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L'Arc〜en〜Cielのアルバム ウィキペディアから
『AWAKE』(アウェイク) は、日本のロックバンド、L'Arc〜en〜Cielの10作目のアルバム。2005年6月22日発売。発売元はKi/oon Records。
『AWAKE』 | ||||
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L'Arc〜en〜Ciel の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 2004年 - 2005年 | |||
ジャンル |
ポップス ロック | |||
時間 | ||||
レーベル |
Ki/oon Records (日本盤) Tofu Records (米国盤) | |||
プロデュース |
L'Arc〜en〜Ciel 岡野ハジメ | |||
チャート最高順位 | ||||
ゴールドディスク | ||||
L'Arc〜en〜Ciel アルバム 年表 | ||||
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『AWAKE』収録のシングル | ||||
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前作『SMILE』以来約1年3ヶ月ぶりとなる10枚目のスタジオ・アルバム。
本作には、2005年にアルバムに先行して発表したシングル「Killing Me」「New World」「叙情詩」の表題曲や、2004年6月に発表した「自由への招待」の表題曲を含めた12曲が収められている。なお、本作のマスタリングは、前作『SMILE』に引き続き、U2の『ポップ』やニルヴァーナの『ネヴァーマインド』のマスタリングを務めたエンジニアであるハウィー・ウェインバーグ(Master Disk)が担当している。
このアルバムは、L'Arc〜en〜Cielのスタジオ・アルバムとしては過去最多の収録曲数かつ過去最長の収録時間[注 2]の作品となっている。前作までのスタジオ・アルバムの収録曲数は、人間の集中力が持続する時間を考慮し、10曲もしくは11曲にすることが基本だったが、本作では初めて12曲が収録されている。tetsuyaは、今回収録曲数を増やした経緯について「12曲でもダレずに聴かせられるようになったから」と語っている。また、hydeは「俺らレコード世代ですから、アルバム1枚に10曲っていうのに結構こだわりがあったんですけど。でもね、考えてみたら、実際にメンバーみんなが聴いてるのも、もうすでにほとんどがCDだったりして。やっと10枚目にして、時代の波に合わせたといえる(笑)[3]」と発売当時のインタビューでコメントしている。
ちなみに本作は、前作『SMILE』に続き海外でもリリースされている。また、日本でのリリースから約3ヶ月後の2005年9月20日には、ソニー・ミュージックエンタテインメントがアメリカ向けに設立したレーベル、Tofu Recordsから米国盤がリリースされている。この米国盤にはボーナストラックとして、13曲目に「HEAVEN'S DRIVE (live at Yoyogi National Stadium June 26, 2004)」が収録されている。
L'Arc〜en〜Cielにとって久々のライヴツアー「SMILE TOUR 2004」を経て、本作の制作が開始された。こういった背景もあってか、今後開催するライヴを想定し、演奏して映える楽曲を手掛けようという意識でアルバム制作が行われている。hydeは、今回の楽曲制作の方向性について「L'Arc〜en〜Cielっていうバンドで、どういう曲を出したらカッコイイかなぁとかいうのを念頭に置きながら、曲を作ったんですけど。あとはやっぱり…ライブで盛り上がる曲がいいなとか。そういう気持ちで作っていきましたね[4]」「ライブで盛り上がるような曲を作りたいな〜。って、みんなもなんとなくあったみたい[5]」と述べている。kenは「去年『SMILE』のツアーのあと、ボルチモア(米国)でライブをやって、日本に帰ってきて1ヶ月ぐらい作曲期間があったのかな。でも、その間にS.O.A.P.(=SONS OF ALL PUSSYS)の武道館があったり…って、ライブが続いていたし、それ以前からの流れもあるけど、"ギターを一所懸命弾く"みたいなモードでやってた時期だったから。爆音で聴いて気持ちいい曲というものを、自然に作ってたかなとは思う[6]」と述懐している。
