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1955年のアメリカのアニメーション映画 ウィキペディアから
『わんわん物語』(わんわんものがたり、原題:Lady and the Tramp)は、1955年6月16日公開のディズニーによるアニメーション映画。原題Lady and the Trampを直訳すると「お嬢様と風来坊」という意味である。当初は「貴婦人と浮浪者」という邦題で公開予定だった[4]。
わんわん物語 | |
---|---|
Lady and the Tramp | |
監督 |
ウィルフレッド・ジャクソン ハミルトン・ラスク クライド・ジェロニミ |
脚本 |
アードマン・ペナー ジョー・リナルディ ラルフ・ライト ドン・ダグラディ フランク・タシュリン サム・コビアン |
原作 | ウォード・グリーン |
製作 |
ウォルト・ディズニー ロイ・O・ディズニー |
出演者 | 下記参照 |
音楽 | オリヴァー・ウォーレス |
撮影 | ボブ・ブロートン |
編集 | ドン・ハリデイ |
製作会社 | ウォルト・ディズニー・プロダクション |
配給 |
ブエナ・ビスタ・ディストリビューション 大映 |
公開 |
1955年6月16日 1956年8月8日 |
上映時間 | 76分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $4,000,000[1] |
興行収入 | $93,602,326[1] |
配給収入 |
1億7515万円(1956年)[2] 3億6702万円(1965年リバイバル)[3] |
前作 | ピーター・パン |
次作 |
わんわん物語II(わんわん物語シリーズ) 眠れる森の美女(ディズニー・クラシックス全般) |
わんわん物語の原案は1937年、ウォルト・ディズニー・プロダクションのスタッフであったジョー・グラントによって作成された。
グラントはウォルト・ディズニーを自宅に招いた際に、飼っていたアメリカン・コッカー・スパニエルのスケッチを見せた[5]。ウォルトはこのスケッチを気に入り、ジョーにこの犬を主人公にしたストーリーボードを作成してみてはどうかと提案する[5]。それ以来1940年代初めの頃までグラントとディズニーのスタッフたちはこの犬を主人公にした物語を作っていた[5]。このとき作成されたストーリーボードにはすでにレディや2匹の猫を飼っている意地悪な義理の母や赤ん坊を狙うネズミなどが登場していた[5]。
グラントたちが作成したストーリーボードをウォルトが見たのは1943年である[5]。しかしそのストーリーボードはウォルトを満足させるものではなく、プロジェクトは棚上げされた[5]。
その数年後、ウォルトはCosmopolitan誌に掲載されていたウォード・グリーンの短編小説"Happy Dan, The Whistling Dog"を読み、「この小説に書かれているような気ままに生きる犬をグラントのストーリーに登場させればおもしろくなるのではないか」と考えた[5]。しかし、1949年にジョー・グラントはウォルトとの意見の相違からウォルト・ディズニー・プロダクションを退社してしまう(1980年代にグラントはディズニーに復帰する)[5]。その後、ウォルトはウォード・グリーンに自分たちが進めているプロジェクトを説明し、レディとトランプを主人公とした小説の執筆を依頼する[5]。1953年に出版されたこの小説が原作となったため、原案を作成したのがグラントであるにもかかわらず、彼の名前はこの映画にクレジットされていない[5]。
それまでのディズニー映画は『白雪姫』や『ピノキオ』といった童話が原作だったが、本作は完全オリジナルストーリーである。『わんわん物語』のDVDの特典映像「メイキング・オブ『わんわん物語』」にて、映画プロデューサーのドン・ハーンは「原作に縛られることがなかったため、より自由な発想で作ることができたのだろう」と考察している[5]。初期の脚本ではニップとタックという名前の双子のシャムネコが登場し、それが後にシーとアムになる。レディの恋人となる野良犬の名前についても当初はホーマーやボーゾーなどの案があったが、ウォルトがトランプと名付けた[5]。
