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静岡県から長野県に至る高速道路 ウィキペディアから
中部横断自動車道(ちゅうぶおうだんじどうしゃどう、英語: CHUBU-ODAN EXPWY[1])は、静岡市清水区の新清水ジャンクション (JCT) から長野県小諸市の佐久小諸JCTに至る総延長約132キロメートルの高速道路(高速自動車国道)である。略称は中部横断道(ちゅうぶおうだんどう)。
高速道路ナンバリングによる路線番号は、新東名高速道路清水連絡路(全線)および中央自動車道との重複区間(双葉JCT - 長坂JCT)を含めて「E52」が割り振られている[2]。
日本列島の中心線を横切る方向に走っているため、道路名は「横断道」を名乗る[3]。
国土開発幹線自動車道の予定路線に以下の通りされている。
全区間が下記のとおり高速自動車国道の路線にされている。
山梨県甲斐市の双葉JCTから同県北杜市の長坂JCT(調査中)までは中央自動車道と重複している。また、双葉JCTから南アルプス市の南アルプスICの区間は山梨県の地域高規格道路である新山梨環状道路の西部区間にも指定されている。
上信越自動車道と接続し太平洋側(静岡県静岡市)と日本海側(新潟県上越市)を結ぶ路線と位置付けられており、同道の佐久小諸JCT - 上越JCT間と合わせて、「中部日本横断自動車道」と呼ばれることもある。2021年(令和3年)8月現在、新清水JCT - 双葉JCT間および八千穂高原IC - 佐久小諸JCT間が開通している。開通している区間の道路名は、中央自動車道として開通している区間を除き、中部横断自動車道(英語: CHUBU-ODAN EXPWY)であり、中部横断道(英語: CHUBU-ODAN EXP)と略される。富沢IC - 六郷IC、八千穂高原IC - 佐久北IC間は新直轄方式である。
山梨県内の新直轄方式区間である富沢IC - 六郷IC間 (28.3キロメートル) は、4分の3に当たる約21キロメートルがトンネルおよび高架橋の構造物であり、センターラインにセンターポール(ガイドポスト)が設置される暫定2車線の対面通行方式である。
道路幅が狭いため、事故車両故障で渋滞が発生した場合、救急車などの緊急車両が現場に急行出来ないのではないかという地元消防署や山梨県警察による指摘がある[4]。実際に、2013年(平成25年)1月の大雪で通行止めになった際には先述の問題で路肩に雪を寄せることができず、除雪に手間取ったことから、通行止め解除までに約50時間を要している[5]。同区間のトンネルは19本(総延長約14.9キロメートル)、橋梁40カ所(同約6.1キロメートル)、対面2車線の道路幅員は10.5メートルで車線幅員は3.5メートル、路肩幅は1.75メートルである。
当初は2017年(平成29年)度中にも全区間開通予定であったが、軟弱地盤によるトンネル掘削の遅れが起こったほか、掘削土に含まれていた自然由来の重金属の処理に手間取ったため、幾度も開通時期が延期され、全区間の開通は2021年(令和3年)8月29日にずれ込んだ[6][7]。
またトンネルや橋梁が多いことから、新直轄方式区間(富沢IC - 六郷IC)の総事業費が2019年(平成31年)3月時点で3,154億円[8](キロメートル換算で約111.4億円)と有料区間である増穂IC - 双葉JCTの区間(16キロメートルで848億円[9]、1キロメートル換算で約53億円)と比較すると高額になっており、山梨県の費用負担分が争点となった[8]。
2006年(平成18年)の新直轄方式への変更に際し、県費負担は177億円とされたが、翌2007年(平成19年)2月より山梨県知事に就任した横内正明が総務省へ県負担軽減を求め、一度は32億円に縮小された。しかし難工事による開通延期と追加工事により、2018年(平成30年)7月の「新直轄区間全体の延期」に124億円、2019年(平成31年)3月の「南部IC - 下部温泉早川IC間の再延期」には、164億円まで増大した[8]。
そこで2019年(平成31年)2月に山梨県知事に就任した長崎幸太郎は、総務省へ県負担を再度軽減するように求めた[8]。また総務省も、トンネルや橋の占有率が全国平均の2倍を超える場合に交付税負担を増額する新算定方式や、新直轄区間の比率が高い場合についても期限付きで交付税負担を増額する特例措置などを同区間に適用した結果、2019年(令和元年)7月に、山梨県の負担は1億円まで再縮小されるという見通しが示された[10]。
2021年8月29日に当該区間が全線開通[6]。長さ5,000メートル以上のトンネルが存在しないことから[注釈 1]、太平洋側から山梨県や長野県まで石油製品等の危険物を積載するタンクローリーが高速道路で直通できるようになり、防災面等での効果が期待されている[11]。
長坂JCT - 佐久小諸JCTは、八千穂高原IC以北が整備済みであるのに対し、長坂JCT - 八千穂高原ICは基本計画区間のまま中部横断道唯一の未事業化区間として残っており、同道全線開通の目途は未だに立っていない。
2010年(平成22年)12月以降、7回に及ぶ社会資本整備審議会(関東地方小委員会)や地元意見交換会と、2012年(平成24年)から2013年(平成25年)にかけて行われた3回のワーキンググループでの議論を経て、2015年(平成27年)4月9日には対応方針の決定に至るも[注釈 2]、その後も道路建設の是非やルート帯に関する様々な意見が対立して、暫く膠着状態が続いていた。
