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日本の岩手県盛岡市と宮古市および山田町を結ぶ、岩手県北自動車が運行するバス路線の愛称 ウィキペディアから
106急行バス(ひゃくろくきゅうこうバス)とは、岩手県盛岡市と宮古市及び山田町を結ぶ、岩手県北自動車(岩手県北バス)が運行するバス路線の愛称である。主に国道106号を走行することから名付けられたものである。
本項では、2021年(令和3年)4月1日に運行を開始した106特急バス、2019年(令和元年)7月31日から2023年(令和5年)3月31日まで運行していた盛宮106特急(じょうくひゃくろくとっきゅう[要出典])についても併せて説明する。
当路線は、1978年(昭和53年)から運行を開始している。2024年(令和6年)9月現在は、106急行バス、106特急バスが運行されている。
岩手県の県庁所在地である盛岡市と、三陸海岸に位置する都市である宮古市を結ぶ区間には古くから旅客需要があり、1906年(明治39年)から乗合馬車の運行が行われていた。
路線バスとしては、1913年(大正2年)に盛宮自動車により運行が始まった。これは岩手県初の路線バスでもあった[1]。この路線は1939年(昭和14年)の山田線の全通とともに運行廃止された。
1948年(昭和23年)のアイオン台風で山田線が不通になると、3年間にわたりバス代行輸送が行われた。このバス代行輸送の実績を鑑みた沿線市町村から、盛岡と宮古を直通する急行バス路線の運行に対する要望が高くなった[2]。
1954年(昭和29年)に区界峠の悪路が改修されたことを契機に、県北バスがこの区間に対する路線の免許を申請し、1955年(昭和30年)6月に宮古と盛岡を結ぶ急行バスの路線が免許された。当時の所要時間は5時間程度で、宮古を午前4時に発車し、盛岡駅を9時に発車する東北本線の列車に接続させるなど、東北本線との接続を重視していた[3]。
戦後になるとモータリゼーションの進展に伴い、地方の道路整備が急ピッチで行われることになった。国道106号も1970年代後半には全面的に完全舗装の2車線道路とし、カーブの改良やトンネルの新設が行われ、走行条件が大幅に改善された。一方で国道106号線に並走する山田線は、線形の悪さから大幅なスピードアップがなされなかった上、国鉄のローカル線合理化により運行本数が減少していた[4]。
県北バスではこうした状況を鑑み、国道106号線の盛岡〜宮古区間に「列車より速く、マイカーより快適」というコンセプトの急行バスを運行することを決定した。使用車両はリクライニングシート・冷暖房完備・車内テレビを備えた最新型の観光バス車両を使用することとした。当時の鉄道やバスでは冷房車は少なく都市部で冷房の搭載が始まった程度であったことを考えれば破格のサービスレベルであり、当時の乗用車と比べても遜色のない快適性を確保するものでもあった。また、運賃は山田線の普通運賃と同程度の1,600円に設定した。これにより、山田線の列車に対してはスピード・値段・居住性のすべてを凌駕した。[5]
ダイヤについても、盛岡着の夜行列車に接続して盛岡駅を6時に発車する[5] など利便性を考慮した設定とした。また、乗客が多い際には無線で続行便を手配し、着席を保証した。
1978年(昭和53年)11月1日より、106急行の運行が開始された。運行開始当初のダイヤは1日6往復であったが、利用者増に伴い半年後の1979年(昭和54年)4月には2往復増便し、同年夏には季節運行便2往復も運行した。1980年(昭和55年)にはさらに4往復増便し、東北新幹線開業の直前の1982年(昭和57年)4月には1日14往復にまで増便された。
106急行はその後も漸次増便され、盛岡〜宮古間の重要な公共交通の役割を担っている[6]。
106急行の成功により運行事業者である県北バスの収益は大幅に増加した。106急行の収益で過疎路線の赤字を補填できるようになったことで、1979年(昭和54年)度から過疎路線バス維持の補助金を返上[7][8]し、以後東北地方ではトップクラスの優良バス事業者となった。また、県北バスは1993年(平成5年)までは消費税転嫁以外にの運賃改定を行わなかった[9]。
また、106急行バスの成功は、一般道路経由のバス路線でも道路条件と設定次第では鉄道路線に対して十分な競争力を持つことを示した。東北新幹線開業に伴い、東北地方では新幹線連絡のためのバス路線が多数開業したが、それらは106急行の運行体制やサービスを範としている[4]。また、県北バスもそれらバス路線に積極的に参入している。
※ 多客期の続行便には貸切車など他営業所の車両も応援に入ることがある。
※ 2023年(令和5年)4月1日現在
