Loading AI tools
ウィキペディアから
『ティンクルセイバー』(Twinkle Saber)は、藤枝雅による日本の漫画作品およびそれに登場するスーパーヒロインの名前。通称『TS』。
本作は、世界征服を企む部活・世界征服部と、彼らの野望を阻止する部活・正義の味方部との対峙構造を主軸として、時に行われる戦いを描く特撮変身ヒーロー(ヒロイン)物のストーリー漫画である。
元々は作者が1995年から2003年にかけて同人サークル「あとりえ雅(現:仕立屋雅)」にて発表された同人誌作品だった。後に2004年にこれと並行する形でストーリー構成をフルリメイク(設定の見直しや新キャラクター、新エピソードの追加など)し、一賽舎(現:一迅社)出版の商業誌『コミックZERO-SUM増刊WARD』で連載されていたが、2005年にて同出版社の『月刊ComicREX』の創刊により移動し、REXの看板作品となった。 また、題名は連載当初は同人版同様「ティンクルセイバー」だったが、本作の単行本化に伴い「ティンクルセイバーNOVA」へと改題された。 2008年12月号から2010年11・12月合併号までは隔月連載に変更(2009年6月号から2010年8月号は作者の体調不良により休載)、2012年10月号以降は不定期連載となった。また、作者がドラマCD好きということもあり、限定版単行本や店舗特典としてドラマCDが付属されている。
ストーリー形式は1話から4話までは1話完結だったが、5話以降からは2編〜3編で1話分のパート構成となった。各話数の通し番号は、雑誌掲載は「ACTIVITY○〈章〉-○〈話〉(○〈パート〉)」(2010年11・12月合併号までは「EPISODE:○〈章〉-○〈話〉」。章は巻数と掛けている)、単行本は「ACTIVITY-○」となっている。作風としては基本的に仄々とした明るくコミカルなシーンや白熱するバトルシーンが多いが、「過去に起こった事件によって生じたわだかまりや確執」「部活の行く末に対する複雑な心情」「極星所有者が抱く葛藤や苦悩」などを描いたシリアスで重いストーリーもしばしば展開される。また、藤枝の作品の特徴である百合描写は比較的少なめであり、本作の各所にしばしば藤枝が手掛けてきた作品に登場する人物名や用語などが登場している(後述)他、作中での台詞や設定集の解説の一部に有名な作品のパロディが含まれている[注 1]。
本作は長期連載作品ではあるが、休載している期間が非常に長い(多い)。最長の休載は前述の通り2009年6月号から2010年8月号までの1年2ヶ月で、単行本の刊行では4巻は前巻から5年の開きがある。
2015年2月号の掲載を最後に休載に入ったが、2020年現在連載再開の予定は立っておらず事実上の打ち切り状態となっている[注 2]。このことについて藤枝は「今の自分ではあの作画の維持ができなくなり、連載再開は難しい状況になったので、実質的に打ち切りとなる」とX(旧:Twitter)で明かしており[2]、今後の展開についても「もうREXさんでやらせていただけるとは考えてないし、連載はできない」と述べているが「何かできることがあれば」とも語っている[3]。 その後、2022年6月の作者のTwitterにて同人作品という形で本作の執筆を再開することを発表した。また、藤枝は同年8月のTwitter内で本作の結末に関して「完結はしない」とも述べており[要出典]、今後の展開体制については「REX誌での連載再開は体制的にも体力的にも難しい」と語りKindleを中心に連載を進めていくとのこと[注 3]。それに伴いタイトルも『ティンクルセイバーHEIR』に改称された(後述)。
ストーリーの流れは『ティンクルセイバーNOVA』および『ティンクルセイバーHEIR』(以下『NOVA』、『HEIR』)に準拠している。
