『ライドンキング』は、馬場康誌による日本の漫画作品。『月刊少年シリウス』(講談社)にて、2018年7月号から連載中[1]。2024年7月時点で電子版を含む累計部数は200万部を突破している[2]。
月刊少年シリウスの別冊『ネメシス』で2017年12月発売の37号まで掲載された馬場康誌の前作、『ゴロセウム』とその番外編の『騎乗遊戯1〜3』『異世界遊戯』を下敷きにした異世界ファンタジー漫画。キャッチフレーズは「最強大統領、異世界に乗る!!」[3]。
中央アジアの一角に位置するプルジア共和国を15年前に独立に導いた強きリーダー、終身大統領・アレクサンドル・プルチノフはある日の公務中、テロリストに襲われる。驚異的な身体能力で、突進してくるテロリストの大型トラックを背負い投げで退けたプルチノフだったが、そのトラックが自身を模した巨大石像の台座に激突し、石像の頭部が彼の頭上に落下した。
目覚めたプルチノフが目にしたのは今まで居た世界とは全く異なる世界であった。そこで初めて目にする巨大なワイバーンに跨り、得も言われぬ騎乗欲に駆られたプルチノフは大統領就任より初の長期休暇、騎乗休暇(ライドンタイム)に入るのであった。
プルジア共和国
- アレクサンドル・プルチノフ
- 主人公。中央アジアの小国プルジア共和国を大国から武力で独立させたリーダーで、同国の終身大統領。後にプルチノフ村の村長を兼任。
- オキナワの古流カラーテを始め数々の格闘技に精通し、体得した格闘技はいずれも黒帯(ブラックベルト)というCQC(近接格闘)の達人で、武技は大統領流の名を冠する[注 1]。その武力は震脚で地に埋まった石畳や岩を跳ね上げ、大型トラックを背負い投げ、貫手が人の首を貫くレベル。また気を練る要領で特大の魔力を放ち、魔狼の女王の牙も通さぬ肉体を持つなど桁外れの身体能力を誇る。戦闘は格闘主体だが、秘書に護身用の拳銃を持たされていた為にこちらの世界にも持ってきており、一度だけそれを使用した事がある[注 2]。また強力な閃光の魔法を使えることから、「閃光魔術師(シャイニングウィザード)」と呼ばれる。大地神の加護によって自らの重量を増し、体格差が圧倒的な相手にも押し負けない技術も習得する[4]。また、数百年生きる魔道士しか持たないはずの精霊眼を有している描写もある[5]。闘竜鬼と化したエドゥとの戦いではリーチの差を覆すために闘気で巨大な腕を作り出した。
- 有形無形生物機械を問わず様々な動く物、果ては国家にも騎乗(ライドン)して乗りこなすことに至福を感じ、その欲望にちょっとだけ忠実な大統領。騎乗の際は肌で風を感じるため上半身裸になる癖[6]がある。サキやベルからは魔獣に跨りたいだけの変態だと思われている[7][8]。
- 襲撃してきたテロリストを撃退した際、自身の石像の頭部が折れて直撃する瞬間に異世界に召喚される。異世界に飛ばされた理由は現時点では不明で、大統領就任以来初となる長期休暇、騎乗休暇(ライドンタイム)として楽しむことにした。後に人馬族や山賊に囚われていた子供達を救ったことがきっかけで、王国や魔族との争いに身を投じることになる。混沌勢力や獣王からは「太陽神の使徒」と呼ばれている。
- 異世界に渡ってからは出会う者ほぼ全てから、何故か「邪神の神官(または格闘僧)」「奴隷商人」「悪魔像[注 3]」「魔王」などとその面相を酷評される。強面の容貌とは裏腹に振る舞いは紳士的かつ、常に公正な為政者としての心を忘れず弱きを助け強きを挫く正義漢。過去の戦争経験もあって無用な殺生を避けているが、悪逆非道な輩には容赦の無い非情な一面も併せ持つ。自らの神に私怨を晴らすために力を振るうことはしないと宣誓し、建国した際に強大な軍事力をもてあそぶ独裁者の真似はせず、支配のための権威を求めず征服のための殺し合いを拒絶すると誓っている。そのため他者の誇りや幸福を尊重し、異世界の種族達から王の座に着くよう請われても断っている。
- 魔霊王(リッチ)によってダンジョンと化した獣王墓を攻略した際、獣王ヤムドゥアによって時と英知の神タナーシュの加護[注 4]を受け、形を無くした雷神の隠刀と十二亜八冠、獣王の称号をも託される。この加護で学生時代の授業や視察した工場や研究施設の記憶を鮮明に思い出せるようになり、内政に役立てている[9]。
- プルチノフ自身の膨大な魔力と友情の神ティエンコジーの友情パワーと十二亜八冠の力でマルセロスとの人馬合体(ツープラトン)が可能となったが、本人としては「なんか違う」と思っている。
- 仕組みは不明だが巨大な龍脈と繋がった7つ目の龍穴(ドラゴンホール)であり、古竜でも命を落とすほど大量の魔素を一度に放出することが可能。龍脈を通ってこの星にやって来たらしく、同じ方法で地球に帰ることも可能とされる。龍脈の上流を堰き止めることで死の谷の龍穴を自らのチャクラに宿し、瘴気を封印することに成功したが、正常な龍穴で瘴気を吸い込んでバランスを取っているので、それ以外に力を使うと瘴気が溢れ出してしまい、またしばらく騎乗できていなかったストレスから、一時的に闘気を使う技を使用できなくなるという弊害に見舞われた。
- ルチア
- プルチノフの配偶者。故人。プルチノフにとってはかけがえのない人物であり、かつて共に戦場を馳せた仲でもある。
- ナタリア
- プルチノフの大統領秘書官。前作「ゴロセウム」に登場した大ロシア連邦の大統領秘書官・ナタリアによく似ているが別人である。謎の閃光と共に行方不明になったプルチノフの生存を信じており、失踪現場の調査で竜らしき巨大生物の噛み跡を発見する。
- プルチノフの師
- プルチノフの武術の師の1人。馬場の前作「ゴロセウム」に登場したヴォルグ・ハンドルエフによく似た人物。かつて格闘家としての体格は平凡であるプルチノフに自らの体格を上回るヘビー級以上の相手との戦い方や正拳突きの真髄を教授した人物。
- イシバスキー
