Jリーグ準加盟クラブ

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Jリーグ準加盟クラブ(ジェイリーグじゅんかめいクラブ)とは、2006年から2013年まで存在した、日本フットボールリーグ (JFL) 以下のカテゴリに所属しつつ、公益社団法人日本プロサッカーリーグから日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の正会員に準じる資格を与えられたクラブである。

概要

2000年代初めになるとJFL以下のカテゴリのサッカークラブの中から、Jリーグ参入を目指すクラブが拡大したことを受けて、2005年10月に、日本サッカー協会 (JFA) が設置した「Jリーグ将来構想委員会」で将来的なJリーグ参入を目指すJFL以下のサッカークラブに対する準会員制度の復活が提唱された。旧「準会員」がJFLクラブ限定だったのに比べると、新「準加盟」はJFLだけでなく広くJリーグ入りを目指そうとする地方のクラブにも門戸を開放した形となった。

2006年からJFAおよび日本プロサッカーリーグでは、将来的なJリーグ入会を目指すサッカークラブが入会基準をクリアし、安定したクラブ運営ができるよう支援することを念頭に、随時Jリーグ準加盟申請を受け付けることになった。それと同時に年1回Jリーグセミナーを開催し、Jリーグ入会に必要となる情報の提供・交換の場を設けた。

年4回の審査によりJ2リーグ入会の条件を満たすか、あるいはそれに準ずるクラブに対し、準加盟クラブと称することを認定している。準加盟を希望するクラブは4月、7月、10月、翌年1月のそれぞれ10日までに必要な書類をJリーグに郵送で提出し、翌月(5月、8月、11月、翌年2月)の理事会での審査・承認を得なければならない[1]。ただし、2013年度までは、最短準加盟承認翌年度のシーズンにJ2昇格を目指すには、ライセンス申請の都合上、事実上遅くとも1月10日までに準加盟申請をしなければならなかった。なお、現在の百年構想クラブに改定されてからは、申請期間は準会員制度の初期(1993年 - 1995年)と同じく年1回・前年11月までの締め切り分のみが審査の対象となった[2]

準加盟資格獲得の条件

要約
視点

準加盟を希望するクラブは、以下の諸条件を満たした上でJリーグに準加盟を申請し、Jリーグの審査をクリアすれば準加盟が認められる。以下は2012年9月1日改訂の規定に基づく[3]

  • 協会、Jリーグの諸規程を遵守すること。
  • 法人格について、以下の要件を満たすこと。
    • 日本法に基づき設立された公益法人特定非営利活動法人[注 1]、または発行済株式総数の過半数を日本国籍を有するものが保有する株式会社であり、1年以上の運営実績があること。
    • 上記の法人は、サッカークラブの運営を主たる業務としなくてはならない。
    • クラブの経営状態が適正であること。
    • 常勤役員1名以上、常勤スタッフ2名以上。
      • 財務管理体制が確立されていること。
      • 取締役にホームタウンに在住・在勤・在学する人物を最低1名以上は保有していること[4]
  • 各クラブのホームタウンについて、以下の要件を満たすこと。
    • 将来Jリーグを目指すことを、所属する都道府県協会が承認している。
    • ホームタウンの自治体が、Jリーグを目指すクラブを支援する姿勢を文書で示している。
    • 一度決定、または予定していたホームタウンを原則Jリーグ正会員(J3リーグ会員[注 2])として加盟するまでの間は変更(移転・複数自治体との広域化)することができない[4]
  • ホームタウン内に下記の要件を満たす「特定スタジアム」を確保できること。
    • 「特定スタジアム」はJリーグ入会までにリーグの要求するスタジアムスペックをすでに満たしているか、将来的に満たすことができるように新設、ないしは改修可能であること。
    • かつ、準加盟申請クラブがJリーグ入会に際して、クラブライセンス交付規則に定める基準を満たすホームスタジアムを自治体が整備する必要であることを認識して、整備に向けて取り組む意向があることを文章で示していること[4]
  • JFL・地域リーグまたは都道府県リーグに参加していること。
  • 相当数の企業の支援が得られる見込みがある。
  • 練習場を確保していること。特にトップチームの練習会場が天候・日時を問わず常に確保できる状態であること。屋内・屋外の種別は問わず[4]
  • 都道府県リーグ所属クラブは、JFAの「Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置」の利用を具体的に計画していること(これは2011年廃止)。
  • 育成組織(ユース、またはジュニアユースチーム)の保有義務付け、ならびに1年以上サッカースクール・クリニックの開催実績があること[4]
  • Jリーグが定めた定款が適切、かつ適正に整備されていること[4]
  • その他Jリーグが必要と認める事項を満たすこと。