盛岡駅前(東口) - 中央通二丁目 - 県庁市役所前 - 盛岡バスセンター - 茶畑公園 - 築川支所前 - 区界 - 黒沢 - 松草 - やまびこ産直館前 - 川内 - 箱石 - 川井 - 茂市 - 蟇目 - 千徳駅前 - 下千徳 - 宮古駅前 - 上磯鶏 - 山田駅前 - 船越駅前
盛岡駅前(東口) - 茶畑公園、千徳駅前 - 宮古駅前はクローズドドアシステム区間となる。
凡例 ○:乗車のみ取り扱い ●:降車のみ取り扱い ◎:乗降ともに取り扱い
主要停留所記載
停車停留所記載
停車停留所記載
停車停留所記載
1日1往復(2階建てトイレ付車両で運行だった。)クローズドドアシステムが適用されていた。
凡例 ○:乗車のみ取り扱い ●:降車のみ取り扱い ◎:乗降ともに取り扱い
※ 2021年(令和3年)4月1日現在
1日平日5往復・土休日3往復
1日平日6往復・土休日5往復。うち1往復は貨客積載バス(ヒトものバス)で運行。
原則、先着順の座席定員制であるが、8時台〜17時台に盛岡駅前・宮古駅前を発車し、盛岡駅前⇔宮古駅前を利用する場合のみ事前予約が可能(途中停留所の利用は予約不可)[25][26]。
多忙期には続行便を出すことがある。特急便は多忙期は運賃が200円増しとなる。
「iGUCA」の他にも、交通系ICカード全国相互利用サービスによるICカードが利用可能。「iGUCA」導入に伴い、岩手県北バスの発行するバスカードの利用は2022年(令和4年)7月31日までとなる。
上磯鶏~船越駅前間は別系統として取り扱うため、盛岡駅前~宮古駅前の各停留所と上磯鶏~船越駅前間を跨がって乗車する場合は一旦宮古駅前で精算を行う。
現金払いの場合は基本的に乗車時に整理券を取り、下車時に運賃表示機を確認のうえ運賃を支払う。ICカード払いの場合は乗車時に整理券を取らずに、ICカードをカードリーダーにタッチし、下車時に運賃箱にあるカードリーダーにICカードをタッチする[48]。
キャッシュレス決済の場合は、乗車時に整理券を取り、下車時に運賃箱に備え付けられているタブレット端末(小田原機器が開発した「SELF」)に表示される整理券番号表示画面に乗車した停留所の整理券番号をタップし、人数確認画面で利用人数を入力してタップする。決済方法を選択し、カードまたはQRコードをかざせば精算終了となる。当初はVisaのタッチ決済、PayPay、Alipayに対応し、LINE Pay、楽天ペイは2020年11月に対応[36]。
盛岡駅県北バス案内所、宮古駅前案内所自動券売機で乗車券を発売している。
全席座席指定制で事前予約が必要であり、オンライン(ハイウェイバスドットコム)で予約を受け付けていた。
当日乗車する際には、盛岡駅県北バス案内所、宮古駅前バス案内所、浄土ヶ浜パークホテルで座席指定をしていた。
途中停留所の県庁・市役所前、やまびこ産直館から予約なしで乗車する際には、空席がある場合、運転士から座席指定を受ける必要があった。
座席は、料金が異なる2階前方の「ワイドビューシート」(6席)、1階部分の「ビジネスシート」(6席)、2階前方以外の「スタンダードシート」(41席)の中から選べた。
スカニア・アストロメガが定期点検を行う場合は、通常の106急行バス車両に車両変更され、全席予約不要の自由席となっていた。
「106急行往復乗車券」 - 設定区間は盛岡駅 - 宮古駅間、中央通二丁目・盛岡バスセンター - 宮古駅間で7日間有効。
「106急行・三陸鉄道観光フリーパス」 - 106急行バス往復乗車券と三陸鉄道北リアス線フリー乗車券がセットになった割引乗車券(バス往復券7日間、三鉄フリー乗車券2日間有効)。盛岡駅県北バス窓口、盛岡バスセンターで発売。
「106急行バス・アーバン号乗り継ぎ往復割引乗車券」 - 106急行バスとアーバン号を乗り継いで利用できる割引乗車券(6日間有効)。宮古駅前案内所で発売。
「盛岡⇔宮古駅前往復乗車券+ホテルブライトイン盛岡1泊宿泊券」 - 106急行バス往復乗車券とホテルブライトイン盛岡1泊宿泊券がセットになった割引乗車券。宮古駅前バス案内所、ホテルブライトイン盛岡で販売。
「106急行&カーシェアお得なセットプラン」 - 106急行バス往復乗車券と宮古でのカーシェアがセットになった割引乗車券。
「盛岡駅⇔宮古駅(106急行) WEB専用回数券」 - 106急行バスのオンライン予約でのみ使用できるWEB専用の回数乗車券。事前登録が必要。盛宮106特急便は利用できない(106急行バスのみ利用可能)[49]。
「盛宮106特急往復きっぷ」 - 宮古駅⇔盛岡駅を、往路は宮古駅発の盛宮106特急を、復路は盛岡駅発の盛宮106特急または106急行バス(発売当日の各便に利用可能)が利用できる割引乗車券(発売当日のみ有効)。盛宮106特急のワイドビューシートとビジネスシートは差額を支払うことで利用可能。宮古駅前案内所で発売[50]。
