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i-MiEV(アイ・ミーブ[1])は、三菱自動車工業が2006年10月に発表し、2009年6月4日に量産製造を開始[2]し、2009年7月下旬から2021年4月まで法人を中心に販売された二次電池式電気自動車である。大きな蓄電量を持つリチウムイオン二次電池を用いた世界初の量産電気自動車である。2010年末には、グループPSAにOEM供給され、「プジョー・イオン」(Peugeot iOn)[3]、「シトロエン・C-ゼロ」(Citroën C-Zero)[4] の車名で欧州市場において販売された。
三菱・i-MiEV HA3W/HA4W/HD4W型 | |
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フロント 東京モーターショー2007出展車 | |
フロント MYアイ・ミーブデザインラッピング第4弾 2014年 | |
概要 | |
別名 |
光岡・ライク プジョー・イオン シトロエン・C-ゼロ |
製造国 | 日本(岡山県倉敷市) |
販売期間 | |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
駆動方式 | MR |
パワートレイン | |
モーター | |
最高出力 | |
最大トルク | 180 N⋅m (18.4 kgf⋅m) |
変速機 | 1段に固定 |
サスペンション | |
前 | マクファーソンストラット式 |
後 | 3リンクド・ディオン式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,550 mm |
全長 |
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全幅 |
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全高 |
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車両重量 | 1,070 - 1,100 kg |
その他 | |
バッテリー容量 |
16.0 kWh(電池総電力量) 10.5 kWh [Mグレード] |
電池総電圧 | 330 V |
系譜 | |
先代 | 三菱・i(間接上) |
後継 | 三菱・eKクロスEV(間接上) |
2009年6月5日に正式発表され、同年7月下旬から法人を中心に販売開始され[5]、2010年4月1日から個人向け販売も開始した。本車両の発売により、三菱自動車はライバル企業に先駆け電気自動車の量産化に成功した。
軽自動車である三菱・i を母体に、ガソリンエンジンに代え、永久磁石式交流同期電動機と重量200 kgのリチウムイオン二次電池(バッテリー)パックなどMiEV技術や回生ブレーキなどを搭載。走行中には二酸化炭素の排出がなく、使用エネルギー単価もガソリン車であるiより低く抑えられる。新規開発した電気自動車統合制御システムMiEV OSを搭載し、モーター、インバーター、バッテリーを総合的に管理している。充電は三相交流200ボルトを電源に用いた急速充電の他、家庭用の単相交流100ボルトまたは200ボルトによる普通充電にも対応している。 バッテリーの製造は、Mグレードを除き、電気自動車用電池の開発・製造専門の会社としてジーエス・ユアサコーポレーション、三菱商事、三菱自動車がそれぞれ出資して設立したリチウムエナジージャパンで行っている[1]。
なお、ベース車のiは2013年限りで生産終了したが、i-MiEVはEV専用車として強化する方針を示していた[6]。
「三菱・i」のリアシート後方に搭載されていたガソリンエンジンを従来型の永久磁石式同期電動機に置換。減速ギアとデファレンシャルギアを介して[注釈 2]後ろの2輪を駆動し、64馬力(G型)/41馬力(M型)のネット出力を得ている[注釈 3]。レスポンスが良く高出力で高トルクという電動機の特性を生かすため、専用の制御ソフトウェアを搭載し車載ECUで制御している。
発売当初の車両本体価格は税込459.9万円で、国のEV補助金(139万円)を適用すると実質負担額は320.9万円である[注釈 6]。販売目標台数は、2009年度で1400台とされていた。
2010年4月1日からの個人向けの販売の開始に当たり、車両本体価格を61.9万円引き下げ、398万円となった。2010年度も国からのEV補助金(114万円)の交付が行われ、実質負担額は284万円となる。
販売方式は法人向け販売と同様にメンテナンスリース方式(車両本体価格に加え、税金や整備費用の一部などの車両維持管理費を含めたリース)を基本とする。同年5月6日に決定したMMCダイヤモンドファイナンス(現・三菱自動車ファイナンス)の支払プランの一例では、233.1万円を一時払いリース料として支払った場合、月額リース料が7,000円[注釈 7]となり、電気代とあわせても「i」のガソリン代とほぼ同額の月額1万円程度で済むことになる。なお、さまざまなニーズに対応するため、いくつかのプランが設定されており、一時払いリース料無し(月額リース料49,980円)のプランから、一時払いリース料を250.0万円とすることで月額リース料を約3400円までに下げることが可能である。また、このリースには各種税金や点検・車検の諸費用があらかじめ組み込まれている為、点検・整備を受けながら月額費用を平均化することができ、補助金申請手続きをリース会社で実施する為、個人ユーザーの負担を軽減できるメリットがある。なお、リース満了となった場合、車両契約時に「購入選択権付リース」を選択することで、設定した金額での購入、再リース、返却[注釈 8]を選択できる。ただし、「購入選択権付リース」を選択しない場合はリース満了と同時に返却となるので注意が必要である。また、同年11月4日の一部改良に合わせて現金販売を開始すると共に、現金購入のユーザーにも安心且つ確実な点検・整備を受けられるように、メンテナンスパック「ハーティプラスメンテナンス」を設定した。
