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日本放送協会のラジオ放送 ウィキペディアから
NHKラジオ第2放送(NHKラジオだいにほうそう)は、日本放送協会(NHK)による地上基幹放送の一種別で、中波放送(AM放送)、国内放送である。
NHK教育テレビジョン(以下、Eテレ)と同様に教育番組、特に語学番組や学生向け講座番組を多く放送している。公称は「ラジオ第2」、「NHK第2」または「R2」。NHKアナウンサーはラジオ第2で統一している。
NHKのラジオ放送は1925年3月に開始された時には1つだけだったが、1931年からこれを2つに分けた。スタート当初から講座番組など教育放送を主とした番組編成だったが、ラジオ第2放送の普及が東京・大阪・名古屋の3都市に留まったため、1939年に「都市放送」と改称し、都市知識層向けのより高度な教養・講座番組や文芸・音楽番組に力を入れた編成に改められた。
1941年12月に太平洋戦争が開戦し、都市放送は一時休止されたが、終戦後の1945年9月1日に再開した[1]。学校放送や教養・文化番組などを主としながらも長時間の番組が柔軟に編成できることから1960年代末ごろまではプロ野球や大相撲などのスポーツ中継も放送した[注 1]。クラシック音楽の演奏会も単発で録音中継され、FM放送が普及するまでは、ラジオ第1との連動で2波によるステレオ放送(当時は立体放送と言われた)が『立体音楽堂』などの番組で実施した。
教育テレビが全国へ普及すると次第に教育テレビのラジオ版と看なされる。
1980年代前半位までは「ラジオ農業学校」(農業経営や栽培技術などを単発で紹介する情報番組)、「漁村の皆さんへ」(漁村からのお便りや各地の水産市場情報、船舶の海上試験の模様を紹介する週7日×再放送の情報番組)など、戦前からの流れをくむ産業支援番組もあった。
1980年代の平日は5:30からの放送で、NHK高校講座からスタートし、翌0:00に君が代が流れた後に終了した。現在は6:00から語学番組が始まり、23:40までで終わる(日曜は異なる)。
語学番組、高校講座(NHK学園高校の放送授業でもある)と、NHK市民大学講座の流れを汲むNHKカルチャーアワーを核に、それ以外の教養番組や、委託業務である気象通報と株式市況、国内放送を統括する放送総局の委託により番組配給を受けているNHKワールド・ラジオ日本(NHKの国際放送)の外国語ニュース(英語、中国語、ハングル、フランス語、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語の10言語)を放送している。
日曜を除く9:30 - 11:00の時間帯には学校放送として小学生・中学生に向けた国語や音楽の教育番組や高校入試のための特別番組が組まれていたが、近年の少子高齢化の影響を受けて、現在は9:45 - 10:00の「お話でてこい」を除いてこれらの小中学校向け放送は終了となり、10:00以降の当該時間枠には一般向けの教養・語学番組が充てられた。
2008年以後、語学番組が再編され、それまで日曜を除いて毎日放送されていたものが月 - 金曜の週5回編成になった関係で、土・日曜は当該週に放送した番組の復習の意味でのまとめて再放送した。基礎英語シリーズなど一部は除く。2017年度は土曜の日中はほぼ再放送である。NHKワールド・ラジオ日本の外国ニュースとは別に、中国語、ハングルによる日本紹介番組も放送した。
毎年12月31日から翌年1月3日の間は気象通報、外国語ニュース以外は通常編成のほぼすべての番組を一切休止して、年末年始特別編成を組んだ。2007年12月31日は1日まるごと英語・英会話講座を放送した。2018年度の年末年始は朗読特集など一部を除き通常編成で高校講座アーカイブは休講のため、23:40終了であった。2020年度の年末年始は特別編成を廃止した。夏休み・冬休み・春休みは気象通報、外国語ニュース、株式市況などを除いて新規の番組制作を休止し、これまでに放送した番組の再構成、あるいは語学・教養番組はおさらいシリーズをラジオクラブで放送する。
2008年から2016年までは毎年8月末(または9月上旬)に全国盲学校野球大会を通常放送終了後、録音で放送していた。特に2008年9月2日未明(1日深夜)は通常番組の終了後、全国盲学校野球大会決勝戦(1時から)の録音中継を放送するため2:46まで放送時間を延長した。
