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警笛(けいてき)は、交通機関等で自らが近づくことを他の通行対象に知らせるための音(警告音)またはそれを発する保安用具。
自動車や鉄道車両、船舶等において警告音を発する装置は警音器(けいおんき)ともいう。特に自動車では一般にクラクション(klaxon)やホーン(horn)と呼ぶ。
「クラクション」(Klaxon) は多くの国で自動車用ホーン全般を意味するが、元は電気機械式ホーンの商品名である。鋼製の回転部品の衝突により「awooga」「ah-oo-gah」などと表現される独特の音を出す。自動車・オートバイ・鉄道車両・船舶・潜水艦などに使われたが、電磁式や電子式ホーンに取って代わられた。
クラクションの機構は、アメリカの発明家ミラー・ハチソンが1908年に特許を取得した[1]。ニューアークの自動車部品メーカー The Lovell-McConnell Manufacturing Co. が製品化し、その年のうちに自動車やオートバイに搭載された。その際、創業者でもある Franklyn Hallett Lovell Jr. が古代ギリシア語の κλάζω(klazō、甲高い声を出す)から Klaxon と造語した[2]。
自動車の国際基準であるUN/ECE規則では警音器はAudible Warning Devicesと称する[3]。
船舶では汽笛(きてき)という。ちなみに「霧笛」とは、船舶の汽笛による霧中信号を指すこともあるが、正式には霧信号所による音波信号のことである。
鉄道車両では蒸気で吹鳴するものを汽笛、圧縮空気で吹鳴するものは空気笛(または空笛)と称する[4]。これらはホイッスルとも呼ばれるが、これは1836年にアメリカの蒸気機関車に初めて汽笛を取り付けたジョージ・ホイッスラーの名前に由来する[5][6]。
自動車では「クラクション」または「ホーン」と呼ばれることがある。ホーンスイッチ部のトランペットマークから俗にラッパとも。
警笛を鳴らすためには警笛用のスイッチを操作する。警笛用スイッチは運転中に手の届く範囲に設置されており、大抵はステアリングのどこかに取り付けられている。警笛用のスイッチは、操作している間のみ通電し電気的・電磁的に音を発生させ続けるものが主流である。通常、取付位置はボンネット内先頭部に取り付けられている。不協和音を出すことにより危険を回避するものである[7]。また、取り付け位置を大規模に衝突させたり、車両火災が発生した場合に回路が残存している場合、バッテリーが切れたり回路が焼け切れる、あるいは措置をするまで鳴動し続けることがある[8]。
本来は危険防止のために使用する警音器であるが、防犯上などのため安全装置の作動として警音器が鳴ることもある(後述)。
日本では1930年(昭和5年)に宮本喇叭製造所(現在の宮本警報器)の電気ホーン国産化により軍用車に採用されたのが始まりである。
国連欧州委員会(UN/ECE)の多国間協定である自動車の構造及び装置に関する規則(UN/ECE規則)には127の項目があり(2010年2月現在)、そこには警音器(警音器はAudible Warning Devices)の項目もある[3]。1995年からは欧州域外からの参加も可能となっている[3]。日本では2009年までに約40項目でUN/ECE規則が国内基準として採用されている[3]。
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日本では、道路運送車両法第41条(自動車の装置)第14項にて、国土交通省令で定める基準に適合するものでなければ設置し使用することができない旨が定められている[9]。原動機付自転車においても、道路運送車両法第44条(原動機付自転車の構造及び装置)にて自動車の場合と同様の取り決めがなされている[10]。