また、本作においてhydeが手掛けた詞世界は、<愛と平和>がひとつのテーマとなっている[5]。そのため、hydeの中にある反戦や平和といった思想、そして現代社会のあり方に対する思いがリリックに多く反映された作品に仕上げられている。本作発売当時のインタビューで、音楽ジャーナリストの鹿野淳に「なぜこのテーマに惹かれたのか」と聞かれた際、hydeは「無償の愛に気づいたからじゃないですかね、めちゃくちゃ臭いっすけど(笑)。無償の愛、そういう存在があるっていうことを知って、もうそれ以外の言葉を歌にするのは凄くつまらなかったっちゅうか。次のアルバムではまた違うテーマに興味が出て来るんだろうけど、今は本当にそれ以外に興味がないんですよね[7]」と理由を語っている。また、hydeは、内省的なリリックが多くなった背景について「深く自分を突き詰めていくと、そこしかなったんですよ、もう。それ以外のテーマは、すごく自分の中でリアリティがないというか、くだらなく感じて。書いてても全然感動しないし、うそを書いてる気がしちゃう。なんか絵空事で、自分の中に言葉として響かないんです。響く曲をなるべくつくりたいなと思ってたから、それ以外に響くものがあれば、当然それに向かって書いたと思うんですよ。でも今回は、それ以外が感性に響かなかった[8]」と述べている。余談だが、本作の制作が本格的に始まった2004年9月の約1年半前に、アメリカを中心とした有志連合がイラクに軍事侵攻したイラク戦争が勃発している。
ちなみにhydeは、"芸術の力"や"音楽の力"と言われるような時代や心理を変えていく意識で今回の作詞作業をしていたわけではないと述べている[9][10]。hydeは「そこ(芸術の力)に関しては俺はどこか冷めてますよ。芸術が世界に対して何かをできるっていうことは俺にはあんまりわかんない。(中略)…ただ、言わずにいられなかったっていうだけ[9][10]」「押し付けがましいものは何もないんです[11]」と本作発売当時のインタビューで語っている。また、hydeは「べつにこのアルバムを聴いてもらったからって、世界が変わるなんてね、これっぽっちも思ってないけど。そんな、音楽にそこまで力があるっていうのが俺にはわかんないから。そういう運動とかあるみたいだけど。なんか、なにもそんな、信じられるものなんてないっていうか。今までだってそんなことやってきてるはずだし。でも、それによってなにか変わったかっていうのは、俺はリアルにはわかんないから。でも、うーん、言わずにいれなかったって感じかな。そういうベースがあるからこそ、"叙情詩"も、悲しい詞と思えば悲しい詞になるし、その中で存在してる永遠の愛っていうのは、すごく悲しいと捉えられる。やっぱりヴォーカリストがちゃんと詞を書いて歌を歌うっていう行為は、一番リアルだと思うんですよ。人が書いた詞を歌うっていうのは、やっぱりその人の感性を代弁してるっていう感じだから。それが悪いって意味じゃないけど[12]」と述べている。なお、kenは本作の印象について「お手紙みたいな気分[13]」と表現している。
こういった背景があり、本作はこれまでにL'Arc〜en〜Cielが発表してきたアルバムと比べ、ひとつのテーマに沿った歌詞がのせられたコンセプチュアルな作品となった。hydeは、今回自身が手掛けた歌詞の世界観について、「自分の中で考えることが一つだったっていうのがあるかもしれないですね。精神的なものに、一つのテーマっていうか、一貫したものがありました[8]」「コンセプトアルバムではないけど、僕は方向的には同じところを目指してたから。だから枝葉は違うけど、幹は一緒みたいな感じかな[14]」と本作発売当時のインタビューで述べている。
『AWAKE』の録音作業は、2004年9月頃から翌2005年4月頃まで行われており、先行シングル3作品のレコーディングを挟みながらアルバムが制作されている。また、アルバムに向けた曲作りは、2004年7月31日にアメリカ・ボルチモアにあるファースト・マリナー・アリーナで開催した「Live in USA」の公演終了直後から開始したという[4]。なお、今回の制作では、個人での曲作りの期間をかなり長めにとっていたという。hydeは今回の曲作りを振り返り「レコーディングの準備期間とかも長くとってたし、発売日も未定で作り出したんで。結構のんびりしたスタートだったというか。のんびり…っていうより、より時間をかけたって印象かな。だから、それぞれから曲もいっぱい集まった[4]」と述べている。ちなみにtetsuya曰く、本作のレコーディングに向けた選曲会では各メンバーから合計20曲ほどのデモが提出されたという[15]。なお、tetsuyaは本作発売当時のインタビューで、集まったデモ音源を聴いたときに感じた思いについて「今回みんな本当にいい曲だよねって思いましたね。それはとても嬉しかった[16]」と述べている。そして前述の期間中に制作された楽曲に、2004年6月に発表した「自由への招待」を加えアルバムが完成している。余談だが、本作をレコーディングするタイミングで、2005年7月に発表されることになったシングル「Link」の収録曲も録音作業が行われている。