例外的に高校野球の地方大会を放送することもある。
2008年4月から2012年3月まで、名古屋局を中心に、愛知、岐阜、三重、静岡県下の各局では早朝と深夜(全国編成の放送開始前と終了後)にポルトガル語の時間という番組を放送していた[注 2]。
過去には、8時と20時のNHKニュース(定時ニュース)が、ラジオ第1ではなく、ラジオ第2で放送されていた[2]。
年度 | 放送開始 | 放送終了 |
---|---|---|
2000年度上半期まで | 毎日 5:30 | 毎日 翌0:00 |
2000年度下半期から2006年度まで | 月・日曜 翌0:00 火曜 翌1:35 水 - 土曜 翌1:40[注 3] | |
2007年度上半期[注 4] | 毎日 6:00 | 月・日曜 翌0:40 火 - 土曜 翌1:00 |
2007年度下半期から2009年度まで | 月・土・日曜 翌0:40 火 - 金曜 翌1:00 | |
2009年度 | 月・火・金 - 日曜 翌1:00 水・木曜 翌0:40 | |
2010年度から2013年度上半期まで | 月・火・金 - 日曜 翌0:40 水・木曜 翌0:20 | |
2013年度下半期 | 月 - 土曜 翌0:40 日曜 翌0:10 | |
2014年度から2016年度まで | 月 - 土曜 翌0:40 日曜 翌0:20 | |
2016年度 | 月 - 土曜 翌0:40[注 5] 日曜 翌0:35 | |
2017年度 | 月 - 土曜 翌1:00 日曜 翌0:20 | |
2018年度から2023年上半期まで | 月 - 土曜 翌0:40 日曜 翌0:30 | |
2023年度下半期 | 月 - 金曜 23:40 土曜 23:55 日曜 翌1:00 | |
2024年度から | 月 - 土曜 23:40 日曜 翌0:00 |
放送機器メンテナンス実施日は曜日に関係なく連日で23:40あるいは翌0:00に終了し、特に2018年度以降現在は23:40に終了する[注 6][3]。
将来的にラジオ第2が閉局されてAMは1波になることが示唆[7][8]され、2021年1月13日に2021年度から3か年の経営計画を決定し、2025年度を目途に現在のAM2波から1波へ整理・削減を検討して[9]当初は2025年度に廃止を予定した。
経営委員会が2025年度末の完全閉局に向けて民意を取りまとめ、国会承認後に廃局を正式決定し、完全廃局を2026年度[10]に予定する。
ラジオ第2放送の閉局へ向けた実証実験を兼ねて、2022年春の改編から試験的に、6時台(月 - 金曜)の英語語学講座番組「中学生の基礎英語 レベル1・2」 「中高生の基礎英語 in English」の当日初回放送分を、FM放送と同時放送する[11]。2023年度は「ラジオ英会話」「ラジオビジネス英語」の2番組を7時台に追加する[12]。
NHK高校講座アーカイブが2023年9月10日未明(9日深夜)に終了し、同日午後から月 - 土曜は日付(翌0時=24時)をまたがずに放送を終え、日曜深夜(月曜未明)のみ翌日に放送終了する。
2024年度[6]は日曜のみ24時、他は23:40でラジオ第2を終了し、2000年9月以来23年半ぶりに全曜日とも当日中に終了し、外国語講座番組のFMでの放送言語に、「まいにち中国語」と「まいにちハングル講座」が加わるほか、英語講座番組も「ニュースで学ぶ「現代英語」」が新たに加わり、23時半 - 25時(翌1時)に集中放送する。これまで6時台にラジオ第2と同時放送していた「中学生の基礎英語」シリーズ3本については、FMでの5時から順次放送分が初回となり、ラジオ第2の初回放送に当たる6時台はチャンネルを変えた実質再放送となる。
総務省告示基幹放送普及計画に、中波放送は「協会の放送については、総合放送及び教育放送各1系統の放送(中略)が全国各地域においてあまねく受信できること。」と規定されており、この「教育放送」がラジオ第2で全国放送を基本とする。 このため告示基幹放送用周波数使用計画に親局たる東京以外は全部中継局と位置づけられているが、非常時等に備え自局放送設備を有する。広域放送を基本とするため、ラジオ第1以上に整理・統廃合が行われている。