なお、2012年度からJリーグ準加盟のJFLクラブがJ2リーグに昇格するに当たり、J2から降格するクラブについては、収入の減少による経営環境の悪化を考慮して、経営の状況に応じて運営費の助成を行う制度を設けることになり、その第1号として、J2リーグからJFLに降格・準加盟となった町田ゼルビアに対し、5000万円を助成することになった[5][6]

準加盟クラブのJリーグ入会要件

2012年まで

準加盟クラブがJFLにおいて所定の成績(2006年[注 3] および2012年 - 2013年は2位以内[注 4]、2007年 - 2011年は4位以内[注 5])に入れば、J2入会資格を得る。

なお、J2からJFLに降格した場合はJリーグ正会員資格を喪失したものとみなされ、JFLへは「Jリーグ準加盟への復帰」の扱い[5] で戦うことになる。一部のマスコミではJFL降格クラブについて、「Jリーグ加盟のライセンスの一部を取得しているため」との解釈で、区別のため「Jリーグ準会員」とする件[7] があったが、Jリーグの公式サイトではJFLに降格したクラブも「Jリーグ準加盟」[8] として扱い掲載している。

なお実際に昇格可能かは、準加盟とは別に正式加盟のための本審査(平年秋季に実施)を受けた上で判断される。またその前に行う予備審査(平年夏季に実施)でJリーグの基準を満たしていない場合は是正を促すが、その是正が本審査前までには不可能であり本審査を行なうに値しないと判断された場合は、本審査を受けられず事実上翌年からのJ2昇格が不可能となる。また2013年以降については、Jリーグ入会のためにはクラブライセンスの取得が必須となり、正式加盟の可否はこの基準によって判断される。

このため、準加盟が認められたからといって、成績面でのJ2昇格案件を満たしてもこのクラブライセンスなどにより昇格・入れ替え戦参加が認められない場合もある。準加盟が認められ、成績要件を満たしながら昇格の権利を得られなかったチームとしては、FC町田ゼルビア(2010年、成績要件を満たしながらスタジアムの問題から予備審査段階で加盟申請断念)とAC長野パルセイロ2012年2013年、スタジアムの問題からクラブライセンス[注 6] の申請を行わず)の例がある。

2013年度

2013年は翌年発足予定のJ3リーグへの参加条件として準加盟を必須としたことから、多数のクラブが準加盟申請を行い、承認された。そのうえで、J3参加については、J3の開催スタジアムとライセンス取得に必要な運営面での審査(次項以後後述)、並びに所属するリーグの成績(順位としてはJ2の成績<自動降格によるJ3配属クラブ>→J2・JFL入れ替え戦の結果による敗戦クラブ<J3配属クラブ>→2013年JFLのリーグ成績→地域リーグ決勝大会決勝リーグ進出→同大会予選リーグ進出…)を参考とし、それらの上位から順番にチーム数を割り当て、最終的に第1回J3リーグに参加するチームを決定した。

なお、J3リーグ発足当初は、それに参加するクラブについては「Jリーグ準会員」[注 7] の資格を付与する[9] ことを想定していたが、2014年の発足以後、J3加盟クラブも正会員(J3会員)と位置付けることになったため、J3昇格(参入)のできなかった旧準加盟相当クラブに対しては2014年以降「Jリーグ百年構想クラブ」の位置づけが与えられることになったが、機能は全く同じであり、名称だけが変更されただけである。そのため、現在の「百年構想クラブ」でも「準加盟(準会員)」と位置付ける記述も散見されている[10]