- プルジアの政府関係者。国防戦力増強を理由に西側諸国からの戦闘機EF-2030 νTYPHOONの商談案件をプルチノフに持ち掛けるが、国民生活優先を理由に(本音は乗り飽きているため)一蹴される。続けてミサイル防衛近代化を訴えるがこれも主にプルチノフ自ら乗ることができないという理由から一蹴される。最後にプルチノフ自らが自身が乗りたいがためだけに言い出した宇宙ロケット開発のみはイシバスキー自身も核弾頭と弾道ミサイル開発を視野に入れたものと勘違いし、開発に全力を入れることを申し出た。
- テムル/アスラン[注 5]
- プルチノフが公務の移動用に騎乗(ライドン)する虎。なお駐虎の際はコインパーキングに繋がれる。
異世界の住人
プルチノフ御一行
- サキ・スクイーダ(通称:サキ)[10]
- ゴルドーの街の駆け出し冒険者の少女。17歳の只人。冒険者ランキングは6級の黄帯(イエローベルト)→2級の茶帯[11]。職業は魔法剣士→雷電剣士(自称)[12]。武器は雷の魔剣+1→雷鳴剣+5[13]→+50[12]のほか、数々の中古の装備品に身を包む。流派は上ノーゲン流剣術[12]。金銭にうるさく損得勘定で行動しがちだが根は善人。魔獣の皮からベルの靴や開拓村自警団の革鎧の作製ができるなど、裁縫技術にも長けている。
- プルチノフが転移した異世界の神殿前で出会った初の人間で、以降はパーティとして行動を共にしつつ、異世界の常識を教える。
- 実は王国西方の大貴族のスクイード辺境伯家当主の非嫡出子で、ベルとは幼馴染。側室筋であり、ベル曰くワールドクラスのクズ・オブ・クズの許嫁にされたという事情から、ベルと共に家を捨て出奔している。その際に家宝の一部を持って逃げたが、売却すれば足が付くので赤貧生活を強いられていた。
- 魔道学院に通っていたため魔法の基礎知識はあるが、希少だが身体強化には使えない雷属性を持ち、魔法剣士としては落ちこぼれだった。しかし海底迷宮における戦闘でプルチノフの現代知識を学んだことで、人類史上初の雷の闘気を纏う魔法剣士へと覚醒する。魔素を絶縁組織の鎧とすることで身を守りつつ、導電性の走路を作り出し、電磁推進による高速の攻撃が可能となった。技量はともかく、速さだけなら魔族最強の剣士であるリィナと同格にまで成長し黒帯を取得。肉瘴気とも戦えるまでの戦力となる。
- ベルベディア・デルーシア(通称:ベル)[14]
- ゴルドーの街の駆け出し冒険者の少女。16歳の只人。サキの幼馴染。冒険者ランキングは6級の黄帯(イエローベルト)→2級の茶帯[11]。職業は魔法使い→大魔導士(自称)[15]で、サブクラスは錬金術師と聖治癒薬ソムリエ[15]。語尾に「みたいな」を付けるのが特徴。
- 享楽的な魔法薬(ポーション)ジャンキーで、ポーション酔いしている際は露出狂になる[注 6]。稼ぎは全てポーションに使い込み、常に幾つも隠し持つ。
- パーティを組むサキと共にプルチノフが異世界で初めて出会った人間の1人で以降は行動を共にし、魔力や魔法がらみの解説や戦闘では適切な行動・アドバイスを行う。美と宝物の神メイウィザードの加護を持ち、鑑定能力にも長けている。
- 元々サキの実家であるスクイード西方辺境伯家に5代前から仕えている筆頭魔導師家の長女であったが、伝説級の魔法・魔圧縮(スモールパッケージ)を独力で開発したことで魔導院から追われる身でもある。子供の頃から誰よりも上手の天才魔法使いであり、学ぶことがなくなって自主的に魔術学院を卒業したとのことで、ほとんどが落ちこぼれとされる冒険者の魔法使いとしては異例に多くの魔法を使いこなす。プルチノフの龍穴を介して龍脈網から聖樹塔に不正侵入し、魔導院の秘匿技術である魔造人形の製造術式を降霊してエドゥの肉体を再構築している。その後黒帯を取得。
- カーニャ・カンナリエン[16]
- ハーフエルフの少女[注 7]。年齢不詳。職業は木工細工師で、サブクラスはアーチャーと精霊使い。木を加工できる創造魔法や精霊眼の持ち主で、ベルの「完全密室」の魔法を容易く破る実力も持つ。
- 見た目は少女だが、大猪鬼や半人馬のお婆曰く「ロリババア」「エルフの姫婆」。年齢は同じ村のエルフよりは若く、519歳未満とされるが、数々の集落を渡り歩いてきたことや祖母から教わったとされる古の伝説に詳しいことなどから正確には不明。
- 大猪鬼の手から救われて以降、両親はオークに殺害されたからと自らプルチノフ一行に加わる。たまにベルから魔法の実験台としてぞんざいな扱いを受けることも。一人称は私(あーし)またはカーニャ。嘘をついているときや真面目に話していない時、プルチノフの前では猫をかぶってニャンニャン口調をしているが、たまに素が出る。
- 実はハーフエルフではなく、森人の始祖であるハイエルフの八姉妹の末娘であることが判明。プルチノフ一行の助命のため、ミィナに投降してパーティーを離脱する。
- 聖王宮にて、木工魔法が、木の精霊ターメリィストームの力を借り、精霊の鑿を作り出す加護「精霊の木彫り」の効果であることが判明する。そして命の精霊ターナの力を借り、他者の肉体と精神を素材にして、別の生命に生まれ変わらせる恩寵「生命彫刻(ターナランジェロ)」に覚醒し、母親に取り憑いていた肉瘴気から竜の因子だけを抽出した。ただ、作り出した生きながらえさせる力は未だない。
- ヨシュアス[17]
- 元4つ耳族の魔族。両目に黒い菱型状の化粧をした褐色肌に、リィナと同じく4つ耳が特徴の男性。混沌魔導士(ケイオスソーサラー)の第二位階聖戦士で、上位風魔法と上位念動魔法を使いこなす。念動魔法は天才的だが、本人は風魔法にこだわっている。
- 北辺の侵略に参加した魔族の将。魔道具の鞍で支配下に置いた地竜キャルマーに騎乗し、猪鬼族の族長を得意の風魔法「風刃乱舞」で切り刻み、その集団を傘下にしてエーサンの街を侵攻しようとした。だが、通りかかったプルチノフ村にて風刃乱舞の原理[注 8]を見破られ、風刃竜巻の魔法で砦ごと切り刻もうとしたが、プルチノフのフランケンシュタイナーに敗北。