さらに、道路運送車両の保安基準第43条(警音器)の第1項において自動車(ただし、被牽引自動車は除く)は警音器を備えなければならないと規定されている[11]。また、同条2項および3項にて警笛の音量や音色について規定されており、告示で定める基準に適合するものでなければならないとされている[11]。
車検の際は警笛のスイッチを示すホーンのマークが存在しないと合格できない(手書きのラッパマーク[12]や、正露丸のもの[13]でも警笛の一部として認められる)。
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道路交通法第54条(警音器の使用等)第2項で規定されている通り、道路交通法第54条第1項各号で示されている警笛区間を通行する際には必ず使用しなければならず、それ以外の場合においては危険を防止するためにやむをえない場合以外には使用してはならない[14]。これに違反した場合の罰則が同法第121条第1項第7号で規定されており、2万円以下の罰金または科料に処するとされている[15]。
このような制限や罰則があるのは、警笛のみだりな使用が騒音の原因となるほか、本当に危険な場合との区別が付かなくなるなどの問題があることによる[16]。
ただし、例外として旅客自動車運送事業運輸規則第50条第2項第2号では、路線バスや観光バス等の運転者の遵守事項として「発車の直前に安全の確認ができた場合を除き警音器を吹鳴すること」と規定し、バス停等からの発車の際の、出発合図として吹鳴義務を定めている(観光バスの運転手がよく行なっているのを見かける事がある)。
自動車の場合、警笛に端を発するトラブルが発生することもあり、傷害事件や殺人事件に発展してしまった事例もある。後者としては1977年(昭和52年)に東大阪市で相手に射殺された事件と、2011年(平成23年)に大阪市交通局の職員(警笛を鳴らした運転手とは別人)が殺害された事件がある[17]。
インドではクラクションの音が都市生活における環境音の1つになっているとさえいわれており、デリーでは騒音公害の70%がクラクションによるものである[19]。
法律上、病院や学校、信号機付近などはクラクションの禁止区域となっているほか、交通渋滞中にクラクションを鳴らす行為も禁止されており、罰金が定められているものの実際に科せられる例はほとんどないという[19]。
対策も検討されており、例としてムンバイの主要交差点では、クラクションによる騒音が85デシベルを超えると赤信号の待ち時間がリセットされる信号機を、2019年より試験的に導入している[20]。
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近年では、防犯面および小児の車内放置死亡事故対策として、車両ドアロックを窃盗目的でこじ開けるなど不正解錠した場合、施錠後にエンジンフードやトランクリッドが開けられた場合[21]予備キーなどリモコンキー以外で解錠して一定時間内にエンジンを始動しない場合、ドアロックされた後に運転席以外の部分で車両の内部振動を感知したり、車内側でドアロックが解除された場合[22]、など、車両機器の不正操作などを起こした場合などに、15秒ないし30秒間、断続的に鳴動[23]する機構を備えた車両も増加している。
また、箱型トラックの荷台に取り残され施錠されると、過失の有無にかかわらず脱出する術がなくなるため[24]、安全対策として荷台後部にドアチャイム部品などの押しボタンを装備し、万一の取り残しの際に取り扱うと車両前部の警笛が鳴動する機構になっている[25]。
自動車用品として、警笛でメロディを奏でるミュージックホーンが存在する。これは内部の円盤にスリットを刻み、モーターやエア圧で回転させることで音階の違うホーンを吹き分けて演奏する仕組みである。stebel社はゴッドファーザー 愛のテーマやラ・クカラーチャ、fiamm社も同様の仕組みの製品を製造しており、製品ごとに様々な曲目が存在した。磁気テープや半導体メモリを使用した鉄道用ミュージックホーン(後述)とは異なり、動作時に円盤の回転に遅れが出るとリズムが狂う欠点がある。
