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GE社製の口径7.62mmの機関銃で、同じくGE社の製品であるM61A1 バルカンを小銃弾サイズにスケールダウンした小型軽量版 ウィキペディアから
ミニガン(英語: Minigun)は、ゼネラル・エレクトリック(GE)社が開発した7.62mm口径のガトリング銃。アメリカ陸軍ではM134として制式化したほか、海軍ではGAU-17/A、空軍ではGAU-2B/Aと称する。なお「ミニガン」という愛称は、同社が先行して実用化したM61 バルカンのダウンサイジング版としての位置づけに由来する。
ジェット機の登場とともに航空機関砲の火力向上の必要が高まったのを受けて、ゼネラル・エレクトリック(GE)社はガトリング砲に着目して開発を進め、1957年12月に20×102mm弾を使用するモデルがM61 バルカンとして製品化された[1]。GE社では、これをもとに口径や砲身数を変更してのバリエーション展開も志向しており[1]、まず7.62×51mm弾を使用するモデルについて、1960年より社内で独自に研究開発を開始した[2]。要素開発を経て、1962年からは「ミニガン」計画として正式に発足し、同年にはアメリカ空軍より試作銃およびガンポッドの製作についての契約を受注した[2]。これに基づいて製作されたSUU-11/Aガンポッドは、エグリン空軍基地において1963年11月より試射を開始した[2]。
1964年を通じて、エグリン空軍基地およびスプリングフィールド造兵廠において大規模な射撃試験が行われ、その結果を踏まえて設計が改訂された[2]。一方、エグリン空軍基地では同時期にM37機関銃をC-47輸送機の左舷側に舷側銃(Side-Fire)として搭載したガンシップ (Douglas AC-47 Spooky) の試験を行っていたが、M37機関銃では威力不足が懸念されていた[2]。空軍のミニガン計画担当者からの提案を受け、M37のかわりにミニガンを用いてみたところ極めて満足すべき成績であり、これを搭載したAC-47攻撃機は実戦試験のため南西アジアに送られ、早くも同年12月には実戦投入された[2]。
上記の経緯もあり、基本的にGE社が先行して開発したM61の構成や動作機構を踏襲しつつ、弾薬を7.62×51mm弾に変更したモデルである[3][4]。
ガトリング砲としての設計に基づき、6本の銃身はそれぞれ各1個の遊底を有し、外部動力によってハウジング内部のロータで反時計周りに回転をすることで射撃が行われる[3]。ハウジング内壁にはカム経路が形成されており、各遊底はロータの回転に伴って、このカム経路に従って可動し、下記のような工程を繰り返す[3]。
これらの工程を繰り返すための外部動力としては、28ボルト・直流ないし115ボルト・交流の電動機が用いられる[4]。ガス圧作動方式のXM133も開発されたが、試験の結果、整備性の要求を満たさないと判断され、装備化に至らなかった[5]。
給送弾には、M61と同様のコンベアを用いたリンクレス式の機構のほか、標準的なM13 リンクを用いることもできる[6]。ただしリンクレス式の機構であれば毎分6,000発の最大発射速度を発揮できるのに対し、リンク式の機構では毎分4,000発が上限となる[6]。またM61では薬莢を弾倉に回収するシステムが一般的であったのに対し、ミニガンではこのような構成は用いられなかった[6]。
アメリカ空軍において、ミニガンはまずガンシップ向けの舷側銃として装備化され、1967年からはA-37軽攻撃機の機首に固定装備するかたちでも搭載された[6][7]。これらはいずれもリンクレス式の給送弾機構を用いていた[6]。
陸軍もミニガンに着目し、機外両舷に搭載するためのXM21サブシステムに組み込んで、UH-1の武装ヘリコプター仕様機に搭載した[8]。またこれに続いて開発された本格的攻撃ヘリコプターであるAH-1GでもXM28ターレットに組み込まれて搭載されたほか[6]、これらの武装・攻撃ヘリコプターと組み合わされて運用されるOH-6観測ヘリコプターでもXM27サブシステムに組み込んで搭載された[9]。これらのヘリコプター用のミニガンは、いずれもリンク式の給送弾機構を用いていた[8][9]。
一方、空軍はキャビンに設置したピントルマウントに架するかたちで搭載しており、UH-1NではA/A49E-3マウントが用いられた[8]。このマウントはドアガンとして用いられ、キャビンの貨物スペースは貨物輸送や負傷者後送などの本来任務のために空けておくことができた[8]。またM93サブシステムでは、ドアガンとして射手が舷側にむけて射撃するほか、銃を機外に押し出して前方に向けて固定した状態であれば、パイロットが射撃を行うこともできた[8]。これらのピントルマウントとの組み合わせは海軍・海兵隊にも導入されたほか、SH-3やHH-53、CH-53など他機種にも敷衍された[8]。
GE社では、艦載用のマウントとしてEX-77を開発したものの、アメリカ海軍で装備化されるには至らなかった[10]。
銃を単純なピントルマウントに架するかたちでの運用は行われており[5]、アメリカ海軍ではGAU-17/A、イギリス海軍ではMk.44と称されている[11]。
陸軍型 | 空軍型 | 海軍型 | 説明 |
---|---|---|---|
XM134/M134 | GAU-2/A | 該当無し | 7.62x51mm NATO弾使用 別称"ミニガン" 6バレル仕様 機関銃 |
該当無し | GAU-2A/A | 該当無し | GAU-2/Aの派生型 |
M134 | GAU-2B/A | Mk 25 Mod 0 | GAU-2A/Aの派生型 |
該当無し | GAU-17/A | 該当無し | GAU-2B/Aの派生型 既存の派生型周辺機器に対応するモデル MAU-201/AまたはMAU-56/Aの給弾システムを使用することができる |
XM196 | 該当無し | 該当無し | M134/GAU-2B/A の派生型 薬莢排出スプロケット(ギア)を改良した物 AH-56にてXM53 アーマメントサブシステムの一環として使用する |
航空自衛隊では、T-4練習機の開発段階では戦技訓練用としてミニガンのガンポッドを搭載することを想定しており、ヘッドアップディスプレイ(HUD)でも射撃用のモードを選択可能とされ、1987年には試作2号機にガンポッドを搭載し、三沢基地で発射試験が行われた[12]。ただし量産機ではHUDの射撃用のモードは削除され、武装せずに運用されている[13]。
陸上自衛隊では、第102飛行隊がUH-60JA搭載火器として運用している[14]。
映画などのフィクションでも人気があるが、射手が単独で携行し、手で構えて撃つという現実とは異なる描写がなされ、誤解を招くことも多い。映画に登場するような携帯型は、実銃を改造した撮影用のプロップガンである。ただ、これを使用する登場人物はサイボーグ、あるいは人間型ロボットであると設定されている作品も多い。また、登場人物が常識外の怪力であることを表現する演出として、現実ではあり得ないのは承知で用いられる場合もある。毎分の発射速度が速すぎてフィルムでは火を吹いているようにしか見えないため、発射速度を下げて撮影されることが多い。
1987年に公開された映画『プレデター』では、携行型のM134を模したプロップガンが登場し、作中では生身の人間が被弾すれば痛みを感じる前に死んでいるという意味で「Old Painless」(無痛ガン)という愛称で呼ばれていた(実銃ではそのような愛称はつけられていない)[15]。
実物からして電動であるため、必然的に電動ガンとなる。
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