略称「AD」(Active Dress)。霧瀬が開発した、単純に言うと装甲服。外見は霧瀬の趣味だが、アルピストを使用しているため耐衝撃に耐電・耐火・耐水と非常に高い防御力を誇る。さすがに科学力の限界で、「変身」は出来ず、普通に着替えることで装着する(15話で鈴鳴はやなが極光を利用して着替えたため、あたかも変身したような形となった)。前述したように防御力は高いが装着者の能力を強化するような機能はないため、作中の高い戦闘能力は装着者本人の力や技によるところが大きい。「相手を傷つけずに倒す」というコンセプトの下に作られたスタンデヴァイス(略称SD(StunDevice))と呼ばれる味方部の各部員に合わせた充電式[1]の専用衝撃装備が付属している。霧瀬が「学園の悪を断つ正義の剣」というようにスーツ名には「○○(星や雷など空に関連した英単語)セイバー(Saber:刀剣)」という名前がついている。普段は保健室「湊」の壁の奥に保管されており、「The justice is in your heart!」(直訳すると「正義は君の心(むね)の中に!」)のパスワードを入力することで取り出される[注 66]。
略称「SS」(Support System)。あきが開発した装甲服。性能は味方部のADシリーズとほぼ同等と思われるが、防御性能のみのADシリーズとは異なり、運動能力を補助する機構が組み込まれている[25]。こちらもADシリーズ同様に普通に着替えることで装着する。
完成型の「VSS」と試作型の「PSS」の2種類に分類されている。機体名には漢字一文字が入っている。
略称「VSS」(Variable Support System)。「VSS」の読み方は「ヴァーサス」。RPGに出てきそうなシルエットが特徴[27]で、トリックツール(略称「TT」(Trick Tool))と呼ばれる征服部の各部員に合わせた装備を持っている[注 70]。
略称「PSS」(Proto Support System)。個人の能力と特性に合わせて逐次設計されるVSSとは基本設計思想が異なり、誰でも扱いやすいように固有の機能や装備等はない[31]。
極星(きょくせい)は、美咲輝学院の部活動において特筆すべき成績を修めた星徒が、星徒会から贈られる称号。
「部活動において」という条件上、基本的に各部毎に1つのみ与えられるもので、多くの場合は部長が持つが例外も多い。その継承は当代保有星徒の意思によって(星徒会の審査はあるが)自由に譲ることが許され、後継者不在のまま卒業すると極星は星徒会預かりとなるので、通常はそれまでに後継者となる後輩を探すこととなる。実力さえあれば1年生でも得ることが可能で、逆に3年生となると継承に躍起になるため、かえって持ち主は少ない。極星になると学院から各種特権と極星章と呼ばれる記章が与えられる[27]ほか、学費免除などの特典が付く。継承の方法は先代から譲られるというものが基本的だが、勝負に勝って剥奪するという方法もある[27][注 77]。また、前述のように後継者がいない場合や本人の都合などで後継を望まない場合は封印をして一時星徒会預かりにすることができる[15]。極星を保有することを許された星徒は「極星所有者」と呼ぶ(作中では「極星」と略されることが多い)。
名前は基本的に「色」と「志」を示す漢字2文字で構成されている。「色」とは極星の区別であり、全24色(つまり極星は最大で24人。各教室のクラスにも極星の「色」が使われている)存在し、これは代々不変として継がれる。そして「志」とは当代極星が自由に付けることが出来る部分であり、多くは自分の在り方を示す漢字がつけられるが、さつきや稜などのように先代の称号に思い入れがある場合はそのまま継ぐことも出来る。そして特例として三文字目が存在しており、それは極星の中でも最高の男女各1名に与えられるもので、男子星徒には「覇」、女子星徒には「姫」が与えられる。
正義の味方部と世界征服部は、互いの戦力増強のため各部の極星星徒達を集めている。また、中等部でもその存在が知れ渡っているが、所有することができるのは高等部に進学してからであり、中等部が高等部から継承されることは異例とも言える。
以下に記述されている各極星は、現在判明している極星や作中に登場した極星所有者や所有部を記述している。括弧内は掛け持ちしている部活、太字は色の由来となった部活(一部例外あり)を表す。
色 | 所有者 | 極星名 | 所有部 |
---|---|---|---|
★朱 | 鉤屋辰 → 司木橙也 | 朱鋼 → 朱砂 | 空手部(世界征服部) |
★紅 | 不和久遠 → 武居和麻 | 紅蓮姫 → 紅刃 | 剣道部 |
★蒼 | 水乃緒れい → 天宮さつき | 蒼雷 | なぎなた部(正義の味方部) |
