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東洋水産が製造している即席カップ麺 ウィキペディアから
マルちゃん赤いきつねと緑のたぬき(マルちゃん あかいきつねとみどりのたぬき)は、東洋水産が「マルちゃん」ブランドで製造・販売している和風カップ麺(カップうどんおよびそば)。正式な商品名はそれぞれ「マルちゃん 赤いきつねうどん」、「マルちゃん 緑のたぬき天そば」となる。
東洋水産を代表するうどんとそばの和風カップ麺で、「赤いきつね」は1978年(昭和53年)8月に、「緑のたぬき」は1980年(昭和55年)8月に発売された。主幹となるこの2つ以外にもいくつかのシリーズ商品・バリエーション展開が存在する。
「赤いきつね」はだしにこだわった醤油味の汁に油揚げ麺(フライ麺)のうどんと油揚げの甘煮、卵、カマボコが入ったきつねうどんである。油揚げが大判サイズ、小判サイズが各1枚ずつと計2枚が挿入された「でか盛(大盛りサイズ)」もある(当初は「赤い大きつね」の名称だった)。「緑のたぬき」は鰹だしの醤油味の汁に油揚げ麺のそばと小エビの乾燥天ぷら(天かすと小エビのかき揚げ)、カマボコが入った天ぷらそばである。大判サイズの天ぷらと三陸産ワカメが入った「でか盛」もある(当初は「緑の大たぬき」の名称だった)。両者ともに標準サイズには七味唐辛子が添付される。
赤いきつねは各地の好みに合わせ、北海道向け、東日本向け(東北地方・関東地方・甲信越地方・東海地方)、近畿地方向け、西日本向け(北陸地方・中国地方・四国地方・九州地方)の4種類が販売されている[1]。だしの素材が異なっており、東日本向けパッケージと西日本向けパッケージはそれぞれ側面部分の「E」または「W」で区別できる。
2001年(平成13年)に西日本向けから近畿地方(関西)向けが独立し、蓋に「関西」の文字を強調したマークが入っている。2005年(平成17年)には東日本向けから北海道向けが独立し、「北海道限定赤いきつね 北のきつねうどん」として北海道民の味覚に合わせている。関西向けも北海道向けも、フタに書いてある地域名で区別できる。
緑のたぬきも同様に北海道、東日本、関西、西日本の4種類が販売されている[1]。
「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」は、自動販売機では縦型カップ版で販売されている。
2008年(平成20年)8月に発売30周年を迎えた際、「赤いきつねうどん」には小判サイズの油揚げを、「緑のたぬき天そば」には小えび天を、それぞれ在庫が無くなり次第販売終了として追加添付した。
2009年(平成21年)8月のリニューアル版より、うどん・そばともに油揚げ麺の製法が大幅に改良され、麺の食感、および麺の喉越し感が向上している。
コンビニエンスストアでは、2009年10月より「マルちゃん 赤いきつねうどん ふっくらお揚げ2枚入り」「マルちゃん 緑のたぬき天そば かき揚げと小えび天入り」が全国の店舗限定で発売されている。希望小売価格は一般品と同じ170円である。蓋部分の「きつね」「たぬき」の文字が一般品では白抜きなのに対して金色になっており、「ふっくらお揚げ2枚入り」「かき揚げと小えび天入り」の文字が入っている。
前身にあたる商品は1975年(昭和50年)9月に発売された世界初のカップうどん「マルちゃんのカップうどんきつね」である。東洋水産は、だしの加工等も行う水産会社であり、自社製だしを使った。1972年12月には世界初の和風カップ麺として、麺に蕎麦を採用した日清食品「カップヌードル 天そば」が販売開始されていたものの、当時カップうどんを手がけるメーカーは少なく、その物珍しさが話題となった。それに加え、海原千里・万里や渥美清を起用したテレビCMの効果の影響で、当時としては爆発的なヒットを記録した。発売当初、東日本向けは丼型容器、西日本向けは縦型容器だった。当時東洋水産の研究部長だった深川清司らからは「油揚げなどの製法に関する特許や、容器に関する意匠登録を行っておいた方がよいのでは」との意見が出されたというが、社長の森和夫は「その必要はない」とこの意見を却下した。
しかし翌1976年(昭和51年)に入ると危惧は的中し、ライバル・日清食品の「どん兵衛」きつねうどんを始めとする類似品が多数登場する。このため、同社は商品戦略の見直しを余儀なくされ、1978年(昭和53年)8月にパッケージなどのリニューアルを行った。この際につけられた名称が「赤いきつね」である。