日本では昭和45年12月の保安基準改正により警音器の音は音量、音色が一定した連続音と定められた。これにより公道上での使用は違法となり[26]、三連や五連のホーンは暴走族のアイテムとなった[27]。
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鉄道車両における警笛の概要を以下に述べる。
通常、電車および気動車の空気笛は、運転台の足元にあるペダルを踏むことによって吹鳴できる。左や中央にもペダルがある場合は右のペダルが警笛用で、左や中央のペダルは通常、前灯ディマー(減光)スイッチである。空気弁ではなく、電気フットスイッチである場合は通常、ミュージックホーンや電気笛(電気/電子警笛)スイッチとして割り当てられている。
そのため、電気笛またはミュージックホーンを装備した車両は、このペダルを浅く踏むと電気笛またはミュージックホーン、強く踏み込むと電気笛またはミュージックホーンに加え、空気笛を吹鳴させることができる。
変わったところでは、名古屋鉄道7000系「パノラマカー」では「空気笛」「電気笛」「音楽笛(ミュージックホーン)」にそれぞれ独立したペダルが割り当てられていた。阪急阪神ホールディングスに属する鉄道事業者(阪神電気鉄道を除く)や山陽電気鉄道が導入(建造)した近年の車両は、足元に空気笛ペダル、電子笛が手押しボタン[28]という配置もある。また、東北本線上野駅 - 尾久車両センター間では 「北斗星」などの回送時に24系客車が先頭となる場合、推進運転を恒常的に実施するため可搬式警笛を用いていた。詳細は「尾久車両センター#推進回送」の項も参照。
自動列車運転装置 (ATO) を搭載した車両などで自動運転を行う場合は、ペダル側を格納して手押しボタンのみを使用することもある。
蒸気機関車の場合は、車種によって異なる。幹線用の大型テンダー機関車(D51形やC57形など)は本務機関士側のみにペダルが装備され、機関助士側からはテコ棒によって鳴らす構造であり、大型以外の機関車はテコ棒によって鳴らす構造である。
電気機関車とディーゼル機関車は概ね、レバーハンドル付笛弁のレバーハンドルを押下することで吹鳴できる。また、緊急列車防護装置(TE装置)を扱うことにより電磁弁から給気されて60秒間自動吹鳴される。
EF55型電気機関車などの場合、運転室上部に取り付けられた紐に赤い球体がついたものをした方向に引っ張ることで吹鳴できる。
警笛(汽笛)を鳴らす場面としては、次のような場合が挙げられる。
(「離合負け防止」などと呼ばれる)
鉄道発祥の地・イギリスの郊外列車・都市間列車・貨物列車で運用される車両においては、高音と低音のものが1本ずつ鳴り分け可能として装備されているのを耳にすることができる。同国の鉄道車両に範を得ているこの鳴り分け様式は日本でも京阪電気鉄道京阪本線系統の車両で採用例がある。
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中華人民共和国の鉄道においては、3和音(3連)の空気笛が主流。過去には、蒸気機関車にも3和音の空気笛(汽笛でなく、3連ホーン)を搭載するものが在籍した。
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香港MTRの鉄道線においては、上水以北のごく一部を除き他の交通との立体交差が実現済みであること、乗務員室と客室との仕切りは全面が窓なしの壁であること、TASCと類似のシステムが導入されている路線や車両もあり、始終着駅ホームであっても運転士(当地では「車長」)は、一般客ホーム先の柵・ガラス扉などで囲われた場所にて乗務開始、交替、引き上げを行う業務運行が確立しており、基本的に旅客への接遇・案内は行わないため、事実上「依頼警笛」が不可能なことに加え、ホームドアの設置も進捗していることから、香港域内を走行する電車の場合、警笛の取扱いは保線施工区間手前、ホームドアなし駅の混雑時などに限られ、旅行者が意識して耳にできる機会は多くない。いっぽう香港トラム・軽鉄はフートゴングも搭載し、軽めの警告には前者、危急時あるいはフートゴング鳴動にも無反応と判断した場合は、強い警告を警笛で―といった要領で、車長の裁量で使い分けを行っている。併用軌道を持つこれら軌道系電車線は、比較的頻繁に警笛類の取扱いを行う傾向にある。いずれも装備するものは電気笛で、日本のダンプカーのものと似通った甲高い警告音である。
