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長野県松本市から福井県福井市に至る高規格幹線道路 ウィキペディアから
中部縦貫自動車道(ちゅうぶじゅうかんじどうしゃどう、英語: CHUBU-JUKAN EXPWY[2])は、長野県松本市から福井県福井市までを結ぶ国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)(B路線)である[1]。国道158号に指定されている。略称は中部縦貫道(ちゅうぶじゅうかんどう)、または中縦道(ちゅうじゅうどう)[3]。
高速道路ナンバリングによる路線番号は、「E67」が割り振られている[4]。
長野県松本市を起点とし、岐阜県高山市の飛驒清見ICで東海北陸自動車道に接続、同道を経たのち白鳥ICで分岐し、福井県福井市に至る。東海北陸自動車道との重複区間は高速自動車国道、それ以外の区間は国道158号に指定されている[注釈 1]。
以前は県境区間の国道158号安房峠および油坂第三トンネルまでの郡上市側は冬季になると閉鎖されていたが、安房峠道路および油坂峠道路の完成により、年間を通して長野県や福井県と岐阜県飛騨地方との相互通行が可能になった。
全線開通した場合は北陸自動車道から当道を経て長野自動車道・中央自動車道へ至る、福井県と関東地方(特に東京都)を結ぶ高速自動車交通の最短ルートを成す。
日本列島の中心線に沿って延びているため道路名は「縦貫道」を名乗る[5]。
IC 番号 |
施設名 | 接続路線名 | 起点 から (km) |
備考 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
- | 松本JCT | E19 長野自動車道 | 0.0 | 事業中[6] | 長野県 松本市 | |
- | 波田IC | 県道315号波田北大妻豊科線 | 5.3 | |||
波田 - 中ノ湯 (基本計画区間) | ||||||
中ノ湯IC | 国道158号(現道) | 0.0 | ||||
平湯IC | 国道158号(現道) 国道471号 |
5.6 | 岐阜県 | 高山市 | ||
- | 久手IC | 国道158号(現道) | 事業中 | |||
久手 - 日面 (計画段階評価完了[7]) | ||||||
日面 - 丹生川 (基本計画区間) | ||||||
- | 丹生川IC | 国道158号(現道) | 0.0 | 事業中[8] | ||
高山IC | 国道41号(高山国府バイパス) | 9.5 | ||||
高山西IC | 国道158号(現道) | 16.0 | 道の駅ななもり清見隣接 | |||
13 | 飛驒清見IC | 国道158号(現道) E41 東海北陸自動車道小矢部砺波方面 |
24.7 | |||
(重複区間 40.9 km)詳細は「東海北陸自動車道」を参照 | ||||||
郡上市 | ||||||
10 | 白鳥IC | E41 東海北陸自動車道一宮方面 県道82号白鳥明宝線 |
0.0 | 東海北陸道方面出入口 | ||
白鳥西IC | 国道158号(現道) | 3.2 | ||||
油坂出入口 | 国道158号(現道) | 11.3 | 白鳥方面出入口 無料開放により油坂峠料金所は廃止 |
福井県 | 大野市 | |
開通時期未定[9][10][11] | ||||||
九頭竜IC | 県道127号白山中居神社朝日線 | 26.8 | 道の駅九頭竜出口案内 | |||
下山IC | 国道158号(現道) | 30.7 | 福井方面出入口 | |||
勝原IC | 国道158号(現道) | 36.3 | 福井方面出入口 | |||
荒島IC | 国道158号(現道) | 40.8 | 道の駅越前おおの荒島の郷隣接 | |||
大野IC | 国道157号(大野バイパス) | 46.3 | ||||
勝山IC | 県道260号勝山インター線 | 54.1 | 道の駅恐竜渓谷かつやま出口案内 | 勝山市 | ||
上志比IC | 国道416号 | 62.0 | 道の駅禅の里出口案内 | 吉田郡 永平寺町 | ||
永平寺IC | 国道364号(旧道(谷口バイパス)) | 67.3 | ||||
永平寺参道IC | 国道364号(現道、旧道(谷口バイパス)) | 68.7 | 福井方面出入口 | |||
松岡IC | 国道416号(新道(吉野堺バイパス)) 県道165号京善原目線 |
70.5 | 白鳥方面出入口 | |||