- その後はプルチノフ村の捕虜となり、道化風の化粧を落とされ魔力封じの腕輪をはめられたのちは、イキっていたのが嘘のように性格も本来の弱気なものに戻る。プルチノフが魔族の長と直接交渉に向かうことを決めた際には案内役として一時同行し、海底迷宮で姉達と合流して離脱する。
- ボッチ
- 野生または誰かが捨てた野良ホッチ。サキが自分たちのホッチを呼んだ際に現れ一目でプルチノフに懐き、その乗鳥となった。ボッチの名はベルが初めに呼んだものをそのまま使っている。後にホッチテコンダーへと進化して[18]、主人同様に後ろ蹴りなどの蹴り技を駆使して小鬼や猪鬼、盗賊との戦闘を行い、山籠りを経て脅威度黒5〜10の蠍尾獅子(マンティコア)すら仕留められるほど強くなっている[19]。感情表現が豊かでプルチノフ以外の者が体を触ると露骨に嫌悪感を示し、ベイダーやキャルマーには対抗心を燃やす。サキやベルのホッチをも従えるリーダー格になる。ベルホッチはホッチメイジに進化して魔法が使えるようになった。
- キャルマー
- ケラトプスに似た姿の地竜。巨体でありながら揺れは全く感じず、極上のソファに似た柔らかさを持ち、騎乗感は非常に心地良い[20]。ベイダーより一回り大きいが、魔境に生息する地竜の中ではそれほど大きくない[21]。魔力を消耗しすぎると人族より体高の低い省エネモードになる[22]。
- 魔道具で魔族の将ヨシュアスの支配下に置かれていたが、プルチノフによってその支配下からあっさり解放され、彼にライドンを許した。マッドゴン親方に製作してもらった竜櫓を背負い、角竜キャンピングカーとしてプルチノフと旅をすることになる。
- 龍穴であるプルチノフの側にいた事で、亜竜から真の竜へと進化して背中に翼が生えた。さらに進化時から溜めていた力を使って天龍種へと存在進化を遂げる。プルチノフ以外にも通じる言葉を使えるようになり、プルチノフの戦争に対する悲しみを感じ取って、古代のゴーレムと同じく固めて動きを封じる泡の龍閃砲を習得する。この龍閃砲は攻撃力は一切持たないが、傷つけようとする力を受けるほどに吸収して硬度を増していく。
- ドナテロ
- 亀爺の子亀の城亀竜。進化したてで元の大きさに戻れないキャルマーに代わる荷運びとしてプルチノフ一向に協力する。甲羅の中は空間に作用する魔法によって実際の3倍ほどの広さになっており、広場&居住エリア、浴場、回復槽(タンクベット)の3層構造で、その下に内臓がある。居住エリアには井戸や畑、浴室があり、自身が死なない限りは何年でも自給自足が可能。
プルチノフ村の住民
- 女帝魔狼(ブル・ガルム) → 神獣ブル
- 魔狼(ガルム)の女王(アルファ)。当初は白く美しい毛皮を持つ皇帝級魔狼(ベイダーガルム)だった。スミスルに隷属の首輪で支配されていたが、プルチノフとカーニャに解放される。自身と同様に隷属から解放され、行き場の無い人間の子供たちを我が子として庇護を買って出るなど強い母性の持ち主。
- その縁で廃墟同然だった開拓村(後のプルチノフ村)の住人たちから信仰の対象となり、神性を得たことで山神として神化し、村の守護を引き受ける。神獣となった後は攻撃魔法・獣神雷爆(ライガ・ボム)や飛翔魔法・獣神転翔(トペコーン)の魔法も習得。脅威度は黒50。ゴルドー騎士団との戦闘では、子供達を守りながらプルチノフの帰還まで時間を稼いだ。
- 女王の眷属
- 女王の群れの魔狼。女王とともに隷属の首輪を嵌められスミスルらに操られていたが、プルチノフ一行に解放されたのち開拓村で女王が神獣ブルへと進化した際、彼らもまた知性を得て人語を解し喋れるように進化した。中にはベルの口癖(ミタイな、など)が移った者もいる。ボッチとも連携してゴルドー騎士団に囚われていた人馬っ子(ケンタっ子)を取り返す活躍を見せる。
- ベイダー
- 開拓村を襲った皇帝魔熊(ベイダーベア)の個体。村人から山の主と呼ばれ、人語を理解する。主食は川魚。
- 住んでいた山に迷宮ができたため山から降りてきてしまうが、プルチノフに爪釣込腰で投げ飛ばされて降参。サキやボッチ、魔狼の女王には村のための食糧や魔石として解体するよう言われるが、特技の穴掘りで村の周囲に空堀を掘ることで許され、神獣ブルの眷属として生かされることになる。ベイダーの穴掘りは後々様々な局面で役立つこととなる。またその鋭利な爪はベルが魔法で押し上げた地中の岩盤すらも容易く切削・加工し、ベイダーの存在がプルチノフ村の城塞化の原動力となる。さらに、大鍋を使用してプルチノフの指示通り炒め料理まで行うことができるなど、魔獣でありながら器用である。
- リリィ
- 開拓村や辺境の村落からスミスルらによって攫われた少年少女の1人。開拓村の長の娘でプルチノフが解放した少年少女たちの受け入れ先として故郷の開拓村を提案し案内する。牙魔猪との戦いでも少年少女らを率先して戦う。
- プルチノフ村の住民
- 滅びかけていた開拓村に隠れていたリリィの祖父母や老人たちと、プルチノフにスミスル山賊団から解放された少年少女たち。老人の中には鍛冶スキルを持った者もおり、プルチノフの下、少年らで自警団を組織するなど村を再建し始める。後にマルセロスの人馬族や猪鬼に、ゴルドーからの難民などもこれに加わる。
- マルセロス
- タクタロスの弟で人馬族(ケンタウロス)の現リーダー。黒髪の青年。弓と両手に剣を持って戦う二刀流の使い手。
- ジェラリエに攫われた幼体の人馬族2体を取り返すためにゴルドーの街で騎士団を奇襲し、この時にプルチノフと出会う。その後、隠れ里を襲撃されたため、偵察中に出会った神獣ブルと共闘することになり、プルチノフ村でのゴルドー騎士団との攻防戦で、獣王と認めたプルチノフと人馬合体(ツープラトン)を果たす。
- 戦後、隷属の首輪の呪縛を自ら解き放った兄タクタロスより、族長の地位とその証の腕輪を託される。その後は生き残った人馬族らと共にプルチノフ村に移住。
- お婆
- 半人馬(サテュロス)の老婆。プルチノフらに半人馬の生まれを解説した人物でタクタロスらの人馬族集団の生き字引的存在であり、半人馬を生んだ人馬族の過去の蛮行の生き証人でもある。
