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ハエ目ハエ亜目の昆虫 ウィキペディアから
ハエ(蠅・蝿)は、ハエ目(双翅目)に属する昆虫のうち、ハエ亜目(短角亜目)環縫短角群(かんぽうたんかくぐん)ハエ下目(Muscomorpha)に属する種の総称である。日本だけで、60ほどの科と、そこに属する3,000種近い種が存在する。
環縫短角群 Cyclorrhapha ハエ下目 Muscomorpha | |||||||||||||||||||||
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ニクバエの一種 Sarcophaga carnaria | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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節 | |||||||||||||||||||||
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成虫は一般に小さな胴体、よく発達した前翅、後翅が変化した平均棍を持つ。飛翔能力は昆虫類の中でも非常に高い部類で、空間に完全に固定されたかのようなホバリングや、高速での急激な方向転換など、複雑で敏捷な飛翔をこなせるものが多い。「短角亜目」という名の通り触角は通常短い。
羽化の際には蛹の背中が縦に割れずに環状に開く。このためさなぎの縫い目が環状になっているとの意で「環縫短角群」、あるいは単に「環縫群」「環縫類」とも呼ばれる。アブは通常ハエとは別の直縫短角群を指す呼称だが、「アブ」と名のつくもののうちハナアブ科やアタマアブ科などはハエの仲間であり、逆に「ハエ」と名のつくもののうち、アシナガバエ科やオドリバエ科などはアブの仲間である。
日本全国、世界各国のどこにいても極めて一般的に見られる昆虫ではあるが、衛生害虫、農業害虫の双方の側面で害虫とみなされることが多い。
イエバエ科、クロバエ科、ニクバエ科などの一部の種は人の居住環境に棲むことで、衛生害虫化している。衛生害虫としてのハエの害は、大きく3つに大別される。
他のハエ目昆虫と同じく、卵 - 幼虫(蛆) - 蛹 - 成虫という成長段階を踏む完全変態の昆虫である。
多くは卵生で、成虫が幼虫の生息場所となる環境に卵を直接産みつける。ただし、ニクバエ科の全てやクロバエ科、イエバエ科の一部などは雌体内で胚が発育し、幼虫を直接産み付ける卵胎生である。
幼虫が寄生生活をするヤドリバエ科の一部では、直接幼虫が育つ宿主に産卵せず、植物上に産卵し、孵化した幼虫が宿主の接近を待つものもいる。
1齢で孵化し、3齢が終齢である。いわゆる蛆(ウジ)であり、無脚でかつ頭蓋(とうがい)など頭部器官はほとんど退化している。その代わりに複雑強固な咽頭骨格が発達している。咽頭骨格の先端には口鉤(こうこう)というかぎ状部が発達し、底部にはろ過器官(pharyngeal filter)が見られる。
ハエの幼虫の多くは腐敗、あるいは発酵した動植物質に生息し、液状化したものを吸引し、そこに浮遊する細菌、酵母といった微生物や有機物砕片といった粒状物を pharyngeal filter によってろ過して摂食する。さらに一部のものは寄生や捕食によって、あるいは動物の新鮮な死体から動植物組織を体外消化して直接吸引、あるいは体液を吸収する。
微生物によって分解されつつある生物組織を摂食する腐食性から捕食、寄生といった生きている生物組織を直接摂食する生食性に移行した種では、pharyngeal filter を失う傾向にある。口鉤は大顎に起源し、基物に引っ掛けることで歩行、腐敗有機物の攪拌、動植物組織の破壊、獲物や宿主の皮膚の穿孔などに用いられる。
老熟した終齢幼虫は幼虫時代を過ごした摂食場所を離れ、多くは土中に潜り蛹となる。ハエ類の蛹形成の際は、終齢幼虫が脱皮せずに、幼虫の体が短縮してコメの様な形になり、そのまま幼虫の外皮が硬化するのが特徴である。硬化した外皮の内側で、真のさなぎがさらに一回り小さく収縮して形成される。こうした二重構造の蛹を囲蛹(いよう)と呼ぶ。
羽化に際しては硬化した幼虫の皮膚の前方体節が環状に分離し、蓋のように外れることで成虫が脱出する。これが環縫短角群の名前の由来である。
多くの上科があり、このうち同系統の上科をまとめる2つの「節」に分かれる。
分類体系は『日本動物大百科9昆虫II』(平凡社、1997年)に準拠。
系統樹は以下に準拠。
分類群の和名は以下に準拠。
成虫が囲蛹(いよう)や土中から脱出するのに使われる嚢状器官である額嚢(後述)を欠き、その点で原始的形質を保持しているとされる。
成虫の触角上方の額に逆V字状の切れ込みがあり、羽化直後の体が柔らかいときにのみこれが開き、体液で膨らむ風船状の器官、額嚢が反転突出する。羽化に際してこのグループに属すハエは額嚢を断続的に突出させて囲蛹の蓋を押し開け、また土中からの脱出のために土を押しのける。地上脱出後は額嚢は頭部に格納され、外骨格の硬化に伴い二度と反転突出することはなくなる。
大型種もいるが5mm未満の小型の種が多く、ショウジョウバエなど日常生活で「コバエ」と呼ばれているのはこの仲間が多い。
大型のいわゆるハエらしいハエで、日常生活で「ハエ」として認識されているのはたいていこの仲間である。
ハエはとにかく人間の周りにまとわりつくように飛び回るうるさい存在である。古くから身の回りの衛生を守ることは、ハエを対象としてきた。例えば身の回りの虫除けは往々にしてハエの名を持つ。蠅叩き、蠅取り紙、はえいらずなどの例がある。ただし、具体的な形でヒトを害するものではないためか、どこかユーモラスな印象もある。
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