Loading AI tools
東京都交通局の通勤形電車 ウィキペディアから
東京都交通局10-000形電車(とうきょうとこうつうきょく10-000がたでんしゃ)は、東京都交通局(都営地下鉄)新宿線で使用されていた通勤形電車。形式名は、ハイフンを抜かして「いちまんがた」と読む[1]。
都営地下鉄10-000形電車 | |
---|---|
10-240編成 (2017年5月20日 稲城駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 東京都交通局 |
製造所 |
日本車輌製造[注 1](試作車及び2次車) 東急車輛製造(1次車) 日立製作所笠戸事業所(3次車) 近畿車輛(4・6・7次車) 川崎重工業(5次車) アルナ工機(8次車) |
製造年 |
1971年(試作車) 1978年 - 1997年(量産車) |
製造数 | 224両(8両編成28本) |
運用開始 | 1978年12月21日 |
運用終了 | 2018年2月11日 |
投入先 |
都営地下鉄新宿線・京王線系統 都営地下鉄6号線 (試作車・試運転のみ) |
主要諸元 | |
編成 |
8両編成 4両編成(試作車落成時)、過去6両編成 |
軌間 | 1,372 mm(馬車軌間) |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 110 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 3.3 km/h/s |
減速度(常用) | 4.0 km/h/s |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s |
編成定員 | 1456 人 |
車両定員 | 150人(先頭車)、170人(中間車)・落成時 |
自重 | 30.0 t(先頭車)・40.0 t(中間車) |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2.800mm |
全高 | パンタグラフ折りたたみ時:4,100 mm |
床面高さ | 1,150 mm |
車体 |
セミステンレス車両(試作車及び1・2次車) 軽量ステンレス車両(3次車以降) |
台車 | ボルスタ付円筒案内式(シュリーレン式)空気ばね台車 |
主電動機 | 直流直巻電動機MB-3223A、HS-13533-01RB、TDK-8720A |
主電動機出力 | 165 kW (端子電圧375V、定格電流490A、定格回転数1700rpm) |
駆動方式 | WN駆動方式 |
歯車比 | 85:16(5.31) |
編成出力 | 3,960 kW |
定格速度 | 49.5 km/h |
制御方式 | 電機子チョッパ制御 |
制動装置 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、保安ブレーキ、耐雪ブレーキ |
保安装置 |
D-ATC(JR型) 京王ATC |
備考 |
3次車は増備中間車あり 5次車は増備中間車のみ |
1971年(昭和46年)に試作車が製造され、走行試験のため三田線に搬入された。その後、1978年(昭和53年)から新宿線の開業準備により量産車の投入が開始され、試作車も台車を交換した上で同線に転属する。新宿線の延伸および輸送力増強にともない増備が続き、1997年(平成9年)までに8両編成28本の計224両が製造された。
本形式は長期にわたって増備されたことから次車ごとに差異が見られるため、本項では共通項のみ述べる。
車体はステンレス製(初期は内部構体に普通鋼を使用するセミステンレス構造、中 - 後期導入分はオールステンレス構造)で、20m片側両開き4扉の車体である。
座席はすべてロングシートである。側扉窓ガラスは金属支持である。当初から冷房車または冷房準備車として設計され、屋根や天井が当時の地下鉄車両としては高い。客室床面には主電動機点検蓋(トラップドア)が設置されている。
運転席はT型ワンハンドルマスコンで力行4段・常用制動7段と非常制動1段である。TNS装置のモニタ(時刻や次の停車駅などを表示する画面で、新宿線内・京王線内共に使用される)は当初デスクに設置していたが、京王ATC導入に伴いモニタは運転台後部に移設され、代わりに京王ATC関連の表示灯が設置された[2]。元々、速度計は黒地だったが、デジタルATC改造車は白地の物に交換された(共に最大目盛は140km/h)。
乗務員室と客室の仕切りは中央に乗務員室扉、その両脇に窓が配置されており、このうち運転席反対側は2段窓となっている。いずれの窓にも遮光幕が設置されている。なお、京王ATC導入に伴ってモニタを移設したため、運転席背後の窓は化粧板でふさがれている。
