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1997年制作のアメリカの映画作品 ウィキペディアから
『タイタニック』(原題: Titanic)は、ジェームズ・キャメロンが監督・脚本・共同製作・共同編集した、1997年のアメリカ合衆国のロマンス映画である。この映画ではレオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレットが主演を務めた。また、この映画では実際に起きたタイタニック号事故が題材となっている。
タイタニック | |
---|---|
Titanic | |
監督 | ジェームズ・キャメロン |
脚本 | ジェームズ・キャメロン |
製作 |
ジェームズ・キャメロン ジョン・ランドー |
製作総指揮 | レイ・サンキーニ |
出演者 |
レオナルド・ディカプリオ ケイト・ウィンスレット ビリー・ゼイン キャシー・ベイツ フランシス・フィッシャー ヴィクター・ガーバー デビッド・ワーナー ビル・パクストン グロリア・スチュアート |
音楽 | ジェームズ・ホーナー |
主題歌 |
「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」 セリーヌ・ディオン |
撮影 | ラッセル・カーペンター |
編集 |
ジェームズ・キャメロン コンラッド・バフ リチャード・A・ハリス |
製作会社 |
パラマウント・ピクチャーズ 20世紀フォックス映画 ライトストーム・エンターテインメント |
配給 |
パラマウント・ピクチャーズ 20世紀フォックス映画 |
公開 |
1997年11月1日(東京国際映画祭) 1997年12月19日 1997年12月20日 |
上映時間 | 194分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 |
$286,000,000[1] ※2013年7月時点での映画製作費歴代2位[2] |
興行収入 |
$2,185,232,551[1] $658,532,551[1] 277.7億円[注 1] |
配給収入 | 160億円 |
1912年の処女航海中に氷山に衝突し、当時世界最悪の犠牲者を出したタイタニック号沈没事故をモデルに、地位も境遇も異なる一組の男女のラブストーリーを描いた映画である。
監督を務めたジェームズ・キャメロンは、難破船に魅了されたことからこの映画のインスピレーションを得、歴史的海難事故の感情的なインパクトを伝えるためには、人間の喪失感を織り交ぜたラブストーリーが不可欠だと考えた。観客にタイタニックの悲劇を当時の乗客と同様に体験してもらうため、徹底した時代考証によって作中のタイタニックの様子は完全再現に近い出来となっており、ラブストーリーを演じる主人公2人が案内役にもなっているほか、映画の冒頭と終盤にある現代のシーンとエンドロールの上映時間を除くと、タイタニックが氷山に衝突してから完全に沈没するまでにかかった2時間40分の上映時間となるように構成されている。
製作は1995年に開始され、キャメロンは実際に沈没したタイタニック号の映像を撮影した。調査船での現代的なシーンは、キャメロンが沈没船の撮影時に拠点としていた海洋観測船「アカデミーク・ムスチスラフ・ケルディシュ」で撮影された。沈没事故の再現には、スケールモデルやCG、バハスタジオで製作されたタイタニック号の復元模型などが使用された。
パラマウント・ピクチャーズと20世紀フォックスが共同で出資し、パラマウント・ピクチャーズが北米で、20世紀フォックスがその他の地域で配給した。製作費は2億ドルと、当時の映画界で最も高額な作品となった。
制作当時、ウォーターワールドという海を舞台とした映画が興行的に失敗したばかりであったほか、本作の公開以前からタイタニック号沈没事故は有名で、何度も映画化されたテーマでもあったため、マスコミからは「内容も興行収入も期待できない」として容赦ない批判が寄せられていた[3]。しかし、本作は公開されるやいなや商業的に大きな成功を収め、後に多くの称賛を受けた。アカデミー賞では14部門にノミネートされ、『イヴの総て』(1950年)と並ぶ最多ノミネート作品となり、作品賞と監督賞を含む11部門を受賞し、『ベン・ハー』(1959年)と並ぶ単一作品での最多受賞作品となった。
全世界での初動興行収入は18億4,000万ドルを超え、10億ドルの大台に乗った史上初の映画となった。2010年にキャメロンが監督を務めた『アバター』がこれを超えるまで、興行収入の史上最高記録を保持していた。