ブロック | 放送局 | 呼出符号 | 周波数 (kHz) | 空中線電力 (W) | 放送開始日 |
---|---|---|---|---|---|
北海道 | 札幌 | JOIB | 747 | 500k | 1945年 | 9月 3日
函館 | JOVB | 1467 | 1k | 1949年 | 1月 3日|
旭川 | JOCC | 1602 | 1k | 1950年 | 4月25日|
帯広 | JOOC | 1125 | 1k | 1950年 | 4月25日|
釧路 | JOPC | 1152 | 10k | 1950年 | 4月25日|
北見(網走送信所)[注 8] | JOKD | 702 | 10k | 1950年 | 3月25日|
室蘭 | JOIZ | 1125 | 1k | 1952年 | 4月20日|
東北 | 仙台 | JOHB | 1089 | 10k | 1945年 | 9月 1日
秋田 | JOUB | 774 | 500k | 1946年 | 9月15日|
山形 | JOJC | 1521 | 1k | 1948年12月 | 1日|
盛岡 | JOQC | 1386 | 10k | 1950年 | 3月25日|
福島 | JOFD | 1602 | 1k | 1951年 | 6月 1日|
青森 | JOTC | 1521 | 1k | 1951年 | 7月 1日|
関東・甲信越 | 東京 | JOAB | 693 | 500k | 1931年[注 9] | 4月 6日
長野 | JONB | 1467 | 1k | 1948年11月11日 | |
新潟 | JOQB | 1593 | 10k | 1946年 | 9月 1日|
甲府 | JOKC | 1602 | 1k | 1950年 | 4月25日|
東海・北陸 | 名古屋 | JOCB | 909 | 10k | 1933年[注 9] | 6月26日
金沢 | JOJB | 1386 | 10k | 1947年 | 8月21日|
静岡 | JOPB | 639 | 10k | 1946年 | 9月 1日|
浜松[注 10] | [注 11] | 1521 | 1k | 1948年12月 | 2日|
福井 | JOFC | 1521 | 1k | 1948年12月 | 1日|
富山 | JOIC | 1035 | 1k | 1949年 | 1月 3日|
近畿 | 大阪 | JOBB | 828 | 300k | 1933年[注 9] | 6月26日
中国 | 広島 | JOFB | 702 | 10k | 1945年 | 9月10日
岡山 | JOKB | 1386 | 5k | 1946年 | 9月 1日|
松江 | JOTB | 1593 | 10k | 1946年 | 9月 1日|
鳥取 | JOLC | 1125 | 1k | 1950年 | 4月25日|
山口(防府送信所)[注 12] | JOUC | 1377 | 5k | 1951年 | 6月 1日|
四国 | 松山 | JOZB | 1512 | 5k | 1946年 | 9月 1日
高知 | JORB | 1152 | 10k | 1948年12月 | 1日|
高松 | JOHD | 1035 | 1k | 1958年 | 6月29日|
九州・沖縄 | 福岡 | JOLB | 1017 | 50k | 1946年 | 9月 1日
北九州 | JOSB | 1602 | 1k | 1947年 | 3月20日|
熊本 | JOGB | 873 | 500k | 1945年 | 9月 1日|
長崎 | JOAC | 1377 | 1k | 1949年 | 7月20日|
鹿児島 | JOHC | 1386 | 10k | 1948年12月31日 | |
宮崎 | JOMC | 1467 | 1k | 1950年 | 3月25日|
大分 | JOID | 1467 | 1k | 1950年 | 4月25日|
沖縄 | JOAD | 1125 | 10k | 1972年[注 13] | 6月25日