発売直前まで黄色(ベージュ)の容器で「熱いきつね」という商品名が付けられる予定だったが[2]、1978年の山口百恵のヒット曲『プレイバックPart2』を聴いた当時の社長が歌詞のなかの「真っ赤なポルシェ」というフレーズに感じるところがあり、「真っ赤な、とは熱いイメージ。赤いことを基調にすれば商品自体に強力なインパクトを与えることができるのではないか」と考え、容器の色と共に急遽「熱い」を「赤い」に変更するという経緯があった。また、日清食品が「どん兵衛」のキャッチコピーとして「熱いうどん」を当時使っていたことから、類似品としてクレームをつけられる虞れを考慮して商品名が変更されたのだともいう。緑のたぬきの緑は赤の対照の色としてつけられた。
このリニューアル戦略については東急エージェンシーが企画立案を担当している。CMに起用するタレントとして、東急エージェンシーは候補に、歌手で俳優の武田鉄矢と、第1回ホリプロタレントスカウトキャラバンで優勝して芸能界デビューした榊原郁恵の2人を挙げ、最終的に武田が映画『幸福の黄色いハンカチ』(1977年(昭和52年)製作、山田洋次監督)の主役に抜擢されたことなどが決め手となり、武田が選ばれたという。
など
OEM版として、日本生活協同組合連合会向け仕様である、コープブランドの赤いきつねと緑のたぬきが発売されている。マルちゃんのマークが「CO・OP」が差し替えられているほかは、内容的にはオリジナル(マルちゃん版)にほぼ等しい。このようなケースは、日本生活協同組合連合会にOEM提供されているカップヌードル(コープヌードル)や金麦(コープブランド)でも見受けられる。
「マルちゃんきつねうどん&天ぷらそば」は、マルちゃん赤いきつねと緑のたぬきの廉価版として東洋水産が2008年(平成20年)1月15日から2023年(令和5年)8月末まで日本全国で発売された和風カップ麺の名称である。低価格のカップ麺として発売されており「赤いきつね」と「緑のたぬき」に比較すると、麺と具の量が若干減らされているほか、卵や蒲鉾など、具材の一部が割愛されている。オープン価格となっており、100円ショップなどでの販売が可能となっている。2008年9月出荷分からは廉価版のきつねうどん、天ぷらそばに「和庵」のブランドが新たに付けられた。さらに2010年(平成22年)1月に「和庵 肉うどん」が新たに発売された。
マルちゃん「和庵」きつねうどんは、発売当初、だしの味が東日本向けと西日本向けでそれぞれ異なっていたが、後に讃岐風味のだしを使用したものに統一された。一方のマルちゃん「和庵」天ぷらそばは全国共通で、西日本向けの味が基本となっていた。実質的な後継商品は2023年9月4日に全国発売された「マルちゃん 麺之助」の和風カップ麵シリーズ6種(きつねうどん・すき焼き風うどん・小えび天そば・縦型カップ天ぷらうどん・縦型カップ肉そば・縦型カップ鴨だしそば)となる。
「マルちゃん大人のこだわりシリーズ」は当初、マルちゃん赤いきつねと緑のたぬきのシニア向け版として東洋水産が2011年(平成23年)9月5日より日本全国で発売開始したカップ麺シリーズの名称である。「50代 - 60代の高年層が普段気軽に食べられる、ちょっと良いもの」をコンセプトとした商品で、全て減塩タイプのあっさりとしたスープ(出汁)が用いられているのがこのシリーズの大きな特徴となっている。 発売当初のラインアップは「華やかうどん」(天ぷらうどん)と「だし香るそば」(きつねそば)の2品。2012年(平成24年)2月27日には初のリニューアルが実施された[3]。
また、2012年9月3日にはその中華麺版にあたる「大人のこだわり 野菜がたっぷりシリーズ」が追加・発売された[4]。ラインアップは「野菜がたっぷり醤油ラーメン」と「野菜がたっぷり味噌ラーメン」の2品。
1990年(平成2年)頃のCMには「赤いきつねを探せ!!」という半ば頭の体操的なものが放送されていた。当時話題となった「ウォーリーをさがせ!」のパロディである。武田鉄矢が乗船客やサンタクロースの格好をした人々の中に隠れ、なかなか簡単には見つかりにくいように作られていた。締めくくりの言葉は「お店で探せ。マルちゃん、赤いきつねと緑のたぬき」で、「赤いきつねと緑のたぬき」の部分は歌、「見つかったかな?」のテロップを最後に流した。