タイタニック号の沈没100年を記念して2012年4月4日に公開された3D版『タイタニック』は、全世界でさらに3億4360万ドルを稼ぎ出し、映画の世界累計興行収入は21億9500万ドルに達し、全世界で20億ドルを超えた2番目の映画となった(『アバター』に続く)。2017年には20周年を記念して再公開され、アメリカ国立フィルム登録簿に保存されることになった。2023年2月10日には「ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター」版が日米同日公開された。
日本においては、オリジナル版と3D上映版の配給は20世紀フォックス日本支社が担当していたのに対し、「ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター」版の配給はウォルト・ディズニー・ジャパンが担当しているため、配給会社が異なる[注 2]。また、オリジナル版の上映と同様、「ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター」版の上映は字幕版のみとなる。
映画制作会社からの上映権の取得が難しいことと上映時間の長さを理由に、本作は映画館からは敬遠される傾向にあり、映画館における再上映の機会も貴重なものとなっている。特に、日本においてはタイタニックの全国的な再上映は過去2回しか行われていない。再上映が行われるとしても、ミニシアター系などの小規模な映画館では再上映の許可が下りにくく、シネコン限定の再上映が大半となっている。また、映画館が敬遠するため、日本の配給会社が保有する上映権の更新がなされずに失効することもある。したがって、周年記念におけるリマスター版公開(どちらかといえばオリジナル版の再上映というよりも新作公開の扱い)の機会を除けば、簡単には再上映できない作品となっている[4]。
日本における再上映の年表は下記の通り。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え[13] | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
ソフト版 | フジテレビ版1 | 日本テレビ版 | フジテレビ版2 | 機内上映版 | ||
ジャック・ドーソン | レオナルド・ディカプリオ | 松田洋治 | 妻夫木聡 | 石田彰 | 内田夕夜 | 草尾毅 |
ローズ・デウィット・ブケイター | ケイト・ウィンスレット | 日野由利加 | 竹内結子 | 冬馬由美 | 岡寛恵 | 藤貴子 |
キャルドン・ホックリー | ビリー・ゼイン | 山寺宏一 | 江原正士 | 堀之紀 | ||
モリー・ブラウン | キャシー・ベイツ | 谷育子 | 小林幸子 | 一城みゆ希 | 小林幸子 | 鳳芳野 |
ルース・デウィット・ブケイター | フランシス・フィッシャー | 小沢寿美恵 | 鈴木弘子 | |||
ミセス・カルバート | グロリア・スチュアート | 佐々木すみ江 | 京田尚子 | 山口奈々 | ||
ブロック・ロベット | ビル・パクストン | 石塚運昇 | 堀内賢雄 | 井上倫宏 | ||
スミス船長 | バーナード・ヒル | 大木民夫 | 久米明 | 有本欽隆 | ||
スパイサー・ラブジョイ | デビッド・ワーナー | 青森伸 | 稲垣隆史 | 島香裕 | ||
トーマス・アンドリューズ | ヴィクター・ガーバー | 納谷六朗 | 小川真司 | 後藤哲夫 | ||
ブルース・イズメイ | ジョナサン・ハイド | 土師孝也 | 羽佐間道夫 | 小島敏彦 | ||
リジー・カルバート | スージー・エイミス | 山像かおり | ||||
ルイス・ボーディーン | ルイス・アバナシー | 池田勝 | 岩崎ひろし | 江川央生 | ||
ボビー・ビュエル | ニコラス・カスコン | 大川透 | ||||
アナトリー | アナトリー・M・サガレビッチ | |||||
ファブリッツィオ | ダニー・ヌッチ | 檀臣幸 | 鳥海勝美 | 成田剣 | ||
トミー・ライアン | ジェイソン・ベリー | 吉田孝 | 石野竜三 | 檀臣幸 | ||
マードック次席一等航海士 | ユアン・スチュワート | 田原アルノ | 原康義 | 水内清光 | ||
ロウ五等航海士 | ヨアン・グリフィズ | 後藤敦 | 森田順平 | |||
