『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』(めいたんていコナン とけいじかけのまてんろう)は、1997年4月19日に公開された劇場版『名探偵コナン』シリーズの1作目である。上映時間は95分。興行収入は11億円[1][2][3][4][5][6]、配給収入は6億1000万円[7]。キャッチコピーは「真実はいつもひとつ!」。
名探偵コナン 時計じかけの摩天楼 | |
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Detective Conan The Time-Bombed Skyscraper | |
監督 | こだま兼嗣 |
脚本 | 古内一成 |
原作 | 青山剛昌 |
出演者 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 山口勝平 茶風林 緒方賢一 岩居由希子 高木渉 大谷育江 |
音楽 | 大野克夫 |
主題歌 | 杏子 「Happy Birthday」 |
撮影 | 野村隆 |
編集 | 岡田輝満 |
制作会社 | キョクイチ東京ムービー |
製作会社 |
小学館 よみうりテレビ 小学館プロダクション ポリグラム キョクイチ東京ムービー |
配給 | 東宝 |
公開 | 1997年4月19日[注 1] |
上映時間 | 95分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 11億円[1][2][3][4][5][6] |
配給収入 | 6億1000万円[7] |
次作 | 名探偵コナン 14番目の標的 |
概要
テレビアニメ『名探偵コナン』のヒットを受けて制作された初となる長編アニメ映画作品であり、以後は毎年春に新作の劇場公開が恒例となる。第1弾の本作は主人公とヒロインが一番のメインキャラクターとして描かれ、江戸川コナンたちの住む米花町で起きる爆破事件と、彼の正体である工藤新一の誕生日前夜(5月3日)における彼と幼なじみの毛利蘭の恋愛描写が物語の軸となる。大規模な爆破シーンが展開されるが、事件の黒幕による個人的な殺人は描かれず、爆弾捜索が事件のメインとなっている。
冒頭の作品解説のうち、新一の新聞記事から身体が縮み蘭と再会してコナンと名乗るまでの部分は、2023年現在まで毎回流れている[注 2]。また、作品解説部分のアニメーションは次々作『世紀末の魔術師』まで使用されており、第4作『瞳の中の暗殺者』以降はデザインが変更されている。
劇場版第1作ということからも、登場人物が初めて現れるシーンではそれぞれに名前テロップが添えられている。また、テレビアニメの放送が軌道に乗り始めた時期に製作されたため、製作委員会に日本テレビがまだ参画していない[注 3]など小規模だった一方、初期のアニメシリーズの音楽制作を担当していたポリグラム(ユニバーサルミュージック)が参画している。1997年のテレビアニメの主題歌からビーイングに変更され、劇場版の主題歌も2011年の第15作『沈黙の15分』まで、テレビアニメ・劇場版共にビーイング所属アーティストの起用が慣習となっていた。2000年に発売されたアルバム『THE BEST OF DETECTIVE CONAN 〜名探偵コナン テーマ曲集〜』に本作の主題歌「Happy Birthday」が収録されないのも変更のためだったが、2006年に発売された『THE BEST OF DETECTIVE CONAN 〜The Movie Themes Collection〜』では収録された[注 4]。本作から第4作『瞳の中の暗殺者』までの主題歌は、1コーラス目の後に間奏を挟みラストサビに行く形で使用されていた。第5作『天国へのカウントダウン』以降はフルバージョンか一部をカットして使用されているうえ、舞台となった風景の実写が背景で流され、最後のアニメ映像がコナンが前を見据えるシーンは本作から第18作『異次元の狙撃手』まで毎回使用された。エピローグは尺が10秒程度と短く、BGMはなし、台詞があるのはコナンのみだったりと、以降の作品より簡素な構成となっている。
