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日本のテレビ特撮番組、メディアミックス作品、その主人公たる架空のヒーロー ウィキペディアから
『仮面ライダーカブト』(かめんライダーカブト)は、2006年1月29日から2007年1月21日まで、テレビ朝日系列で毎週日曜8時から8時30分(JST)に全49話が放映された、東映制作の特撮テレビドラマ作品、および作中で主人公が変身するヒーローの名称である。ハイビジョン制作(アナログ放送ではレターボックス放送)、字幕放送。
平成仮面ライダーシリーズ | ||
第6作 | 仮面ライダー響鬼 | 2005年1月 - 2006年1月 |
第7作 | 仮面ライダーカブト | 2006年1月 - 2007年1月 |
第8作 | 仮面ライダー電王 | 2007年1月 - 2008年1月 |
仮面ライダー生誕35周年記念番組。制作コンセプトは「最強の仮面ライダー」[2]。
前作『仮面ライダー響鬼』とは打って変わり、モチーフに昆虫の採用[注釈 1]、「変身」のかけ声の復活、バイクの常用、キックの必殺技、仮面ライダー自身による必殺技名の発声などの昭和仮面ライダーシリーズの要素[3]、一般人の姿・怪人の姿を持つ敵、組織化されたヒーロー、ライダー装着者の交代劇など、これまでの平成仮面ライダーシリーズの要素が盛り込まれている。同時にプロデューサーの梶淳は制作発表の場で「原点回帰ではなく、仮面ライダーの限界・頂点に挑む」と述べており、企画書には「いい物は焼き直しと言われようと取り込み、不要なものは斬新そうでも容赦なく切り捨てる」と記されている。
これまでのシリーズ作品でもよく登場していた「料理」が特に大きくクローズアップされており、主人公を始めとした数多くの登場人物が料理を作って嗜む描写が多数採り入れられたほか、公式サイトでも「まかない」というコーナーを設け、劇中で登場した料理の実際のレシピが紹介された。コメディの比重も高く、暗く重くなりがちなストーリーを和らげ、少しでも作品全体のムードを明るくすることが心掛けられた。特に『カブト』においては、天然キャラによるものの他、不条理でシュールな展開といった、従来のシリアスな平成仮面ライダー作品ではあまり見られなかったコメディ手法が多く盛り込まれている。このコメディ要素は本作品以降の作品にも引き継がれていき、特に次作『仮面ライダー電王』や『仮面ライダーW』では、さらに比重が置かれるようになる。
技術面では、『555』以降それまでの平成仮面ライダーシリーズでも実験的に使用されてきた映像の画質が、本作品より従来の本シリーズの特徴でもあったビデオ収録映像特有のクリアで透明感のあるものから、シネライクガンマ処理による画像エフェクトからもたらされるフィルム的な粒子感の有る画質へと本格的に変化している。これは地上デジタルハイビジョン放送時代への対応を目的として『アギト』以降の劇場版で使用されているHD24P撮影システムを使用し始めたためだが[3]、詳細なノウハウは非公表となっている。また、『響鬼』で鬼のスーツ素材に使用されたマジョーラは、本作品でもライダーのプロテクター部分に使用されている。白倉曰く「今回は応用編」であり、前作での反省点も活かした使用がなされた。
本作品の戦闘演出の中で代表的なのがクロックアップである。ライダーの超高速移動は、『仮面ライダー龍騎』のアクセルベント、『555』のアクセルフォーム、『剣』のマッハジャガーなど、過去作でも取り組まれてきた。しかし本作品が過去作と大きく異なるのは、過去作で「必殺技としての高速移動」が設定されていたのに対し、本作品のクロックアップは敵味方双方が不可視かつ高速で動くことにより、「常人には入り込めない世界」を作り出す点に主眼が置かれている。クロックアップの発想は『龍騎』のミラーワールドに近く、戦いの原則として設定されており、『サイボーグ009』の主人公である009(および002)の能力「加速装置」から来ている[4]。
プロデューサーの白倉は、特撮誌のインタビューにおいて、「『気付いていないだけで、実は自分のすぐそばで仮面ライダーが戦っているかもしれない』という感じを出したかった」と語っている。クロックアップの演出の例については、仮面ライダーカブトの登場仮面ライダー#クロックアップを参照。
通常は秒間24コマで撮影されているが、クロックアップのシーンでは秒間8コマで撮影し、それを24コマで再生することで8倍の時間が撮影されているため、早く動いているように見えており、そのシャッター速度を落とすことで動いた際の残像が残り、映像が出来上がるものとなっている[5]。車や人が落ちる際には現場でスローモーション撮影した映像を合成している[5]。
