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1979年に放送された日本のテレビアニメ ウィキペディアから
『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』(うちゅうせんかんヤマト あらたなるたびだち)はフジテレビ系列で1979年7月31日放映のテレビアニメーションおよび、東映系で1981年3月14日公開の劇場用アニメーション映画である。
通称「新た」「新たなる旅立ち」。
「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」の第5作で、オリジナルシリーズ唯一のテレビスペシャル作品である。『宇宙戦艦ヤマト2』の続編として制作され、テレビスペシャルとして放映された[注 1]。西崎義展は当時、本作を「テレフィーチャー」(テレビ用映画)と呼び、かつ劇場版新作への布石として新世代キャラクターを数人、登場させた。CMなどを除いた正味の放映時間は95分。
1981年8月15日に日本テレビ系列で再放送された時には、冒頭に『ヤマト2』のダイジェストシーンが挿入され、本編の一部がカットされた。
本作の制作以前、ヤマトシリーズのテレビ用作品はよみうりテレビ(日本テレビ系)で放送されるのが常だったが、本作はフジテレビ系で放送された。この変更には、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の劇場公開前夜の1978年8月4日に劇場版『宇宙戦艦ヤマト』(ラストのイスカンダルのくだりをテレビ版同様に差し替えたバージョン)がフジテレビ系全国ネットで初放映された縁が関係している[注 2]。世は正にヤマトブーム・アニメブームであり、その巨大な一連のメディアミックス展開は、これまで日本のアニメーションに例の無かった放送局のボーダーレスをも実現したのである。
当時の雑誌などのコメントでは、松本零士の主導色が濃い『宇宙戦艦ヤマト2』の完成度、主に作画などのクオリティ面に対し、西崎義展にとって不満が残ったことが制作の発端のひとつであることが語られていた。制作時期が劇場版『銀河鉄道999』とぶつかったこともあり、松本は敵キャラクターなどの一部原案程度の参加に留まったことから、松本の作風が希薄な作品となった[注 3]。
本作の放送後に販売されたムック本『ロードショー特別編集 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』には主演声優の座談会が掲載されたが、『さらば』でいったんシリーズとして完結の形をとりながらさらに続編を制作したことについては、とまどいのコメントが吐露されている(特に伊武雅刀には相当の不満があったことがうかがえる)[3]。
『宇宙戦艦ヤマト』の制作時からスタッフとして参加していた安彦良和は、本作を最後にヤマトシリーズから降板する。安彦によれば「西崎とケンカ別れした」とのことで、自身が参加したテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の制作時期が被っており、安彦はスタッフミーティング中に『ガンダム』第1話のAパートを見た。西崎も一緒に見ており、「まあまあだなって顔で観ていた」とのこと[4]。
本作の本編尺は95分だが、当初は2時間弱を想定とした製作が行われており、仕上げ作業もほとんど済んでいた。その後、フジテレビ側と協議した結果、シーンがいくつかカットされた(#未公開エピソードを参照)うえで放送された。
本作にはビデオ、LD、DVDなどに収録されている通常のテレビ放送バージョンとは別に、カセットテープ『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち ドラマ編』に収録された、BGMを差し替えたバージョンの音源が存在する。これは90分のカセットテープに収録するため、一部をカットしたことによる。