また、本作の制作では、従来のレコーディングに比べ、バンド4人でリハーサルを重ねる期間も長くとったという[4]。さらに、アルバムに収録する楽曲を選曲する際は、各メンバーが制作したデモ音源を聴いて決めるのではなく、メンバー全員で候補曲を実際に演奏したうえで決定している[4]。本作のレコーディングを振り返り、hydeは「選曲した後も、レコーディングまでにその曲をさらに煮詰めるって作業をまたしてたんで。結構、回りくどいと言えば回りくどい方法だったんで、結果的にちょっと時間がかかっちゃったんだけど。まぁ、たまにはいいんじゃないですかね、そういうのも。ホント、こんだけ、前準備に時間をかけたのは久々でしたからね[4]」と語っている。ちなみにyukihiroは、今回のアルバム制作について「強いて言うなら『HEART』に近い」と述べている[6]。このyukihiroの印象を踏まえ、kenはレコーディングを振り返り「前は曲を中心にしてL'Arc〜en〜Cielがつながっていたような部分を感じてたんだけど、今回は4人全員が作曲をした上で、L'Arc〜en〜Cielとして曲を吐き出してるっていう感触のほうが大きくなった。そういう意味では『HEART』は後者に近い…かな。曲ができたからこそ4人が固まってるっていう感じがあったのが『SMILE』だとしたら、今回は4人が固まっていた上で、作った曲を出すというか[6]」と述べている。
本作の音楽性としては、L'Arc〜en〜Cielがこれまでに確立したポップ・ミュージックが基本にありながら、オルタナティヴ・ロックやポップ・パンク、インダストリアルなど、様々な要素が採り入れられている。ちなみに本作には、hydeに作曲クレジットが付いた楽曲が全12曲中6曲収録されており、hyde作曲の楽曲が最も多く収録されている。なお、hydeが作曲を手掛けた「My Dear」と「Ophelia」の2曲のデモ音源は、2001年にhydeがソロ名義で発表した1stアルバム『ROENTGEN』に収録することを想定し制作されており[17]、ソロ名義で発表する次の作品のためにストックしていたものだったという。ただ、2003年以降、hydeのソロワークスが大きく音楽性を転換することになったため、同年発表の2ndソロアルバム『666』の方向性と合わないという理由により、この2曲は本格的なレコーディングが行われなかったという。その後、hydeがこの曲をL'Arc〜en〜Cielとして発表することを考え、選曲会に提出したという。このように、『ROENTGEN』の続編に収録する予定で原型を制作していたこともあり、この2曲には『ROENTGEN』のコンセプトである"家でゆったり聴ける音楽"の雰囲気が内包されている[18]。ちなみにhyde曰く、『ROENTGEN』のレコーディングでは、自身が好んで聴いていたデヴィッド・シルヴィアンやスティーナ・ノルデンスタム、スザンヌ・ヴェガ、スティングといった[18]、ジャズやアンビエント、ニュー・ウェイヴ、アート・ロックなど、バンドとして作ってきたロック以外に傾倒した音源制作を目指していたという。今回L'Arc〜en〜Cielの選曲会にこの2曲を提出したことについて、hydeは「作曲ノルマが足らなかったから裏技を使った」と述べている[17]。hydeはその理由について「まぁ言い訳すると、自分の中での判断基準が昔とは全然違うところに来てるなっていう気がしてます。昔だったらもっと下のレベルで曲出してたなぁっていう…当時は精一杯作ってるつもりだったんですけど、自分の作った曲に対してディレクションができてなかった。曲の良い/悪いについての自分の中における判断のレベルが低かったというか…今考えるとそう思うんですよね。どうしてこの状態で曲を出してたんだろうな?って思うし。―― まぁそういう曲は当然ボツになってたんですけど、ラルクの中ではね。今はそれをみんなに提出する前に、自分で判断できるようになってるんですよ。ソロをやった時に、判断を自分でできないと曲を発表できないし製作できなかったんで、そういう部分が自分に備わって来たんだと思う。…うん、それが大きいっすね。だから今って、曲作ってても"ああ、これじゃダメだ"って自分でボツばっかり出しちゃって、なかなか提出する曲ができないんです(笑)。作るのが遅くなったというより、判断基準が高くなってるから、その分また曲ができなくなったという謎の迷宮に入ってる感じです(笑)[19]」と語っている。