本作でオリジナルキャラクターとして初登場する白鳥任三郎は劇場版レギュラーとなり、さらに原作やテレビアニメにも登場することとなる。また、劇場版にはコナン(新一)、蘭、小五郎、博士、少年探偵団、園子の計8人が毎回登場することとなる[注 5]。
第13作『漆黒の追跡者』以降に定番化する著名人のスペシャルゲスト出演は、その前身的なキャスティングが端役ながら本作ですでに行われている。
本作において使用されたバージョンの「名探偵コナン メイン・テーマ」は公開後に放送されたテレビシリーズの一部エピソードにおいてもしばらくの間劇伴として用いられたほか、後年の映画作品のテレビCMにおいても15秒に編集して使われており、2007年7月のリアレンジリニューアル後の現在は主にサブタイトル場面、稀に劇中BGMとして使用されている。
アメリカ合衆国ではファニメーションによる英語吹き替え版が制作された。当時の英語名は「Case Closed: The Time-Bombed Skyscraper」であり、同名でDVDも発売されたが、後年のトムス・エンタテインメントにおける作品紹介では「DETECTIVE CONAN 01 THE TIME BOMBED SKYSCRAPER」と改題されている[8]。
2016年に開催された歴代映画19作品の人気投票で、本作は5位を獲得した[9]。
作者の青山によると、映画化の話が来る前、編集部からの意図しない注文、毎週のカラー作業・グッズ系のカラー作業・事件やトリックのアイデア出しなど、『コナン』を描くのが大変になりすぎていたため、今まで稼いだ金を全部使いきるつもりでアシスタントたちと休みを取り、ラスベガス旅行に行って帰ってきたら『コナン』の連載をやめようと考えていた。しかし、現地のホテルに当時の担当編集者から電話で『コナン』の映画化決定が伝えられ、映画好きだったことから嬉しくなり、「これは改めて頑張らないといけない」と連載終了を思い留まったという[10]。また、本作の企画・プロデューサーである諏訪道彦によると、「やりたいことをすべてやり切るつもりで製作した」とのこと。まず東京で公開されると口コミで評判が広がり、1週間遅れて公開された大阪の映画館では立ち見が出るほどの満席であり、非常に感動したという[11]。また、青山は本作を1番好きな劇場シリーズ作品だと答えている。
ストーリー
ある日の夜、黒川邸で主人の黒川大造が何者かに殺害されるという事件が起こった。現場の状況から黒川家の中に犯人がいるとされ、探偵の毛利小五郎は後妻を犯人と推理するが、ダジャレで犯人にするのかと詰め寄られてしまう。それを見かねた江戸川コナンは、時計型麻酔銃を使って毛利を眠らせ、「眠りの小五郎」として自らの推理を披露し、事件は無事に解決した。彼こそ高校生探偵として有名であった工藤新一であり、現在は迷宮なしの小学生名探偵として活躍する本作の主人公である。コナンは自分の体を小さくした黒ずくめの組織を追うために、小五郎の立場を利用して情報を集めていた。
数日後の4月26日(土曜日)、高名な建築家である森谷帝二から工藤新一宛にパーティーの招待状が届いた。しかし、新一は体が縮んでしまってコナンになっているため、コナンは小五郎を代理人として、幼馴染で小五郎の一人娘である毛利蘭と共にパーティーに出席する。そこで開催されたクイズに正解し、ギャラリーに案内されたコナンと蘭は、殺人事件があった黒川邸が森谷の設計であることを知る。また、蘭は新一の誕生日に2人で映画を見に行く約束をしていることを森谷に伝えるが、行くことができないコナンはどうするべきかと思案する。