制御方式は試作車と1 - 7次車は電機子チョッパ制御を、最終増備の8次車はGTOサイリスタ素子によるチョッパ制御をそれぞれ採用した。台車は円筒案内式空気ばね付T-10,10A型で、多くは近畿車輛製シュリーレン式(同社形式KD-82,82A)だが、一部に日本車輌製造製(同ND-320)が存在する。
保安設備は新宿線用デジタルATCと京王ATSを搭載するほか、京王側でのATC導入に伴い京王ATCを搭載している。京王線用のSR無線アンテナの形状は当初棒形だったが、ATC機器更新の際に無線設備の更新も行われた関係で逆L字形に取り替えられた。また、枠状無線アンテナも一部編成で撤去が行われている。
本形式は、1971年(昭和46年)から1997年(平成9年)まで27年に渡って製造されたことから、車両の製造時期ごとに外観などにおける相違が見られる。
また三田線6300形とほぼ同タイプのLED・2段表示式の車内案内表示器をドア上部に千鳥配置で設置された。この8次車の車内表示器も7次車と同様に京王線内では長い間行先表示のみの対応だったが、2006年から停車駅案内機能など新宿線内と同様の表示が可能になった。10-300形と同様に新宿線と京王線とでは若干表示が異なるが、停車中の表示は両線とも同様である。
編成 | ← 本八幡
|
登場時期による区分 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
号車 | |||||||||
8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | ||
10-010F | 010 | 011 | 012 | 015 | 016 | 017 | 018 | 019 | 試作車(末尾5,6は1次車、末尾7,8は5次車) |
10-020F : 10-090F |
020 : 090 | 021 : 091 | 022 : 092 | 025 : 095 | 026 : 096 |
027 : 097 |
028 : 098 |
029 : 099 |
1次車(末尾7,8は5次車) |
10-100F 10-110F |
100 110 | 101 111 | 102 112 | 105 115 | 106 116 |
107 117 |
108 118 |
109 119 |
2次車(末尾7,8は5次車) |
10-120F : 10-180F |
120 : 180 | 121 : 181 | 122 : 182 | 125 : 185 |
126 : 186 |
127 : 187 |
128 : 188 |
129 : 189 |
2次車(末尾7,8は3次車) |
10-190F 10-200F 10-210F |
190 200 210 | 191 201 211 | 192 202 212 | 195 205 215 |
196 206 216 | 197 207 217 | 198 208 218 | 199 209 219 |
3次車 |
10-220F 10-230F |
220 230 | 221 231 | 222 232 | 225 235 |
226 236 | 227 237 | 228 238 | 229 239 |
4次車(2009年度 更新工事施工) |
10-240F | 240 | 241 | 242 | 245 | 246 | 247 | 248 | 249 | 6次車(2009年度 更新工事施工) |
10-250F 10-260F |
250 260 | 251 261 | 252 262 | 255 265 |
256 266 | 257 267 | 258 268 | 259 269 |
7次車 |
10-270F 10-280F |
270 280 | 271 281 | 272 282 | 275 285 |
276 286 | 277 287 | 278 288 | 279 289 |
8次車 |
備考 | 10-010F - 10-280F(計224両)運用離脱済。 10-010F - 10-180F(計144両)の中間車(3次車または5次車で、かつ車両番号末尾が7,8 表中の青枠内)計36両は 改造を受け、10-300R形へ転用された。 10-300R形に転用された車両を含む全車両がすでに廃車となっている。 10-220F - 10-240Fは2009年度に更新工事施行済。 |
6M2T(電動車6両・付随車2両)の8両編成で、車種は本八幡方からTc1+M1-M2+M1-M2+M1-M2'+Tc2(+の所で分割可能)である。制御装置はM1に、補助電源用の電動発電機(第19編成からは静止形インバータ)はM2に、空気圧縮機はM2とM2'に搭載される。集電装置(菱形パンタグラフ)はM1に搭載されるが、2・6号車は2基、4号車は1基である。
