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日本の高速道路などの道路休憩施設の一種 ウィキペディアから
サービスエリアとは、日本の高速道路などの道路休憩施設の一種。「SA」と略記される。設置間隔はおおむね50kmおき(北海道はおおむね80kmおき)に設置される[1]。なお、イギリスやアイルランドでも高速道路上の類似の休憩施設をMotorway service areaと呼んでいる。
高速道路などでは、一般道路のように一時停車することができないことから、連続運転で疲労した利用者(運転手)に休憩やサービスを提供するために、基本的に50〜150km間隔(平均約60km間隔)で設けられる施設で、一般にパーキングエリア(PA)よりも規模が大きい[2][3]。休憩・食事・自動車の給油・整備点検が主なサービス提供の中心で、一般に駐車場・トイレ・無料休憩所・緑地・遊具施設のほか、レストラン・売店・情報コーナー・ハイウェイスタンプ・ガソリンスタンドなどが設けられるのが普通である[2]。各地のSAごとにその施設態様はさまざまで、ドッグラン・コインシャワー・コインランドリー・ファックスサービス、中には入浴施設・宿泊施設・ヘリポートなどが設けられている所もある[4]。2000年代ごろからは、マクドナルド・スターバックスなどチェーン店を導入したり、売店の代わりにコンビニエンスストアやドラッグストアを導入するSAがある[1][3]。
レストランとスナック(軽食)コーナーを統合してフードコートスタイルにしているSAも多い。パーキングエリア(PA)よりも規模が大きいことが普通だが、PAによってはSA並の規模をもつところもある。
なお、東京都・京都府・長崎県にSAは存在しない。また、山形県・鳥取県・島根県にNEXCOが運営するSAは存在しない。
本節ではSA・PAに共通する道路サービス施設について記述する。
SA・PAは道路の一部として道路管理者により開設され、まず道路管理者が駐車場やトイレなどを設置する。そして各休憩所・給油所および自動車修理所(これらは道路サービス施設と総称される)を運営する事業者(後述)が、個々の判断により、占用料または連結料を負担して設置・運営する。したがって、駐車場やトイレなどは道路管理者が直接管理し、事業者はSAそのものではなく個々の道路サービス施設を運営しているというのが正しい。このためトイレは、道路サービス施設とは独立して設置されている。
このような形式をとるために、道路サービス施設の設置態様は多様である。例えば豊栄SA(新潟県)はSAでありながら、駐車場とトイレ以外には道路サービス施設は設置されていない。一方、新井PA(新潟県)のように、PA内には駐車場しかなく、道路サービス施設を設置するかわりに道の駅などへの連絡路を設置設けるケースもある。
かつては、1967年(昭和42年)の建設省道路局長通達に従い、高速道路の道路サービス施設は一括して同一の占用主体に占用を認め、たとえば日本道路公団の路線では、初期に開設された大津SAの全施設と名神高速道路上の給油所(8か所)が公団直轄だった点を除くと、一般有料道路上のものを含め、すべて財団法人道路施設協会(1965年5月27日設立)が独占して設置、施設営業やテナント契約を一手に引き受けていた。なお、ほかの道路関係公団においては以下の通り。
猪瀬直樹ら一部の評論家や研究者やジャーナリストによって、次第に事業独占の弊害が強く指摘・批判されるようになった。その最初期の対応策として、1997年(平成9年)10月28日の建設省道路局長通達により、いわゆる第三セクター企業による占用が可能となった。続いて12月26日には、道路施設協会を分割し、当該事業への民間企業および地方公共団体の新規参入も促進するとの閣議決定がなされ、同協会は財団法人道路サービス機構(J-SaPa、旧法人格を承継)と財団法人ハイウェイ交流センター(HELLO SQUARE、1998年7月1日設立)に分割された。
2005年(平成17年)の公団民営化では、設立された各道路会社が道路サービス施設の事業と資産を引き継ぐことが決定された。その方針に従って、公団民営化3か月後の2006年1月1日付で、旧阪神高速道路公団の路線における道路サービス施設(阪神高速道路協会と阪神高速道路利用協会が管理)が阪神高速道路会社系列の管理会社(阪神高速サービス)に、公団民営化半年後の2006年4月1日付で、旧日本道路公団の路線における道路サービス施設(道路サービス機構とハイウェイ交流センターが管理)・旧本州四国連絡橋公団の路線における道路サービス施設(本州四国連絡橋道路管理協会が管理)・旧首都高速道路公団の路線における道路サービス施設(首都高速道路協会が管理)が、地域ごとに各高速道路会社系列の管理会社(ネクセリア東日本・中日本エクシス・西日本高速道路サービス・ホールディングス・JBハイウェイサービス・首都高速道路サービス)にそれぞれ承継された。なお、道路会社に引き継がれなかったJ-SaPaとハロースクエアが持っていた一般道路分のサービスエリアとパーキングエリアは、財団法人高速道路交流推進財団(旧・J-SaPa)に承継された。
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
道路法により道路管理者の占用許可が必要となる施設として、法施行令は以下の施設を掲げている(抄)。
これまでSAなどの敷地は全域が道路区域に含まれていたため、エリア内の道路サービス施設はいずれもこの法令に従い設置されていた。公団の資産たる道路区域の上に、事業者の資産たる道路サービス施設が占用許可にもとづき設置されていたわけである。