新一の誕生日前日の5月3日(土曜日)、コナンは火薬庫からプラスチック爆弾用の爆薬が何者かに盗み出され、黒川邸など4件の邸宅が相次いで放火されるという事件のニュースを見ていた。その時、新一宛てに爆破予告の電話がかかって来る。電話の主は、爆弾を盗み出したのは自分であり、早くしないと子供たちが危険だと宣告する。それを聞いたコナンは爆破を防ぐため、急いで堤向津川緑地公園へ向かう。
堤向津川緑地公園に着いたコナンは、ラジコン飛行機で遊ぶ少年探偵団の3人を見つける。知らない男からラジコン飛行機を貰ったという話を聞いたコナンは、ラジコン飛行機にプラスチック爆弾が装備されている事に気付きリモコンを奪うが、その拍子にリモコンが壊れて操作不能に陥ってしまう。コナンは咄嗟の判断でラジコン飛行機に向かってリモコンを蹴り、爆弾を上空で爆発させることに成功する。しかし、犯人は近くのビルからその様子を見ており、電話で次なる犯行を予告する。
次の犯行場所として宣告された米花駅前に向かったコナンは、ファストフード店の2階から駅前の様子を窺い見る。その時、老婆が捨て猫をキャリーバッグと共に持ち去る様子を見たコナンは、キャリーバッグにプラスチック爆弾が仕掛けられていると推理し、必死で止めようとする。しかし老婆はタクシーに乗り込んでしまい、コナンはターボエンジン付きスケートボードを使って追い掛けることになる。が、途中でスケボーが破損してしまったため、止む無く近くに居た少年の自転車を奪い、追い掛ける。何とかタクシーに追い付いたコナンは、キャリーバッグを老婆から奪って、人気のない場所へ持って行こうと自転車に載せて近くの河川敷へ向かう。間一髪で爆弾を人気のない場所で処理することには成功[12]したコナンだったが、爆風の影響で木にぶつかって負傷し、緑台警察病院へ緊急搬送され、病院で手当てを受けることになる。
病室では目暮警部らが、今回の犯人は新一を指名して脅迫している事から、彼に恨みを持つ者の犯行と見て、過去に新一が解決した事件の中で最も注目を集めた、西多摩市長が逮捕されたOLひき逃げ事件を挙げていた。この事件はOLを轢いた車の運転手として警察が市長の息子を逮捕した事に新一が異を唱え、真犯人が市長自身である事を突き止めたものである。これにより、市長の進めていた西多摩市の新たな都市開発計画は頓挫することとなった。
そんな折、犯人から電話で「東都鉄道の東都環状線に5つの爆弾を仕掛けた。その爆弾は列車が時速60km未満で走行した場合か、日没までに取り除かなかった場合に爆発する。仕掛けた場所のヒントは『××の×』で、×は漢字一文字だ」と伝えられる。目暮はすぐに東都鉄道へ連絡し、連絡を受けた東都鉄道の司令員もすぐに全車両をノンストップで時速70km走行を維持するよう緊急司令を出した。小五郎や目暮は「××の×」と言う犯人からのヒントに対し、「座席の下」「網棚の上」「車体の下」と言った場所を思い付くが、日没までに取り除かなければ爆発すると言う仕掛けに注目したコナンが、「線路の間」であることを突き止める。芝浜駅[13]貨物線に環状線の列車を退避させた上で無事5つ全ての爆弾を発見、一同は安堵する。
一同が今回の事件の犯人について話し合う中、コナンの助言によって、放火事件が全て森谷帝二の設計した建築物を標的としていることが判明し、爆弾事件も東都環状線の爆弾の1つが同じく森谷の設計である橋の上に仕掛けられていたことから、同一犯の可能性が浮上した。急いで森谷邸へ向かった博士以外の一同は、森谷本人に自身を恨んでいる人物に心当たりはないか尋ねるが、そのような人物に心当たりはないと返される。こっそり森谷邸を見て回っていたコナンは、西多摩市の都市開発計画を森谷が主導していた事実を知り、新一の声で一同をギャラリーに集めると、情況証拠とハッタリを用いて森谷自身が犯人であることを暴く。森谷は若き日より建築家として活躍していたが、その時の作品には法的問題や建築主の注文などによって自身の意図しないものとなったものも含まれており、建築家としてのプライドからその作品を抹殺したいと考えていた。そんな時に新一の活躍で西多摩市長が逮捕されたことにより自身が主導していた都市開発計画が頓挫した結果、森谷は新一を逆恨みし、若手時代の作品の抹殺と新一への復讐を目的に今回の事件を引き起こしたのだった。