2011年7月のマイナーチェンジで2グレード体制となり、廉価グレードの「M」は260万円、上級グレードの「G」でも380万円とさらに車両本体価格が引き下げられた。さらに、国からのEV補助金(72万円から96万円)の交付が行われることにより、「M」の実質負担額は188万円となった。
2013年11月の一部改良で廉価グレードの「M」は245.91万円、「G」に代わって新たに設定された「X」は290.115万円と車両本体価格が更に引き下げられた。これに、申請が必要となる平成25年度クリーンエネルギー自動車等導入対策費補助金の上限交付額(「M」は74万円、「X」は85万円)を受けた場合、「M」の実質負担額は171.91万円となった。
2014年4月に消費税率が変更されたことに伴い、「M」は252.936万円、「X」は298.404万円に値上げ(本体価格は据え置きで、値上げ幅は増税分のみ)となったが、2014年10月の一部改良により再度値下げを行い、「M」は226.152万円(26.784万円値下げ)、「X」は283.824万円(14.58万円値下げ)となった。
2018年4月には小型車になると同時にグレードは「X」のみに統一され、価格は税込み294.84万円(税抜き273万円)でクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金が16.4万円となっている[7]。
2019年10月の消費税率改定に伴い、本体価格はそのままに税込み価格が300.03万円となった。
また、i-MiEVは5年目以降の車検入庫時に保証延長点検(24ヶ月定期点検相当)を受けることで適用される「最長10年10万km特別保証延長」の対象車種で、法人向けリース販売開始日に遡って適合される(最長10年10万km特別保証延長は指定した特別保証部品が対象で、EV駆動用バッテリーは5年10万km保証、容量保証は初度登録後8年以内かつ走行距離16万km以内である)[8]
三菱自動車ディーラーの店舗で充電が行える体制を整備している。急速充電器は各都道府県の三菱自動車工場や主要幹線道路付近のディーラーに設置が進んでいる[9]。三菱自動車以外の充電インフラ(電気自動車#充電設備)としては、同社も会員であるCHAdeMO協議会が推進するものや、大阪府、神奈川県など地方自治体が主導するものもあり、地域によってはそれらの充電コンセントや急速充電器を活用することで実用的な運行が可能となりつつある[10]。また、日産と三菱は互いの販売店で他社車輌への充電サービスが行えるよう、協力関係を結んでいる[11]。
i-MiEVは、2008年2月以降だけでも延べ295,000 km、5億件の走行データが収集された。これはガソリン車とは比較にならない膨大な量で、このために日本の電力会社7社と提携して40台の試験車を供した。その際、三菱 モバイルフォン オペレーションシステム「MMOS」(グローバル・ポジショニング・システム付きデータロガーと通信用モデム)を介して環境や使用条件が性能にもたらす影響を調査し、改良に生かした。また、運転者からの意見も取り入れ、残りの走行可能距離を1 km単位で知らせる表示機能などを追加した[2]。
社長の益子修は2007年10月から試験車を宣伝を兼ねて社長車として用いた。時にホテルなどで「怪しいクルマ」と判断されて入場を断られることもあったというが、延べ6,700 kmを走行した[2]。
「MiEV」は「ミツビシ・イノベーティブ・EV」の略であるが、元々は「ミツビシ・インホイールモーター・EV」の意味であった。コストの関係でインホイールモーター技術を採用することができず、仕方無くイノベーティブに変更したと、CEATEC JAPAN 2011にて益子が語っている[12]。
量産や販売を先行することで、ノウハウをいち早く積み上げることを狙った同車が収益に寄与するまでには何年もかかると見込まれている。損益分岐点は年間販売30,000台に対し、生産計画は2009年度に2,000台、2010年でも8,500台でしかない。これは電池の生産能力にボトルネックがあるためであり、数百億円の投資などを経て同社では2012年度以降の黒字化を目指している[2]。
その一方で、整備にも課題を残す。ユニット交換が主体となるため技術的なハードルは低いが、その分高価になると予想される。また作業のためには、従来は不要だった感電を防ぐためのゴム製絶縁体作業着や電気取扱いの知識などが求められ、同社では技術研修会の開催など整備士教育に努めている[2]。
プジョーとシトロエンは2009年後半に相次いでi-MiEVのOEM車を発表した。プジョー車はiOn、シトロエン車はC-ZEROという名称になる。2010年末にヨーロッパで発売された。日本国内向けi-MiEVからの変更点は、フロントバンパーが大型化され、全長が85ミリ拡大されている。それ以外の内容はほぼ変更されていない。なお、i-MiEVのヨーロッパ仕様車も同型のフロントバンパーが装備される。
光岡自動車は2010年4月に、i-MiEVをベースとした電気自動車「ライク(雷駆)」を発表した。乗員定数を5人に変更し、前・後部を独自のデザインとしている。
2010年11月、ロサンゼルスオートショーにて北米仕様車が正式発表された。日本国内仕様や欧州仕様とは大きく異なり、全長が285ミリ、全幅が110ミリ、全高が5ミリ拡大された専用車体を使用する。2011年11月から一部地域で発売。その後、2012年6月に全米で販売された。2017年に北米での販売は終了。
2012年5月、三菱はパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにi-MiEVのコンポーネントを流用したプロトタイプ「i-MiEV Evolution」と北米仕様i-MiEV(現地名:Mitsubishi i)で参戦することを発表した[57]。北米仕様i-MiEVはベッキー・ゴードンが運転し、電気自動車クラス6位で完走した[58]。
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