英語の"Tramp"には「浮浪者」や「売春婦」といった意味もあり、周囲からは名前を変えるように多くの反対意見が出たがウォルトは自説を曲げなかった[5]。
長編アニメーション映画初のシネマスコープを使用し配給もRKOからブエナ・ビスタ・ディストリビューションとなる等、大きな話題になり試行錯誤の末、およそ20年の歳月と300人のアーティスト達の手によって完成した(構想は1937年だが実際に制作が開始されたのは1951年だった)。なおこの頃、ウォルトはディズニーランド設計及びテレビ番組・『ディズニーランド』出演の為、あまり本作に集中出来ず脚本家のアードマン・ペナーと総監督のケン・ピーターソンが共同で支えていた。『シンデレラ』から続いたウィルフレッド、ハミルトン、クライドの3人共同監督の最終作となった。
トランプとレディがスパゲッティを食べている最中に偶然キスをするシーンは有名であり、イギリスのTotal Film誌が選出した「映画史に残る最高のキスシーン50」では第8位に選ばれた[6]。当初ウォルトは犬がスパゲッティを食べるというこのシーンに対して否定的だったが、フランク・トーマスが作成したアニメーションを見て考えを変えた[5]。
ニューイングランドに住むダーリングへのクリスマスプレゼントとしてディア家にやってきたコッカー・スパニエルのレディ。夫妻の愛情を一身に受けていたが、二人に子供が生まれる。レディは変化に戸惑いつつも赤ちゃんを見守る。
ある日、夫婦の旅行中に赤ちゃんのベビーシッターとしてセーラおばさんがやって来た。猫好きで犬嫌いの彼女はレディを邪険に扱う上に、勝手に連れてきたペットの猫のサイとアムがしでかした悪戯をレディがやったと決めつけ「赤ちゃんを襲う猛犬」と見なして口輪を嵌めようとため家を飛び出したレディは、野良犬のトランプに助けられる。
生まれも育ちも異なる2匹であったが、やがて互いに惹かれ合うようになる。しかし、レディが保健所に捕まってしまい、さらにそこでトランプのプレイボーイ振りを彼の仲間の野良犬達から聞かされ愕然とする。その後セーラおばさんに引き取られ家に帰るも外の犬小屋に繋がれてしまったレディは、怒りのままに彼女を心配してやって来たトランプと口論になり追い返してしまった。
その直後、レディは巨大なネズミが雨樋をつたって半開きの窓から子供部屋に侵入するのを目撃。必死に吠えてセーラおばさんに知らせようとするも煩いと言って取り合おうとしない。そこへ異変に気づいたトランプが慌てて戻って来て事態を把握すると、綱をかみ切ったレディと一緒にポーチの犬用ドアから部屋に飛び込み、ベビーベッドに上がりこんだネズミを捕まえ激闘の末に退治したため赤ちゃんは間一髪で無事だった。ところが騒ぎと泣き声を聞いて現れたセーラおばさんはトランプが赤ん坊を襲おうとしたと思い込み、箒でクローゼットに閉じ込めると保健所に連絡を入れ引き渡してしまった。
そこへ帰宅した夫婦が何があったのか尋ねると、ひたすらわめくセーラおばさんを余所にレディは二人を子供部屋へ連れて行き、ネズミの死骸を見せてトランプの潔白を証明する。
全てを悟った夫婦はレディと共に急いで保健所の馬車を追いかけ、話を聞いたジョックとトラスティも手伝いトランプは救出された。
その年の冬。ディア家では新たに飼い犬となったトランプと結ばれたレディ、そして2匹の間に生まれた子犬達が少し大きくなった赤ちゃんと夫妻と一緒にクリスマスをお祝いしているのだった。
役名 | 原語版声優 | 日本語吹き替え | |
---|---|---|---|
1956年公開版 | 1989年公開版 | ||
レディ | バーバラ・ルディ | 宝田薫[8] | 藤田淑子 |
トランプ (1956年版ではノラ公) | ラリー・ロバーツ | 小林桂樹 | 中尾隆聖 |
ダーリング ・ディア | ペギー・リー | 里見京子 | 戸田恵子 |
サイとアム (1956年版ではシーとアム) | ナンシー梅木 | 天地総子 | |
ペグ (1956年版ではペッグ) | 北原文枝 | ||
ジム・ディア | リー・ミラー | 三木鶏郎 | 佐々木敏 |
野良犬収容所員 | 浜口庫之助 | 村越伊知郎 | |
セーラおばさん | ヴェルナ・フェルトン | 堀越節子 | 京田尚子 |