- マルセイラ
- マルセロスの妹。プルチノフ村では岩乳羊の乳しぼり等の酪農を担当している。豊満な胸と酪農の仕事を見たカーニャが彼女を乳タロスと呼んだ事もある。
- ギマラ
- プルチノフ村に恭順した猪鬼の長。森の食い物が急に獲れなくなり、食い物と引き換えに魔族と手を結んでいたが、指揮官のヨシュアスがプルチノフに敗北したため、プルチノフ村の村民になる。
- マーニャ・スノウ
- ゴルドーの街の冒険者ギルドの受付嬢にして代理総裁。笑顔で初対面のプルチノフに直球かつ慇懃無礼な物言い[注 9]をする女性。胸が豊満。種族はヒューム。
- ゴルドー陥落後はプルチノフ村に逃れ、避難民をまとめる。プルチノフの正体を引退して諸国を漫遊している他国の小領主か行政官だと考えており、その推理は当たらずといえども遠からずである[23]。
- ガブクス・ヤンクステーソン
- 全陽正教会、北辺管区副主教。ゴルドーの街の神殿にて、癒しの女神ミラーノの加護を用いて各種治療を行う治癒神官。治療の締めに口に含んだ魔法薬を患者の顔に毒霧の要領で吹き付ける[注 10]。種族はヒューム。
- ゴルドー陥落後はプルチノフ村に避難。
- マッドゴン・ロン=ベルド
- ゴルドーの街の武器屋・ロン=ベルドの主人。種族はドワーフ。サキからは親方と呼ばれ腕の良い武器屋として信頼されている[注 11]。プルチノフにミスリルについての知識をレクチャーし、短剣を銀貨1枚で販売する。
- ジェラリエの魔道具の鎧を修復するために王都から招かれ、そのままゴルドーの街に移住した。その縁で彼女をジェラ嬢ちゃんと呼ぶ。ジュラリエに連座して処刑されかけたが、魔族の襲撃に際して彼女に助けられ逃走。ゴルドー陥落後はプルチノフ村に避難し、プルチノフ一行が旅立つに当たって装備の整備や新調を手がける。
貴族・王国関係者
- ジェラリエ・ゴルドー
- ゴルドーの街の領主、ゲルガラード・ゴルドー子爵の娘。24歳。職業は魔法騎士。元冒険者でランキングは2段(金筋二本黒帯)[24]。隷属の首輪で従えた人馬族のタクタロスに騎乗する[注 12]。武器は槍と魔法剣で、強力な炎系の魔法を操ることから魔族に「邪炎」の二つ名を付けられている。性格は冷酷非情。
- 実は人馬族を母に持ち、種族は只人ではなく半人馬(サテュロス)。マッドゴン・ロン=ベルドに作らせた魔道具の鎧で下半身をヒュームに擬態し、ゴルドーの騎士団長を務め、街の支配を代行していた。
- マルセロス捕獲の邪魔をしたプルチノフを「閃光魔術師」と呼び、配下の騎士らに命じて人馬族の隠れ里探索に出たプルチノフの後を追わせる。プルチノフ村でプルチノフとの戦いに敗れたのち、本物のカーヴィンに捕えられて正体が露見し、叔父であるキモードに公開処刑されそうになるが、魔族が攻めてきたことで自力で縛めを解く。街の人々が逃れる時間稼ぎのために吹雪の銀閃リィナに一騎打ちを挑み、数合打ち合ったが腹を割かれて致命傷を負い、右手を犠牲に至近距離から放った隼爆矢も通じず、最期は胸を刺し貫かれて敗死する。死後直後、ケイオスにより聖戦士への儀式が行われようとしたが、本人の魂は既にこの世への未練が無かった為それがかなわず、ミィナの指示で不死者に貶められることなく魂が解放(成仏的なものか?)された。
- ゲルガラード・ゴルドー
- ゴルドーの町の領主で子爵家ゴルドー家の当主。故人。奴隷商から買った亜人や鬼人を孕ませるのが生き甲斐の色豚と娘や実弟キモードに評される。ゴルドー陥落を前に死亡している[25]。
- キモード・ゴルドー
- ゲルガラードの弟。プルチノフに敗れ魔道具の鎧を無くして半人馬の姿を露わにしたジェラリエをカーヴィンに捕えさせ、カーヴィンが悍ましい姿に変えた3名の騎士とマッドゴンと共に兄・ゲルガラードを謀殺した謀反人として、ゴルドーの町の民の前で公開処刑を行おうとした。邪王炎爆の剣魔法を使えるだけの魔力は持ち合わせておらず、魔族の侵攻を受け縛めを解いたジェラリエに一蹴された。その後、街に残った僅かな強欲商人たちと共に恭順を願い出るが拒否されて殺害され、混沌の試練に耐えられず最低レベルの荷運びゾンビとして復活する。
- カミーノ
- 北辺西部ハイランド城の城主で伯爵。リーゲル卿の完敗を見て怖気付いた城兵に叛逆され、城門を開ける際に刺殺される。
- リーゲル
- ハイランド城を守護する最上級騎士の男。元四つ耳族のリィナを下等種族と侮っていたが、混沌の力を使わせることすらできず、両腕と首を刎ねられて死亡。
魔導院
- カーヴィン・ナーシュ・ミケル
- 黒の塔・第2席の地位にある黒魔導師。自身は魔導院千塔山に留まりながら、北辺へ自身の複数体(魔造人形・ホムンクルス)を数体送り込んで暗躍している。防御魔法に加えて熱線や雷撃などの攻撃魔法、最上位隷属魔法、混沌派神官が使う死霊術といった禁忌も含む多彩な魔法を操る。魔境に送り込んだホムンクスルは、本人より能力や知能を規制されており、内一体は回復魔法は本職ではないと語り、下手ゆえに彼に癒された箇所は異形[注 13]化してしまった。
- 他の一体のホムンクスルは魔導院(タワー)所属の従軍魔術師としてゴルドーの街へ派遣されていた。人馬族の集落に攻め込むゴルドー騎士団に隼爆矢(ファルコンアロー)などの魔術兵器を供給する。プルチノフとジェラリエの交渉が決裂した際にプルチノフの銃弾とマルセロスの弓で斃れるが、その死で魔力的繋がりが途切れたことで異変を察知した別のカーヴィンがジェラリエを追跡し、捕らえてキモードに引き渡した。実は混沌陣営にも通じており、魔族によるゴルドー襲撃を裏で手引きしていた[26]。
- また、別の一体のホムンクスルが魔境に潜入しており、死の谷からプルチノフ御一行を追って聖王都へ侵入。キャルマーを尾行してダイアの地下研究施設を発見すると、魔導院への攻撃を画策していたとして、対魔族用聖笛でリィナとヨシュアスを無力化し、最上位隷属魔法で操った複数の最終進化魔獣を使って聖王都で破壊工作を行う。だが、プルチノフの常識外の行動に翻弄されて切り札のドラグリフォンと聖笛を失い、強力な結界の指輪で持久戦をしてから撤退しようとするが、笛の音から解放されたリィナによって結界ごと細切れにされて死亡する。