公団民営化に際し、J-SaPaやHELLO SQUAREなどの財団法人が所有する休憩施設等の資産は敷地と一体で各道路会社が承継し、機構は所有しないものとされた。従来の事業者である各財団法人は、事業と資産を道路会社に譲渡し、解散することになった。
このスキームに沿って、当該道路サービス施設の敷地は道路区域から外され、土地建物一体で道路会社に帰属することとなった。これは、道路法の縛りから外れ、しかも機構とは無関係に事業展開できるようになることを意味する。一方、残りの敷地やトイレなどは道路区域として機構に承継されている。あわせて改正された各法令では、道路サービス施設をこれまでの「道路を占用して設置できる施設」としての位置づけに加え、「道路に連結できる施設」としての位置づけも想定した整備がなされた。
高架下のPA(例:近畿自動車道東大阪PA)など、一部は道路区域のまま存置するものも存在する。また、第三セクターなど、ほかの団体が占用主体となっているいくつかのSA・PA(例:伊勢湾岸自動車道刈谷PA(愛知県))は、敷地を道路区域として機構が所有する従前のスタイルで運営されるものとみられる。
サービスエリアの大半およびごく一部のパーキングエリアではインフォメーションコーナーと呼ばれる案内所を設けている。インフォメーションコーナーがない施設でも、場合によっては情報端末による情報案内がある場合もある。なお、中日本高速道路管内では「サービスエリアコンシェルジュ」という名称を使っている。
ここではインターチェンジ間の料金案内や交通情報・地域情報・ベビールームの貸し出し、無償による飲料水やお茶の提供などを行っている。
記念スタンプもあり、置いてある台紙に自由に押して立ち寄った記念にすることができる。「サービスエリアパーキングエリアスタンプ」と呼ばれている。
NEXCO東日本・中日本・西日本のインフォメーションコーナーおよび、サービスエリアコンシェルジュではハイウェイメディカルコールというサービスが実施されている。高速道路使用中の病気やけがの応急手当方法などの医療相談に対応する専用の電話が設置されている[5]。
道路施設協会当時は、該当する高速道路周辺の地図とサービスエリア・パーキングエリアに関する案内を記載したエリアガイド、折りたたまれた地図(折図)を配布していた。その後の2005年の道路サービス機構・ハイウェイ交流センター移行後も配布は継続するも、各高速道路会社ごとに地図の配布事情は異なる[6]。
東日本高速道路は、折図を廃止。2006年4月より、KADOKAWAとタイアップして、「ハイウェイウォーカー」を発行[6]。
中日本高速道路は、サービスエリアガイドとして、折図を継続。あわせて情報誌高速家族を配布[6]。
西日本高速道路は、高速道路ガイドマップとして、折図を継続。あわせて情報誌遊・悠・Westを配布[6]。
中日本エクシスから、全国の高速道路地図を掲載している「全国版高速道路地図」(300円)が全国のサービスエリアコンシェルジュおよびインフォメーションコーナーで販売されていた[7]。
東名高速道路足柄SA上り線・名神高速道路多賀SA下り線・関門自動車道壇之浦PA下り線・東北自動車道佐野SA上り線・山陽自動車道宮島SA上り線・徳島自動車道吉野川SAハイウェイオアシスには、それぞれ「レストイン足柄」・「レストイン多賀」・「ファミリーロッジ旅籠屋 壇之浦PA店」・「E-NEXCO LODGE 佐野SA店(ファミリーロッジ旅籠屋・佐野SA店)」・「ファミリーロッジ旅籠屋 宮島SA店」・「ファミリーロッジ旅籠屋 吉野川SA店」という名のハイウェイホテル(宿泊施設)が設置されている。詳細は各SA・PAの項目を参照。
高速道路外のガソリンスタンドとは異なる、独自の価格決定方法を持っている。一部のエリアにはセルフ式のスタンドも存在する。2000年以降に新規開設されたガソリンスタンドはセルフ式となっていることが多い。なお、高速道路のガソリンスタンドでは、基本的に3油種(レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油のみを取り扱い、灯油の取り扱いはない。
なお、新東名高速に設置されているガソリンスタンドは、大型車有人、普通車セルフとなっている。
一部SA・PAには、高速道路外の都市公園・地域振興施設としてハイウェイオアシスがエリアに隣接して設置されている。高速道路の料金所を出ることなく、エリアに隣接する高速道路外の公園・レクリエーション施設を利用できる。道の駅に指定されているハイウェイオアシスもある。
アメリカなどではレストエリア(Rest Area)と呼称する道路休憩施設がある[8]。アメリカは国土が広く高速道路網も整備されているがレストエリアはあまりない[8]。また、アメリカのレストエリアはトイレや飲料の自動販売機などしかないところがほとんどである[8]。アメリカでは高速道路は無料区間が多く、高速道路の各出口にはファーストフード店、ガソリンスタンド、ホテルなどの表示が設置されており、食事やトイレ、給油などが必要なときは表示を頼りにいったん高速道路を下りてから利用するのが一般的である[8]。
ドイツの道路休憩施設は、駐車だけのスペースのもの、お手洗いつきの駐車場、給油所のあるタンクシュテレ、さらにレストラン・売店・簡易宿泊施設などを併設するラストホーフなどと機能別に大きく4つに分かれる[9]。
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