車両番号は、2桁の数字の後にハイフンを置き、その後に3桁の数字を配置している。ハイフン以上の2桁は形式を、ハイフン以下の3桁のうち、上2桁は編成番号を、下1桁は編成内の順位を表す。編成順位を表す数字は、本八幡方から0 - 2、5 - 9で、3と4は10両化用に欠番とし、6両編成時は7と8も欠番としていた。本形式での10両化は最後まで実現せず、10両での運用は京王帝都電鉄(現・京王電鉄)の6000系8+2編成(2010年度末までに9000系に置き換え)と9000系10両編成、そして後から10-300形の10両編成で賄われた。ただし、10-300R形への組み替えの過程で3・5次車を抜き取ったセミステンレス車6両に10-300R形暫定編成に組成していたセミステンレス車4両を挿入して、京王相模原線の若葉台から新宿線の大島へ10両編成で廃車回送したことはあった。
8次車の登場により、1998年頃から試作車から2次車までの編成(4次車以降の中間車を含む)がB修繕工事によって更新され、その後3次車以降にも更新車が出た。普段乗客の目に触れる部分の内容は以下の通りである。
座席モケットの張り替えと車両番号表記色は3次車以降も同じ時期に先行して変更された。その後3次車以降ではつり革の増設工事を追加している。
2009年度からは10-220F・10-230F・10-240Fの3編成を対象に更新工事が施行された[18] 。7・8次車と同様に車外スピーカーの設置、前面・側面行先表示器のLED化が行われた[18]。側面行先表示器は車端部から車体中央部へ移設されている[18]。また、10-300R形と同様の車内案内表示器、自動放送装置、ドアチャイムが新設されている[18]。
1999年春頃、2次車編成で2段窓の下段部分にビールの広告を貼り付けした編成が数本存在していた。当時はまだ東京都の屋外広告条例による規制が厳しい時期であり、都営バスでの「ラッピングバス」が登場する前であったためかなり異様な状況だった。その後は車体にシールを貼付する方式を採用したため、車体広告の中でも珍しい部類に入っている。この車体広告は新宿線以外の都営地下鉄各線でも実施されていた。
この車体広告に使用したシールの素材は、その後都営バスの降車ドア後方窓に貼付するようになった「みんくる」シールと同様に「外側からは内側が見えにくいが、内側から外側は見える」特殊な素材を使用し、車内からの視界は確保されていた。
本形式の車内に掲出されている地下鉄路線図は、登場当初はドアと窓の間にある座席上の広告枠のうち1枠を使って掲出していた。10-300形が登場した頃からは新宿線の路線図と共にドア上部に掲出している。
初期に導入された車両は老朽化が進んでいたため、試作車両の4両を含む1979年(昭和54年)までに製造されたセミステンレス車108両は2004年(平成16年)12月から新型車両の10-300形(1次車)の導入による置き換えが開始された。2005年のD-ATC導入に合わせ、3 - 8次車では車上装置の交換が進められた中、試作車と1・2次車は車齢の低い中間車を残すとともに先頭車両を新製し、他の中間車と編成を組み込むことで10-300R形が登場した。長らく10-300R形に組み込んだ車両以外は各停の種別表示はされていなかったが、10-220F - 10-240Fは更新工事を施工した時に、残りの編成も2013年2月22日の京王線ダイヤ改定に合わせて各停の表示をするようになった[19]。
2010年2月22日に発表された東京都交通局次期経営計画「ステップアップ2010」[20]、および2013年2月に発表された「東京都交通局 経営計画2013」[21]において、2013年度と2015年度に新宿線の車両計6編成を新型車両に置き換える計画が発表された。
2013年度は10-300形(3次車)の導入に伴い、10-190F - 10-210Fが廃車となった[6]。
東京都交通局の公式発表では、2016年度(平成28年度)と2017年度(平成29年度)に、10両編成の新造車を5編成ずつ導入し、車両の置き換えを実施するとされた[22][23]。
この置き換えにより、2016年度は10-300形5次車の導入に伴い、10-220F・10-230Fが廃車となった。2017年度には同年8月14日に10-250Fが廃車回送されたことによって7次車以前の車両は全廃となり、同年8月以降は8次車のみが運用されていた[10]。8次車も2018年2月11日に運転を終了し[15][16][17]、これにより東京都交通局が保有している鉄道車両は全てVVVF制御車となった。
ほとんどの車両が解体されたが、10-230Fの先頭部のみが京王重機北野事業所で保管されている。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.