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宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場する架空の国家 ウィキペディアから
白色彗星帝国(はくしょくすいせいていこく)は、アニメ「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」の『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下、『さらば』)および『宇宙戦艦ヤマト2』(以下、『ヤマト2』)に登場する架空の国家。
国号は「ガトランチス」[1]、もしくは「ガトランティス」[2]。「白色彗星帝国」という呼称は、『さらば』ではガトランチス以外の勢力からの呼称であったが、『ヤマト2』からはガトランチス人も自称するようになった。劇中では他に「彗星帝国」や「彗星帝国ガトランチス」の呼称も見られる。国家元首はズォーダー大帝。宇宙の彼方から飛来し、圧倒的な軍事力で星々を次々と侵略していく。
劇場版『さらば』では漠然とした強大な敵として描かれていたが、TVシリーズ『ヤマト2』では、軍事力こそ強大だが有能な人材が不足しているため、人材不足に悩まされる組織として描かれていた。
ズォーダー大帝を頂点とし、人工都市である白色彗星を本星とする帝政国家。特定のモチーフとなる国は存在せず、キャラクター名は世界各国の提督の名や武器の名をもじったものとなっている。
白色彗星によって宇宙を旅し、進路上の星々を破壊か侵略することで植民地としている。『ヤマト2』の劇中ではアンドロメダ星雲を手中に収めたと語られており、次の目標として銀河系を定め、その足掛かりとして地球の侵略に乗り出した。国難回避目的[注 1]ではなく、ガトランティスこそが全宇宙の覇権を握るべきであるという思想に基づいた侵略であり、ガトランティス人以外の種族には、「生存=降伏」か「破滅=死」かの二択を迫り、『さらば』の劇中では植民地となった惑星の原住民が強制労働に駆り出され、少しでも休むと銃で撃たれるなど、消耗品同然の扱いをされている。
その一方、『ヤマト2』第15話の晩餐会では将官も下士官も平等に扱われており(デスラーが拘禁中であるにもかかわらず、タランまで招待されていた)、側を歩いているズォーダーに誰も敬礼すらしておらず、ガトランチス(ガトランティス)人の間で階級制度や身分制度に厳しいという描写はなされていない。
支配層を構成するガトランチス(ガトランティス)人の姿は、地球人に酷似している。
男性の肌の色は緑で、眉とこめかみがつながっている容姿の人物が多い。口内の色は『さらば』や『ヤマト2』序盤では赤だったが、『ヤマト2』第5話からは濃緑になっている。血液は明るいオレンジ色である[3]。
女性はサーベラーをはじめ、晩餐会で女性の踊り子数名が確認されており、明るい肌色、明るい灰色、褐色、明るい水色、紫色など多種に渡るが、緑色の肌の人物は確認できない。男性との肌の色の違いが、性差によるものか種族自体異なっているためかは不明。
服装は三角と四角模様を多数あしらった独特のデザインであるが、『ヤマト2』では作画簡略化のため[4]、この模様を大きく減らしたデザインへ変更されている。
体色や眉とこめかみが繋がっている容姿など、『ヤマトシリーズ』に関わった松本零士のアニメ映画『わが青春のアルカディア』と続編のテレビシリーズ『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』に登場するイルミダス人と共通する部分があり、和智正喜の小説『GALAXY EXPRESS 999 ULTIMATE JOURNEY』では、イルミダスの科学者に扇動されて飛び出した集団の末裔が白色彗星帝国とされている。
白色彗星帝国の本星。その名の通り、高速中性子と高圧ガスの嵐が形成する純白の巨大彗星の形態を持つ。