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ミュージックホーンとは、複数の音色で音楽を奏でる警笛を指す。日本の鉄道車両においては、小田急ロマンスカーの3000形「SE」車にオルゴールとして採用されたのが最初の例である。のちに名古屋鉄道の7000系「パノラマカー」や小田急電鉄の3100形「NSE」車以降の特急車の大半にも搭載されたほか、地方私鉄でも富山地方鉄道、遠州鉄道、静岡鉄道などで採用された。近年においては、事業者の方針によって空気笛の補助機能として新規に採用する例もある。
エンドレステープ式を採用した小田急「SE車」以外のミュージックホーンは「トランジスタ式」「IC式」の違いこそあれ、すべて電子装置による演奏である。
先駆けとなった3000形「SE」車ではエンドレステープを用いていた。小田急電鉄では「ミュージックホーン」とは呼ばず「オルゴール」と称している。導入の経緯については「小田急3000形電車_(初代)#補助警報装置」も参照。
同社では騒音問題を鑑み、一度はオルゴール装置の使用停止・装置自体の取り外しが進められた(詳しくは「小田急ロマンスカーのSE・NSE時代」も参照)が、50000形「VSE」車で復活した。2012年現在では、下記で述べる稼働中の搭載車両であれば、同社線および箱根登山線内の始発駅・停車駅・終着駅において、入線・発車時に、儀礼的な鳴動を比較的耳にすることができる(旋律の2連奏が多い。60000形「MSE」車の場合、東京メトロ千代田線内での使用制限もない模様。逆にJR御殿場線内では、後述のJR東海の規定で認めていない。無論、使用するか否かは、ハンドル扱いを行う運転士の裁量による)。
1983年に大井川鉄道(現・大井川鐵道)に譲渡された3000形「SSE」車は、同社の産業遺産保存方針から小田急時代のサービスのほとんどを復活させ、オルゴールも復活したが、わずか4年後の1987年に運用を離脱している。
2017年に運行を開始した京王新5000系(以下京王5000系)が2018年2月22日に登場した有料特急である「京王ライナー」運用時に鳴らされる。京王5000系は2022年12月現在で現在6編成導入されており、当時(2018年)、まだ5編成導入の時に、一編成目である5731Fは登場時には現在のものとは音色の違う音源を使用していた。だが、京王ライナー運行開始直後の2018年3月頃に、「京王ライナーは夜間走行時に多く運用に充てられるため、大きい音を立ててミュージックホーンを鳴らすのは迷惑だ」と判断され、5731Fのミュージックホーンは5732~5735の物に変更された。2019年に新編成として5736Fが登場したが、ミュージックホーンは従来の物と変化はなかった。
吹鳴方法は、運転台のマスコン横のボタンを一度押すともう一度押すまで鳴り続ける。途中で止めることはできず、最後まで鳴り続けるのが特徴。足で弱く踏むと電子ホーン、足で強く踏むと大電子ホーンが鳴る。
ミュージックホーンという機構や着想について小田急電鉄に先を越された名古屋鉄道(名鉄)では、小田急のテープ式とは異なり、当時の最新技術であるトランジスタを採用した警笛であることを強調するため、ミュージックホーンを「トランジスタホーン」と謳い宣伝した。かつての名鉄では、高山本線直通列車用のキハ8000系を間合いで使用していた早朝の名古屋本線豊橋方面行き特急列車が、ミュージックホーンを連続で鳴動させながら走行していたことから、沿線住人はキハ8000系が奏でるミュージックホーンを毎日の時報代わりにしていたという逸話が残っている。また、沿線の学校ではドップラー効果の説明にミュージックホーンを用いることもあったという。