西暦1999年10月19日、地球に飛来し日本・シブヤに落下した巨大隕石によりその周辺地域は壊滅した。そして7年後の西暦2006年、人間を殺害しその人間に擬態する宇宙生命体・ワームが出現。ワームに対抗するため、人類は秘密組織ZECTを結成し、ワームに対抗するためマスクドライダーシステムを開発した。そんなある日、ZECTの見習い隊員・加賀美新は、自らを「天の道を往き、総てを司る男」と称する妙な男・天道総司と出会う。そのころワームが出没し、追い詰められていくZECT隊員たちを見た加賀美はライダーになって戦うことを決意する。しかしカブトゼクターは加賀美ではなく、天道の手中に納まった。天道はなぜか持っていたライダーベルトにカブトゼクターをセットして変身、仮面ライダーカブトとなり戦うのであった。
通常種のワームから人類およびネイティブを守るための秘密結社。物語開始から35年前、ネイティブに通常種のワームの襲来を予言された加賀美陸により設立された。上層部は警察機構や政界にも浸透しており、警察よりも高い権限にあるため、超法規的な権限を持ち、超法規的行動も許可されている[6][7]。マスクドライダーシステムはこの組織が開発している。
隊員は任務や出動要請がない際は一般人と同様の生活をしており、表向きの役職とZECTとしての勤務を両立した日々を過ごしている。無論、臨時に備えての護身用装備も支給されており、日用品にも偽装可能なペン型のパーツとライター型のパーツを組み合わせて用いる小型自動拳銃型の携帯武器ZECTガン[8]もその一つであるが、ワームサナギ体を怯ませる程度の破壊力しかない。
トップの指令は絶対であり、秘密主義を徹底しているため、組織の全容やその存在や詳細は一般社会には徹底的な秘密主義により秘匿されており、ZECTの構成員はおろか各チームの指揮官クラスでさえ全貌を知らされていない[6][7]。これは「ZECT内部に擬態したワームが侵入することを防止するため」とされる[注釈 2]。また、人事面では実力主義を採用しており、能力の高い者であれば一般隊員はもちろん、組織に加入直後の者でもすぐ高い地位が与えられる[7]。正式隊員の前には、見習い隊員を経なければならず、戦闘において指令や分析のための中継などが担当させられる[7]。代わりに任務の失敗が積み重なると降格・追放される他、地位相応の力がないと判断された上官は、部下に見限られることもある。表向きは「ワーム根絶・人類保護」を掲げているが、実際は人命はあまり重視されず、ワーム一掃のためなら人質を用いて脅迫したり、犠牲者が出ることを前提とした作戦を行うこともある。
組織構成は表面上のトップは陸だが、それより上に評議会という最高意思決定集団が存在し、組織の最終決定は彼らにより下される。評議会のメンバーは全員ネイティブであることから、人類とネイティブの間で取引が行われて設立されたとされているが、陸たちにネイティブがその力をちらつかせて脅迫に近い形で動かした可能性が高く、実質的に組織内で権力を握っているのはネイティブたちで、陸たちは彼らの傀儡として動かされているに過ぎない[7]。この他、陸を補佐するナンバー2の三島正人と、末端はリーダーを中心としてワームを探索・捜査して戦闘を行い、掃討する複数の実働部隊のチームなどで構成される[6][7]。また、本部の決定を絶対視する反面、各チームが自由裁量で活動するケースも多く見られ、結果的にチームごとの連携が悪くなることもある。登場したチームは田所が指揮をとる田所チーム、東省吾が指揮を執る東チーム、ザビー有資格者が指揮を執る本部直轄の精鋭部隊シャドウ、天道がリーダーで副官を高鳥蓮華が務めた天道チーム。
本作品における敵。隕石とともに地球に飛来した異界生命体であり、地球上に棲息する昆虫・甲殻類などの節足動物に似た外皮の形状などの外見的特徴を持つ[7]。高度な知性と後述する特殊な形態と擬態能力を駆使し、既に多くの数のワームが人間を殺害しながら気づかれずに人間社会に溶け込んでいる[6][7]。人気のない空間をプラントとして繁殖する卵生である[7]。
渋谷隕石とともに地球に侵入した通常種のワームは人間に対して敵意を示し、基本的には組織ではなく単体もしくは複数でグループ行動し、各々が人間社会に潜り込むため無差別に人間を人知れず殺害し、その殺害した人間をコピーしているが[7]、本性を現すと群れとなって無差別の殺人行為に及ぶ。しかし中にはワーム全体の繁栄のため、多数のワームを従えグループを形成して活動する幹部のような存在の者も存在する[7]。劇中ではウカワーム(間宮麗奈)やカッシスワーム(乃木怜治)がそれにあたり、通常種のワーム全体の益のために、ZECTらと結託して敵となる特定の人物をマークして抹殺を企むなど、組織的行動を見せていた[7]。
