はかつて近隣を走っていた大隅線(廃線)は非電化で、現在の最寄駅がJR九州日南線の志布志駅・日豊本線の国分駅もしくは都城駅で、前者が非電化で後者が交流電化となっている上に3駅とも30 km以上離れているため観測への影響は小さい。また父島観測点は小笠原諸島に位置するため付近に鉄道はない。
一方、千葉県君津市の鹿野山には当観測所同様に地磁気観測を行う国土地理院鹿野山測地観測所が存在する。こちらでは付近のJR東日本内房線(当時・国鉄房総西線)が1969年に直流電化されたが、対策として通電区間を数キロメートル単位に細分化させ、それぞれの区間に1変電所を設置した上で絶縁する方式[注釈 6]を採用すると共に国土地理院側も岩手県水沢市(現・奥州市)に観測所を新たに設置することで対処している[8]。
地磁気観測には短周期観測と長周期観測の2種類があり、直流電流の影響を受けるのは短周期観測である。
長周期観測では古いデータとの接続をするための補正法がないので観測所移転は困難であるが、直流電車が走行した際に発生させるノイズの許容限界が非常に大きいので直流電化しても問題は無い。
短周期観測ではノイズの許容限界が非常に小さいため、1980年代以前までの見解では観測所移転の検討などの課題があった。1980年代に5年程度の比較観測をしたところ「新しい地点と古い地点のデータの接続ができる」ことで問題がないと判断された。このため短周期観測については必要な条件[注釈 7]が整えば新しい観測地点へ移転できるという結論に達した。実際に短周期観測所移転の計画ならびに取手 - 土浦間の直流電化変更の許可も存在しているようである。
その後、移転・直流電化への変更はされていない[9][10]。また、この議論の後に開通したつくばエクスプレスでも守谷 - つくば間は交流電化で開業した。
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