9 | 福井北JCT/IC | 国道416号(新道(吉野堺バイパス)) E8 北陸自動車道 |
72.7 | ICは北陸道方面出入口 | 福井市 | |
各道路ごとの沿革は、#事業区間ごとの概要にある各道路の沿革を参照。
24時間交通量(台) 道路交通センサス
区間 | 平成17(2005)年度 | 平成22(2010)年度 | 平成27(2015)年度 | 令和3(2021)年度 |
---|---|---|---|---|
松本JCT(仮称)- 中ノ湯IC間 | 未開通 | |||
中ノ湯IC - 平湯IC | 3,171 | 1,880 | 3,821 | 1,691 |
平湯IC - 高山IC間 | 未開通 | |||
高山IC - 高山西IC | 調査当時未開通 | 5,504 | 5,631 | 5,356 |
高山西IC - 飛驒清見IC | 5,566 | 6,774 | 7,049 | 6,169 |
白鳥IC - 白鳥西IC | 1,071 | 594 | 2,035 | 479 |
白鳥西IC - 油坂出入口 | 1,706 | 946 | 1,128 | 1,574 |
油坂出入口 - 九頭竜IC間 | 未開通 | |||
九頭竜IC - 大野IC間 | 調査当時未開通 | |||
大野IC - 勝山IC | 調査当時未開通 | 6,406 | 6,904 | |
勝山IC - 上志比IC | 調査当時未開通 | 1,214 | 7,675 | 11,008 |
上志比IC - 永平寺IC | 調査当時未開通 | 9,252 | ||
永平寺IC - 永平寺参道IC | 調査当時未開通 | 8,218 | 11,088 | 13,037 |
永平寺参道IC - 松岡IC | 11,738 | 12,575 | 16,273 | 14,655 |
松岡IC - 福井北JCT/IC | 調査当時未開通 | 1,244 | 1,543 |
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
※各道路のICおよび接続道路の詳細については、#インターチェンジなどを参照。
長野県内区間は、波田IC(仮称)- 中ノ湯IC間はダム建設時に整備された道路を利用しており、道路幅の狭さから大型自動車などの離合に時間を要するなど改良の余地があるが、この区間は一般道路と併用して整備をする方針となっている。このうち、地元関係者の要望もあり先行整備される予定であった同区間の一部(奈川渡ダム周辺)については地元首長および国土交通相との会談の結果、2010年(平成22年)度の事業化を目指すこととなった[25]が、のちに調査・測量を除いた事業化は延期となった。その後最終的に、長野県から国土交通省長野国道事務所に権限代行のうえ、2011年(平成23年)度に「一般国道158号 奈川渡改良」として事業化された[26]。 また、松本波田道路は2008年(平成20年)度に事業再評価の対象となったが事業の継続が決定した。
岐阜県内区間は、高山清見道路の高山IC - 飛驒清見IC間の開通により整備が一段落したのちは、丹生川IC(仮称)- 高山IC間の調査・設計などが進んでいるほか、中間にインターチェンジを作る動きもある。また、現道の改良が進んでいる平湯IC - 丹生川IC(仮称)間は高山東道路として調査中である。
福井県内区間は、永平寺大野道路の松岡IC - 福井北JCT/IC間が2015年(平成27年)3月1日に開通し北陸自動車道との接続を果たし[17]、残る上志比IC - 永平寺IC間も2017年(平成29年)7月8日に開通した[18]。また、残る県内未供用区間は全線、大野油坂道路として事業化されている。
松本波田道路(まつもとはたどうろ)は、長野県松本市島立と同市波田石原間で事業化されている、全長5.3 kmの自動車専用道路である[6]。1996年(平成8年)度に事業化され、1999年(平成11年)3月15日に都市計画決定された。松本ICの南側にあたる島立地区に設置される松本JCT(仮称)で長野自動車道から分岐し、波田地区で長野県道315号波田北大妻豊科線と接続する予定である。波田側ではアクセス道路として波田北大妻豊科線のバイパスが長野県によって整備中である。
この区間はアクセス道路の問題と地元住民の反対[27]により整備が遅れている。アクセス道路については2車線で整備することが決まっていたが、田中康夫知事が1.5車線に計画を変更したのち、村井仁知事により再び2車線で整備する計画に戻された[28]。