ライトラー二等航海士 | ジョニー・フィリップス | 諸角憲一 | 家中宏 | |||
ワイルド主席一等航海士 | マーク・リンゼイ・チャップマン | 石塚運昇 | 内田直哉 | 堀川仁 | ||
ロー操舵手 | リチャード・グラハム | |||||
ヒッチェンズ操舵手 | ポール・ブライトウェル | 落合弘治 | 池田秀一 | |||
ベイリー主任 | ロン・ドナキー | 池田勝 | 宝亀克寿 | |||
ジョン・ジェイコブ・アスター4世 | エリック・ブレーデン | 仲野裕 | ||||
アーチボルド・グレイシー大佐 | バーナード・フォックス | 佐々木梅治 | 富田耕生 | |||
ベンジャミン・グッゲンハイム | マイケル・エンサイン | 岩田安生 | ||||
オベール婦人 | ファニー・ブレット | |||||
母親のアイリッシュ | ジェニット・ゴールドスタイン | |||||
ヘルガ・ダール | カミラ・O・ローズ | |||||
ダフ・ゴードン卿 | マーティン・ジャーヴィス | |||||
ゴードン卿夫人 | ロザリンド・エアーズ | |||||
トゥルーディ・ボルト | エイミー・ガイパ | 岡本章子 | ||||
ロシズ伯爵夫人 | ロシェル・ローズ | 北條文栄 | ||||
ウォレス・ハートリー | ジョナサン・エヴァンス=ジョーンズ | 伊藤和晃 | 納谷六朗 | |||
バート・カートメル | ロッキー・テイラー | |||||
フリート見張り番 | スコット・アンダーソン | 柳沢栄治 | ||||
リー見張り番 | マーティン・イースト | 星野充昭 | ||||
ハロルド一等通信士 | クレイグ・ケリー | 桐本琢也 | ||||
ベル機関長 | テリー・フォレスタル | 塚田正昭 | 斎藤志郎 | |||
バレット火夫長 | デレク・リー | 北川勝博 | 小島敏彦 | |||
その他 | — | 定岡小百合 黒田弥生 佐藤ゆうこ 永井誠 遠藤純一 |
田原アルノ 菊池いづみ 鈴鹿千春 荒井静香 相田さやか 田尻ひろゆき 立木文彦 岡本章子 成田剣 寺内よりえ | |||
※3種のテレビ版吹き替えは、ジャック、ローズ、モリー以外のすべてのキャストに共通の音源を使用している。
回数 | 放送日 | 放送時間 | 放送局 | 番組枠 | 吹替 | 視聴率 | 出典 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2001年8月31日 | 21:00-23:17 | フジテレビ | 金曜エンタテイメント | フジテレビ版1 | 34.5% | [26] |
2001年9月1日 | 21:00-22:54 | ゴールデン洋画劇場 | 35.4% | ||||
2 | 2003年6月27日 | 21:03-23:19 | 日本テレビ | 金曜ロードショー | 日本テレビ版 | 21.9% | [27] |
2003年6月28日 | 21:00-22:48 | 26.1% | |||||
3 | 2004年10月2日 | 19:03-22:54 | フジテレビ | プレミアムステージ | フジテレビ版2 | 13.2% | [28] |
4 | 2008年3月28日 | 21:03-23:09 | 日本テレビ | 金曜ロードショー | 日本テレビ版 | 12.3% | [29] |
2008年3月29日 | 21:00-23:18 | 12.9% | |||||
5 | 2021年5月7日 | 21:00-22:54 | 10.3% | [30] | |||
2021年5月14日 | 12.0% | ||||||
6 | 2023年6月24日 | 21:00-23:10 | フジテレビ | 土曜プレミアム | ソフト版 | 6.2%[31] | [32] |
2023年7月1日 | 7.0% [33] | ||||||
※ゴールデンタイム帯のみ記述。長尺のため、3度目の放送を除いてすべて前・後編と2日に分けての放送となっている。
初放送時は、ジェームズ・キャメロン自らが放送のために前・後編に編集し直し、CMの挿入箇所も指定した映像が使用された。また、後編放送のための予告と前編のダイジェスト映像もキャメロン自身が作成した[34]。
