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架空の企業 ウィキペディアから
アンブレラ (Umbrella) は、テレビゲーム『バイオハザードシリーズ』をはじめ、これを原作としたさまざまな作品に登場する架空の企業である。劇場版の日本語字幕ではアンブレラ社とも表記される。
本項ではバイオハザードシリーズの登場人物に倣い、シリーズ各作品を略記している。
薬品開発部門を持つ国際的ガリバー企業である。社名は「傘で人類を庇護する」から由来するもので、社訓は「人々の健康を庇護する」。社章も社名に因んだ「赤と白の傘」[1]。
表向き製薬企業と装うことで裏での生物兵器開発を容易にし、これを大きな資金源として表裏の両マーケットを掌握する形で企業活動を続け、巨大多国籍企業に発展した。政界にも太いパイプを持ち、法規などの改正、他社や政財界への二重スパイ活動なども手掛ける。また、独自に準軍事組織の特殊戦闘部隊 (U.B.C.S.) や保安警察 (U.S.S.) や証拠隠滅部隊(掃除屋)、下請けの民間軍事会社を保有しており、有事の際には即座に対応している。
設定では、企業理念は「人々の健康を庇護する」という事業理念を元に「医薬品や健康補助食品、日用雑貨品に至るまで人々の生活を守るため様々な商品を展開すると共に、人々の生活改善に向けた様々な事業を展開している」としている。また、人種や地域を問わない幅広い採用と活動を営んでおり、「アンブレラ社が守るものは特定の人、地域ではありません」としている。採用については第三者への口外は禁じられており、家族や友人なども含まれ、一切の例外は認められないものとされている。
業務上知り得た秘密情報についても一切の口外を禁じられている。「規律・服従・忠誠」はアンブレラの全社員に対する指針であるため、一切が逆らえない状態となっている[4]。
創業者は世界的大富豪のオズウェル・E・スペンサー、名門貴族のエドワード・アシュフォード、生化学者のジェームス・マーカスの3人である。スペンサーら3人は1966年12月に新型RNAウィルス「始祖ウィルス」を発見し、これを利用してB.O.W.を開発することで軍需産業を独占することを考えたスペンサーは、友人のマーカスに起業の話を持ちかける。1968年には製薬会社と偽って3人で同社を共同設立したが、同年にエドワードは始祖ウィルスに感染して死亡する。
その後、スペンサーは会社の運営に注力し、幹部を養成するためにマーカスをアンブレラ幹部養成所の所長に任命する。マーカスは始祖ウィルスの研究に注力する一方、スペンサーの社内発言力の増大に不満を持っていた最中の1978年、T-ウィルスの開発に成功する。マーカスはこの成果によって社内で優位な立場に立てることを確信していたが、スペンサーはラクーンフォレストに新設したアークレイ研究所にT-ウィルスの研究事業を移管させ、マーカスを自身の私利私欲のために利用し尽くすと、1988年に彼の腹心3人のうち2人(アルバート・ウェスカーとウィリアム・バーキン)にマーカスを暗殺させ、これと同時にアンブレラ幹部養成所は閉鎖される。
一方、アークレイ研究所ではT-ウィルスの研究が順調に進み、B.O.W.の開発にも着手している。その後の10年間でアンブレラは大きく成長し、1998年には北米・欧州・南極の3地域を主な拠点とする。また、スペンサーは10年前に閉鎖した自社の幹部養成所を有効活用できないかと考え、調査隊を2度にわたって送り込ませる。
アンブレラの違法な研究をアメリカ合衆国連邦政府は把握していたが、国自体がアンブレラの最大の顧客であるために表立って処罰できず、また、アンブレラはその膨大な資産を用いて多くの有力政治家とも癒着していた為に黙認していた。1998年、ラクーンシティで大規模なバイオハザードが発生。アンブレラからラクーン市民を隔離するように働きかけられたアメリカ政府は、アンブレラとの関係を隠蔽するため、滅菌作戦との名目でラクーンシティを核攻撃によって消滅させる。
しかし、ラクーンシティを脱出した者の証言や数々の証拠などにより、アンブレラの非合法活動は世間に露呈する。この事態を憂慮したアメリカ合衆国連邦政府から操業停止命令を受けたアンブレラは連邦政府を相手に提訴し、1998年から2003年にかけて裁判は続いた。2003年にはロシアのコーカサス研究所でB.O.W.の開発を行なうが、ロシア連邦政府が主導となって設立された私設対バイオハザード部隊(BSAAの前身)によってそれらも壊滅に追い込まれたうえ、ウェスカーの暗躍によってアンブレラ幹部セルゲイ・ウラジミールが死亡したところに、始祖ウィルスの研究をはじめとした各種ウィルスやB.O.W.研究のデータを証拠として提出されたことが決め手となり、アンブレラは裁判で全面敗訴する。それによって株価の大暴落が起こると同時に、企業的信用性が大きく失われたアンブレラが2004年には事実上の廃業に追い込まれて倒産し、スペンサーは2006年に欧州某所の自邸でアルバートによって抹殺される。