その他、対ワーム以外の端末は誤作動を起こし[ep 1]、当初は擬態したワームの体温が人間より低かったためサーモグラフィーを搭載した特殊スコープで擬態を特定できたが[ep 2][7]、中盤からはZECTであってもアンチミミック弾が無ければ看破出来なくなっている[ep 3]。ゆえに特殊な波動などは出している様子はないため、レーダーなどでは感知できず、ワームの存在は離れた場所からは感知できない[6]。
サナギ体 | |
---|---|
身長 | 212 - cm |
体重 | 124 - kg |
ネイティブ | |
---|---|
身長 | 242 - cm |
体重 | 132 - kg |
35年前に隕石とともに地球に侵入したと推測される別種のワーム。三島やひよりを除いて頭部にカブトムシのサナギのように巨大な角があること以外はワームと共通している。戦いを好まない者が多いため、渋谷隕石にとともに侵入した通常種のワームとは敵対関係にあり、命を狙われている[7]。また、卵生であった通常種に対して、日下部さとみに擬態したネイティブがひよりを生んだことから、胎生である可能性が高い[7]。
地球に到達した当時、近い未来に敵対する通常種のワームが地球に侵入することを予期したネイティブは人類と接触。自分たちの身を守るため人類と手を組んだように見せかけ、彼らと共にZECTを結成。キャストオフやクロックアップといった自らの生体構造を提供して対ワーム用装備であるマスクドライダーシステムの開発を促す代わりに、システムを装着した人間に自分たちを守ってもらうという契約を交わした。前述のように人類との共存を望む者もいるが、根岸ら上層部の者たちは通常種のワームをマスクドライダーシステムによって一掃し、人類をネイティブに変異させて地球にネイティブを君臨するべく、地球到達時より密かに計画を練り遂行していた[7]。ZECT結成後、長らく公には姿を見せなくなるが、この間にも人工的に人間をネイティブに変貌させる研究や、武装の開発を行っていた。成虫体はひよりことシシーラワームと三島がワーム化したグリラスワームのみ確認できる。
明確な言及はされていないが、移住先を何らかの形で確保する必要が発生した地球外生命体の集団で、地球には移住目的で隕石に紛れて作為的に侵入したものと思われる[7]。地球の生活を経て人類との共存を求める者も多く[17]、明確な悪意を抱いていたのが示されたのは根岸のみだが、日下部夫妻に擬態したネイティブも何らかの悪意が裏にあったことが汲み取れる[7]。
劇場版では、このネイティブと同じ頭部に巨大なツノが生えている形状をしたものが隕石に内包されて現れた敵であり、「ワーム」として扱われる。
東映側プロデューサーに『仮面ライダーアギト』から『仮面ライダー555』を手がけた白倉伸一郎と武部直美のコンビが3年ぶりに復帰した。メインライターは、同じ白倉・武部作品の『Sh15uya』を手がけ、前作『仮面ライダー響鬼』の後半から平成ライダーシリーズに参加し、シリーズ初のメインライターとなる米村正二が務めた[70]。その他、音楽を手掛ける蓜島邦明、『555』以来のライダー復帰となる田﨑竜太や『仮面ライダー剣』以来の長石多可男など、平成ライダーや『Sh15uya』共通のキャスト・スタッフが多数参加している[70]。
白倉プロデュース作品の多くに参加している井上敏樹をメインライターにしなかったことについて、白倉は「井上と一緒に作ると、お互いの言いたいことが解ってしまい、今までと大差ないものになりそうだから」と語っている(全体の3分の1にあたる16回は井上が担当している)。
ワームのデザインは『仮面ライダー剣』以来、2年ぶり2作目となる韮沢靖が担当する[10]。
ひよりのイラスト担当として『555』で海堂直也役を演じた唐橋充が、田﨑から直接のオファーにより起用されている[71]。
本作品のために製作されたボーカル楽曲は劇場版含めて4曲のみであり、平成仮面ライダーシリーズ中最も少ない。また『仮面ライダー龍騎』から恒例となっていたCD-BOXとは別に、テレビシリーズ用に製作された楽曲を収録したサウンドトラックCDも放送期間中にリリースされており、以降の平成仮面ライダーシリーズでも一部を除き、このリリース方式が踏襲されている。また『仮面ライダーアギト』以降続いた児童向けブックCDのリリースも本作品で最後となる。
各回に正式なサブタイトルはなく、本節にて「サブタイトル」としているものはいずれも新聞のテレビ番組欄やテレビ番組情報誌などにて表記されたものである。