森谷は目暮と白鳥によって現行犯逮捕されるが、「私が抹殺したかった建物はもう1つある」と、犯行がこれで終わりでないことを告げる。そして最後の標的が、森谷が建築に携わるもバブル崩壊による予算カットにより意図しない形で完成した米花シティービルである事をコナンたちは知る。そこの映画館には蘭が新一の誕生日祝いのために来ていたのだが、爆弾の爆発に巻き込まれてしまう。コナンは森谷から奪い取った爆弾の設計図を持って急いで米花シティービルへ向かうが、既に米花シティービルの各所では森谷の仕掛けた爆弾が次々と起爆して火災が発生しており、一刻の猶予も許されなかった。
米花シティービルに着いたコナンは、蘭のいる映画館のロビー前までは何とか辿り着いた。蘭は無事だったのものの、ロビーのドアが爆発の影響で歪んでしまったためコナンは中に入れず、また蘭や他に無事だった人々も中に取り残されていた。コナンはその場で新一の声を使い、爆弾を見付けた蘭に対して爆弾の解体を指示する。解体作業は順調に進み、最後に赤と青2本の導線が残るが、その2本の導線は設計図に記載されていなかった。究極の2択を迫られたコナンは、どちらを切るかについて蘭に一任することに決める[注 6]。
爆発の時刻が迫り、目暮らは諦めかけて森谷はほくそ笑むが、蘭が青の導線を切って爆弾を解体できたことから爆発は起こらず、ビル内に閉じ込められていた全員が助かった。最後は、コナンが蘭に青の導線を切った理由を尋ね、彼女が答えるシーンで終幕を迎える。
登場人物
レギュラーキャラクター
- 江戸川 コナン(えどがわ コナン)
- 声 - 高山みなみ
- 本作の主人公。本来の姿は「東の高校生探偵」として名を馳せている工藤新一だが、黒ずくめの組織に飲まされた毒薬・APTX4869の副作用で小学生の姿になっている。
- 爆弾犯からの電話を工藤新一として受け、爆破を阻止するために奔走する。犠牲者を出さないために爆弾を遠ざけようとした際に爆風に吹き飛ばされて負傷し、緑台警察病院へ搬送された。診察結果は1日の入院で済む程度の怪我だったため(この時から最後まで、頭に包帯を巻いている)、終盤では森谷邸と蘭の居る米花シティービルへ向かう。
- 毛利 蘭(もうり らん)
- 声 - 山崎和佳奈
- 本作のヒロイン。新一の幼馴染かつガールフレンド。都大会で優勝するほどの空手の達人。
- 新一の誕生日祝いに彼と一緒に米花シティービルでオールナイト上映の映画に誘い、0時を回ったと同時に赤いシャツをプレゼントするというサプライズを計画する。その約束を新一との電話で森谷教授のガーデンパーティーに同伴する代わりとして半ば強引に取り付けるが、そのパーティーに参加したことで約束当日に爆弾による危機に直面することになり、ロビーの扉の向こう側にまで来ていたコナン(新一)からの指示に従い爆弾の解体作業を試みる。
- 毛利 小五郎(もうり こごろう)
- 声 - 神谷明
- 蘭の父親で「眠りの小五郎」の異名で有名な私立探偵。コナンの保護者。元警視庁捜査一課強行犯係の刑事。
- 保護者としての立場からコナンや蘭を心配して叱りつけたり、命の危険にさらした犯人に激怒したりする。東都環状線の爆破事件から、犯人は東都環状線の沿線に住んでいない人物だと推理する。
- 工藤 新一(くどう しんいち)
- 声 - 山口勝平
- 本作の主人公であるコナンの本来の姿で、高校生探偵。
- 目暮の回想で、1年前に西多摩市で発生した交通死亡事故の真相を暴いていたことが判明する。