倒産後、アンブレラが擁していた各種生物兵器はその製造技術と共に「負の遺産」として闇に流出して世界各地のテロや紛争などで乱用され、クリスやレオンをはじめとする主人公たちはバイオテロ根絶のために戦い続けることになる。
Umbrella Bio Hazard Countermeasure Service (アンブレラ バイオハザード対策部隊)の略。部隊編制の大部分を傭兵で占めた非正規部隊。アンブレラの自社開発したウィルスやクリーチャーなどによる災害・事件・事故や、アンブレラに対する企業テロなどに対処させる名目で組織されており、緊急事態が発生した場合には汚染地域へ真っ先に派遣される。設立に至った経緯は、開発中のB.O.W.がフィールドテストの最中に暴走して研究員に多数の死傷者が出たり、施設や実験機材が破壊される事件が多々発生したため、制御不能に陥ったB.O.W.を鎮圧するべく同部隊の設立が計画された。なお、生存者や目撃者などの身柄確保や、証拠類の隠滅なども任務としており、B.O.W.の暴走による被害もU.B.C.S.の活躍で減少していたが、ラクーンシティへ投入された部隊は、B.O.W.などとの戦闘データを得るためのモルモット部隊としての意味合いが強い[5]。任務の内容から危険性が非常に高いため、隊員の大半は服役中の戦争犯罪者や重罪を犯して無期懲役か死刑判決を受けた元軍人、亡命軍人、元ゲリラ兵などといった者たちで構成されており、贖罪不問を条件に傭兵として組織している。また、冷戦時代に東側の軍隊で軍務を経験した隊員も多い。そうした経歴もあって個人的戦闘能力に優れており、兵員輸送ヘリからのリペリングなどといった高度な戦闘技術にも長けているのはそのためであることがうかがえるが、ラクーンシティへ投入された部隊は壊滅の憂き目を見ることとなった。なお、ハンクの所属するU.S.S.とはライバル関係に当たる。
ラクーンシティでの作戦では、輸送ヘリによって市中心部へ1個中隊約120名(1個小隊約30名編制の計4個小隊)が投入され(『3』)、他は車両によって陸路で市内へ潜入した(『OB2』)。前者にはカルロス・オリヴェイラ、ミハイル・ヴィクトール、ニコライ・ジノビエフなどが所属し、名目上は市民救出を任務としていた[6]。後者部隊は市民救出というよりも、脱走したU.S.S.隊員ロドリゲスの抹殺や、クリーチャー「ニュクス」の回収などを目的としていた。また、新型ウィルスを開発した女性研究員の救出のために送り込まれた、5名編制の分遣隊も確認できる(『4D-Executer』)。
主な武装はSIG Pro SP2009、M4A1、M16、H&K MP5、H&K PSG1、FIM-92であるが、『4D-Executer』ではM4A1にM203を装着しており、隊員の1人はベネリM3を使用していた。移動手段としての航空機は、AS 332 シュペルピューマおよびUH-60 ブラックホーク[7]、UH-1、『映画』ではアンブレラオスプレイ、Mi-17を使用し、軍用車両としては『OB2』でM1083 MTV、『4D-Executer』ではハンヴィー(ブローニングM2重機関銃搭載)、『RE:3』ではコマンドウ装甲車(非武装)、74式大型トラックに酷似した車両、『劇場版』では防弾仕様の8代目シボレーサバーバンも使用していた。
Umbrella Security Service (アンブレラ 保安警察)の略[8]。主に社幹部の警護などを行なうほか、公にはできないような特殊任務にも従事する。ラクーンシティ壊滅事件に際しては、2種の作戦に最大40 - 50人規模の大部隊が投入されているが、生還が確認されたのは2人のみであり、その他の隊員の生還は確認されていない。ラクーンシティの地下研究施設におけるG-ウィルス奪取作戦時には、G-ウィルスを自らに投与してG生物への変異を遂げたウィリアムによってハンク以外のアルファチーム全隊員を殺害されたうえ、全部隊が壊滅する。一方、ラクーンシティの地上研究施設からのB.O.W.輸送任務に際しては、第2分隊隊長ロドリゲスを除いて部隊は離散ないし壊滅している。また、『0』で黄道特急破壊作戦に派遣されたのはデルタチームである。なお、このデルタチームも作戦遂行中にB.O.W.の襲撃を受けて全滅の憂き目に遭ったが、『OR』では新たなメンバーで再構成したデルタチーム(ウルフパック)がアルファチームの援護に送り込まれている。特殊任務に当たっての一般的装備類は、L2A1 (HK417) やステアーAUGをはじめとするイギリス軍のSASの室内突入装備に準じた物が採用されている。