また、前作『SMILE』から引き続き、今回もリフ中心でギターが構築されている[6]。本作に収録された楽曲のギターアプローチについて、kenは「他のメンバーの曲も重ねて成り立たせるような感じにしようかなっていうアイディアよりも、ギターもリフっぽくというか、1本でガッツリ弾くようなアレンジを好むというか、キーボードの量を減らすような方向の意見が出ていたから。たとえば「Killing Me」なんかもそうだったし。だから自分の思ってた部分もあるし、他のメンバーからの要望でそうなっていった面もある[6]」「リフものが多かったぶん、自分が思ってるところよりも一段低い位置でギターの音を作っていって、それを弾く、という感じだったから。わりとキラキラした感じの音色のものを足すことは少なかったかも[6]」と語っている。また、kenは今回の機材選びについて「アレンジを煮詰めていくときに欲しい音っていうのが大体は決まってきてる。そのときに、前だったらシングル・コイルとマーシャルっていう基本の中に収まってたけど、今回の曲から要望されるものに、そこからはみ出る部分っていうのがあって。たとえば「AS ONE」とかも、今までとは違うセッティングじゃないと、この曲が活きないなって、もうそこから思い始めたりしてた[6]」と述べている。さらに本作では、yukihiroのドラムのサウンド・アプローチで変化を感じることができる。これまでyukihiroはシャープでスピード感がありながらもキット感を出すため、比較的キックの音量を控えめにしていたが、今回はスネアとキックの音がこれまでよりも大きくなっている。こういったドラムのサウンド作りの変化に伴い、tetsuyaのベースの音量にも変化があったという。今回、ベースの音量をこれまでよりも小さめにしたことについて、tetsuyaは「ベースの音量については、『SMILE』からそうかもしれないですね。前はキックがあまり出てなかったんで、その分ベースを上げてたんで[20][21]」と述べている。
さらに、kenは本作を制作する前にカーペンターズやブラック・サバスを聴き直していたといい、これが音楽活動に対する姿勢に変化をもたらしたと述べている[22]。kenは、これまでの自身の作曲姿勢からの変化について「今までは"これがカッコいい"とかそういう気持ちでやってたんですけど。もっと誠意があった上でのカッコよさが欲しいなぁと。…あの、カーペンターズを聴いたんですよ、久しぶりに(笑)。凄えなと思って。アレンジの詰め方のカッコよさもあるんだけど、誠意が詰まってるように聴こえてきて。で、ブラック・サバスを聴いてもそういうふうに感じて(笑)。ヘヴィにすりゃカッコいいからってヘヴィにしてるんじゃなくて、誠意でヘヴィにしてるみたいに聴こえちゃって。こりゃあ俺らもそういうのがいっちょ欲しいなあと[22]」と語っている。また、kenは「アルバムの曲だしをやってる頃、最初はまだ血じゃない部分に目が向いて脳みそがぐるぐる回ってて。それが(2004年)9月くらい。で、やってるうちに、そんな姿勢でやってると面白くないなと思って。じゃあ面白くするにはどうしたらいいんだ?って漠然と考えてる時に、ぽっとカーペンターズが聞こえて。"ああ、この人達は売れたけど、きっと売れるために歌ってたんじゃねぇなあ"って聞こえちゃったんですよ。だから俺も自分の根本となるところを確認して、その気持ちでやんないといけないなというか、じゃないとつまんなくなるぞと。そういうふうに脳みそバッと切り替えた瞬間からは、100%runできたんです[23]」と述べている。さらにkenは、2004年にL'Arc〜en〜Cielとして久々にライヴツアーを行ったことも志向の変化に繋がったと示唆している。本作発売当時のインタビューにおいて、kenは「音楽を作ってその先はって言ったら聴き手っていうところなんですけど。ラルクでちゃんとツアー回ってアメリカ行ったりして、大きな仕掛けのこともやって。そうやって活動しようっていう時に、派手に遊ぶには誠意がないと帳尻が合わない気がして。今まで自然にやってたであろうことだけど、そこにもっと誠意を詰め込んだらもっと遊べんじゃないかなぁと。…っていうことかな。やっぱライヴとかで聴きに来てる人の顔を見たっていうのは大きいかもしれない[22]」と語っている。
本作に収録された楽曲にのせられた歌詞は、前述のようにhydeの思う<愛と平和>をテーマにしたものが多い。歌詞を書いていたときの心境について、hydeは「(『AWAKE』の詞を書いている間)いろんな感情はあったんですけど、基本的には"人間の愚かさ"みたいなものが凄く鼻に付いたんですよね。その愚かさを作ってるのも、自分を含めての今までの人の歴史であったり。当然いいことも山ほどあると思うんですけど、どうしても改善し切れない部分があるというか。それはどうすることもできない人間の本性なのかもしれないけど、そういう状況の中、これから生まれくる生命がそれを見るのが可哀想だなと思った。…そういう気持ちがメインかな[9]」「あきらめの中で目指す方向っていうか。たぶんオレはこのまま死んでいくだろうけど、変わんねぇよっていう開き直った生き方よりも、そういう状況でありながらも、こうあってほしいなと思いながら死ぬ。