劇中ではクエーサー、もしくはパルサーなどと真田志郎に推定されている。なお、企画段階では彗星ではなく白色矮星という設定だった[注 2]。
大きさについては、小説版[要文献特定詳細情報]でアメリカ大陸ほどと記述された[注 3]ほか、『ヤマト2』ではテレサに直径6600キロメートル(地球の約半分)と説明されている。通常時の移動速度は第16話で50宇宙ノットと説明されており、第18話ではさらに3倍の150宇宙ノットにまで速度を引き上げることが可能と判明している。この巨大彗星は一種の擬態であり、対惑星級の破壊力を備えた兵器と、本体の防御幕を兼ねていた。
擬態と防御幕である白色中性子ガス帯が消滅すると、本体である半球状の小惑星の上に都市が築かれている、直径15キロメートル、全高10キロメートル[5][6]の都市帝国が正体を現す。「都市要塞」とも呼ばれるようである。設定資料やムックなどには、これを「白色彗星帝国」と記しているものもある[7]。
都市帝国の赤道にあたる部分は回転して巨大ミサイルや光線(『ヤマト2』)を発射し、ガス帯の竜巻を放射して上部の都市部を防御する。半球状の小惑星には無数の防衛用の砲が配備されている。
下半部の小惑星には戦闘機発進口がある。『さらば』でも『ヤマト2』でもそこからヤマトクルーの侵入を許し、動力炉を破壊されて機能を停止するが、それすら都市帝国の機能と外装を剥がしたに過ぎず、内包されていた超巨大戦艦が始動することとなる。
昆虫や甲殻類のような印象をもつディテールの多いデザインであり、白と黄緑を主体としたカラーリングが多い。艦船の多くは複眼のようなハニカム模様のレーダーが備わっているのが特徴。
設定が大幅にアレンジされ、帝星ガトランティスという名称で登場する。
初登場は『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下、『2199』)だが、当初は『宇宙戦艦ヤマト』で語られていなかったガミラスが戦っている各戦線の敵の1つとしてのゲスト出演という、ファンサービス的な登場でしかなかった[8]。しかし、完全新作である『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』(以下、『星巡る方舟』)に主敵として登場することが決まり、「帝星ガトランティス」という名称を含む詳細な設定が作り込まれることになった。
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『2202』)では、主要制作陣が入れ替わったため、『星巡る方舟』で考えられた設定は部分的にしか受け継がれておらず、改めて設定を構築されている。劇中で描写された範囲に限れば致命的な矛盾こそないが、民族性を始め『星巡る方舟』のガトランティスとは雰囲気の異なる存在となっている。また、同作で「白色彗星帝国」の名称が復活している。
大帝ズォーダーを頂点とした国家で、蛮勇で宇宙に名を轟かせているとされている。
肌については旧シリーズ同様の緑色だが、体格については筋骨隆々となっている者が多い。髪型については、旧シリーズにおけるズォーダーやナスカやゲルンなどのように、眉が中央でつながっていたりこめかみとつながっていたりする者が多い。血液は濃いオレンジ色。なお、『2199』では女性の肌も緑色となっている。
服装については、軍服は四角と三角の模様をあしらっている点こそ共通するものの甲冑型の形状となっており、一般兵は鉄仮面、指揮官クラスは和風に近い陣羽織を着用している者が多い。
母星に関しての設定も『2202』において再構築されている。
旧作と同じく白色彗星を本拠地としているが、物語が進むと本来の母星といえる惑星「ゼムリア」の存在が明らかとなった。
「元々は古代アケーリアス文明が遺した破壊兵器で、アケーリアスが蒔いた種から誕生した種族がもしも道を踏み外した場合、それらを根絶するための安全装置であった」とされる「滅びの方舟」をコアとして作り上げられたと設定されている。「彗星都市帝国」とも呼ばれる。