このような状況に対し、山梨・長野の両県では沿線自治体や商工会議所、観光協会などの業界団体が再三に渡って県知事への整備促進を陳情しており[12]、これらを踏まえ山梨県の後藤斎知事(当時)と長野県の阿部守一知事は2016年(平成28年)5月23日に石井啓一国土交通相を訪ね、早期事業化への中央要望を行った[13]。
これに対し石井国交相は、整備計画に前向きな考えを示しつつも、沿線の一部住民らが道路計画への反対と、社会資本整備審議会における計画段階評価の再審議を求めている状況を踏まえ、「住民の理解が得られるかが課題」と注文を付けている[12][13]。
2017年(平成29年)9月21日と国土交通省長野国道事務所や長野県建設部、沿線自治体担当部課らで構成される1回目の「中部横断自動車道(長坂〜八千穂)長野県区間に係る計画調整会議」が開催され、既に決定済みの対応方針のおさらいと、その後の地元意見集約結果を発表、それらを踏まえ、長野県区間でのルート帯案とインターチェンジの概略位置決定の考え方に関する方針が確認された[14]。
2018年(平成30年)7月11日の第2回同会議では、同年4月25日に南牧村より出された優良農地に関する要望等も踏まえた、長野県区間の1キロメートル幅のルート帯案と、より具体的なインターチェンジ設置位置が、国土交通省長野国道事務所より提示され、合意された[15]。
これらの会議結果を基に、国土交通省は2019年(令和元年)6月28日に、環境影響評価(アセスメント)の方法書を山梨・長野の両県に提出[16]。これを受けて県や自治体では、今後都市計画の決定と、環境影響評価に関する手続きが進められることになり、事業化前の最終関門となる新規事業採択時評価に向けて、大きく前進した[17]。
2023年(令和5年)7月19日、国土交通省が長坂 - 八千穂の事業者予定案を山梨県及び長野県に提供。同年10月に、両県で都市計画原案の説明会[18][19]を開催し、具体的なルートおよびIC位置の原案が公表された。
IC番号 | 施設名 | 接続路線名 | 起点から (km) |
備考 | 所在地 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
E52 新東名高速道路 清水連絡路 | ||||||||
9 | 新清水JCT | E1A 新東名高速道路 | 0.0 | 静岡県 静岡市 清水区 | ||||
- | 両河内SIC | - | 5.6 | 事業中[23] | ||||
- | 富沢TB | - | 20.5 | 本線料金所 | 山梨県 | 南巨摩郡 | 南部町 | |
1 | 富沢IC | ※1 | 20.7 | ここから静岡方面は有料区間 ここから甲府方面は無料区間 | ||||
2 | 南部IC | ※1(南部バイパス) | 27.4 | 道の駅なんぶに隣接 | ||||
2-2 | 身延山IC | 県道10号富士川身延線 | 32.6 | 地域活性化IC | 身延町 | |||
3 | 下部温泉早川IC | 県道9号市川三郷身延線 | 40.6 | |||||
3-2 | 中富IC | 県道405号割子切石線[24] | 45.4 | 地域活性化IC | ||||
4 | 六郷IC | 県道43号六郷インター線 | 49.0 | ここから静岡方面は無料区間 ここから甲府方面は有料区間 |
西八代郡 | 市川三郷町 | ||
- | 富士川TB | - | 57.5 | 本線料金所 | 南巨摩郡 | 南巨摩郡 富士川町 | ||
5 | 増穂IC/PA[25] | ※1(甲西道路) | 58.3 | PA下り線(中央道方面)は道の駅富士川に隣接 | ||||
- | 南アルプスTB | - | 旧 本線料金所 2017年2月20日廃止[26] |
南アルプス市 | ||||
6 | 南アルプスIC | 新山梨環状道路(南部区間) 県道12号韮崎南アルプス中央線 |
64.5 | |||||
7 | 白根IC | 県道39号今諏訪北村線 | 67.5 | |||||
15-2 | 双葉JCT | E20 中央自動車道 | 74.3 | 甲斐市 | ||||
(重複区間)詳細は「E20 / E52 中央自動車道」を参照 | ||||||||
韮崎市 | ||||||||
北杜市 | ||||||||
- | 長坂JCT | E20 中央自動車道 | ||||||
長坂 - 八千穂 (都市計画手続き中) | ||||||||
八千穂高原IC | 国道299号 | 0.0 | ここから佐久北ICまでは無料区間 | 長野県 | 南佐久郡 | 佐久穂町 | ||
佐久穂IC | (間)※2 | 4.5 | 地域活性化IC | |||||
佐久臼田IC | 県道121号上小田切臼田停車場線(下小田切バイパス) | 6.9 | 地域活性化IC | 佐久市 | ||||
佐久南IC | 国道142号 | 14.6 | 道の駅ヘルシーテラス佐久南に隣接 | |||||
佐久中佐都IC | 県道154号塩名田佐久線(中佐都バイパス) | 16.9 | 地域活性化IC | |||||