1994年(平成6年)頃、国内ロケの第一弾として「中年ガキ大将!」というミニドラマ形式のCMが放送されていた。いつも「あかいきつね」のルビをふったハッピを着ている江戸っ子気質の主人公(鉄矢)が様々な騒動を織りなす。CM内で流れた主題歌は舟木一夫が歌っている。
2007年(平成19年)7月前半は期間限定として、劇場版「西遊記」とコラボレーションを実施しており、映画チケットなどが当たるキャンペーンを展開していた。その間はCMをそのバージョンに合わせたものを放送しており、冒頭の部分で、映画会社のキャッチそっくりの光をバックに金色に輝くマルちゃんのロゴ、下に(東洋水産としてのロゴ)東洋水産株式会社と出るパターンが使われた。一部の映像は、劇場版「西遊記」の一部シーンを引用している。また、歌の部分を「赤いきつねで当てよう西遊記」と置き換えている。最後のテロップ部分には、「鉄矢は出演していない…」と、武田が劇場版「西遊記」に出演していない旨を出している。
「TU→YU」(つーゆー[7])とは、同商品のつゆのおいしさを伝えるため[8]、CMの企画により結成されたアイドルユニットである。同商品が発売された1978年からCMキャラクターを務める武田鉄矢と、武田の主演ドラマ『3年B組金八先生』に生徒役として出演したことのあるジャニーズ事務所所属のタレントで結成されている[7]。なお、ユニット名は「つゆ」と「to you」をかけたもの[7]。
2007年8月20日[9]からTU→YUが登場するCMの放送が開始され、このグループがつゆを飲んで元気を出し、アイドルとして成長していく姿を1年程度のシリーズとして描いていくと企画されたが[7]、1年を過ぎた2008年9月15日からCM撮影会参加者を呼びかける新バージョンのCMが放送され[10]、成長したTU→YUが大盛況のライブを行うという設定[8]のCM撮影会が11月10日に開催された[11]。そしてその場で2008年11月17日にオリジナル曲『そばにいるよ』(作詞:zopp、作曲、編曲:中島靖雄[12])で「モバイルデビュー」することが発表され[11]、懸賞バージョン(無料)とJohnny's webバージョンの着うたと着うたフルの3パターンの形で配信された。2009年にも「黒い豚カレーうどん&焼そば」をメンバーが“黒い豚団”となって宣伝するバージョンのCMが放送された[13]。
4人組の覆面ロックバンド「GReeeeN」と「緑のたぬき」とのコラボレーションというCMで、2011年10月からCMの放送を開始。CMのサウンドロゴもメンバーの4人が「すべては、笑顔のために。」と発している(通常の「Smiles for All.」の映像の音声を差し替えている)。CMの内容は、4人の武田鉄矢(他3人は合成映像)が緑のジャージ(1人は皮ジャン)を着てダンスを踊るというもの。CMソングのタイトルはGReeeeNと武田が歌う『緑のたけだ』。
2013年8月19日からよりオンエアされた「武田鉄矢プロデュース アイドルプロジェクト」編として、武田鉄矢がアイドルのプロデューサーとなり、作詞・作曲はヒャダインこと前山田健一、振り付けはパパイヤ鈴木を起用した。9月16日から放送されたCMでメンバーとグループ名が発表され、ユニット名は「赤マルダッシュ☆」となり、メンバーは大西菜友、玉城茉里、北澤鞠佳、川村彩花の4人[14]。全員オスカープロモーション所属。2014年10月22日に日本コロムビアよりマキシCDシングル「食べて、笑って、生きていく。」でメジャーデビューを果たしたが、惜しまれつつも2016年8月を以ってCMキャラクター降板を経て、2019年7月24日を以って名実共に完食(≒グループ解散)した。
2018年10月から「赤緑合戦」と称して武田鉄矢、濱田岳がそれぞれ「赤いきつね軍」と「緑のたぬき軍」の将軍に扮したCMが放映されている。同時に、「あなたはどっち!? ~食べて比べて投票しよう!」というキャンペーンが毎年開催され、これまでの成績は2勝1敗で「赤いきつね」が優勢となっている[注釈 2]。2021年和解を果たした記念として相互に具を変えた、赤いタヌキ天うどんと緑のキツネそばが発売になった。
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