- また、中盤および終盤の場面で蘭や目暮らに対し、コナンが蝶ネクタイ型変声機を使用した際の声としても登場している。
- 目暮警部(めぐれけいぶ)
- 声 - 茶風林
- 警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係の警部。
- 連続爆破事件の捜査指揮を執る。新一が解決してきた事件で一番世間の注目を浴びた事件に岡本市長の交通事故偽装事件を挙げている。
- フルネームが判明するのは、次作からである。
- 阿笠 博士(あがさ ひろし)
- 声 - 緒方賢一
- コナンの正体を新一と知る数少ない人物の1人で、発明家。
- 東都環状線の沿線に仕掛けられた爆弾について、日没後に爆発するという仕掛けをスケボーと逆だと評し、この一言が爆弾の在処を発見する手がかりとなる。
- コナン達が森谷邸に行くとなった時は同行せずモノローグでコナンに健闘を祈る。
- 吉田 歩美(よしだ あゆみ)、小嶋 元太(こじま げんた)、円谷 光彦(つぶらや みつひこ)
- 声 - 岩居由希子(歩美)、高木渉(元太)、大谷育江(光彦)
- 少年探偵団の3人。
- 堤無津川緑地公園で爆弾の搭載されたラジコン飛行機を犯人から知らずに受け取り遊んでいたが、コナンに間一髪で助けられる。その後、入院したコナンを見舞った帰りに緑台駅から東都環状線に乗り合わせ、第3の爆破事件にも巻き込まれるも、コナン(新一)の推理で芝浜駅貨物線に環状線の列車を避難され、無事に降車した。
- 鈴木 園子(すずき そのこ)
- 声 - 松井菜桜子
- 蘭の同級生で親友。鈴木財閥の令嬢で、蘭や新一とは幼馴染でもある。
- 蘭が新一に贈る誕生日プレゼントの買い物に同行し、蘭と新一の仲を茶化している。
- 事件に巻き込まれる直前で蘭と別れたため、レギュラーキャラクターの中で唯一事件には全く関わっていない。
オリジナルキャラクター
森谷と白鳥を除いて、全員担当声優は演者のみエンディングで表記され、役名はノンクレジット。
犯人
- 爆弾犯
- 変声機を使って新一に爆破予告の電話をかけてきた人物。
- 東洋火薬の火薬庫からオクトーゲン等の爆薬を大量に盗み出し、プラスチック爆弾を製作。それを雷管付きの衝撃爆弾やタイマー付きの時限爆弾に改造し、様々な場所に仕掛ける。
- 少年探偵団に爆弾搭載のラジコンを渡すときは、茶色の長髪に付け髭にサングラスといった変装をし、グレーの帽子とコートを身に着けていた。また、歩美によれば、ラジコンを渡された際に「甘い匂い」(化粧品や香水とは違う)がしたという。後に森谷教授設計の建築物を狙った連続放火事件と同一犯の可能性が浮上し、警察は森谷教授に恨みを持つ人物ではないかと推測する。
容疑者
- 森谷 帝二(もりや ていじ)〈47〉
- 声 - 石田太郎
- 本作のキーパーソン。日本屈指の有名な建築家で、東都大学建築学科の教授。独身。本名は森谷 貞治。
- 英国紳士風の落ち着いた物腰と気品さを感じさせる一方、不敵な笑みも浮かべる挑戦的な性格。イギリス古典建築のシンメトリー(左右対称)に並々ならぬこだわりを持ち、自身が手掛ける建築物は必ず左右対称に設計している。そのこだわり振りは、自分の名前をも左右対称の帝二に変えたほどであり、コナンから「病気」と評された。
- 30代の頃に東都環状線の橋を設計し、日本建築協会の新人賞を受賞した。今の若い建築家に対しては「美意識が欠けている」として「もっと自分の作品に責任を持たなければいけない」と警鐘を鳴らす芸術家思考の持ち主である。
- 父も世界的な建築家だったが、母と共に15年前に起きた別荘の火事で他界している。現在住んでいる邸宅は、親からの遺産として引き継いだもの。
- 有名な高校生探偵の工藤新一に興味を抱き、自宅で開催するガーデンパーティーに招待する。ガーデンパーティーでは正式な作法に倣い、スコーンやサンドイッチ、クッキーなどすべての料理を自ら手作りして提供した。また、パーティの最中に小五郎や招待客にクイズを出題している(後に劇場版名探偵コナンで恒例となる、コナンシネマクイズ(C.C.Q)の最初の出題者である)。