2013年12月、国土交通省関東地方整備局長野国道事務所が島立・新村・和田・波田の各地区で地元町会長などに対し説明会を開催した。2014年(平成26年)1月からは地権者ら地元住民対象の説明会を開き、理解を得られれば地質調査や測量を始める方針とされた[29][30]。この計画については、渋滞解消や観光資源の有機的な接続といったメリットの反面、優良な農地や景観を失うとする住民の反対意見[31]が併せて報道されている[29][32]。
2018年(平成30年)4月、松本市は松本JCT(仮称)と波田IC(仮称)の間に、新村IC(仮称)と和田IC(仮称)を、地元自治体が整備・維持管理をになう追加インターチェンジとして設置する方針を発表した。今後は設置に向け、国や県と協議を進めるとのことである[33][32][34]。
以後、用地測定が終了している波田・新村地区について国が本格的な用地交渉に着手し用地取得を進め[35][36]、境界に畦畔や仮用排水路・馬入れ等の設置作業を実施した[37][38]。また、和田・島立地区についても2020年(令和2年)度に用地取得、橋梁下部工事を開始するとの方針が示された[39]。
2021年(令和3年)には地元説明会での意見と要望等を踏まえ、1月中旬から本線工事に着手されており[40]、建設が進められている[41]。
長野県松本市波田石原(波田IC(仮称))と同市安曇中ノ湯(中ノ湯IC)を結ぶ区間は基本計画区間となっている。事業化されておらず、事業名もない。
なお、当区間と並行する国道158号は防災上の問題があるほか隘路となっていることから、奈川渡ダム付近の約2.2 kmについて国道158号のバイパス道路を建設する道路改良事業「一般国道158号奈川渡改良」[42]が、中部縦貫自動車道とは別に権限代行事業として国土交通省により2011年度(平成23年度)に事業化された[43]。また、三本松トンネルから稲核ダムまでの1.5 kmの区間の改良工事である狸平工区が長野県により事業化されている[33]。
2022年(令和4年)6月には中部縦貫自動車道(波田〜中ノ湯間)整備検討会(第2回)が開催され、地域の課題と現状整理について意見交換が行われた[44]。
安房峠道路(あぼうとうげどうろ)は、長野県松本市安曇中ノ湯(中ノ湯IC)と岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯(平湯IC)を結ぶ、全長5.6 kmの道路である。
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯(平湯IC)と岐阜県高山市丹生川町坊方(丹生川IC(仮称))を結ぶ区間は長らく基本計画区間であり、全長約21 kmの道路で高山東道路として調査が行われていた[45]。飛騨山脈の麓に広がる急峻な地形という地域特有の事情から道路建設に当たって多くの課題が残り、長らく事業化されていなかった[45]。
こうした状況を打開すべく国土交通省・岐阜県・高山市・飛驒市の担当者で構成される「飛騨北部地域の幹線道路網機能強化検討会」が2019年(令和元年)から2020年(令和2年)にかけ高山市内で2度開催された際には[46][47]、国道現道が急カーブ・急勾配など多くの問題を抱え、かつ迂回路が無い為に積雪の多い冬季には安全性・定時制の面で大きな支障がある平湯ICから高山市丹生川町日面までの約13 kmを優先整備区間と定め、併せて高山市丹生川町久手付近に中間のインターチェンジを設置する方向性が確認された[47]。その後、事業化の前段階となる概略ルートや道路構造に関する検討を含む計画段階評価が進行中で[45][7]、2023年(令和5年)2月3日開催の「社会資本整備審議会 道路分科会 令和4年度第1回中部地方小委員会」において、アンケート結果を踏まえた全線高規格のバイパス道路とし、中間インターチェンジを設置する対応方針案について了承された[48]。このうち、平湯IC - 久手IC間(延長5.6 km)について「一般国道158号 高山東道路(平湯〜久手)」として2024年度(令和6年度)に事業化された[49]。令和6年度は測量・設計を行う予定である[50]。
高山清見道路(たかやまきよみどうろ)は、岐阜県高山市丹生川町坊方(丹生川IC(仮称))と同市清見町夏厩(飛驒清見IC)を結ぶ、全長24.7 kmの道路である[52]。
通行料金は無料。当道路のうち高山IC - 飛驒清見IC間のみ暫定2車線で供用中である。残りの丹生川IC(仮称)- 高山IC間(9.5 km)は2013年(平成25年)11月15日より工事着手している[53]。