乗務員室の警笛類に関する機構は、「2連空気笛」(1000系列)または「電子ホーン+深踏みで2連空気笛」(2000系以降)の警笛ペダルと別個に、独立したミュージックホーンペダルが用意される。2000系およびそれ以降に就役した特急車両の場合は、ミュージックホーン演奏中に警笛ペダルを取り扱うと演奏キャンセル(鳴動中止)となる。これは、ミュージックホーンと電子ホーンの鳴動を1基のスピーカーで共用していることによる。
基本的な旋律に関しては、7000系デビューでの装備以降変わらないものとなっており(編成による「個体差」も数多い)、沿線住民や愛好家からは「どけよホーン」と呼ばれ親しまれている。これは、ミュージックホーンを大音量で鳴らしながら高速運転する特急の姿を見て、地元住民がいつしか「どーけーよー……」という、揶揄するような歌詞を付けるようになったものとされている[33]。旋律の作者は、ミュージックホーンの製作を担当した小糸工業(現・コイト電工)に依頼された作曲家であるとされる。名鉄は「旋律の著作権は自社にある」として具体的な氏名は伏せているが、7000系の開発に携わった名鉄OBの白井昭によれば「相当有名な人物」であるという[34]。
その後、8800系から1230系までは大型スピーカー機器からビブラートを効かせたスローテンポなシンセサイザー調の旋律を奏でるものとなり、さらに1600系以降は一般的な電子ホーン機器からオクターブの高いトランペット調の旋律を奏でるものとなった。
前述の白井によると、ミュージックホーンの使用を開始してから10年ほど経った頃、名鉄社内で「10年一途では時代遅れ」との意見があり、旋律を変更するよう指示され進軍ラッパ調の旋律に変更した。しかし、乗客や沿線住民らから「このような曲はけしからん」と苦情が殺到し、すぐに元の旋律に戻したという[34]。
また、名古屋鉄道創業100周年を記念して特別塗装を施した1000系1007編成「ブルーライナー」には、ミュージックホーンにも同社イメージソング『しなやかな風』の一節をアレンジした旋律が用いられ、通常運用では鳴動させることのない小駅(例:富貴駅など)を含む各駅への入線、発車加速時、駅間など、運転中における数多くの場面において、早朝・深夜以外は盛んに演奏の扱いをしていた。その後、特別塗装期間の終了時にミュージックホーンも標準の旋律に戻されている。
元々は遮断機などの保安機器が未整備の踏切が多い中、列車の接近を遠方から告知する目的で、走行中は常に演奏させることを前提に採用されたミュージックホーンではあったが、近年は騒音問題に加えて前照灯の昼間点灯が広まり、接近する列車の被視認性がある程度解決され、その必要性は薄まりつつある。そのため、名鉄の看板車両におけるシンボル的装備でありながら、演奏させる機会は現状では主要ターミナル駅のプラットホームへの進入や、混雑した駅を高速で通過する必要がある場合などに限られつつある。基幹駅の名鉄名古屋駅においてもかつては盛んに演奏を聞くことができたが、近年はその回数が減少、または演奏タイミングを早める(ホーム上にかからないよう、旋律を手前で演奏停止できるように取扱う)など、年を追うごとに使用する場面は減少傾向にある[33]。
通常の警笛からは独立している機構上、小田急ロマンスカーの儀礼的演奏や静岡鉄道の優等列車途中駅における使用といった他事業者の同様装備と比較すると「装備車両において必ず耳にすることができる」とは限らなくなってきており、使用の一切をハンドル扱いを行う運転士の裁量に任された、いわば特殊な警笛であるといえる。過去には2000年まで道路との併用区間であった犬山橋のある犬山線・犬山遊園駅 - 新鵜沼駅間で、比較的高い頻度かつ連続した演奏・使用を聞くことができた[33]。
いずれも基本的に全線で使用可能であるが、名古屋本線との共用区間として乗り入れるJR飯田線内(豊橋駅 - 平井信号場間)では後述のJR東海との規定の関係上、ミュージックホーンは使用されない[33]。