その方が、まだ夢があるじゃないですか[8]」と述べている。また、hydeは「"自分もその悪魔の一員なんだな"って思いながら書いてましたよ。俺、別に綺麗ごとだけを書いたつもりはなくて。ここには"僕自身も悪魔なんだ"ってことも含まれてるつもりで書いてたから。僕は神様でも何でもなくて。自然に悪いことはいっぱいしてると思うし、やっぱりどこか隣の火事は面白いっていうところはあるし。で、そういう少しの悪魔が集まって集団になることによって世界は動くんだろうなぁって気はちょっとしますね。小さい悪魔な部分が、人が集まることによって凄く巨大な悪魔になっちゃうのかもしれないなぁ…とか思いながら書いてました[24][25]」と語っている。
本作の出来栄えについて、hydeはアルバム発売後のインタビューで「人がどう捉えるのかわかんないけど、よくこんな内容の曲が世の中に流れてるなと思う。(歌詞の本質を)ちゃんと理解してるのは俺だけかもしれないけど…インタヴューとかラジオだと、あんまり深く言うのが嫌なんでラヴ&ピースって簡単に言っちゃうけど、僕の描いている世界観―― 戦争のことを中心に持ってきてたり宗教的だったりするような楽曲、それがテレビの歌番組とかで流れてるのが不思議だなっていうか、こういう曲が今の日本で流れてるのは異質な感じがする。最近だとミスチルが一番近い世界観だなと思うんですけど、他の人達はメインが恋愛とかだったりするじゃないですか[10]」「ラルク アン シエルの曲はキャッチーだから、パッと聴きの耳障りは悪くないと思うんですけど、深い部分で今回のは全然異質な曲だと思う。で、以前よりもどんどん現実化しているところ―― 抽象的なところはそんなに変わってないかもしれないけど、リアルな感じになってきてるところが、より異質な感じがするんですよね。きっと俺の世界観がリアルになればなるほど、より異質なものになって行くと思う[10][24]」と述べている。余談だが、hydeは本作の内省的なテーマをより深化させた作品として、2006年に3rdソロアルバム『FAITH』を制作している。
アルバムタイトルは従来通り、収録曲の作詞を一番多く手掛けたhydeが名付けている。アルバムタイトルの『AWAKE』は『目覚め』を意味しており、これはhydeの「本当の愛に目覚めてほしい[12]」という想いから付けられている。
アルバムタイトルを決めた経緯について、hydeは「本当にいちばん大切なのは、自分の家族のこととか、愛とかだと思うんですよ。本当に、誰しもがそうだと思う。でも、ついつい、いちばんじゃないもの…例えば、お金、とかね。そういうのをいちばんに考えちゃって、仕事をしちゃうとか。そういうところの矛盾にね、最近気がついたというか。今までも、漠然とはそういう気持ちはあったけど、そこにリアリティーがまったくなくて。自分ではリアルだと思ってたけど、今ほどリアルではなかったんだよね。でも今はなんか...すごく怖いなと思う[3]」「(自分の思いを次の世代に)残して伝えるっていうのは、今んとこちょっと僕には、リアリティーがないんですけど。ただ、すごくかわいそうだなって思っちゃうわけ。今の子たちは、俺たちなんかよりも、もっと重いものを背負っていくんじゃないかなとか、もっと危険な状態で未来に希望を持たずに生きていくんじゃないかなとか。そういうことのほうが、リアルかな。人間って、過去のことなんてすぐ忘れちゃうし。例えば、ちゃんとこういうことがあったんだよって、そんなのさんざん教科書で習ってきたけど、それが反映されてると思えないんですね。だから僕にとっては、そういうのは全然リアルじゃない。ただ、気づくってことは、まだ誰もしてないんじゃないかなって気がして。みんながね、その"いちばん大事なものに気づく"っていうこと。それがリアルなんじゃないかって。そういう思いは、ちょっとあったかな。で、タイトルが『AWAKE』になりました[3]」と述べている。
また、hydeは本作発売当時のインタビューで、タイトルに込めた想いについて「やっぱり自分が死んだあとも世の中は続いていくわけだから、その世界が幸福であってほしいじゃないですか。自分の世代では結果は得られないかもしれないけど、そういう結果しか現在の進む道はないっていうことに早く気づいて、違う方向に行ってほしいなぁって[26]」「人間がいなければ世界は平和なんて寂しいじゃない?[5]」と述べている。
ジャケットの表側のアートワークには、1998年に発表したアルバム『HEART』以来5作ぶりにL'Arc〜en〜Cielのメンバーの姿が登場している。本作のジャケットデザイナーは、L'Arc〜en〜Cielの作品のアートワークを多く手掛けている写真家、デザイナーのモート・シナベルによるもの。
L'Arc〜en〜Cielは、レコーディング期間中となる2004年12月25日に行われた所属事務所主催のライヴイベント「天嘉 参 -DANGER III-」に出演しており、翌2005年1月に発表するシングル「Killing Me」の表題曲をサプライズ披露している。