- そして、プルチノフ村を襲ったホムンクルスのアンデッドから得た情報から、プルチノフ及びベルとハイエルフの彼らの能力や技術・叡智を欲して、それらを手に入れるべく自ら魔境に赴くことを決め、龍脈炉の出力を最大にして最果ての転移陣を起動させる。だが、プルチノフが星河昇龍で逆流させた龍脈に乗った膨大な瘴気を浴び骨だけを残して死亡、無数の犠牲者たちの怨念により魂を未来永劫に渡り苦しめられることとなる。
- ハンス・レンティング
- 龍脈炉を作った黒の魔導師の一人。両親が無魔導者かつ平民出身であったが、新任の3級魔導師の頃、人間を素体とする人造魔獣の魔石を巨大化させるため、カーヴィンによって餌となる人間により強い怨念をより効率的に植え付ける実験の担当者に抜擢される。自分を蔑む同僚や、自分を人間とすら思っていない黒の塔の元老達に自分を認めさせるため、妻の協力で怨念を数値化し計測する魔道具を開発、親友やその家族まで利用して怨念の研究に邁進し1級魔導師にまで上り詰める。だが、1級魔導師としての初任務で自分自身の怨念を人造魔獣に喰わせるという実験に利用され、その過程で両親と妻子も惨殺、激しい恨みを抱きながら龍脈炉に落とされて死亡、瘴気の最初の怨念の一人となった。
- 後に聖王宮のボス肉瘴気に接触したプルチノフの前に姿を現わし、瘴気の誕生の歴史について語り、彼の協力で自らの仇であるカーヴィンへの復讐を遂げた。
人馬族(ケンタウロス)
- タクタロス
- 人馬族の元リーダー。ジェラリエに捕らえられ、隷属の首輪を嵌められたためにジェラリエの人馬騎士として使役される。剛健な体躯と優れた戦闘技術を持ち、プルチノフからは骸竜と化したディーンボウより難敵と評された。
- プルチノフ村でジェラリエと共にプルチノフを苦戦させたが、マルセロスと獣神合体したプルセロスの大統領流人馬鉄騎正拳突き(ケンタウロストレート)に敗れ、自ら隷属の首輪を外すとマルセロスに族長の地位と証の腕輪を託し、ジェラリエを連れてプルチノフ村を後にした。隷属の首輪を強引に外したことで致命傷を負っており、意識を取り戻したジェラリエに自身とジェラリエの母アルセリアとの関係を話し、ゴルドーに戻らず冒険者として生きるように諭すが、魔術師カーヴィンの攻撃からジェラリエを庇い殺害された。
- アルセリア
- タクタロスの妻となるはずだった人馬族の女性。タクタロスによるとヒュームに攫われたとのことで、ゴルドー卿ゲルガラードに売られジェラリエを産んだ。
獣王
- ヤムドゥア
- 故人。獅子の頭を持った亜人であり、プルチノフ村の周囲にある山の中の獣王墓に埋葬された人物。ディーンボウを愛竜としており、獣王墓をダンジョンと変え愛竜ディーンボウを呪い殺して骸竜として使役していた魔霊王がプルチノフに滅された直後、その前に霊体となって現れ、礼を述べると自らの存在と引き換えに時と英知の神タナーシュの加護を与え、形を無くした雷神の隠刀と十二亜八冠、獣王の称号をプルチノフに託してディーンボウと共に消えていった。
エルフ
- エルフの男性
- カーニャを大猪鬼達に生贄として差し出したエルフ。519歳。純粋なエルフの生娘を差し出さなかったためオークたちに「カマドウマ野郎」扱いされ、斧で頭蓋を叩き割られて殺害された。
魔獣使い
- スミスル
- 西方から流れてきた魔獣使いの卑劣な蛮人。種族はヒューム。ジェラリエにタクタロスを操るための隷属の首輪を渡したのもこの男。
- ゴルドー近隣の村落で山賊行為を働いており、ジェラリエの指示を受けたゴルドー騎士団の依頼でプルチノフ一行の後を尾けていた[注 14]。ゴルドー近辺では禁制となっている隷属の首輪を用いて操っている魔狼や孤児たちを先頭にプルチノフに攻撃を仕掛けたが、サキとベルに部下を制圧されたのち、プルチノフに魔力(気)を乗せた言葉で魔狼や孤児の隷属の首輪の支配を抑えられ、カーニャの協力でプルチノフが魔狼の女帝を隷属の首輪から解放したため、最期は魔狼の女帝に体をバラバラにされた。残党は回収した隷属の首輪をつけられて自首を命じられるが、街に着く前にジェラリエら騎士団に始末される。
猪鬼(オーク)
- ガマラ
- 猪鬼集団のリーダーの大猪鬼でアニキと呼ばれる。若い生娘のエルフを差し出すという契約に違反したエルフの村の男性たちを殺害し、抵抗したカーニャを捕らえて運搬する際にカーニャの悲鳴を聞きつけたプルチノフに遭遇。交渉の余地なく戦闘となり、プルチノフの大統領流斧弾頭DDTで自らの斧に叩きつけられて頭蓋骨を割られ致命傷を負うも、EX残機で蘇って必殺の猛猪覇豚道を仕掛けたところ、逆に大統領流霊長類強制騎乗術で返され、苦痛に「パロー![注 15]」と悲鳴を上げていたところをカーニャに治りきっていない頭蓋の傷口から脳に木製のナイフを刺され死亡。
- 配下の生き残りはヨシュアスに降って侵略に加担したが、最終的にプルチノフ村の村民となる。
混沌(ケイオス)勢力
魔族
- リィナ
- 元四つ耳族の魔族。二つ名は吹雪の銀閃。甲冑を纏った獣の様な4つ耳と銀の髪に褐色の肌を持つ女性。四つ耳の王族の生き残りとされている。
- 形の上では首都である聖王都の領主であるが、政務は副領主のダイアを筆頭とする流れ者の森人や只人に任せている。煽り文句と威嚇以外の語彙が貧弱で、交渉は苦手。生まれ育ったのは聖王都の娼館で、領主となった今も生家で暮らしているが、ダイアの教えを守った結果、娼婦になれなかったのだという。
- 風の魔素をまとい、四つ耳の敏感な耳の聴覚と体毛の触覚で空気の流れを読むことができ、その精度はベルの探知魔法をも上回る。剣の一振りでゴルドーの騎士3名の首が飛び、ジェラリエとの一騎打ちでも寄せ付けず、至近距離で隼爆矢による爆発を受けても全く傷を負わぬほどの腕前。王国では敵う騎士は存在しないと言われており、闘気で作った巨大な剣で巨大な最終進化魔獣の身体さえ両断する。