物語開始の900年前、ゼムリアを脱出したズォーダーが放浪の末に発見し、オリジナルのサーベラーの遺伝子から生み出されたコピー体を用いて起動させたが、これは起動させる為には「人間は悪しき種族である」と判断する人間(裁定者)の存在が必要だからであり、人間に姿を似せられていても人造生命体では起動できない。装置は起動させた人間の感情とリンクしており、一時蘇生したオリジナルのサーベラーが正気を取り戻すと、装置も機能を停止させていった。また、起動する資格を有する者が複数いる場合、感情の起伏が大きい方の操作を受け付ける。
現在はゼムリア人の遺伝子を持つサーベラーのコピー体が、「巫女」となって彗星をコントロールしている。コントロールには、パイプオルガン似の楽器による演奏が用いられている。
彗星の直径は木星に匹敵する約14万キロメートル[20]。第12話では、その内部に火星とほぼ同じ大きさの惑星が存在することが明らかになり、それがガトランティスの母星であると地球側からは目されていた。しかし、それは母星の一部に過ぎず、本体は巨大な都市から檻のように爪状構造物「プラネットキャプチャー」が伸びた内側に、上記の惑星を含む複数の星が浮遊しているという様相を持つ、土星級の大きさを持つ人工都市である。下部には都市帝国の反応炉となるコア、都市部は青白く発光する塔状の岩塊が無数にそびえ立ち、中央部分には旧作の超巨大戦艦の艦首に酷似した形状の天守閣が存在する。
内部構造は、天守閣内部にズォーダーと最高位幕僚たちが控え、ズォーダーの座る玉座や都市帝国をコントロールする為の上述の楽器、ガトランティス人を死滅させる安全装置「ゴレム」が存在する「大帝玉座の間」、恐竜の化石のようなものが複数立ち並び、ズォーダーやガイレーンが外部から情報収集時に赴く「瞑想の間」、天守閣と内部シャフトで繋がる制御球「ジェネシススフィア」の内部にある上下部の赤い海状の生命生成界面を持つ、「育みの間」が存在する。内部には天守閣へ向かうための門が存在するほか、生命生成界面からクローニングされた幼生体や、ガイゼンガン兵器群が「生育」される形で造られている。
地球艦隊の波動砲の斉射を無力化する強力な防御フィールドや周囲の物体を引き込む超重力を展開可能である。
第20話で明らかになったゼムリア人の母星であり、彼らに生み出されたガトランティス人発祥の地といえる惑星である。
かつては地球に似た緑あふれる美しい惑星であり、古代アケーリアス文明との接触によって生まれた平和な星だった。この星に住むゼムリア人たちは人類同士による争いを放棄し、それを代行させる存在として、人造兵士であるガトランティス人を生み出した。
1000年前、タイプ・ズォーダー(ズォーダー大帝)がガトランティス人を率いて反乱を企図すると、ゼムリア人たちはオリジナルのサーベラーとズォーダーのクローンである赤子を人質に取り、取引をズォーダーに持ちかける。それによって反乱を鎮圧したゼムリア人たちは約束を反故にしてズォーダーにも刃を向け、サーベラーと赤子を殺害する。その後、ゼムリアを脱出して100年後に白色彗星を起動させたズォーダーによってゼムリア人たちは滅ぼされ、惑星は都市帝国下部の爪の内側に捕らわれることとなる。
現在は風化して赤錆がついた鉄が地上に堆積する死の星と化しており、地表から見上げた空は霧のようなものに覆われ、都市帝国下部の重力源となる構造物から漏れる光がかろうじて見える程度。地表には同じく赤錆のついた建造物が残されており、そこにはゼムリアの情報が治められたデータバンクが存在していた。
白色彗星内への落下を経てここに墜落していたヤマトからキーマンたちが上記の建造物を調べていたところ、彼らに同行中のアナライザーにゼムリアの「語り部」と呼ばれる者たちが憑依し、キーマンの判断でヤマトのメインコンピュータに接続した事で、残った乗組員たちはゼムリアで起きた出来事とズォーダーの1000年におよぶ絶望、そしてガトランティス人を滅ぼす「ゴレム」と呼ばれる安全装置の存在を知ることになる。まもなく、ゴレムの存在を知ったヤマトを葬ると共に地球を取り込むためには惑星を1つ捨てる必要があったこともあり、ズォーダーの命令でレギオネル・カノーネが発射され、惑星は崩壊してしまう。