そしてL'Arc〜en〜Cielは本作発売の後、アルバムを引っ提げ、2005年7月28日にライヴ「AWAKE TOUR 2005前夜祭「今夜奇跡が起きる!?」」を開催している。このライヴは、ファンクラブ会員限定公演となっており、オールスタンディングで1,000人というキャパシティで行われている。ちなみに、この前夜祭の模様は、公演から約16年後となる2021年11月26日に、同年に開局30周年を迎えたテレビ局、WOWOWとバンドのコラボレーション企画「WOWOW×L'Arc〜en〜Ciel 30th L'Anniversary Special Collaboration」の一環で放送されている。この単発ライヴを終えた後、2005年8月6日から同年8月31日にかけてライヴツアー「AWAKE TOUR 2005」を開催している。このツアーは、アルバムのコンセプトである反戦や平和といった、hydeの思想に沿ったテーマで演出が組まれている[27]。また、hydeはこの公演の序盤で黒い軍服[27]、中盤で白い司教服のような衣装を着用している[27]。そして終盤ではそれらを脱ぎ捨ててシャツ1枚で歌唱している[27]。なお、hydeは最初に軍服を着用したことについて、「軍服を着たのは着こなすためじゃない。脱ぐために着た」とコメントしている。ちなみにこのツアーでは、2005年7月に発表するシングル「Link」の収録曲も披露されている。
上記ツアーを終えた後、L'Arc〜en〜Cielは2005年9月3日から同年9月25日にかけてアジア3都市(ソウル、上海、東京)を巡るライヴツアー「ASIALIVE 2005」を敢行している。なお、このツアーは、L'Arc〜en〜Cielとしては初めて、日本以外のアジアの国での公演を含んだライヴとなっている。このアジアツアーを振り返り、hydeは「待ってたんだなぁっていうのがね、凄く伝わります。ずっと以前からね、ファンの方々が大勢いらっしゃるっていうのは分かってはいたんですけど。海を越えてやることっていうのはやっぱり様々な問題があったりして、なかなか実現できなかったんですけど、そういう待ってたっていうのは凄く伝わってきて。ひとつひとつが悲鳴に近い感じでしたよね、歓声が[28][29]」と語っている。また、yukihiroは「始まる前に…まぁメンバーが出ていく時ですね、その前にS.E.…オープニングの曲とかがかかったときの声援みたいなものが凄いなと思いましたね[28][29]」と述懐している。余談だが、L'Arc〜en〜Cielの初公演ということもあり、ソウル、上海の空港には出待ちをしている大勢のファンがいたという。空港でのエピソードを振り返り、hydeは「最初はちょっと(ファンに)ニコッってしたんですけど、その後はもうね、バーゲン会場にいる主婦のような状況になってましたね[28][29]」「こっちの仕切りが出来てなかったみたいなところで。いきなり俺の手をつかんでイベンターの人が走り出しまして、いや、俺が走るとファンの子も走るじゃん。だからもう、運動会みたいになって、空港の中が。道間違えたりしながら車のほう向かうんで、ほんとにどっか、"だれか死ぬなぁ、俺かなぁ"みたいな(笑)[28][29]」「ふだんは(メンバーが)くっつくと、"なんだよ"みたいな感じなんだけど(笑)。もういろんな状態になってましたけど…L'Arc〜en〜Ciel…たぶん結成してから一番団結力が高まった瞬間でもありましたね(笑)」と述べている。また、kenは「到着ロビー着いた瞬間は大丈夫で。(出待ちの数が)200人ぐらいだって聞いてたんですね。"200人だろ?メンバー4人だろ?ひとり50人だったら何とかなるぜ"って言ってたら、そんなことなくて。無力を感じましたよね(笑)[28][29]」と述懐している。なお、このツアーの裏側の模様は、2005年12月22日にテレビ朝日系列で放送された特別番組『密着! L'Arc〜en〜Ciel ASIALIVE 2005』にて放映されている。
一連のライヴを終えたL'Arc〜en〜Cielは、約1年の間、ソロ名義もしくは別バンド(hyde→ HYDE、ken→ Ken, SONS OF ALL PUSSYS、tetsuya→ tetsu, Creature Creatureサポート、yukihiro→ acid android)を主軸とした活動を展開している。そして、2006年11月25日・26日にバンド結成15周年を記念しライヴ「15th L'Anniversary Live」を開催し、久々にバンドメンバーが集結している。その後、2007年1月からアルバム制作に向けた曲出し会を開始し、11thアルバム『KISS』のレコーディングに取り掛かっていくこととなる。