- 第5作『天国へのカウントダウン』には、弟子の風間英彦が登場する。
- 名前の由来は『シャーロック・ホームズ』に登場するホームズの宿敵・ジェームズ・モリアーティ教授。キャラクター原案は原作者の青山剛昌が担当した。
- 白鳥刑事(しらとりけいじ)
- 声 - 塩沢兼人
- 警視庁刑事部捜査一課のキャリア組刑事で階級は警部補。
- クールな口調で意味深な台詞が多く、森谷帝二の父に憧れを抱いており、建築にも興味がある、爆弾犯からの電話が掛ってきたときはいつも不在になる等、容疑者の1人として描かれている[注 7]。
- 本作が初登場となるが、フルネームが判明するのは、次作からである。キャラクター原案は青山が担当した。青山とスタッフに気に入られたことから、原作・テレビアニメ・劇場版のレギュラーキャラクターとなった。
黒川家
プロローグのみ登場。
- 黒川 大造(くろかわ だいぞう)〈62〉
- 声 - なし
- 黒川邸の主人で、黒川病院の院長兼外科医。
- 邸内で酒を飲みながらワープロを使っていたところを撲殺されるが、コナンの推理によって事件は解決する。
- 平時から飲酒癖があるらしく、院長の権力を盾にして周囲の医療関係者に圧力をかけ、酔ったまま執刀する等、問題行動があったようである[注 8]。
- 黒川 三奈(くろかわ みな)〈32〉
- 声 - 宮寺智子
- 大造の後妻。6月生まれ。
- 犯行現場に残されたメッセージから犯人だと疑う小五郎に詰め寄って文句を言う等、強気な性格をしている。
- 黒川 大介(くろかわ だいすけ)〈36〉
- 声 - 山路和弘
- 大造の長男で、黒川病院の内科医。
- 三奈や真那美と共に事件の容疑者になる。
- 中沢 真那美(なかざわ まなみ)〈27〉
- 声 - 藤井佳代子
- 黒川邸の家政婦。
- 大造殺害事件の真犯人。素性を隠して黒川家に入り込んでいたが、コナンの推理によって犯行を暴かれ、現行犯逮捕される[注 9]。自供した後は「恨みを晴らせたから悔いはない」と笑い飛ばすも涙を流し、そのまま警察へ連行された。
岡本家
目暮の回想シーンに登場。
- 岡本(おかもと)〈52〉
- 声 - 平尾仁彰
- 元西多摩市市長。
- 1年前に西多摩市在住で26歳のOLを轢き殺すという交通死亡事故を起こしてしまい、事故車に身代わりを買って出た息子の浩平に疑いが掛かるような偽装工作を施す。だが、新一に真相を暴かれて逮捕され、現在は服役中である。
- 市長在任中に西多摩市の新しい街づくりを推進していたが、この事件を受けて計画そのものが白紙となった。
- 岡本 浩平(おかもと こうへい)〈21〉
- 声 - 谷川俊
- 岡本元市長の息子で、電子工学科の学生。
- 事故当時、父の市長としての立場を重んじ、車に同乗していたことを利用して身代わりを買って出るが、新一に見破られて失敗する。
- 白鳥は浩平がそのことを恨んで犯行におよんだのではと疑ったが、当日の早朝から伊豆に出かけていたため、容疑者から外された。
東都環状線
- 坂口(さかぐち)〈52〉
- 声 - 藤本譲
- 東都鉄道総合司令室の責任者で運行部長。
- 犯人の要求から、爆弾が見つかるまで楠に東都環状線全線の列車のスピードを上げて時速70kmを維持させるように指令を出す。その後、小五郎や目暮警部と今後の相談をしている時に携帯電話からコナン(新一)の推理で「線路の間」である事を聞かされたため、芝浜駅貨物線に環状線の列車を避難させる新たな指令を出した。
- 楠(くすのき)〈45〉
- 声 - 藤城裕士
- 東都鉄道総合司令室の総合司令長。
- 坂口から爆弾の存在を知らされて驚愕するが、運転士に指示を与えて事態の収束に乗り出す。
- 運転士
- 声 - 山崎たくみ