- 幼い頃に聖王都の娼館に買われ、弟と一緒に育てられる。娼婦になりたくないと剣の修行を積み、数年後、弟を人質に客を取るよう強制されたことで楼主に反発して、用心棒を退けてダイアやヨシュアスと共に娼館を脱走。瀕死の弟を助けるためにミィナを頼り、彼のために魂の半分以上を混沌に捧げた。弟のヨシュアスを少々過保護と言える程に可愛がっている。
- ダイアの研究を悪用して聖王都を攻撃したカーヴィンを撃破したあとは、プルチノフ達と和解。自分と互角の速度を持つサキを気に入り稽古をつけているが、他人との距離感が壊れていて、殺すか家族かの2択しかないので、友人というより付き纏っているだけと指摘されている。
- エドゥ
- 死の谷を治める元王闘鬼の魔族。二つ名は死の谷の牙。大柄かつ筋骨隆々で額から頭部に生えた長短2対の角と褐色の肌が特徴的な女性。
- 魔法防御を施した4メッツァーの城壁をハンマー一つで打ち破るほどの膂力を持ち、格闘戦でプルチノフと渡り合うほどの腕前。
- 戦鬼の傭兵団の団長の娘として生まれ、自分を舐めた相手に恥をかかせてやりたいという一心だけで、女の役目とされている飯炊き洗濯をせずに子供の頃から戦場へ繰り出していた。唯一の友人であった四つ耳族のリリィを死に追いやった父から団長の地位を奪い、いくつもの戦場を渡り歩いたが、数年後、味方に嵌められ背後を突かれて傭兵団は壊滅。相手を返り討ちで皆殺しにしたものの自らも致命傷を負うが、死の間際にミィナにスカウトされて、まだ戦い足りないという未練から聖戦士へと転生した。
- 海底迷宮でプルチノフと交戦、死の谷での再戦を約束して、ヨシュアスを連れて迷宮から脱出する。約束通り谷へやって来たプルチノフと再会するが、瘴気を取り込み過ぎて竜返りしてしまい、プルチノフと同等以上の格闘術と巨体で苦しめ、彼をして人生最強の相手と言わしめたが、同じリーチの腕を闘気で作り出されたことで逆転され、鉄騎灼熱正拳突きで腹に穴を開けられて失神。龍穴をプルチノフが封じたことで力を得られず死にかけるが、ベルが変質しすぎた肉体に代わる新たな器となる魔造人形を成型し、同じ魂を移し代えたことで復活した。プリセットされた肉体バリエーションの関係で体格こそ以前より細身になったものの、プルチノフの龍穴を使った魔力炉で作られた肉体なので常に龍穴から力が供給されており、聖戦士だった頃よりも力が増している。プルチノフの力の一部を受け継いだことから竜化した己を倒した彼をオヤジと慕うようになり、その後の旅に同行する。
- ミィナ
- 元始祖種(ハイエルフ)の魔族。二つ名は死泉の魔女。小柄で尖った耳と褐色の肌を持つ混沌の神官。ハイエルフ八姉妹の七女。過去に巫女として加護の力を強要され、他者の心を引き受け過ぎたために自らの心を失っている。
- 加護は他者の心労や悲しみを吸い出し、引き受ける「心苦の癒し」。恩寵は他者の魂までも引き受け、自らの魂を霊魂の仮の家として同居させることができる「霊器(ラスカティオラス)」で、心を失った代わりに得た。同居させる魂の恩寵も使用可能であり、これによって他の姉妹6人に由来する多彩な能力を操っている。ただ、自身が死亡すると中にいる霊魂たちも霧散してしまう。
- 海底迷宮において500年ぶりに同胞であり姉のカーニャと出会い、プルチノフ一行を見逃す代わりに彼女を連れ去る。
- 次代の聖王であるが、母に代わる力を得る必要があったため、見つけた姉妹を聖戦士とした後で力と命を捧げさせていた。カーニャの未覚醒の恩寵が母を救う手段となると信じており、覚醒した妹の魂をもって役目を引き継ごうとする。竜の因子を抑えられず暴走した母に致命傷を負わされるが、カーニャが母親を葬った後、次姉の治療で一命を取り留める。
- リーシュ
- ミィナの能力で、自ら望んで彼女に宿ったハイエルフ八姉妹の長女。口数の少ないミィナがすらすらと話す時は、すべて恩寵の力を用いた彼女の吹き替え能力によるものでミィナ自身の思考ではない。
- 加護は数秒程度の記憶の断片を他者1人に伝える「記憶送信(ショートメッセ)」。恩寵は魔力の窓を作り、そこに望む映像と音声を再生することができる「呪導映像通話術(シュマホーン)」で、魔力波長を記憶した相手なら遠隔でも音声を伝えることができる。
- ギーリア
- ハイエルフ八姉妹の次女。カーニャが粗暴なのは森人に育てられたせいだと思っている。ミィナが母親に瀕死の重傷を負わされた際に、恩寵を利用した「神薬霧」で命を救う。
- 加護は自分が冒された記憶のある毒を冷たく微量なアイスの霧として周囲に発生させる「毒の霧」。恩寵はあらゆる毒を作り出し、毒霧の槍として敵に撃ち込む「死湖紫霧(デスレイクミスト)」で、龍さえ殺すデイルモンドの毒泉に投げ込まれた際に体得した。また、毒を掛け合わせる「霊薬調合」で、神薬(エリクサー)すら調合できる。
- マリーカ
- ハイエルフ八姉妹の三女。粗暴なカーニャを先に殺して魂を抜いておいた方が安全だと考えていた。
- 加護は死者の魂を解放し、その者が望む神の下へ送る「霊魂葬送(ミチュドーラ)」。恩寵は冥界の女帝神ブゥルーの力を借り、死者の魂を死と生の狭間に固定する「招魂泉浄(デスレイクドライブ)」。魂の強度によってほとんどは不死者となるが、ごく稀に混沌の聖戦士となる。
- ヒューメリア
- ハイエルフ八姉妹の四女。極度の恥ずかしがり屋で、また一度目の恩寵の使用で3つの街を滅ぼしてしまった心の傷から言葉を失い、肩に乗せた人形で腹話術しないとしゃべれない。
- 加護は闇精霊スターネスの加護により、人型のものなら傀儡として操作できる「傀儡廻し」。気を失った人間や死体でも短時間なら動かすことが可能で、自らの思い通りに喋らせることができる。恩寵は不死者やゴーレムを軍団規模で使役する「軍団支配(ジェイ・ニー)」。
- ウーニャ