中京競馬場で行われる名鉄杯(オープン特別)では、ミュージックホーンをアレンジしたファンファーレが演奏される。このファンファーレは名鉄ブラスバンド部による生演奏となっているが、通常ファンファーレを生演奏する競馬のレースはGI競走が中心となる。また、中央競馬で独自のファンファーレが用いられるのも名鉄杯以外では宝塚記念のみである。その他、かつてのCBCラジオの番組「おはようCBC」内のコーナーでは、名鉄の生CMの冒頭でミュージックホーンが流れていた。プロ野球の私設応援団が試合中に演奏することもある。
2016年1月14日付けでその旋律を「音」の商標として出願していたが、2018年2月に特許庁から却下された[35][36]。
国鉄時代においては、四国総局に配置されたキハ58系気動車の一部に1963年から1969年頃まで、第4種踏切の事故対策として「ミュージックサイレン」を搭載していた。この「ミュージックサイレン」装備車は、識別のために車体前面にキハ82系に似たヒゲ状の朱色の帯が塗装されていたが、装置の撤去後は塗装も元に戻された。2008年に四国でキハ58系が営業運行を終えるのを前に、残っていたキハ58の1両にこの「ヒゲ付塗装」が再現された。
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JR東日本では、次のような車両に搭載されている。
に採用している。同社の電車型ジョイフルトレインも、253系等と同様の旋律を鳴動可能。
上記の車両は「レ・ラ・ファ#・レ・ラ・ファ#・ラ・レ」の旋律を奏でる。
上記の車両は「ファ・シ♭・レ・ファ・シ♭・レ・シ♭」の旋律を奏でる。
上記の車両は、他の車両とは異なる「ミ・レ・ミ・シ・ド♯・ミ・ラ」の旋律を奏でる(作曲は福嶋尚哉)。
一部の車両には補助警報の他に通勤・近郊型電車と同様の電気笛も鳴動可能であり、運転台のスイッチで、補助警報・電気笛の切り替えを行う。
いずれの機構も、乗務員室警笛ペダルの浅踏みで「補助警報演奏」、深く踏みこむと「補助警報+空気笛」。
いずれの機構も、乗務員室警笛ペダルの浅踏みで「補助警報演奏」、深く踏みこむと「補助警報+空気笛」。
同社は内規・協定で、同社線へ乗り入れあるいは線路の共用を行う他社車両の電気笛・ミュージックホーン(JR東日本・JR西日本・小田急電鉄・名古屋鉄道の車両)の鳴動を「警笛を取り扱った」とは認めていない(自社発注・自社管理の車両に、電子警笛・電気笛類の搭載が皆無なのはこのため)。名古屋鉄道の名古屋本線東端を運転する列車を例に取ると、JRとの共用区間である飯田線・豊橋駅 - 平井信号場間でミュージックホーンや電子警笛を単独で扱うことは(誤用を除き)なく、作業中標識や列車見張員に警笛の使用を求められる場合は、空気笛が吹鳴するまで警笛ペダルを強く踏み込むのが正規の運転取扱いである。また、名鉄パノラマカー運用時は同車の構造上、運転席から先頭下部に死角ができるため、対策として発車時に電気笛を扱うことが義務付けられていたが、豊橋駅発車時は上述の協定どおり空気笛の吹鳴であった。
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出発時と駅到着時に用いる。警笛よりもBGMに近い。それぞれ旋律は別のもの。
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首都圏電鉄、ソウルメトロで近年就役した車両、200000系ムグンファ形などに、日本でも耳にすることのできる一般的なAW-5(類似)空気笛などと併載した装備例がある。旋律となる原曲は、いずれも韓国童謡「自転車」。「タルルン、タルルン、ピキョガセヨ」、「チャジョンゴガ、ナガムニダ、タルルルルン」(日本語カナ転写歌詞)のすべてを鳴動させるもの、前半のみで後半部の鳴動は無い車両、テンポ違い、音階・音色違いなど、いくつかのバージョンが存在する。
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