科学技術は、他文明の遺物を盗み出したり、科学奴隷に新兵器などを開発させたりする形で発展させている。また、テレザート星発見後は、生体技術を利用した「ガイゼンガン兵器群」と呼ばれる兵器群が開発されている[22]。兵器や技術にガトランティス謹製であると明確にされているものは見当たらず、『2202』第8話劇中で真田は「壊すことはできても直すことや生み出すことはできない連中」と考察している。遊星爆弾症候群の治療薬の製造データがある。
デザインの基本ラインは『さらば』『ヤマト2』と変わらず、白と黄緑を主体としたカラーリングで、艦船には複眼状の構造物がある。
ゲスト出演時に宮武一貴と出渕裕によってメカデザインのリファインや新規メカのデザインなどが行われたが、あくまでも1話限りのゲストゆえに三面図などの詳細な設定は作られなかった[23]うえ、3DCGモデルが作られることもなく、劇中ではほとんどアニメーターの手描きによる止め絵での登場だった[8]。
その後、『星巡る方舟』の制作に際し、石津泰志によるメカのリデザインと設定の再構築が行われ、3DCGモデルも作られた。艦級名はガトランティス神話の事物が由来という設定が付き、艦種名には「殲滅型」や「打撃型」など、ガトランティスの好戦志向をまっすぐに表したものが設定されている[24]。
以下の名称は『星巡る方舟』以降におけるものである。
本国家のイメージを印象付ける要素の1つとなっているのが、テーマBGMである「白色彗星」である。パイプオルガンによって奏でられる荘厳な曲であり、パイプオルガンの2つの音を同時に出せるという特性が、白色彗星帝国に知的なイメージを与えているとも言われている[25]。
本曲はヤマトシリーズの劇伴を担当していた宮川泰にとっても会心の出来だったと推測されており[26]、LPレコードのライナーノートでも「今回、白色彗星のテーマと、デスラーのテーマの2曲が心に残ってもらえれば作曲者としては満足です」と語っている。多数のアレンジ曲が作られ、劇中各所で使用されており、この曲のメロディーは白色彗星帝国には欠かせないものと評されている[10]。本作以降、登場する敵国家にはそれぞれ明確なモチーフをもったテーマ曲が作られるようになった[27][注 10]。
本曲は武蔵野音楽大学に設置されているパイプオルガンを使用して演奏された。序盤の足鍵盤パートを大学の教授が、中盤以降のパートを宮川泰の息子である宮川晶(宮川彬良)が演奏しており、宮川彬良がヤマトの音楽に関わるきっかけともなった。ただし、劇中で頻繁に使用されるパートは武蔵野音大教授が弾いた足鍵盤パートである。晶にとっては慣れないパイプオルガンということもあり、収録の際には演奏中のミスによるリテイクが非常に多く重なった。最終的に収録用テープが底をつき、何とかOKをもらえたが、ミスタッチがわずかに残っており、劇中で使用されたものは本来のものとは若干音程がずれている[28]。
『2199』では「不滅の宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ」でアレンジされた曲を宮川彬良がリアレンジしており、彬良にとっては当時のリベンジをする形となった[26]。『星巡る方舟』においても本テーマをアレンジした新曲が作られたが、ガトランティスのイメージ変更により、パイプオルガンではなく打楽器をふんだんに盛り込んだ野性味溢れるアレンジが中心となっている[29]。
『2202』では、再びパイプオルガンによる収録が行われた。使用されたのはすみだトリフォニーホールのパイプオルガン[30]。上記の通り本作ではストーリー内にもガジェットとして取り込まれており、「白色彗星」の再録である「白色彗星メインテーマ」を含むパイプオルガン系の楽曲は、白色彗星をコントロールする為、BGMではなく実際に演奏されているものと設定されている。
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