- ハイエルフ八姉妹の五女。恩寵によってカーニャの加護の可能性を見抜き、恩寵に進化させるきっかけを作った。
- 加護は嘘を見抜く目「偽りの看破」。恩寵は魂の強度や本質までを見抜く鑑定眼「魂鑑定眼(アマリリス)」。
- ナーニャ
- ハイエルフ八姉妹の六女。
- ミィナが瞑想の眠りについている隙にプルチノフに接触し、生け贄になることを望まないカーニャを儀式から助けるよう頼む。
- 加護は魔力の荊棘を作り出して敵を縛り上げたり、鞭としてしばき倒す「荊棘の鞭」。恩寵は荊棘の輪を作り、その輪を転移門にする「闇呪棘転移門(ハーミットゲート)」。魔映通信で映像のみを遠方に送ることも可能で、こちらは大きな力を使う必要はない。
- ヨシュアス
- 二つ名は首狩り。リィナの弟。#プルチノフ御一行を参照。
- 聖王
- 当代の聖王(魔王)にして、カーニャ達ハイエルフ八姉妹の母。自身の生命力を使って聖王宮の周囲に混沌結界を張り巡らせることで巨大肉瘴気を封じているが、肉瘴気の侵食によって左半身の一部を除いて竜化してしまっている。
- 実は肉瘴気を抑える力はとうに失っており、創造主の命に背くわけにはいかないと、瘴気の浄化ではなく自分の命を繋ぐために龍脈の力を利用していた。カーヴィンが龍脈炉の出力を上げたことで流れ込む瘴気の量が激増した結果、生への執着で自我を竜の因子に乗っ取られかけ、ミィナの力を奪おうと暴走してしまう。だが、儀式を経ずに恩寵に覚醒したカーニャによって龍の因子を摘出され、龍脈の力を失って急速に老化し塵と化して死亡した。
ダンジョン
- 魔霊王(リッチ)→ 魔霊大王(エルダーリッチ)
- プルチノフ村付近の山中にある獣王墓をダンジョンと変え、真竜ディーンボウを100年かけて呪い殺して骸竜(ゾンビドラゴン)と変え[27]使役していた存在。金持ちという意味での「リッチ」ではない。
- スケルトンや幽鬼をダンジョン内に配していたが、プルチノフが魔石を用いた光で幽鬼を退治したことから太陽神の使徒と認識し、自らの居場所に誘導する。骸竜ディーンボウを戦わせていたが、プルチノフによって呪縛を解かれたディーンボウのブレス攻撃を浴びて身体が崩壊、悪足掻きでダンジョンを崩壊させようとしたところをサキの全弾雷牙(フルバーストライガー)でトドメを刺される。
- 消滅寸前で海底迷宮の心核に拾われ、魔霊大王に進化させられ階層主に任じられ、太陽神の使徒の魂を1000玉集めれば人界に解き放つ契約を結ぶ。自身の元に送られたプルチノフとヨシュアスを王幽鬼の群れと共に襲撃したが、2人のコンビネーションを前にとっておきの必殺技を出す間も無く倒された。
- 海底迷宮の心核
- 迷宮核。騙して門番をさせていた古代牛頭人が敗れると迷宮の入り口を崩壊させようとし、強引に突破された後もプルチノフ一行を分断して3体の階層主とそれぞれ戦わせるなど陰湿な妨害を繰り返すが、プルチノフが投げ返したエドゥの超重魔槌が直撃して絶命した。
- ウィンドス&ボルトス
- 神々が人界に起こした最大の戦で太陽神の先鋒を務めた古代牛頭人の兄弟戦士。種族の呪いを解くために混沌の神々や眷属を人界から追い出すべく奮闘したが、海底ダンジョンに挑んだ際に敗北してしまい、呪いを発動しないという迷宮主との約束を信じて1000年間迷宮の門番を務める契約を結ぶ。
- 太陽神の使徒であるプルチノフ一行を迎え撃ち、キャルマーを倒すもプルチノフに敗北。彼らの言葉から契約が履行されていなかったことを知り、自分たちの愚行に意味を持たせるために崩落する迷宮を石化しつつある肉体で支え、一行を迷宮内部へと送り出したのを見届けて死亡する。
- ピサール
- 死の谷の闘鬼王種(キングオーガ)の亡霊。海底迷宮の心核から筋肉迷宮の階層主を任されており、人界に甦るために太陽神使徒を1000人捧げる契約をしている。
- 自分の元へ送り込まれたサキとホッチ3羽と戦い、ホッチ達を軽々と一蹴。サプルチノフの現代知識で雷属性の身体強化に成功したサキに首を刎ねられるが無限残機で復活し、消耗して動けなくなった彼女にとどめを刺そうとするも、迷宮内に現れたリィナに魔石ごと切り刻まれて死亡した。
死の谷
- ガドゥ
- 先代の死の谷の牙。肉瘴気によって闘鬼竜と化しており、龍穴を守る柱として死の谷に縛られていたが、プルチノフ一行が谷を訪れた日に限界を迎えて死亡する。
- ライドウ
- 死の谷の王闘鬼。王闘鬼流五龍斧(ゴリュウフ)術の使い手。死の谷の呪いを解いて女王を救ったプルチノフに従い、エドゥの指名で聖王宮を目指すプルチノフ一行に同行する。
- タザール
- 死の谷の王闘鬼。死の谷イチの知恵者で、九九を6の段まで覚えており、王闘鬼にしては勘が鋭い。プルチノフを鬼皇と讃え、聖王宮を目指すプルチノフ一行に同行する。魁・男塾という漫画作品の田沢のオマージュのキャラ。
聖王都
- ダイア・ライカストーム
- 聖王都の副領主を任されている只人男性。元は娼館付きの治癒士であり、子供たちの教師も兼ねている。
- 実は元魔導院所属の魔術師で、独眼(サイクロプス)の異名を持ち、氷の術式を得意とする。綺麗事では現実を変えられないと経世済民を掲げる白の塔を見限り、仲間と共に蒼紫の塔を立ち上げて黒の塔と対立するが、仲間と妻子を殺害されて魔導院を追われ、魔王国(聖王国)へと流れ着く。聖王都の娼館でリィナに出会い、自分の失敗について選択を間違えたのではなく力が及ばなかったからだと証明すべく、非力な姉弟に接していた。だが、己の言葉のせいでリィナが娼館の楼主に反発してしまい、責任を感じて人質にされていたヨシュアスを助けて逃亡し、転魂の儀式の奇跡に触れたことで魔族になった2人を守り抜くことを誓う。
- 本気で魔導院と戦争することを目論んでおり、聖王都の地下工房で、最終進化魔獣から回収した大魔石を利用して魔導院の最高秘匿技術である強制最終進化の実験を行っているほか、自分自身の魔造人形を大量に生産している。施設を発見したカーヴィンに自らの研究を悪用されて聖王都に甚大な被害を及ぼしてしまい、責任を取って処刑されることを望んだが、副領主を解任の上で次期領主のヨシュアスの家庭教師となり、知識と行政手腕を全て伝授することを償いとして命じられる。