ジョック | 台詞:ビル・トンプソン 歌:スターリング・ホロウェイ | 三津田健 | 槐柳二 |
トラスティ | ビル・ボーコム | 鈴々舎馬風 | 滝口順平 |
トニー | ジョージ・ギボット | 中村哲 | 台詞:熊倉一雄 うた:池田直樹 |
ジョー | ビル・トンプソン | 市村俊幸 | 台詞:はせさん治 歌:加賀清孝 |
ブル (1956年版ではブルドッグ) | 古今亭今輔 | 今西正男 | |
ダクシー | 逗子とんぼ | 山崎哲也 | |
警察官 | 千葉信男 | 峰恵研 | |
ボリス | アラン・リード | 大平透 | 佐古正人 |
タフィー | ダラス・マッケノン | 千葉信男 | 永井一郎 |
ペドロ | 永六輔 | 八代駿 | |
教授 | |||
ハイエナ | 原語版流用 | ||
ビーバー | スタン・フレバーグ | 坊屋三郎 | 辻村真人 |
ペットショップの店員 | |||
アネッタ | 坂本真綾 | ||
ジムの友人 | 沢りつお 峰恵研 八代駿 | ||
ワニのアル | サール・レイブンズクロフト | 仁内建之 | |
その他 | 大山美奈 中山愛子 林一夫 早川京子 安西正弘 森沢早苗 渡辺真砂子 丸山真奈実 |
《1956年版》
総指揮 | ジョン・A・カッティング |
製作・台本 | 田村幸彦 |
監督・音楽監督・作詩 | 三木鶏郎 |
編集 | 上田忠雄 |
《1989年版》
翻訳 | 金田文夫 |
訳詞 | 海野洋司 |
録音制作 | スタジオ・エコー |
日本語版制作 | DISNEY CHARACTER VOICES INTERNATIONAL, INC. |
使用箇所 | 曲名 | 作詞 作曲 | 訳詞 | 歌 |
---|---|---|---|---|
オープニングテーマ | ベラ・ノッテ Bella Notte | ペギー・リー ソニー・バーク | 三木鶏郎(1956年版) 海野洋司(1989年版) | ジョージ・ギボット ビル・トンプソン |
エンディングテーマ | 世界に平和を Peace on Earth | |||
挿入歌 | ジョック&トラスティ Jock & Trusty | スターリング・ホロウェイ | ||
ララルー La La Lu | ペギー・リー | |||
シャムネコの歌 The Siamese Cat Song | ||||
彼がトランプさ He's a Tramp | ||||
赤ちゃんって? What Is a Baby | バーバラ・ルディ | |||
ホーム・スウィート・ホーム Home Sweet Home | ||||
1956年には、映画館での公開に併せてラジオ東京の『カネボウ・ディズニー・アワー』枠にて、ラジオドラマ版も放送された。製作には当時、ディズニー映画の日本語吹き替え制作に携わっていた永六輔や、三木鶏郎を中心とした作家グループの冗談工房、KR文芸部、効果団が協力。総指揮はディズニー技術部長のジョン・カッティング(John A Cutting。ジャック・カッティングとも[11])。出演者は一部を除いて映画版と同一キャストとなっている[12]。この作品ではブルドッグを、当時社会党書記長の淺沼稻次郎が演じている[13][14]。
『わんわん物語II』(原題:Lady and the Tramp II: Scamp's Adventure)は2001年2月27日制作のビデオ作品。
1910年のニューイングランド。明後日は独立記念日。前作から半年たちジムの子供やレディとトランプの子供たちは大きくなり幸せな毎日を送っていた。しかし、スキャンプだけは違い毎日の生活に退屈を感じていた。スキャンプは部屋を汚し、罰として鎖に繋がれた。その時廃品置き場の犬たちやエンジェルと会い野良犬として生きる道を選んだ。そこには楽しそうに暮らす野良犬たちがいた。そんな時父親のトランプの過去を知る。
役名 | 原語版声優 | 日本語吹き替え |
---|---|---|
スキャンプ | 台詞:スコット・ウルフ 歌:ロジャー・バート | 台詞:秋山純 歌:岡崎昌幸 |
エンジェル | 台詞:アリッサ・ミラノ 歌:スーザン・イーガン | 台詞:山田まりや 歌:日野しおん |