フィジカルは、通常盤(CD)の1形態で発売されており、初回限定仕様は、紙製デジパック、スーパーピクチャーレーベル仕様となっている。
また、フィジカル発売に合わせ、レコード会社直営フルなどの各種着うたフル配信サイトにてダウンロード配信されている。2012年11月7日には、ソニー・ミュージックエンタテインメントがiTunes Storeに参入したことに伴い、日本においても配信が開始され[30]、ほぼ全ての音楽配信サイトにてダウンロード販売が解禁された。
2014年10月22日には、本作を含めたアルバム全12タイトルのハイレゾリューションオーディオ音源が各種音楽サイトで配信された。このハイレゾバージョンでは、内田孝弘(FLAIR)によるリマスタリングが行われている。また、2019年12月11日には、Spotify、Apple Musicをはじめとした各種サブスクリプションサービス(定額制音楽配信)にて、この日までに発表したL'Arc〜en〜Cielの全楽曲のストリーミング配信を全世界で一斉解禁している[31]。
2022年5月18日には、本作を含めた過去に発表したアルバム作品を、メンバー監修の下でオリジナルマスターテープを使いリマスタリングしたボックス・セット『L'Album Complete Box -Remastered Edition-』が発表されている。この作品に収録されたリマスタリングアルバム『AWAKE(Remastered 2022)』では、ランディ・メリル(Sterling Sound)によるリマスタリングが行われている。ちなみにこのリマスタリングアルバムは、フィジカル発売と同日にダウンロード配信(ハイレゾリューションオーディオ音源含む)およびストリーミング配信が開始されている。
リリース | タイトル | 規格 | マスタリング・エンジニア | 備考 |
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2005年6月22日 | AWAKE | (Master Disk) |
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2014年10月22日 | 内田孝弘(FLAIR) | - | ||
2019年12月11日 | (Master Disk) |
- | ||
2022年5月18日 | AWAKE (Remastered 2022) |
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(Sterling Sound) |
フィジカルはボックス・セット『L'Album Complete Box -Remastered Edition-』に収録 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「New World」 | yukihiro | yukihiro, hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
2. | 「LOST HEAVEN」 | hyde | ken | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
3. | 「叙情詩」 | hyde | ken | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
4. | 「TRUST」 | hyde | tetsu | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
5. | 「Killing Me」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
6. | 「AS ONE」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
7. | 「My Dear」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
8. | 「EXISTENCE」 | hyde | ken | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
9. | 「自由への招待」 | hyde | tetsu | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
10. | 「Ophelia」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
11. | 「星空」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