★銀 | 九行律 → 鈴鳴はやな | 銀麗覇 → 銀星姫 | 茶道部 → 日本舞踊部 → 正義の味方部 |
★紫 | 八草重遊 | 紫閃 | 世界征服部[注 78] |
☆白 | 白葉樹紫子 → 御堂あき | 白爛 → 白煌 | テニス部 → ロボット研究部(世界征服部) |
★黒 | 鴇神冴 | 黒帝 | 世界征服部[注 78] |
★緋 | 竜胆うるむ | 緋羽 | 弓道部 |
★桜 | 芳奈ひろり → 天羽翔子 | 桜凛 → 桜流 | 新体操部(世界征服部) |
★赤 | 新道遥々 → 九行稜 | 赤陽 | 陸上部(正義の味方部) |
★桃 | 浅凪一二三 → 浅凪九郎 | 桃幻 | 世界征服部[注 78] |
★青 | 鈴鳴せりほ → 瀧津河辰人 | 青波 | 報道部 |
極星ではあるが、所有者および所有部が判明していないもの。
本作の主な舞台は現実世界と同じ地球の東京都の第24特別区として東京湾に浮かぶ人工島「美咲輝区」である[注 79]。年号は2040年代以降(2044年)[1]だが、「現在の年号に追いついてしまわないようにする」という藤枝の意向により、あえて明示せずにあらすじの書き出しに「今より近い未来」という説明のみに留めている[1]。
美咲輝学院(みさき がくいん)とは、本編の舞台となる架空の学校。
東京湾に造られた人工島にある非常識な規模の超巨大学園都市(いつ建立されたかは不明)で、敷地内には幼等部から大学院、各種専門学校までと溢れるほどの教育施設が揃っており、更には公共施設、開発施設、居住区までも内部に備え、私鉄やモノレールといった移動設備も充実し、果てにはレジャー施設まで備えており、その暴走振りから「最強の学院」として日本各地より広く星徒を集めている。だが最大の特徴は「自由自在」という校風であり、星徒に相応の意思と能力があればほとんどの場合が部活動という形で実現可能となっており、世界レベルの選手が育つことも稀ではない。
敷地は五芒星を模った五角形の形をしており、外環部の推定直径は約17km、敷地総面積は概算で約227平方kmに及び、その広さは大阪市に匹敵する。さらに湾岸への5本の橋(それぞれ羽田空港、浦安市、習志野市、千葉港、袖ケ浦市)で結ばれている。
高等部に在学する男子星徒の制服は春服の萩、夏服の水仙の2種類[1]、女子星徒の制服は春服の蓮華と菫[29]、夏服の桔梗[31]の3種類に分類されている。
本編における出来事を年表形式に掲載する。
数字は本編より遡った年数を示す。
以下のように、本作は藤枝雅の複数の別作品と同じ世界観を舞台としていることが示唆されている。
単行本の空きページに掲載されているコーナー。
本編では語られていない作中のキャラクターやアイテム、世界観などの詳しい詳細や解説、裏設定が明らかにされる。基本的に話の後に掲載されることが多いが、稀に各パートの間に掲載されることもある。
単行本の巻末ページに掲載されているコーナー。
本編に登場した正義の味方部と世界征服部の戦闘装備が解説される。1巻と4巻では女子星徒の3種類の制服も紹介されている。
各話のタイトルは俳句のような区切りになっている。また、第1巻のみDNAコミックス、第2巻以降はREXコミックスとして発売されている。これは掲載誌の変遷による。 カバーの表表紙には正義の味方部所属のメンバーが用いられているが、初回限定版と通常版とで異なり、限定版は全体図を、通常版はそのアップを描いている。
1995年に発行された同人誌「ティンクルセイバー創刊号」から「季刊・雅」にて掲載された商業誌版(以下『NOVA』)の礎とも言える作品。基盤こそ『NOVA』と同様だが、一部ストーリーの流れが異なる。 各話数の通し番号は、3話までは「EPISODE:○〈話〉」4話以降は「EPISODE:○〈話〉-ACT:○〈パート〉」。
2003年まで執筆されたが、『NOVA』の執筆を機に打ち切りに近い形で終了し、EPISEDE:5の物語は未完のまま未収録となった。藤枝曰く「ストーリー展開は『NOVA』に完全移行したため、今更続きを再執筆するつもりはない」とのこと[1][35]
2022年に制作された、商業誌版の続きを描いた作品。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.