岐阜県高山市清見町夏厩(飛驒清見IC)と岐阜県郡上市白鳥町向小駄良(白鳥IC付近)は、東海北陸自動車道との重複区間である。高速道路ナンバリングにおいては、この区間は「E41」と「E67」の重複付番となっている。
油坂峠道路(あぶらさかとうげどうろ)は、岐阜県郡上市白鳥町向小駄良(白鳥IC付近)と福井県大野市東市布(油坂出入口)を結ぶ、全長11.3 kmの道路である[54][55][56][57]。 旧道は、7 %の急勾配や急カーブ、峠にあるトンネルの幅が狭いことから、高規格道路を建設する計画を立てた。
もとは有料道路として供用を開始したが、道路の管理主体が日本道路公団から国土交通省中部地方整備局へ承継されたことに伴い、2005年(平成17年)9月30日に無料化された。
福井県側から当道路を通行した場合、白鳥ICからは一般道に降りられないため、白鳥西ICで降りることになる。
岐阜県側にある油坂第1・第2・第3トンネルが大きくカーブしているのと対照的に、県境を貫く越美通洞は直線になっているので、坑口どうしの見通しが効く。
大野油坂道路(おおのあぶらさかどうろ)は、福井県大野市東市布(油坂出入口)と同市中津川(大野IC)を結ぶ道路[57]。道路規格が第1種第4級、車線幅員が3.25 mで計画されている[66]。日本の高速道路はそのほとんどが車線幅員3.5 mを基準としており、西九州自動車道や三遠南信自動車道で現道を活用する場合(暫定的なものを含む)に基準未満で供用する例が見られるが、新規に自動車専用道路を整備する場合に最初から車線幅員を3.25 mで計画するのは非常に特異である。
2009年(平成21年)3月9日、国土交通大臣の諮問機関である社会資本整備審議会の部会が開かれ、九頭竜IC(大野市貝皿、仮称時の名称:和泉IC)- 荒島IC(同市下唯野、仮称時の名称:大野東IC)間の14 kmが着工の見込みとなった。計画では完成2車線で設計速度60 km/h。事業費は約523億円、1日当たりの計画交通量は約7,400台。防災や救急医療などの面からも必要とされたほか、費用対効果は3.4と高い評価を得ている。同月13日、2010年度新規事業として採択されることが正式に決定した。 2014年(平成26年)3月末時点の用地取得率は54 %で、同年8月30日に着工。用地がまとまった箇所から順次工事を進める予定で、起工式に駆け付けた福井県選出の参議院議員山崎正昭は「7、8年で完成できるのでは」と全通に向けた意気込みを示した[67][注釈 3]。
油坂出入口 - 九頭竜IC間15.5 kmについては、計画交通量を1日当たり約4,500台と見込む[68]。同区間の整備を2011年(平成23年)12月24日に翌年度政府当初予算案の一部として閣議決定、2012年(平成24年)4月5日に同予算が国会で成立し翌日の予算配分によって正式に事業化された[69]。東日本大震災を教訓に国土交通省が全国で高速道路ネットワークの未整備区間の解消や代替ルート確保を重視する中で、中部縦貫道の南海トラフ巨大地震発生時の迂回路としての機能が改めて評価されたものとみられている[68][注釈 4]。また荒島IC - 大野IC間の5.5 kmについても2015年度(平成27年度) に新規事業化され、これにより福井県内の中部縦貫道は全線事業化された[70]。
当初、大野・荒島区間と荒島・九頭竜区間は2022年度(令和4年度)の開通を予定していたが[71]、荒島・九頭竜区間にある荒島第2トンネルの掘削が難航したため勝原IC - 九頭竜IC間の開通は2023年(令和5年)秋に延期された[72]。また、九頭竜・油坂区間は2026年(令和8年)春の開通を予定していたが[72]、新子馬巣谷橋(仮称)と大谷トンネル(仮称)で複数の工事課題が発生しているため工程精査中である[9]。
永平寺大野道路(えいへいじおおのどうろ)とは、福井県大野市中津川(大野IC)と同県福井市玄正島町(福井北JCT/IC)を結ぶ、全長26.4 kmの道路である[57][1][75]。
2017年(平成29年)7月8日に上志比IC - 永平寺IC間が開通したことにより、全線暫定2車線開通となった[18][76][77]。都市計画時は有料道路として整備した場合に石上PAを勝山IC - 上志比IC間に設置する計画があったが、道の駅禅の里が上志比ICの近くに開設されたため計画は中止となり、永平寺町や福井県、国土交通省の資料やパンフレットからも削除されている。
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