6回目の放送のうち、前編の放送直前である2023年6月18日頃、タイタニック号の見学ツアー中に潜水艇が沈没するという事故(潜水艇タイタン沈没事故)が発生。フジテレビは哀悼の意を表すとしながらも、心理的重圧を受ける視聴者へ注意を促すメッセージを冒頭に表示して放送は予定通りに行われた[35]。しかしスポンサーの過半数は提供クレジットを自粛、またはCM放映自体を休止した。この影響や娯楽の多様化による洋画番組の需要の低迷、テレビ版の吹替音源が使用されなかったことなどもあり、該当回の視聴率は地上波放送で初の一桁を記録した。
『タイタニック』の主な撮影は、1996年7月にノバスコシア州ダートマスで、アカデミク・ムスティスラフ・ケルディッシュ号での現代の探検シーンの撮影から始まった[36]。1996年9月には、メキシコのロサリートに新たに建設されたフォックス・バハ・スタジオに移り、そこには実物大のRMSタイタニックが建設されていた。沈没時に船尾が上昇するのと同じように、数秒で0度から90度まで上昇できる蝶番で作られていた[37]。スタントマンの安全のために、多くの小道具は発泡ゴムで作られていた[38]。
11月15日までに、乗船シーンが撮影された。キャメロンはRMSタイタニックを右舷に建造することを選択したが、これは気象データの調査により、漏斗状の煙を船尾に吹き付けるのは北から南への偏西風であることが判明したためである[37]。これは、左舷に停泊していたため、サウサンプトンからの出港を撮影する際に問題となった。例えば、台本では右に歩いていた人が、撮影では左に歩かなければならないなど、指示書の実行や小道具、衣装を逆にしなければならなかった。ポストプロダクションでは、フィルムが正しい方向に反転された[39]。
1912年当時の上流階級のジェントルマンのマナーをキャストに教えるために、専任のエチケットコーチが雇われた[40]。にもかかわらず、何人かの批評家は、特に2人の主役にまつわる映画の時代錯誤を指摘した[41][42]。
ジャックが描いたローズのヌード絵は、キャメロン自身が描いたものであり、抑圧の背景を感じさせるシーンのためにスケッチした[43]。「彼女にとってそれが何を意味するのか、彼女が感じているであろう自由をね。そのために、ある種の爽快感がある」と語っている。このヌードシーンは、ディカプリオとウィンスレットの初共演シーンである。「それは何かの意図があってのことではなく、私にはこれ以上のデザインはできなかったけれど。彼らには神経質さとエネルギーとためらいがあるんだ」とキャメロンは述べている。「彼らは、リハーサルはしていたが、一緒に撮影したことはなかった。選択肢があるとすれば、おそらく撮影の中でもっと深く掘り下げたほうがよかったと思う」。キャメロンは、大掛かりなセットが何ヶ月も準備できなかったので、撮影できるものは何でも埋めようと奔走していた、と語っている。映画でそのシーンを見たキャメロンは、かなりうまくいったと感じた。
撮影現場では、他の時間もスムーズではなかった。この撮影は過酷な経験であり、「キャメロンは『ハリウッドで最も怖い男』という確固たる名声を築いた。妥協を許さない完璧主義者として知られるようになった」、「300デシベルの大声で叫び、メガホンとトランシーバーを持った現代のキャプテン・ブライが162フィートのクレーンで人々の顔に向かって急降下する」[44]。ウィンスレットは撮影中に肘の骨が欠けてしまい、船を沈める17メートルガロンの水槽の中で溺れてしまうのではないかと心配していた。「彼が本当に怖いと思ったこともあった。ジムは信じられないくらい気性が荒いんだ」[45]。「『ちくしょう!』と哀れなクルーに怒鳴るんだ[44]。『それこそ俺の望んでいないことだ!』って」共演者のビル・パクストンは、以前にキャメロンと一緒に仕事をした経験から、キャメロンの仕事ぶりをよく知っていた。"撮影現場にはたくさんの人がいた。ジムは、心をつかむための時間を持っている人ではない」と語っている[44]。スタッフは、キャメロンが邪悪な分身を持っていると感じていたため、彼を「Mij」(ジムを逆に綴ったもの)とあだ名していた[44]。批判を受けて、キャメロンは「映画製作は戦争だ。ビジネスと美学の大きな戦いだ」と語った[44]。
カナダでのアカデミク・ムスティスラフ・ケルディッシュの撮影中、ノバスコシア州ダートマスでのある夜、怒ったスタッフがキャメロンや他の様々な人が食べたスープに解離性薬物のPCPを入れてしまった。パクストンを含む50人以上が病院に運ばれた。俳優のルイス・アバナシーは「ただ転げ回っているだけの人もいて、完全に気を失っていました。中には、稲妻やサイケデリックを見たという人もいた」と語った。キャメロンは、薬物が完全に定着する前になんとか嘔吐した。アバナシーは、彼の姿にショックを受けたという。「片目はターミネーターの目のように真っ赤だった。瞳孔があって、虹彩がなくて、真っ赤だった。もう片方の目は、4歳の頃から接着剤を嗅いでいたようだった」[44]。犯人は捕まっていない[46]。