- 東都環状線11号編成の運転士。
- 爆弾が仕掛けられていることを知らされて動揺するが、楠指令長からの指示通り電車を芝浜駅貨物線内に止めることに成功する。
- 電車の乗客
- 声 - 小堀裕之、川谷修士(2丁拳銃)
- 東都環状線の乗客。
- 電車が止まらないことから、車掌に詰め寄る。
- 声を担当した2丁拳銃は、お笑い芸人としては初のゲスト出演となった。
警察関係者
- 警官
- 声 - 千葉一伸
- 警察犬を連れて東都環状線に仕掛けられた爆弾を捜索していた警官。
- 爆弾は目暮の指揮ですべて回収され、東都鉄道爆破未遂事件は無事に解決する。
病院関係者
- 医師
- 声 - 山路和弘
- 爆発を防ぐために負傷したコナンを診察した緑台警察病院の医師。
- コナンに翌日退院が可能との診断を下し、お見舞いに訪れていた一同を安心させる。
爆弾事件の関係者
- 少年
- 声 - 水原リン
- 自転車を止めてジュースを買っていた少年。
- プラスチック爆弾が仕掛けられたキャリーバッグの追跡中にターボエンジン付きスケートボードが故障されたコナンに自分の自転車に乗って行かれた際に、自分より年下に見えるコナンから「坊や」と呼ばれて唖然となる。
- おばあさん
- 声 - 水原リン
- 米花駅前の広場に捨てられていたネコを拾った老婆。
- 途中でタクシーに乗車したがコナンに止められ、爆弾の入ったケースを回収される。
- ライダー
- 声 - 一条和矢
- 上述のおばあさんを制止するために飛び出したコナンと接触しそうになった、バイクのライダー。
- このトラブルでターボエンジン付きスケートボードの機能が故障したため、コナンは少年から自転車を拝借することとなる。
- 店員
- 声 - 百々麻子
- 爆弾を探すためにコナンが入店したハンバーガーショップの女性店員。
- 何も注文せずに出入りを繰り返すだけのコナンに驚く。
- アナウンサー
- 声 - 野村明大
- 東都環状線で発生した爆弾事件を担当する男性アナウンサー。
- 爆発までの時刻を緊張した面持ちで実況していた。
- 声を担当した野村明大は、読売テレビアナウンサー。
スタッフ
- 原作 - 青山剛昌
- 監督 - こだま兼嗣
- 脚本 - 古内一成
- 絵コンテ - こだま兼嗣、佐藤真人
- 演出 - 佐藤真人
- 演出助手 - 山本泰一郎、野上和男、石井和彦、矢野篤
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 須藤昌朋
- サブキャラクターデザイン - 兵頭敬、糸島雅彦、森木靖泰、河村明夫、山本泰一郎
- 作画監督 - 河村明夫、高谷浩利、宍戸久美子、佐々木恵子、清水義浩、兵頭敬、牟田清司
- エフェクト作画監督 - 糸島雅彦
- 美術監督 - 渋谷幸弘
- 色彩設定 - 小川さよ子
- 撮影監督 - 野村隆
- 編集 - 岡田輝満
- 音響監督 - 小林克良
- 音響効果 - 横山正和
- 音楽 - 大野克夫
- ストーリーエディター - 飯岡順一
- プロデューサー - 諏訪道彦、吉岡昌仁
- アニメーション制作 - キョクイチ東京ムービー
- 製作 - 「名探偵コナン」製作委員会(小学館、読売テレビ、小学館プロダクション、ポリグラム、キョクイチ)
テレビ放送
今作は上映時間が95分と後の作品と比べると短く[21]、金曜ロードショーでの1回目(通算4回目)の放送から「ノーカット放送」と明記されているが、それでも月曜日時代と同様に枠を超えていない。また、劇場版恒例クイズコーナーは、ノーカット放送ではない作品はほとんどカットされるが、今作はクイズの賞品で「森谷のギャラリーを蘭と共に見に行く」のは、その後の展開に大きく影響する重要シーンのため、月曜日時代の放送全てでカットされていない。
音楽
主題歌
- 杏子「Happy Birthday」
- 作詞・作曲 - スガシカオ