バスター | 台詞:チャズ・パルミンテリ 歌:ジェス・ハーネル | 山路和弘 |
トランプ | ジェフ・ベネット | 台詞:中尾隆聖 うた:小西教之 |
ジョック | 槐柳二 | |
トラスティ | 滝口順平 | |
野良犬収容所員 | 小形満 | |
レディ | ジョディ・ベンソン | 台詞:藤田淑子 うた:前田引美 |
ムーチ | ビル・ファッガーバッケ | 島香裕 |
スパーキー | ミッキー・ルーニー | 石森達幸 |
フランソワ | ブロンソン・ピンチョット | 龍田直樹 |
ルビー | キャシー・モリアーティ | 一城みゆ希 |
ダーリング | バーバラ・グッドソン | 田中敦子 |
ジム・ディア | ニック・ジェイムソン | 佐々木敏 |
ジュニア | アンドリュー・マクドノゥ | 川田妙子 |
アネット | デビ・デリーベリー | 木藤聡子 |
コレット | キャス・スーシー | こおろぎさとみ |
ダニエル | 石川寛美 | |
トニー | ジム・カミングス | 北川勝博 |
ジョー | マイケル・ガフ | はせさん治 |
セーラおばさん | トレス・マクニール | 京田尚子 |
アム | 原語版流用 | |
サイ | メアリー・ケイ・バーグマン トレス・マクニール | |
スクラッチ | ディー・ブラッドリー・ベイカー | |
レジー | フランク・ウェルカー |
使用箇所 | 曲名 | 作詞 作曲 | 訳詞 | 歌 |
---|---|---|---|---|
オープニングテーマ | ベラ・ノッテ Bella Notte | ペギー・リー ソニー・バーク | 佐藤恵子 | 山下達郎 |
挿入歌 | 記念日を祝おう Welcome Home | メリサ・マンチェスター ノーマン・ギンベル | 前田弘美 小西教之 こおろぎさとみ 木藤聡子 ミュージッククリエイション | |
あこがれの世界 World Without Fences | 岡崎昌幸 | |||
俺たちの天国 Junkyard Society Rag | 山路和弘 龍田直樹 石森達幸 一城みゆ希 島香裕 | |||
初めての気持ち Didn't Know I Could Feel this Way | 岡崎昌幸 日野しおん | |||
どんな時でも Always There | 岡崎昌幸 日野しおん 前田弘美 小西教之 | |||
わんわん物語 | |
---|---|
Lady and the Tramp | |
監督 | チャーリー・ビーン |
脚本 | アンドリュー・ブジャルスキー |
製作 | ブリガム・テイラー |
出演者 |
テッサ・トンプソン ジャスティン・セロー キアシー・クレモンズ トーマス・マン ジャネール・モネイ F・マーレイ・エイブラハム イヴェット・ニコール・ブラウン エイドリアン・マルティネス ケン・チョン サム・エリオット |
音楽 | ジョセフ・トラパニーズ |
撮影 | エンリケ・シャディアック |
編集 | メリッサ・ブレザートン |
製作会社 |
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ Taylor Made |
配給 | Disney+ |
公開 |
2019年11月12日 2020年6月11日 |
上映時間 | 104分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | 6000万ドル[15] |
2018年3月、当時ディズニーがサービス開始を予定していたストリーミング配信サービス「Disney+」の目玉コンテンツとして、『わんわん物語』実写映画の制作を検討していることが報じられ[16]、2019年8月に予告編が公開された[17]。
監督はチャーリー・ビーンで、トランプ役で出演する犬はアメリカ・アリゾナ州の保健所で救助された保護犬「モンテ」が起用された[17][18]。
アメリカでは2019年11月のDisney+のサービス開始と同時に配信を開始[17][18]。日本でも2020年6月11日の同サービスの開始と同時に配信を開始[19]。
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