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HD24P(エイチディーにじゅうよんピー)は、20世紀末に登場した、映画撮影のためのビデオカメラおよびHDTV映像信号の規格の一種である。ジョージ・ルーカスによって提案され、ソニー(初代法人。現・ソニーグループ)によって製品化された。「HD24p」と、Pを小文字にして表記する場合も多い。会話の中では、単に「24P」(にじゅうよんぴー)とも呼ばれる。また、「HD/24P」とも表記される。
通常、HD/24Pといえば「HD1080/24P」を指すが、簡易版の「HD720/24P」という規格も存在する。本項内では特に断りのない限り、HD1080/24Pについて記す。
「p」はプログレッシブの略で、「順次走査」を意味する。これに対し、後に述べるインターレースは「飛び越し走査」であり、「i」と略される。プログレッシブ方式のことを「ノンインターレース」と呼ぶこともある。
この登場に伴い、デジタルシネマの動向が活発化し始める。これ以前にもCGの活用による映画のデジタル化は進んでいたが、フィルムとビデオとの基本的な表示方式の違い(フィルムは毎秒24コマ・プログレッシブ、ビデオはNTSCの場合毎秒29.97コマ・インターレース)により、テレシネ変換(フィルムに記録された映像をテープに移す)で2-3プルダウンというコマ数変換過程を経なければならず、これが大きな足枷になっていた。しかし、HD24Pはフィルムと同じ形式での記録が可能であるためにコマ数の変換やフィルムからのテレシネ工程が不要で、ダイレクトにデジタル加工が可能という画期的な商品だった。『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002年)で実用性が実証された後は採用が相次いでいる。2010年代に入り、Kodakの経営不振や富士フイルムの撮影用フィルム生産終了もあり、現在では低予算映画を中心として撮影機材のデジタル化が急速に行われている。2014年にはアメリカのパラマウント・ピクチャーズが前年公開の「俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク」を持って35ミリフィルムの配給を終了したと発表。今後もアメリカの配給メジャーでも同様の方針が取られる。
日本の劇場用映画では、『式日』(2000年)の一部で使われたのが、ごく初期での使用例。全編をこのシステムで撮影した作品は、『仮面ライダーアギト PROJECT G4』(2001年)が世界初である。
従来のHD24Pでは解像度が最大でも垂直解像度1080のフルHDまでとなっているが、RED ONEの登場以降、HDの4倍の解像度を誇る4K解像度や、NHKが推奨するスーパーハイビジョンに匹敵する8K解像度に達するカメラ(ソニーのCineAlta F65)が開発されている。
素材の記録媒体が主にテープやハードディスク、SSD、SDメモリーカード(SDHC以上)が用いられ、フィルムより安価かつ、同一の予算で35mmフィルムの数倍の撮影を行える。現像という工程が不要な上、音声も同時収録されるため、撮影現場で撮影した映像を確認できる。このため、アクションシーンなど動きの激しい撮影などに向いている。絞りを開放にすれば、かなり暗い場所でも無照明で撮影でき、野外で広い場所の撮影にも向いている。
しかし、いかにフィルムに近いとはいえ、フィルム・グレイン・フェチな層には嫌われる傾向がある。これは、デジタル独特の色味やフィルムとの粒状感の違いによるもの。また、カメラの撮影素子のサイズがフィルムに比べてかなり小さいため、被写界深度が深い絵(パンフォーカスとなり、遠近感が少ない)になりやすいことによるものである。このため、カメラの前に着けて浅い被写界深度を実現する目的で、DOFアダプタが開発されている。
昨今、特に2008年発売のキヤノン EOS 5D Mark IIの登場以降、撮影素子のサイズを大型化したデジタル一眼レフカメラが各メーカーから販売され、被写界深度が浅い映像を容易に撮影できるようになってきている。また、デジタルカラーグレーディングに代表される色調補正技術の進歩により、フィルムに近い画質を再現する事も容易になってきている。
現在では前述のキヤノン EOS 5D Mark IIに代表される、HD画質の動画撮影機能を備えたデジタル一眼レフカメラがCM・MV・映画・テレビなどで使用されるなど注目を集めている。これはデジタル一眼レフカメラ自体がフィルムを使用する一眼レフカメラで可能な表現をデジタル技術で再現することに特化している為に映画的画質を再現する点に優れている事や、映画用システムより安価に購入できる事が理由とされている。ただし、元が写真撮影を目的としたシステムなため本体のみでは動画撮影はかなり不便であり、サードパーティからサポート用システムが販売されている。
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