準加盟が承認されたクラブ

要約
視点

クラブ名、所属リーグ及びホームタウンは申請時点。継続審議となったものについては最終結論のみ記す。

  • 備考
    •   2024年シーズン時点でJリーグ所属のクラブ
    •   2024年シーズン時点でJFL所属のクラブ
    •   2024年シーズン時点で地域リーグまたは都道府県リーグ所属のクラブ
さらに見る クラブ名, 所属リーグ ...
クラブ名所属リーグホームタウン申請年月日審議・承認日Jリーグ
入会年度
備考
ロッソ熊本JFL熊本県熊本市2006年6月23日2006年8月15日[11]2008年現クラブ名:ロアッソ熊本
栃木SC栃木県宇都宮市2006年7月2007年2月20日[12]2009年
FC岐阜岐阜県岐阜市2007年1月2007年3月16日[13]2008年付帯事項付承認[注 8]
ガイナーレ鳥取鳥取市倉吉市
米子市境港市を中心とする鳥取県全県
2007年2月20日[12]2011年
ファジアーノ岡山FC中国岡山市倉敷市津山市を中心とする岡山県全県2007年7月2007年8月21日[14]2009年
カターレ富山JFL富山市を中心とする富山県全県2008年1月2008年2月19日[15]
ニューウェーブ北九州福岡県北九州市2010年現クラブ名:ギラヴァンツ北九州
FC町田ゼルビア東京都町田市2009年1月2009年2月17日[16]2012年[注 9]
V・ファーレン長崎諫早市長崎市を中心とする長崎県全県2013年
SC相模原神奈川1部神奈川県相模原市2010年1月2010年2月16日[17]2014年
松本山雅FCJFL長野県松本市[注 10]2012年
ツエーゲン金沢金沢市野々市市かほく市
津幡町内灘町を中心とする石川県全県
2012年11月16日[18]2013年2月26日[8]2014年3回目の申請[注 11]
カマタマーレ讃岐高松市丸亀市を中心とする香川県全県2010年12月18日2011年2月15日[20]
AC長野パルセイロ長野県長野市[注 12]2011年11月30日[21]2012年7月23日[22]
ブラウブリッツ秋田秋田市にかほ市
由利本荘市男鹿市を中心とする秋田県全県
2012年11月30日[23]2013年2月26日[8]
レノファ山口中国山口市を中心とする山口県全県2013年6月10日[24]2013年8月20日[25]2015年
グルージャ盛岡東北1部岩手県盛岡市[26]2013年6月17日[27]2014年現クラブ名:いわてグルージャ盛岡
横浜スポーツ&カルチャークラブJFL神奈川県横浜市2013年6月27日[28]
福島ユナイテッドFC福島市を中心とする福島県全県2013年6月25日[29]2013年9月17日[30]2回目の申請[注 13]
FC琉球沖縄市を中心とする沖縄県全県2013年6月26日[31]3回目の申請[注 14]
奈良クラブ関西1部奈良市を中心とする奈良県全県2013年6月20日[32]2023年
tonan前橋関東1部群馬県前橋市2013年6月27日[33]2013年9月17日[30]-2019年に「百年構想クラブ」脱退[34]
ヴァンラーレ八戸東北1部青森県八戸市十和田市五戸町2013年6月28日[35]2013年9月17日[30]2019年
藤枝MYFCJFL静岡県藤枝市島田市焼津市
牧之原市吉田町川根本町
2013年6月28日[36]2014年
アスルクラロ沼津東海1部静岡県沼津市2013年6月28日[37]2017年
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    準加盟を申請しながら承認されなかった申請クラブ(特記なきものは継続審議)
    クラブ名所属リーグホームタウン申請年月日備考
    MIOびわこ滋賀JFL滋賀県草津市東近江市[38]2013年6月27日[39]現クラブ名:レイラック滋賀FC
    ヴィアティン桑名三重2部三重県桑名市2013年6月28日[40]書類不備により申請不受理[41]
    現クラブ名:ヴィアティン三重
    2020年に「Jリーグ百年構想クラブ」として承認[42]
    栃木ウーヴァFCJFL栃木県栃木市[38]2013年6月28日[43]現クラブ名:栃木シティFC
    2014年に「Jリーグ百年構想クラブ」として承認[44]
    FC鈴鹿ランポーレ東海1部三重県鈴鹿市[38]2013年6月28日[45]現クラブ名:アトレチコ鈴鹿クラブ
    2021年に「Jリーグ百年構想クラブ」として承認[46]
    2022年に百年構想クラブ資格喪失[47]
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    脚注

    参考文献

    関連項目

    外部リンク

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