佐久北IC | ※2 | 21.1 | ここから韮崎・佐久穂方面は無料区間 ここから東京・長野方面は有料区間 | |||||
- | 小諸御影TB | - | 21.9 | 本線料金所 | 小諸市 | |||
7-1 | 佐久小諸JCT | E18 上信越自動車道 | 22.4 |
2002 | (3月)双葉JCT - 白根IC |
---|---|
2003 | |
2004 | (3月)白根IC - 南アルプスIC |
2005 | |
2006 | (12月)南アルプスIC - 増穂IC |
2007 | |
2008 | |
2009 | |
2010 | |
2011 | (4月)佐久小諸JCT - 佐久南IC |
2012 | |
2013 | |
2014 | |
2015 | |
2016 | |
2017 | (3月)増穂IC - 六郷IC |
2018 | (4月)佐久南IC - 八千穂高原IC |
2019 | (3月)新清水JCT - 富沢IC、下部温泉早川IC - 六郷IC (11月)富沢IC - 南部IC |
2020 | |
2021 | (8月)南部IC - 下部温泉早川IC |
中部横断道には中央道重複区間も含めサービスエリア (SA) は設けられていない。パーキングエリア (PA) は中央道重複区間も含め増穂PAのみであるが売店は存在しない。ただし、長時間運転の疲労を考慮して以下のような対応が行われている。
基本計画によるルート策定中。
トンネル・橋梁名称 | 名称の読み方 | 延長 | 区間 | 備考 | 参考 |
---|---|---|---|---|---|
釜無川橋 | かまなしがわ | 753 m | 双葉JCT - 白根IC | ||
富士川橋 | ふじかわ | 823 m | 増穂IC - 六郷IC | 有料区間で最も長い橋梁。 | [59] |
八之尻トンネル | はちのしり | 2,469 m | [60] | ||
宮狩トンネル | みやかり | 2,893 m | [61] | ||
原トンネル | はら | 751 m | |||
鴨狩津向トンネル | かもがりつむぎ | 355 m | 六郷IC - 中富IC | ||
城山トンネル | しろやま | 2,087 m | |||
一色トンネル | いっしき | 1,275 m | 中富IC - 下部温泉早川IC | ||
醍醐山トンネル | だいごやま | 2,409 m | 新直轄区間で最も長いトンネル。 | [62] | |
富士川大橋 | ふじかわ | 994.5 m | 身延山IC - 南部IC | 最も長い橋梁。 | [63] |
塩沢トンネル | しおざわ | 649 m | 南部IC - 富沢IC | ||
楮根第四トンネル | かぞねだいよん | 1,852 m | |||
峯トンネル | みね | 506 m | 富沢IC - 新清水JCT | ||
竹之沢トンネル | たけのさわ | 766 m | |||
森山トンネル | もりやま | 1,734 m | |||
石合トンネル | いしあい | 509 m | |||
長瀞川橋 | ながとろがわ | 322.5 m | [59] | ||
樽峠トンネル | たるとうげ | 4,999 m | 同道路で最も長いトンネル。危険物積載車両が通行できるトンネルとしては日本で一番長い。 「延長別日本の道路トンネルの一覧」も参照 |
[59] | |
湯沢トンネル | ゆざわ | 199 m | |||
葛沢トンネル | とずらさわ | 2,295 m | [59] | ||
両河内トンネル | りょうごうち | 682 m | |||
両河内橋 | りょうごうち | 460 m | [64] | ||
24時間交通量(台) 道路交通センサス
区間 | 平成17(2005)年度 | 平成22(2010)年度 | 平成27(2015)年度 |
---|---|---|---|
新清水JCT - 富沢IC | 調査当時未開通 | ||
富沢IC - 南部IC | |||
南部IC - 身延山IC | |||
身延山IC - 下部温泉早川IC | |||
下部温泉早川IC - 中富IC | |||
中富IC - 六郷IC | |||
六郷IC - 増穂IC | |||
増穂IC - 南アルプスIC | 調査当時未開通 | 6,798 | 2,379 |
南アルプスIC - 白根IC | 1,379 | 8,009 | 3,695 |
白根IC - 双葉JCT | 2,757 | 5,506 | 4,684 |
長坂JCT - 八千穂高原IC | 未開通 | ||
八千穂高原IC - 佐久穂IC | 調査当時未開通 | ||
佐久穂IC - 佐久臼田IC | |||
佐久臼田IC - 佐久南IC | |||
佐久南IC - 佐久中佐都IC | 調査当時未開通 | 9,747 | |
佐久中佐都IC - 佐久北IC | 9,747 | ||
佐久北IC - 佐久小諸JCT | 9,747 |
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
※ 開通済みの区間のみ掲載
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