『GS』に登場するアンブレラ証拠隠滅部隊の通称。危険度Aプラスクラスの極秘任務において投入される証拠隠滅の専門部隊。隊員は隊長を除く全員がUT-ユニットと呼ばれる特殊なB.O.W.で構成され、アンブレラの幹部社員を含めた全証人の抹殺および関連施設の破壊を担っているという、アンブレラの私兵の中でも特に異彩を放つ部隊。
『5』の公式サイトでBSAAの紹介に伴って存在が明かされた、アンブレラの日本法人[9]。代表取締役社長は五十嵐皓貴。また、「アンブレラ・ジャパン株式会社は米国アンブレラ社の100%子会社である」と記載されている[10]。
1984年に東京で株式会社として設立された。当初は本社から輸入した医薬品の販売事業のみを行っていたが、1987年にはアンブレラ日本研究所を設立し、高度なバイオテクノロジーを利用した独自製品の開発を進めていた。しかし、ラクーンシティの惨劇をきっかけとした本社急変による株価暴落や風評被害などを経て、他社に買収されることもなく、2004年3月14日には会社解散となった。
『6』に登場する組織。
t-ウイルスを作り出したアンブレラの名を継ぐ、バイオテロ組織。総統はエイダ・ウォンを騙るカーラ・ラダメス。
中国の研究所にて開発された新型ウイルス「C-ウイルス」を、東欧イドニア共和国の内戦時に極秘で傭兵たちに投入する。それによって新型B.O.W.のジュアヴォを生み出し、その戦闘データを収集していた。また、すでにC-ウイルスの抗体を持っていたアルバート・ウェスカーの息子ジェイク・ミューラーを攫い、彼の血と合成させることによって生成した強化型C-ウイルスをミサイルに搭載し、中国へ発射する。その結果、避難中の市民や避難誘導していた軍隊などが巻き込まれ、蘭祥(ランシャン)にて大規模バイオハザードが発生した。
カーラは東欧イドニア共和国にてバイオテロの鎮静化にあたっていた対バイオテロ組織BSAAの隊員たちを罠にはめ、彼らにC-ウイルスを投与してC-ウイルス変異体のナパドゥに変異させる。また、カーラは自分を利用するだけ利用して捨てたディレック・C・シモンズをひどく憎んでおり、レオンやヘレナとの銃撃戦中のシモンズに背後からC-ウイルスを投与する。その結果、シモンズは変異して何度もレオンやヘレナの前に立ちはだかった。
カーラはシモンズにC-ウイルスを投与した後、車で逃走を図るがクリスとピアーズに追跡され、ビルへ追い込まれる。ビルの屋上にてヘリで逃走しようとするも謎の刺客に撃たれて落下した後、C-ウイルスによって変異してエイダの前に立ちはだかるが、倒されて完全死を迎える。カーラの死亡に伴い、ネオ・アンブレラは消滅した。
『バイオハザード アンブレラコア』に社章が初登場し、『7』にて本格的に登場した新生アンブレラ。会社更生法の適用により、2007年に旧アンブレラの退職者たちが中心となり、対バイオテロ専門の民間軍事会社として創設された。新経営陣には上記の旧アンブレラの「負の遺産」の回収が責務として課せられ、旧アンブレラが残したB.O.W.をはじめ、それらを悪用せんとするバイオテロリストの根絶を目的としている。再建に際し、旧アンブレラが犯した悪行に対する『贖罪』の意識を強調すべく、敢えて忌むべき「アンブレラ」の名を残した一方、旧アンブレラのイメージを払拭すべく、「赤と白の傘」であった社章は「青と白の傘」に変更されている[11]。
『7』で新たな生物兵器開発計画を察知した新生アンブレラはBSAAからクリス・レッドフィールドを指揮官として招聘しており、『7』終盤では彼率いる部隊が新生アンブレラのヘリコプターに搭乗し、イーサン・ウィンターズの救出に現れているほか、DLC『Not A Hero』では事件の重要参考人であるルーカス・ベイカーを追跡し、彼との攻防戦を繰り広げる。また、アルバートが生前に個人的に行なっていたB.O.W.研究成果を基として、対B.O.W.兵器のアルバート.W.モデルシリーズを考案・開発している。これらは対バイオテロ部隊などへの供給を目的として量産が計画されており、そのプロトタイプモデルをクリスらが『7』で使用している。
「バイオハザードヴィレッジ」ではクリスらとの関係は不明だが、社名とロゴが入った回復薬をクリス本人が所持している。
『RV』にて名前のみ登場する会社。特に言及はされていないが、「パラグアス」 (paraguas) はスペイン語で傘を意味しており、同じく傘を意味するアンブレラとの関係が暗示されている。
1980年代後半には「クイーン・ゼノビア」「クイーン・セミラミス」「クイーン・ディード」の大型客船3隻を購入し、動力の変更やキャビンの増設といった内部の大改装を施したうえで世界一周旅行などを行っていた。実際には極秘で船底に研究所を建造して客船を隠れ蓑とした海上研究所を運用しており、アンブレラの崩壊後にはFBCのモルガン・ランズディールによってt-Abyssウィルスが研究されていた。
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