Remove ads
ウィキペディアから
S&W M29(Smith&Wesson Model.29)とは、アメリカのスミス&ウェッソン社が開発した回転式拳銃である。
使用弾薬は、.44マグナム弾。.44スペシャル弾を使用する「M1950」を原型としている。1955年11月に発売された初期モデルでは、フレームのサイド・プレートを固定するスクリューが4本使用されていた。しかし、包底面近くにあるスクリューが発射の衝撃で折れることがあり、1956年にその部分が組み合わせ式に改められた。1960年後半、銃身長が4インチ、6.5インチの2モデルに8.375インチ銃身モデルが追加された(後年、6.5インチ銃身モデルは6インチ銃身付きに改められた)。
元々、.44スペシャル弾用に開発されたラージサイズフレームであるNフレームを採用しており、ワイドハンマー、セレーションの彫られたワイドトリガーを備えている[1]。
この頃は、まだ弾薬の技術が未発達だったため、プライマーが破裂して、吹き出した高圧ガスで射手が怪我をする危険があった。こうしたことから、シリンダーの後端部は、弾薬がリムも含めて全体が入るように、一段低くなったカウンターボアードと呼ばれる仕様になっている[1]。
グリップは木製で、角張ったスクエアバットと呼ばれる形状である。照準器だが、照門(リアサイト)は通称、Kサイトと呼ばれる上下左右に微調整可能なマイクロ・クロック型で、サイトレディアスのフレーム上面からバレル部までに反射防止用のセレーションが彫られている。 照星(フロントサイト)は抜き撃ちのし易い斜体形状のランプタイプで、レッド・インサート付きが標準仕様である[1]。
基本モデルのM29では材質が、ブルーイング仕上げとニッケルメッキ仕上げのクロムモリブデン鋼製のモデルがそれぞれ存在する。
M27やM28の様な大型ランプタイプフロントサイト、テーパードバレルを備えた軽量モデル。同様の仕様のM629マウンテンガンも存在。
1978年に登場したステンレススチール製モデル。バレルのアンダーラグはM29と同仕様のものとフルラグバレルとなったクラシックというモデル、そして3インチバレルを備えたESというモデルが存在。
ツートーン仕上げのステンレススチール製フレームを持つその名の通りの狩猟用モデルで、バレル上部の一体型ピカティニーレールやカスタムマズルブレーキ、ドーヴテイルドフロントサイトが備えられており、レッドドット、もしくはグリーンドットのオプティカルサイトも付属している。
マットブラック仕上げのステンレススチールフレームモデル。パワフルな外観の7.5インチマグナポーテッドバレルを備えている。通常のハンターとは異なり、オプティカルサイトは付属していない。
スカンジウム合金製のフレームとチタン製のシリンダーを組み合わせた軽量モデル。その他、S&Wパフォーマンス・センター製のカスタムモデルなどが存在する。発売当初はS&W社の最高級モデルであり、内側にベロアが張られたマホガニー製の化粧箱に入った状態で販売されていた。
.44マグナム弾は、レミントン・アームズ社とスミス&ウェッソン社が共同開発した狩猟用弾薬で、既存の.44スペシャル弾のケース長を0.125インチ延長し、装薬容量を増加させたものである。.357マグナム弾が、158グレーン弾頭付きで銃口初速1,200 ft/s (366 m/s)に加速するのに対し、240グレーン弾頭を1,400–1,600 ft/s (427–488 m/s)で撃ち出す性能を有する。これは、.357マグナムの2倍、.45ACP弾の3倍の威力に相当する。北米では大口径拳銃を使用したハンドガン・ハンティングが盛んであり、中型獣から大型獣までをカバーできる性能を発揮できることを想定して開発された。それゆえに「対人用」として使用するには威力が大きすぎるため、米国では公的機関の執行官が携帯する武器としては禁止されていることが多い。M29は、.357マグナム、.44スペシャル、.45ACP(COLT)弾用の大型フレーム(Nフレーム)をベースに、.44マグナムの発射プレッシャーに対応できるよう熱処理が加えられた専用フレームを使用する。
近年、デザートイーグルやトーラス・レイジングブル、S&W M500の登場により、威力の面でワンランク下の弾薬であるとの見方をされているが、拳銃としては常識はずれの威力である。また、映画『ダーティハリー』で大柄なクリント・イーストウッド演じるハリー・キャラハンがしっかりと踏ん張って撃つシーンも、反動の強さを印象付けるのに一役買った。
また1971年の『ダーティーハリー』公開当時は先述のデザートイーグル等は開発されていなかった。更に.44マグナム弾より強力な.454カスール弾は存在したが当時はワイルドキャット・カートリッジであった(本弾が一般的になったのは90年代以降である)ことから、.44マグナム弾は量産される拳銃用弾薬の中では最も強力なものであった。従って、劇中でキャラハンがM29を「世界一強力な拳銃だ("the most powerful handgun in the world")」と説明するのは強ち誇張表現ではなかった。
「自動車のエンジンを撃ち抜くことができる」など、実際の性能を誇張した風聞が広まったが、これは.50BMG弾(12.7mm重機関銃M2やバレットM82の使用弾)などと同等のエネルギーを有する弾薬でなければ不可能である。『ダーティハリー』の劇中でも、実際は車そのものではなく乗員を狙って撃っている。
デザートイーグルの.50AE弾、スタームルガー・レッドホークやトーラス・レイジングブルの.454カスール弾、S&W M500の.500S&Wマグナム弾の登場以降には、世界最強の座を奪われている。なお、2007年1月現在における世界最強の拳銃用弾薬は.500S&W弾、自動拳銃弾に限れば.50AE弾である[2]。
※製作年順。
※初回放送年順。
※初回放送・出版年順。
※製作年順。
※出版年順。
※製作年順。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.