登場ワームのリンク先はモチーフとなった生物である。モチーフとなった生物はテレビ朝日内公式サイトの記述[72]による。
各話終了時、映像にカブトムシの羽が交差し、映像が数枚の植物の葉により埋まるという演出がなされている。
放送日 | 放送回 | サブタイトル | 登場ワーム | 脚本 | 監督 |
---|---|---|---|---|---|
2006年 | 1月29日1 | 最強男 |
|
米村正二 | 石田秀範 |
2月 | 5日2 | 初2段変身 | |||
2月12日 | 3 | 俺が正義!! | 田村直己 | ||
2月19日 | 4 | 愛を説く!! | |||
2月26日 | 5 | 捕獲指令!! |
|
長石多可男 | |
3月 | 5日6 | オレ様の花 |
| ||
3月12日 | 7 | 2号新登場 |
|
石田秀範 | |
3月19日 | 8 | 怒れる豆腐 | |||
3月26日 | 9 | 蜂の乱心!! |
|
田村直己 | |
4月 | 2日10 | 友じゃねぇ | |||
4月 | 9日11 | 合コン燃ゆ |
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井上敏樹 | 田﨑竜太 |
4月16日 | 12 | 化粧千人斬 | |||
4月23日 | 13 | チーム解散 |
|
米村正二 | 長石多可男 |
4月30日 | 14 | 裏の裏の裏 |
| ||
5月 | 7日15 | 怪人名医!? |
|
井上敏樹 | 鈴村展弘 |
5月14日 | 16 | まさかの嵐 | |||
5月21日 | 17 | 甦る記憶!! |
|
田﨑竜太 | |
5月28日 | 18 | さらばゴン | |||
6月 | 4日19 | さそり富豪 |
|
長石多可男 | |
6月11日 | 20 | ねぇじいや | |||
[注釈 11]6月25日 | 21 | VSクワガタ | 米村正二 | 田﨑竜太 | |
7月 | 2日22 | 誕生特別編 | |||
7月 | 9日23 | 謎+謎=X |
|
田村直己 | |
7月16日 | 24 | ラーメン道 | |||
7月23日 | 25 | 驕る捜査線 |
|
長石多可男 | |
7月30日 | 26 | 激震する愛 | |||
[注釈 12]8月 6日 | 27 | 俺!?殺人犯 |
|
井上敏樹 | 田﨑竜太 |
8月13日 | 28 | なぜ!?絶命 |
| ||
8月20日 | 29 | 闇キッチン |
|
石田秀範 | |
8月27日 | 30 | 味噌汁昇天 | |||
9月 | 3日31 | 衝撃の事実 |
|
米村正二 | 長石多可男 |
9月10日 | 32 | 解ける謎!! | |||
9月17日 | 33 | 萌える副官 |
|
田﨑竜太 | |
9月24日 | 34 | 砕け超進化 | |||
10月 | 1日35 | 地獄の兄弟 |
|
石田秀範 | |
10月 | 8日36 | 赤い靴暴走 | |||
10月15日 | 37 | 学校の怪談 |
|
長石多可男 | |
10月22日 | 38 | あぶない妹 | |||
10月29日 | 39 | 強敵黒カブ |
|
井上敏樹 | 田﨑竜太 |
[注釈 13]11月12日 | 40 | 最大の哀戦 | |||
11月19日 | 41 | 敗れる最強 |
|
米村正二 | 石田秀範 |
11月26日 | 42 | 最凶VS.最恐 | |||
12月 | 3日43 | 俺を狙う俺 |
|
柴﨑貴行 | |
12月10日 | 44 | 生きるとは | |||
12月17日 | 45 | Xマス激震 |
|
井上敏樹 | 長石多可男 |
12月24日 | 46 | さらば剣!! | |||
2007年 [注釈 14] |
1月 7日47 | 最終章突入 | ― | 米村正二 | 石田秀範 |
1月14日 | 48 | 天道死す!! |
| ||
1月21日 | 49 (FINAL) | 天の道 |
玩具売上げは年間総売上71億円を記録[73]。目標数値の75億円[74]には届かなかったものの、前作『響鬼』の65億円からは向上した。
昆虫をモチーフとしたデザインの評価は高く、特に終盤に登場し「ライダーキック」「ライダーパンチ」を必殺技とする仮面ライダーキックホッパーとパンチホッパーは、石森プロが「こういうこと言うのは珍しいんですけど、初めて文句なくマスクが格好いいと思いました」とプレックスの小林大祐に電話をかけたほどである[75]。
いずれも発売元は東映ビデオ。
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