撮影スケジュールは138日を予定していたが、160日になった。冷たい水の中で何時間も過ごした後、多くのキャストが風邪やインフルエンザ、腎臓の感染症にかかったが、その中にはウィンスレットも含まれていた。結局、彼女は「大金」を稼がない限り、キャメロンとは二度と仕事をしないと決めた[46]。他にも何人かがプロダクションを去り、3人のスタントマンが骨折したが、映画俳優組合は調査の結果、セットについて本質的に安全でないものはないと判断した[46]。さらに、ディカプリオは撮影中に危険を感じたことは一度もなかったと語っている[47]。キャメロンは情熱的な仕事ぶりを信じており、自分のセットの運営方法について謝罪することはなかったが、彼は認めている。
私は要求が多く、スタッフにも要求する。軍隊的であるという意味では、何千人ものエキストラや大規模なロジスティックスを扱い、人々の安全を確保するためには、その要素があると思う。大勢の人を相手にするには、かなり厳密な方法論が必要だと思う[46]。
『タイタニック』の撮影費用は、最終的に2億ドルに達し[48][49][50]、上映時間1分あたり100万ドル強となった[51]。フォックスの幹部は慌てて、3時間の映画から1時間の具体的なカットを提案した。彼らは、長い叙事詩は監督がアカデミー賞を受賞するのに役立つ可能性が高いにもかかわらず、長さが延びることは上映回数が減り、収益が減ることを意味すると主張した。キャメロンは、フォックスに「私の映画をカットしたいのか?私をクビにするしかない!私をクビにしたい?私を殺さなければならない!」。幹部たちは、投資した資金をすべて失うことになるので、やり直したくなかったが、利益が出ないと予測していたキャメロンの「自分の取り分を没収する」という申し出も、当初は空振りに終わっていた。
キャメロンは、自分の持ち分を失ったことを複雑に説明した。「…簡単に言うと、この映画は『ターミネーター2』や『トゥルーライズ』よりも比例してはるかに多くの費用がかかっているということ。それらの映画は、最初の予算から7~8%上がっている。タイタニックも最初の予算は大きかったが、もっともっと上がった」と語った。「私は製作や監督として、お金を出してくれるスタジオに責任を持っているので、彼らにとって苦痛にならないようにした。私は2つの異なる機会にそれを行った。彼らは私にそれを強要したのではなく、私がそれをしたことを喜んでくれた」。
興行収入は、全米で6.6億ドル、日本で262.0億円(配給収入160.0億円)[52]、全世界で21.9億ドルに達し、『ジュラシック・パーク』(1993年)を抜いて当時の世界最高興行収入を記録した。この記録は同監督作品の『アバター』(2009年)に抜かれるまで保持された。日本では『もののけ姫』(1997年)を抜いて日本歴代興行収入記録を更新し、『千と千尋の神隠し』(2001年)に抜かれるまで記録を保持している(実写映画としては、2023年時点も日本映画歴代興行収入1位を保持している[53])。また、映画パンフレットも日本で153万部を売り上げた[54]。
同監督の『アバター』に抜かれるまで、映画史上最高の興行収入を記録した作品だが、公開初週の収入は3300万ドルとあまり高くはなく、ロングランヒットの作品であった。また3時間以上という上映時間は、1日当たりの上映回数が1~2回ほど少なくなるため、興行的には極めて不利であり、その上でのこの記録の樹立はまさに快挙と言える。
この映画を世界で最も長く上映したのは、ロシアのスヴェルドロフスク州の州都エカテリンブルクである。
2001年に日本のフジテレビにて放送された際には、8月31日に『金曜エンタテイメント』で放送された前編が34.5%(瞬間最高40.7%)、9月1日『ゴールデン洋画劇場』で放送された後編が35.4%(瞬間最高42.7%)の視聴率(ビデオリサーチ・関東地区調べ)を記録した[55]。
福音派の指導者ジェームス・ドブソンは、亡くなった男性は1339人、女性114人、子供56人だったと指摘し、男性が自己犠牲を払って愛の模範を示したタイタニックが「やもめたちの船」と呼ばれており、「女性、子供、信仰を持っていない人を優先的にボートに乗せるように言った」ジョン・ハーパー牧師ら男性の英雄的なエピソードがあるのに、それを一切無視して男性を臆病者のように描いたとして監督を批判している[56]。また、無断で海底の遺品を収拾する行為も広く行われ、一部の遺品は利益目的に販売されるなどされ、非難を集めている。