ラジオ第2は、全国共通編成を前提としているため、ラジオ第1のような県単位、圏域ブロックによるネットワークではなく、東京・札幌・秋田・熊本(以上いずれも500kW)、大阪(300kW)の5局で全国を網羅的にカバーし、それ以外の放送局、中継局がそれらを補完する特殊なネットワークを形成している。そのため、同一エリアにおいての送信出力が第1放送より小さい(例:福岡:第1放送:100kW 第2放送:50kW、名古屋:第1放送:50kW 第2放送:10kW、函館・帯広・青森・山形・甲府・長野・富山・福井・高松・大分・長崎・宮崎:第1放送:5kW 第2放送:1kWなど)、もしくはその逆(例:東京:第1放送:300kW 第2放送:500kW、秋田・熊本:第1放送:10kW 第2放送:500kWなど)のケースがある。大阪第2放送のカバー下にある徳島と、熊本第2放送のカバー下にある佐賀にはそれぞれ第1放送しかなく第2放送が存在しない(かつては両局とも第2放送が存在していた。廃止理由は前項参照)[注 14]。このような体制になっている理由は「海外からの電波との混信があるため」「大災害が起きた場合、上記4局と大阪局の5局で全国に電波を届けるため」といった理由がある。
ラジオ第2の中継局は、1972年に沖縄本島と同時に宮古島と石垣島に中波による中継局が設置され、2003年に同じく沖縄の西表島西部と与那国島に近隣諸国における中波混信対策としてFM中継局が設置された(与那国島はラジオ第1と同時に設置)。2012年度には新たに長年ラジオ放送の受信が困難とされていた小笠原諸島の父島・母島にラジオ第1放送・FM放送と合わせて設置された(3波ともFM波。2013年3月31日開局)[13][注 17]。FMによるラジオ第2中継局は、現在6局(沖縄の祖納・与那国両中継局、小笠原諸島の父島・母島両中継局、奄美群島の徳之島・与論両中継局)のみ存在している。
教育・教養番組ではないものの、気象庁の持込原稿による番組「気象通報」がラジオ第2放送で放送されている理由は、上記のように一部局で500kWの大出力の電波を送信しているためである(委託番組のため、NHKは原稿内容に対する責任を負わない)。現在は、通信衛星受信設備を装備している船舶が増えたものの、ラジオ第2放送の同番組を利用している船舶もあり、引き続き放送されている。国内放送を担当する放送総局の依頼によってNHKワールド・ラジオ日本の外国語ニュースが放送されている理由も、大出力であり、より遠くに伝播するからであるが、これはあくまで国内放送であり、国内在留の外国人や日系人などを対象としたものである。
ラジオ第2は、全国共通編成であるため、各局のID以外、地域放送を一切実施しない。ただし北海道では送信場所を問わず札幌局から送出されている(1990年代前半頃より)。
2011年9月1日から「NHKネットラジオ らじる★らじる」によって、インターネット経由でも聴取が可能となっている。時報、緊急地震速報(自動音声のみ)は配信されない。2017年10月2日 - 2018年3月30日(一部地域)・2018年4月12日 - 2019年3月29日(全国)の期間、民放サイマル配信サービス「radiko」でも試験配信を実施していたが[14][15][16]、同様に試験配信されていたラジオ第1とFMが2019年4月1日より正式サービスに移行したのに対し、ラジオ第2のみ移行せず試験配信をもって終了した[17][18]。
(平日の場合)
ラジオ第2では、震度6弱以上の地震および津波注意報、津波警報発表時や緊急警報放送実施時に他波との同時放送(全中)を行い、その後は英語・朝鮮語・中国語・ポルトガル語の4言語で情報を提供する。同じ内容が総合テレビの副音声やNHKワールドTV、NHKワールド・ラジオ日本でパラレル送信される場合もある。これによって放送されなかった番組は、後日、スケジュールを調整して振替放送される。こういった場合、各番組の本編終了直前にも振り替え放送に関するお知らせを放送する。この他、緊急地震速報についても放送されることになっている(Eテレも同様)。
気象通報及び株式市況は振替放送されない。気象通報は気象業務法により毎日の放送遂行が義務付けられており、全中の場合のみ中止が許されている。株式市況はBS1の『東京マーケット情報』[注 22]およびデータ放送で代替が可能なためである。
実際例として、以下のようなケースがある。
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