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Keyが制作した恋愛アドベンチャーゲーム ウィキペディアから
『AIR』(エアー)は、Keyが制作した2作目の恋愛アドベンチャーゲーム、およびそれを原作としてメディアミックス的展開がなされたアニメやコミックなどの作品群。前作『Kanon』と同様に少年少女の恋愛劇に不可思議要素を絡めたアドベンチャーゲームであり、シナリオが感動に特化した泣きゲーとして支持を集めた。
AIR | |||||||||||||||||||||||||||
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ジャンル | 恋愛、ファンタジー | ||||||||||||||||||||||||||
ゲーム | |||||||||||||||||||||||||||
ゲームジャンル | 恋愛アドベンチャーゲーム | ||||||||||||||||||||||||||
対応機種 | Windows 95/98/Me/2000(CD版) Windows 98/Me/2000/XP(DVD版) Windows 2000/XP/Vista/7(PCメモリアル) ドリームキャスト PlayStation 2 PlayStation Portable PlayStation Vita iOS Android Nintendo Switch | ||||||||||||||||||||||||||
ゲームエンジン | [PC]AVG32(17M)[1] [PC SE版]RealLive[1] | ||||||||||||||||||||||||||
開発元 | Key | ||||||||||||||||||||||||||
発売元 | [PC/Android/iOS]Key/ビジュアルアーツ [DC/PS2]NECインターチャネル (現インターチャネル) [PSP/PS2[注 1]/PS Vita/Switch]プロトタイプ | ||||||||||||||||||||||||||
キャラクターデザイン | 樋上いたる | ||||||||||||||||||||||||||
音楽 | 折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准 | ||||||||||||||||||||||||||
発売日 | [PC18禁]2000年9月8日 [PC全年齢]2001年7月27日 [DC]2001年9月20日 [PS2]2002年8月8日 [DVD版18禁]2005年4月8日 [PS2廉価版]2005年9月1日 [PSP]2007年11月22日 [PCメモリアル]2010年5月28日 [Android全年齢版]不明 [iOS/Android18禁版]2013年5月2日 [PS Vita]2016年9月8日 [Switch]2021年9月9日 | ||||||||||||||||||||||||||
レイティング | ソフ倫 18禁・一般ソフト作品 (便宜上全年齢対象) [PS2/PSP/PS Vita]CERO:C(15才以上対象) [iOS]12+ | ||||||||||||||||||||||||||
コンテンツアイコン | [PS Vita]セクシャル[2] | ||||||||||||||||||||||||||
キャラクター名設定 | [PC]可 | ||||||||||||||||||||||||||
画面サイズ | [PC]640×480 16bit [PSP]480×272 | ||||||||||||||||||||||||||
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テンプレート - ノート | |||||||||||||||||||||||||||
プロジェクト | 美少女ゲーム系・アニメ・漫画・ライトノベル | ||||||||||||||||||||||||||
ポータル | コンピュータゲーム・アニメ・漫画・文学・ラジオ |
Windows用ゲームとして2000年9月8日に18禁初回版が、2001年7月19日に18禁通常版が、7月27日に全年齢対象版が発売された。また、2005年4月8日に全年齢対象版に含まれたイベントCGを追加したWindows用DVD-ROM『AIR Standard Edition』(18禁)が発売された。2010年5月28日には、Windows VistaとWindows7への対応版(全年齢対象)が『AIR メモリアルエディション全年齢対象版』の名称で発売された。
前作『Kanon』と同様に少年少女の恋愛劇に不可思議要素を絡めたアドベンチャーゲームであり、シナリオが感動に特化した泣きゲーとして支持を集め[3][4]、2000年度の年間セールスで10万本を超える大ヒットとなった[5]。家庭用版のみヒロインの声が付き、更にPS2版以降主人公に声が付いている。 コンシューマー機への移植では2001年9月20日にドリームキャスト版(全年齢対象)、2002年8月8日にPlayStation 2版(全年齢対象)が発売された。2005年9月1日には、PlayStation 2用ベスト版(廉価版、CEROレーティング15歳以上対象)が発売された。プロトタイプよりPSP版が2007年11月22日に発売された(データインストール機能が搭載された、初のゲームとなった)。さらにソフトバンクモバイルのSoftBank 3GとNTTドコモのFOMA向けにも配信されている。発売時期は不明だが、ビジュアルアーツアプリポータルにて、Android向けの全年齢版AIRが発売された。値段はDREAM編、SUMMER,AIR編(共に音声あり)、セットの音声無しが800円、セットの音声ありが1,400円である。2013年5月2日にはAndroid18禁版(音声無し)とiOS全年齢版(リリース時は音声無し、のちアップデートでフルボイス対応)が発売された。また、プロトタイプより2016年9月8日に外伝小説「初空の章」を加えたPlayStation Vita版が発売、2021年9月9日にはNintendo Switch版が発売[6]。