映画の中で一等航海士のウィリアム・マクマスター・マードックは、タイタニックが沈没に瀕した時に富裕な乗客から救命ボートに乗せる代償に賄賂を受け取るが直前になって翻意して賄賂を突き返し、パニックを起こした乗客を射殺してから自決した不名誉な人物として描かれた。[57]しかし生還した航海士や乗客から、「彼は最後の瞬間まで職務を遂行し亡くなった」との証言もありマードックの地元からも抗議があった。20世紀フォックス社はマードックの遺族に謝罪し、故郷の高校に「ウィリアム・マクマスター・マードック記念賞」の基金として5,000ポンドを寄付した。ジェームズ・キャメロン監督もメイキングで「配慮が足りなかった」と語っている。
レオナルド・ディカプリオが演じた三等船客ジャック・ドーソンは架空の人物だが、犠牲者の中にジョセフ・ドーソンという客室係の同姓の人物がおり、映画のヒット後、墓碑に「J.ドーソン」と刻まれた彼の墓所を訪れるファンが多かったという。
また劇中で登場する、ジャックが描いたスケッチは全てジェームズ・キャメロン本人による絵である。ローズのデッサンのシーンでは、ジャックは右利きという設定で、キャメロンは左利きであったため、ここでもフィルムを反転して右で描いている様に見せている。
1998年のアカデミー賞において、作品賞、監督賞、撮影賞、美術賞、主題歌賞、音楽賞、衣裳デザイン賞、視覚効果賞、音響効果賞、音響賞、編集賞の11部門で受賞した。また、セリーヌ・ディオンが歌う主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」も大ヒットした[注 13]。
2011年2月7日にパチンコメーカーの大一商会が、本作とのタイアップ機である「CRタイタニック ザ・パチンコ」を全国のホールに導入した[58]。映画で使用された実写映像が大量に用いられているほか、主題歌の「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」もBGMとして使用され話題となったが、2012年1月頃に大一製のパチンコ5機種の台枠のスピーカー部分の温度が異常に上昇し、最悪の場合発火の恐れがある事が判明。本機もその対象機種に該当しており、同月に全台が撤去される措置が取られる事となった[59]。
1999年にDVDが発売されたが、LDのマスターを流用したレターボックス仕様だった。2005年に発売されたリマスターDVD3枚組セット(日本では「アルティメット・エディション」として発売)では、未公開シーンと別ヴァージョンのエンディングが合計45分収録されている。インタビューやパロディまで合わせると、映像特典は14時間にのぼる。いずれもTHX仕様。
2012年9月28日にBlu-rayが3D版と同時に発売された。2D版は劇場公開版と同じシネマスコープのアスペクトだが、3D Blu-rayはビスタビジョンにサイズが変更されている。3D版のアスペクトはシネマスコープから左右をカットしたトリミング映像ではなく、上下の黒帯を除去したサイズである。そのため、オリジナル版からは見えていなかった部分も映っている。
ジェームズ・キャメロン監督は、2012年が客船沈没の1912年4月からタイタニック沈没100周年にあたることから、100年目となる2012年4月の公開に向けて本作の3Dリマスター版を製作した。製作にはキャメロン自身も3D変換処理作業に参加しており、北米では2012年4月4日、日本は同年4月7日に公開された。
3D版は全米だけで既に興行収入4400万ドルを超えており、オリジナル版と通算して興収20億ドルを突破した[1]。
ストーリーは変わっていないが、Huffingtonpostによれば、クライマックスシーンに映りこむ星の位置に修正が加えられている。天文学者で宇宙物理学者のニール・ドグラース・タイソンから、そのシーンに映りこむ星の位置が正確ではないと指摘されたことがきっかけであり、それに対しキャメロンは「ちくしょう、分かったよ。じゃあ、1912年4月15日午前4時20分の星図を教えてくれたら、映画を修正する」と返し、実現されることとなった[60]。
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