12. | 「twinkle, twinkle」 | ken | ken | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
合計時間: |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「New World - Remastered 2022」 | yukihiro | yukihiro, hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
2. | 「LOST HEAVEN - Remastered 2022」 | hyde | ken | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
3. | 「叙情詩 - Remastered 2022」 | hyde | ken | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
4. | 「TRUST - Remastered 2022」 | hyde | tetsuya | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
5. | 「Killing Me - Remastered 2022」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
6. | 「AS ONE - Remastered 2022」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
7. | 「My Dear - Remastered 2022」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
8. | 「EXISTENCE - Remastered 2022」 | hyde | ken | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
9. | 「自由への招待 - Remastered 2022」 | hyde | tetsuya | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
10. | 「Ophelia - Remastered 2022」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
11. | 「星空 - Remastered 2022」 | hyde | hyde | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
12. | 「twinkle, twinkle - Remastered 2022」 | ken | ken | L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano | |
合計時間: |
フィジカルアルバムに付属するブックレットより転載。日本語表記が確認出来ない部分に関しては原文ママとする。
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[Artwork etc]
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年 | 楽曲 | タイアップ | 出典 |
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2004年 | 自由への招待 | ダイハツ工業「ムーヴカスタム Vセレクション」CMソング | [92] |
2005年 | Killing Me | テレビ朝日系番組『Matthew's Best Hit TV』エンディングテーマ | [93] |
New World | 日本テレビ系プロ野球中継番組『1球の緊張感 THE LIVE 2005』上半期テーマソング | [94] | |
叙情詩 | 日本テレビ系番組『スーパーテレビ情報最前線』エンディングテーマ | [95] | |
AS ONE | GyaO『サッカープレミアム』イメージソング | [96] | |
LOST HEAVEN | 松竹配給映画『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』エンディングテーマ | [97] | |
twinkle, twinkle | 王子ネピア「nepia」CMソング(中国) | [98] |
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