スターシャの別れから自爆までに使われている楽曲は、次作『ヤマトよ永遠に』でもスターシャに促されてサーシャが別れを告げる場面に選曲され、次々作『宇宙戦艦ヤマトIII』で旋律と公募された歌詞とが合わされ、エンディング曲「別離」となった。歌唱は堀江美都子。
本放送は30%を越える高視聴率を得た。これを受けて放送から2年後の1981年3月14日から4月3日まで「スペースロードショー」として、『ヤマトよ永遠に』との併映で劇場作品として公開された。ただし、テレビ版でカットされた水雷艇のシーンなどは復活せず、テレビ放映版と同一のフィルムが流されている。
西暦2201年後半、熾烈を極めた白色彗星帝国との戦いから1か月後、ヤマトと別れたデスラー率いるガミラス帝国残存艦隊が、新天地を探す旅に発つ前に今は無人となった母星ガミラスに最後の別れのために立ち寄ったところ、謎の勢力である暗黒星団帝国が地下物質ガミラシウムを無断で採掘していた。これに激怒したデスラーが交戦した結果、ガミラス星は大爆発を起こして消滅する。それにより、連星を構成していたイスカンダル星は引力のバランスを崩して宇宙空間を漂流し始める。デスラーは愛するスターシャのいるイスカンダルをただちに追跡するが、暗黒星団帝国のデーダー率いる第一艦隊も、イスカンダリウムを目的としてイスカンダルを追撃していた。
デスラーはスターシャにイスカンダルからの脱出を呼びかけるが、彼女とその夫である古代守はイスカンダルと運命を共にする覚悟を決めていた。そして、速度が限界に達したイスカンダルは、ワープしてしまう。
その頃、地球では修復されたヤマトに乗艦した新たな乗組員たちが、艦長代理の古代進のもとで試験航海を兼ねた訓練航海に出航し、猛訓練に励んでいた。デスラーから送られてきた救援を求める通信でイスカンダルの危機を知ったヤマトは、スターシャと守を救助するためにイスカンダルへ向かう。
デスラー艦隊はイスカンダルを追って銀河系の重力星雲まで到達し、デーダー艦隊の奇襲を受ける。艦隊をほぼ全滅させられたデスラーは死を覚悟するが、そこにヤマトが現れてデーダー艦隊を撃滅する。
その後、ヤマトとデスラー艦隊はイスカンダルの追跡を続け、ついにイスカンダルが停止するが、暗黒星団帝国マゼラン方面軍を束ねるメルダーズが乗る巨大機動要塞自動惑星ゴルバが現れ、スターシャと守を人質に取ってヤマトに立ち去るよう要求する。ゴルバの圧倒的な性能に押される中、デスラーは乗艦をゴルバの主砲口へ突貫させると、自分ごと破壊させるべくヤマトに波動砲の発射を指示する。苦悩の末に古代は発射を決断するが、発射直前にスターシャが降伏を宣言し、戦闘を止める。そして、スターシャはイスカンダルから脱出することをヤマトに伝えたものの、実際にヤマトへ脱出してきたのは守と、彼とスターシャの間に生まれた娘サーシャだけだった。
ゴルバがイスカンダルに降り立とうとした時、イスカンダルは自爆してゴルバごと消滅した。スターシャはイスカンダリウムの悪用を認めるわけにはいかず、自分ごと宇宙から消し去ったのである。狂乱するデスラーと、敬礼をもってスターシャを見送るヤマト乗組員の前に、スターシャの幽体が現れる。スターシャはヤマトとデスラーに感謝して守に謝罪の意を伝え、サーシャの幸せを祈りながら姿を消した。
すべてが終わった後、進とデスラーはそれぞれの乗艦の甲板に立ち、会話を交わす。デスラーは空しさに心を痛めながらも必ず新天地を見つける旨を告げ、去って行った。一方、宇宙の彼方では地球へ帰還していくヤマトに冷ややかな視線を送る者がいた。暗黒星団帝国は、地球にも狙いを定めていたのだ。
新たなヤマト乗組員として徳川太助、北野哲、坂本茂が加わったが、本作以降も登場するのは徳川太助のみである。この試験航海兼訓練航海では、宇宙戦士訓練学校卒業生の、徳川以下機関部30名、北野以下戦闘部・航海・砲術29名の他、坂本以下飛行科54名の、計113名が新たに乗り込んでいる。
ロマンアルバムのフィルムストーリーに一部が収録されているうえ、DVDの特典映像にも収録されており、後述のコミカライズでも反映されている。大きなカット箇所として、以下の2つが挙げられる。
以下のほか、ビデオ化もされている。
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