発売以降しばらくはコンシューマ版への移植や各種アンソロジーコミック以外にはほとんどメディアミックス的展開がなされなかった。ファンによる同人活動も前作の『Kanon』と比較すると低調であったと更科修一郎は指摘している[7][8]。しかしながら、発売後4年経過した2004年になって、コミックの連載が開始された他、翌2005年には京都アニメーションによるTVアニメ化がなされ、BS-iにて全12話、総集編と特別編前後編が放送、東映アニメーションによる劇場アニメ映画化がなされた。このように長く間が空いたにもかかわらずメディアミックス展開されるのは、同手法が広まってからでは、特にゲームを大元にするものとしては稀なケースである。
シナリオは第一部「DREAM編」・第二部「SUMMER編」・第三部「AIR編」の三部構成となっている。
第一部は現代が舞台であり、主人公であるさすらいの人形遣いの青年(国崎往人)が、海辺の田舎町で偶然出会った少女達と紡ぐひと夏の物語が描かれる。ゲームの進行は、プレイヤーが選択肢を選びながら男性主人公がヒロインを攻略するというもので、一般的な美少女ゲームと同様である。
第二部では、千年前の夏が描かれ、第一部での主人公とヒロインの間の運命的なつながりが暗示される。第二部以降は、通常の美少女ゲームでは存在する「選択肢による分岐」やポルノシーンがほとんど存在することなくストーリーが進む。
第三部では、現代に戻って第一部と同じ時間・場所が舞台となり同じ物語が反復されるが、プレイヤーの視点は国崎往人ではなくカラスの「そら」となっており、その視点から第一部での往人と観鈴の物語を傍観することになる。
ヒロインの観鈴に世界の存亡がかかっているという意味でしばしばセカイ系作品として言及され[9][10]、また広義にはループものに分類することもできる[11]。
本作の第一部・第二部・第三部に相当するないし類似するゲーム構成は麻枝准がシナリオを担当したほかの美少女ゲームにも散見され[注 2]、それには村上春樹の小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』からの影響が指摘されている[12]。
PC版や一部の携帯端末版は声が収録されていないため、声優はそれ以外のキャスティングを記載している。
主題歌である「鳥の詩」はアメリカ、ロサンゼルスでレコーディングが行われた。
なおコンシューマー機版ではDREAM編のEDテーマが、メロディにアレンジを加えてインストゥルメンタルにした「Farewell song(dream version)」に変更されている。
本作は発売年(2000年)のユーザー人気投票において、『BugBug』では総合1位・シナリオ部門1位・グラフィック部門1位・サウンド部門1位を獲得し、キャラクター部門では神尾観鈴が6位、遠野美凪が7位、霧島佳乃が10位、神奈備命が26位にランクインした[18]。
媒体 | 総合 | シナリオ | グラフィック | 音楽 | システム | ヴォイス | キャラクター |
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BugBug | 1位/30位 | 1位/30位 | 1位/20位 | 1位/20位 | 4位/30位 | 圏外/20位 | 4人/40位 |
評論家の更科修一郎は、本作を「素晴らしい作品」と評価しながらも、その素晴らしさがゆえに煮詰まってしまっており、ノベルゲーム・美少女ゲームというどちらの面からもジャンルを自壊させる臨界点の直前まで達しているのではないかと述べている[19]。
評論家の東浩紀は、本作を批評性の高い作品として評価している。東浩紀は、多くの男性向け美少女ゲームは、男性プレイヤーがゲーム中の男性主人公の視点に同一化し、ヒロインを性的に所有して異性からの承認を受けるというプロセスを経験させるためのものだとした上で、本作のプレイヤーはプレイを通してそのことに2度挫折すると指摘する。つまり、1回目は第一部において観鈴を救えないまま姿を消さざるを得なくなってしまったこと(シナリオ内のキャラクターレベルでの挫折)であり、2回目は第三部において自身が単なるカラスであるがゆえに物語に介入(ヒロインを性的に所有)することすら許されず悲劇を傍観するほかなかったということ(プレイヤーレベルでの挫折)である。そして、そのことがギャルゲーの持つ二層性、すなわち「物語の中に没入しているときは責任や主体性を伴ってヒロインと向き合おうとするが、物語の外のプレイヤーの立場に戻ったときにはヒロインは数ある攻略対象のひとつにすぎない」という解離的な態度に対する自覚を促すものとして作用し、それゆえ本作は他の大多数の美少女ゲームと比較して繊細で批評的な作品と考えられるという[20]。
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ゲーム世界への没入感覚 | 現実世界における自覚 | 受容のしかた | |
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美少女ゲーム全般 | 美少女ゲームのプレイヤーは視点人物と同一化して物語世界に没入しているときには、(現実世界でモテない)自身の弱さを肯定してくれる女性キャラクターとの疑似恋愛に生きる。 | 物語世界から一旦離れ、現実世界の観点から複数のシナリオを俯瞰・整理しているときには、プレイヤーにとって女性キャラクターは単なる攻略対象に過ぎない。 | 美少女ゲームの二面性・二層性を、プレイヤーがそのまま強引に受容している。プレイヤーは「解離」(多重人格性)している。 | |