- CD版はフェードアウトで終わるが、本作ではコーダがつけられている。
挿入歌
サウンドトラック
ジャケットイラストは原作者・青山剛昌氏の描き下ろしイラストになっている。 本作のBGMは同年6月2日放送の第61話『幽霊船殺人事件(前編)』からTVシリーズでも劇伴として汎用開始、2007年7月のリニューアル以降は一部の楽曲のみだが、リアレンジされ現在も劇伴に使用されている。
収録曲
- 名探偵コナン メイン・テーマ (摩天楼ヴァージョン)
- 英国風館
- 時計じかけの摩天楼
- 爆破犯人のテーマ
- 犯人からの電話
- 爆破予告
- 爆弾処理
- 蘭のテーマ (摩天楼ヴァージョン)
- 少年探偵団のテーマ (摩天楼ヴァージョン)
- 陰謀 (摩天楼ヴァージョン)
- 忍び寄る危機
- 緊急指令
- 対決のテーマ (摩天楼ヴァージョン)
- 捜査開始 (摩天楼ヴァージョン)
- 西の名探偵 (摩天楼ヴァージョン)
- 昼下がりの天使たち (摩天楼ヴァージョン)
- 想い出 (摩天楼ヴァージョン)
映像ソフト
関連本
出典本
- 『名探偵コナン全映画パーフェクトガイド』 小学館、2001年5月10日。ISBN 978-4-09-101802-1。
- 『名探偵コナン 10years シネマガイド』 小学館、2006年3月24日。ISBN 978-4-09-101803-8。
- 『劇場版名探偵コナン全人物調書』 小学館、2007年4月18日。ISBN 978-4-09-120823-1。
- 『名探偵コナン キャラクタービジュアルブック』 小学館、2014年9月18日。ISBN 978-4-09-199036-5。
漫画
- 原案/青山剛昌 作画/阿部ゆたか、丸伝次郎『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』 小学館、2014年8月18日。ISBN 978-4-09-125089-6。
フィルムブック
- 『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼 上巻』 小学館、1997年9月18日。ISBN 978-4-09-124871-8。
- 『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼 下巻』 小学館、1997年10月18日。ISBN 978-4-09-124872-5。
- 『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼 完全版』 小学館、2006年1月18日。ISBN 978-4-09-120299-4。
備考
序盤、コナンは自身の誕生日の翌日と前日を「こどもの日」、「憲法記念日」と自ら気づき、4日のみ「ホームズとモリアーティ教授がライヘンバッハの滝壺に落ちた日」としか認識しなかったが映画公開当時、その日は「国民の休日」(現・「みどりの日」)だった。
上記の蘭が考えたサプライズは、2024年2月現在、上映終了時刻が午後11時以降の作品は、東京都青少年の健全な育成に関する条例により保護者同伴でも18歳未満は鑑賞出来ず、16〜7歳の蘭達はもちろん、留年生など例外を除き、高校生以下は実現不可能である[注 11][28]。なお映画公開から同条例は2005年(平成17年)以降、何度も改正されており18歳未満が「上映終了時刻が午後11時以降の映画」を鑑賞できなくなったのはそれ以降になる。
目暮警部の回想シーンを除き、新一の服装は全て「青いタキシードに、赤い蝶ネクタイ」で、このパターンで映画に登場するのは、第26作『黒鉄の魚影』までで唯一の作品になっている(次作以降は全て、制服または私服である[注 12])。
脚注
関連項目
外部リンク
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