- 天空聖樹(ヒューペリエント)
- 数百年前まで聖王都の周辺に根を張っていたが、現在では龍脈の力を失って眠りにつき倒木になっていた。しかし、プルチノフのライドンにより龍穴の力を受けたことで復活し友人となり、再び聖王都の周辺に根を下ろして街の周りに森を再生させる。
魔獣
真竜
- ディーンボウ
- 獣王ヤムドゥアの愛竜であり兄弟のような存在。ヤムドゥアの死後は獣王墓を守る存在であったが魔霊王に呪い殺され、骸竜(ゾンビドラゴン)として使役されていた。意思を失い魔法も封じられた状態でありながら、圧倒的な巨躯でプルチノフを苦戦させたが、プルチノフによって魔霊王の支配から解放され、逆に魔霊王をブレスで崩壊させた。その後、霊体のヤムドゥアと共にプルチノフの前に姿を現し、魔霊王から解放してくれた礼をして消滅して逝った。
- 亀爺(かめじい)
- 近海に住む巨大な亀島竜(ザラタン)。海竜たちが成竜になるまで見守る存在であり、天龍種の一角でもある。プルチノフの良心と器を試すべく人質を要求するが、試すという行為自体が他者を見下す増上慢と叱責され、殴られた後で対等な友となり、すべての知恵ある海の種族を治める海王の証である盾を授ける。背中の甲羅の中にある太陽竜宮内に一行を招き入れ、プルチノフが龍脈に開いた7つ目の龍穴である事を教え、移動を助けるためにドナテロを派遣する。
- 天炎龍レボルシオ&天雷龍サンダストーム&天嵐龍ルークウォン
- 聖王との盟約で駆けつけた天龍たち。聖王宮から溢れだした巨大なボス肉瘴気を攻撃したものの、歯が立たず一蹴される。
TVCM
- 2019年1月9日、YouTubeにて中田譲治がナレーションとプルチノフ役を務める15秒CMが公開された。このCMは、掲載誌が同じ『転生したらスライムだった件』のテレビアニメ版の放送枠内でも放送された[106]。
- 同年10月に単行本3巻が発売された際、YouTubeのU-NEXTのCMに置いても、中田譲治がナレーションから各キャラクター役でセリフを読み上げるCM4篇が公開されている[107]。
- 2021年5月、コミックス累計100万部を突破したことを記念したテレビCMが制作された。ナレーションは速水奨が担当している。
海外展開
- 2019年9月に講談社の編集者がロシアの取引先に同作を紹介し、出版の可否を問うた所、作品内容は好評だったものの出版に関しては何故か命の危険があるとして、断られている[109]。
「次にくるマンガ大賞 2019」コミックス部門で9位に入賞し[110]、特別賞のU-NEXT賞を受賞した[111]。「全国書店員が選んだおすすめコミック2020」では一般部門で10位に選ばれた[112]。
他者からの評価
放送作家の黒田順子によると、本作は「食材の食べ合わせに疑問を持っても、実際に食してみると想像と違っておいしかったという経験そのものであり、意外な組み合わせから不思議な世界が広がり、いい意味での驚きと笑いがあった」という[113]。抜群の画力に様々な素材をミックスさせて新しい世界を創り出した本作は、とにかく中身が濃く、何度も楽しむことができる漫画だと確信したと評している[113]。
売り上げ
単行本の第2巻がCOMIC ZIN調べによる週間売り上げランキングで、2019年の5月6日から5月12日までで第8位[114]、5月13日から5月19日までで第9位に選ばれた[115]。第3巻の発売時には同ランキングの10月7日から10月13日までで第2位[116]、第4巻の発売時には同ランキングの4月20日から4月26日までで第5位[117]、第5巻の発売時には同ランキングの12月7日から12月13日までで第6位[118]、第6巻の発売時には同ランキングの5月3日から5月9日までで第3位[119]、5月3日から5月9日までで第5位に選ばれた[120]。
2019年12月には『終末のワルキューレ』と『転生したらスライムだった件』とのコラボが実施され、一部書店で3作品のコラボPOPとポスターが展開された[121]。
2020年4月には単行本第4巻発売を記念して、同日に単行本が発売された殆ど死んでいるの『異世界おじさん』とのコラボイラストが公開された[95]。両作には「おっさん×異世界」というテーマ、「次にくるマンガ大賞 2019」でU-NEXT特別賞を受賞という点が共通している[95]。
注釈
ただし、使用した際には気分の良い物ではないと述べている
一緒に異世界へ飛ばされたプルチノフ石像の顔を見たベル談。
試し読み・本誌掲載時アスラン。単行本・水曜日のシリウスではテムル
ブルマーと叫び笑いながら周囲の人間に下半身を露出するなど
強風の中に仕込んだ鋼線を念動魔法で操って相手を切断していた。
なお、神官長の個人的な趣味であって特に意味はない。
トカゲのような鱗状の皮膚であったり他漫画のオマージュであったり
騎士団の尾行を受けるプルチノフ一行から金の匂いを嗅ぎ付けた
パロは古オーク語で神や祈りを意味し、
ベル曰く「最大限(スペシャル)な悲鳴(パロ)みたいな」。
作中では9話にてマルセロスが初めてプルチノフ村と呼称する。
食人嗜好のある猪鬼曰く「草ばかり食ってバッタ臭い」
3巻では剣竜類と表記されるが、第20話(4巻)以降は角竜と表記。
サキが魔石ランタンを用いてこれを異邦人のため魔力に無知なプルチノフに行ったところ、予想外の魔力が発動して一時失明と言う痛い目に遭う。
後にプルチノフはこれをゴルドー騎士団相手に目眩しに使う。
このため安全かつ確実に解除するには精霊眼の持ち主の協力が必須。
ただし、邪王炎爆を使用うには魔力を扱う力が無ければ不可能。
なおこの漫画は、言の葉の神マーヤの加護によって印刷段階で自動的に日本語に訳されている… という設定。
当作の下敷となったゴロセウム番外編、異世界遊戯でも同じ単位が使われている。