本作 | 第一部において、プレイヤーが同一化する往人はヒロインの観鈴を救えない。 | 第三部において、プレイヤーは物語世界への介入を許されず、観鈴の死を傍観するしかない。 | 本作はこの点においてプレイヤーに自覚を促す。 |
社会学者の大澤真幸は、従来であれば(例えば看守が一方的に囚人を監視できる全展望監視システムパノプティコンを考えればわかるように)「見られることなく見る」ということは神のような全能性の象徴として捉えられていたが、本作の第三部ではそれが逆に無能性の象徴として描かれていることに注目し、『AIR』は現代社会における「第三者の審級[注 6]の撤退」を象徴するものと解釈できると述べている[25]。
批評家の佐藤心は、本作の最大の特徴は、観鈴の「内閉世界[注 7]」が開かれていく描写に二つのレベルがあることだとしている[26]。その第一はSUMMER編である。ここで開かれる「内閉世界」とは観鈴の見る悲しい夢であり、その謎が説明される。そして第二はAIR編である。「そら」というカラスになって地上に落ちた往人は、悲劇の一部始終を見届けることになる[26]。東もいうように本作には救いがない[20]。観鈴が死に際に発した「もう、ゴールしてもいいよね」という台詞は有名になった[27]。しかし、佐藤は、DREAM編→SUMMER編→AIR編を経て最後に空へと羽ばたいていく「そら」の姿が伝えるのは、「幸せと悲しみのすべてを目撃し、作品世界を生きた、プレイヤーの「記憶」の塊」が、空へと還り、未来に繋がれていくというイメージではないかと考察している。観鈴の「内閉世界」は「空」によって開かれるのである[26]。
TVアニメ版が2005年1月6日から3月31日までBS-iで放送され、続いて夏・特別編が8月28日と9月4日に前後編で放送された。
シリーズ総数でのDVD売上数において2005年アニメDVD売上ランキング年間2位を記録するヒットアニメとなった。また2006年12月22日にはBlu-rayディスクBOXが販売された。映像をHD解像度にアップコンバートした他、音声には、テッド・ジェンセンを起用し5.1chサラウンドのリマスタリングを行っている。このように映像と音声の両面においてアニメの次世代光ディスクソフト市場での先駆けとなった。なお、PS3のファームウェア1.80アップデートで搭載されたDVDのアップコンバート機能は、AIRのDVD版がBlu-rayディスク版と同レベルに見えることを目標に開発されている[28]。なお総集編は、BD版には収録されていない。
サブタイトルの日本語部分は大和言葉で統一されている。
話数 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
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第1話 | かぜ〜breeze〜 | 石原立也 | 米田光良 | |
第2話 | まち〜town〜 | 山本寛 | 池田和美 | |
第3話 | こえ〜whisper〜 | 武本康弘 | 池田晶子 | |
第4話 | はね〜plume〜 | 北之原孝将 | 米田光良 | |
第5話 | つばさ〜wing〜 | 山本寛 | 池田和美 | |
第6話 | ほし〜star〜 | 武本康弘 石原立也 | 石原立也 | 池田晶子 |
第7話 | ゆめ〜dream〜 | 北之原孝将 | 米田光良 | |
第8話 | なつ〜summer〜 | 山本寛 | 池田和美 | |
第9話 | つき〜moon〜 | 石原立也 | 荒谷朋恵 | 池田晶子 |
第10話 | ひかり〜light〜 | 北之原孝将 | 米田光良 | |
第11話 | うみ〜sea〜 | 三好一郎 | 門脇聡 | |
最終話 | そら〜air〜 | 石原立也 | 荒谷朋恵 | |
総集編 | - | - | ||
特別編前編 | やまみち〜mountain path〜 | 荒谷朋恵 | ||
特別編後編 | あめつち〜universe〜 |
2005年2月5日に東映アニメーションによる劇場版アニメが公開された。
当初は2004年秋公開予定だったものの約半年延期となって公開された。
劇場版は中村誠の脚本の案を元に監督の出崎統が原作者によるアドバイスや要請も踏まえて脚色した「もう一つのAIR」というコンセプトとなっている[29]。上映当時はミニシアターランクで上位をキープした。後にこの劇場版は、劇場版CLANNADロードショー記念として短期間ながらリバイバル上映が行われた。
大きく脚色した物語故に、原作ファンの支持が思ったように得られなかったことが、コメンタリーで出崎と中村によって語られている。事実、出崎統の公式ファンサイトでは、頻繁に荒らしが多発し、掲示板の体制を変えざるを得ない事態にまで陥った。
プロデューサーの東、脚本の中村とともに、90分に収められるかどうかということを非常に悩んでおり、特に中村は準備稿を少なくとも十稿は重ねていた。入場者数は上述の通りの成績を残しており、劇場版CLANNADを上映するキッカケの一つとなった。DVD発売においては、二種類の初回限定版(スペシャル、コレクターズ)が用意された。
EDテーマは「Farewell song」、「IF DREAMS CAME TRUE」の順で流れる。
Mellow Headから発売された[32]。
桂遊生丸作画でコンプティーク(角川書店刊)にて2004年9月号から2006年3月号まで連載。SUMMER編は省略されており、DREAM編とAIR編の一部を、メーカーからの指定により作家独自の解釈で描いた[33]ものとなっている。
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