「106急行往復乗車券利用者限定イオン盛岡南1日フリーきっぷ」 - 盛岡市内で運行しているE31系統・E32系統の盛岡駅口 - 盛岡駅西口 - イオンモール盛岡南が利用可能のフリー乗車券(発売当日のみ有効)。但し、盛岡バスセンター - 盛岡駅口並びにイオンモール盛岡南 - 盛岡南営業所は利用できない。「106急行往復乗車券」並びに「盛宮106特急往復きっぷ」を購入する場合に発売する。宮古駅前案内所で発売[50]。
「岩手県立中央病院バス&タクシー通院セットプラン」 - 106特急・急行、岩手県立中央病院までの専用タクシー(ヒノヤタクシーが運行)、E01系統の県立中央病院 - 盛岡駅西口の各乗車券がセットになった割引乗車券。盛岡駅から岩手県立中央病院までの往路は専用タクシーを、岩手県立中央病院から盛岡駅までの復路はE01系統をそれぞれ利用する。利用には岩手県立中央病院の診察券または予約券が必要で、乗車前日までの予約が必要。宮古駅前案内所で発売。
「iGUCA乗継割引」 - 岩手県北バスの一般路線の「iGUCA」による乗継と同様に、106特急・急行を「iGUCA」で利用して、岩手県北バスの一般路線に60分以内に乗り継ぐ場合(岩手県北バスの一般路線を「iGUCA」で利用して、106特急・急行へ60分以内に乗り継ぐ場合も可能)、乗継先のバスの運賃が割引となる。但し、JRバス東北が運行している早坂高原線と白樺号は乗継割引の対象外となる。
旅客輸送の便で宅急便輸送が行われている。盛岡 → 宮古間の往路便のみ行っており、ヤマト運輸盛岡西支店にて宅急便を積載し(岩手県北バス盛岡南営業所→ヤマト運輸盛岡西支店→盛岡駅前は回送扱い)、宮古駅前で乗客を降ろした後にヤマト運輸宮古支店まで回送して荷卸し、その後宮古 → 重茂の路線バス車両に積み替え、岩手県北バス宮古営業所重茂車庫でヤマト運輸の配送車に再度積み替え配達することにより重茂地区への配達スピードアップを実現している[11]。なお宮古 → 盛岡の復路便では宅急便の積載は行わない[51]。
2018年(平成30年)から夏季限定で、宮古市津軽石で朝収穫された「夏いちご」を、盛岡の洋菓子店「タルトタタン」に輸送する取り組みが行われている。朝、収穫されたいちごを生産者が岩手県北バス宮古営業所に持ち込み、106急行バスの床下のトランクに積載される。その後、通常便とともに運ばれ、盛岡市のタルトタタン本店の最寄停留所「茶畑公園」で従業員に引き渡しを行っている[23][24]。
かつては、日本通運と連携し盛岡 - 宮古間を即日配達する「106急行宅配便」を行っていた。
チャイルドシートのレンタルを行っているほか(チャイルドシートレンタルは事前予約制)、一般路線バスと同様にベビーカーでの乗車もできる[52]。
盛岡駅 - 盛岡バスセンター相互間は、岩手県交通が運行している盛岡都心循環バス「でんでんむし」にあわせて、他の岩手県北バス一般路線バスも同様に、運賃が100円である(但し、盛岡市内にて乗降制限のある盛宮106特急は対象外)。
全ての便で、車内Wi-Fiサービスである「MICHINORI Free Wi-Fi」が使用できる。ただし、宮古市の旧川井村域の一部と旧新里村域の一部において通信が困難な地域がある[20]。
JR山田線が不通になったり、区界 - 千徳間で列車の運転が打ち切られたり、昼間の工事により山田線が運休となった場合は106急行バスで振替輸送を行う場合がある。振替輸送を行う便は、状況によってはJRが振替輸送便を指定する場合があり。満席の場合は指定された便の次便への乗車を案内する場合もある[53]。2015年(平成27年)12月11日に発生した山田線内の事故に関して、岩手日報は「盛岡 - 宮古間は県北自動車・106急行バスで代替輸送を行なう」旨の記事をWebで示している[54]。
盛岡行は2009年(平成21年)6月30日まで「箱石休憩所」(ここで客扱いはせず、乗降バス停は少し先の「箱石」バス停となっていた)にてトイレ休憩を行っていた。
スーパー特急便では座席指定料金200円が必要(ただし、座席は指定席ではない。また、専用車が車両点検の場合は一般車両で運転される場合があり、その場合は座席指定料金200円は不要となる)であった。なお、トイレ付き車両のため途中休憩はなかった。また盛岡市内についてはクローズドドアシステムが適用されるため、宮古行の場合は盛岡駅→盛岡バスセンターのみの降車、盛岡行の場合は盛岡バスセンター→盛岡駅のみの乗車はできなかった。
基本的に55人乗り[55] ハイデッカー車両(UDトラックス(旧:日産ディーゼル)・スペースアロー、日野・セレガ、三菱ふそう・エアロバス、三菱ふそう・エアロエース)が使用されるが、一部便にはトイレ付車両が使用される(トイレ付き車両充当便は時刻表に明示されている)。
2019年(令和元年)7月より運行された「盛宮106特急」では、スカニア・アストロメガ(定員54人、トイレ付)が運用されている[47][56]。
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