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ストリートファイターシリーズの登場キャラクター ウィキペディアから
リュウ(隆)は、カプコンが開発・販売している対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。シリーズ全作品に登場しており、主役的存在である。
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1987年に『ストリートファイター』(以下『ストI』と表記)の主人公、1P側のプレイヤーキャラクターとして初登場する。
『ストI』では「RYU(隆)」の表記が使用されているが、その続編として1991年に発売された『ストリートファイターII』(以下『ストII』と表記)で「リュウ」と表記されるようになり、以後定着している。
「リュウ」という名前は『ストI』でディレクターを担当した西山隆志に因み[1][2][3]、カプコンのゲームキャラクターにおいてはポピュラーな名前である[注 1]。なおフルネームに関しては明らかにされておらず、一部の関連作品で名字が設定されたことはあるが[注 2]、いずれも公式設定ではない[4]。
『ストリートファイター』シリーズの主人公的キャラクターであるリュウは、カプコンを代表するキャラクターとしても認知されており、他社を含む多くのクロスオーバー作品に参加している。ただし『ストリートファイターIII』(以下『ストIII』と表記)ではアレックス、『ストリートファイター6』(以下『スト6』と表記)ではルークにそれぞれ主人公の座を譲る形になっている。
鉢巻に白い道着、黒帯、赤系の篭手(グローブ)がトレードマーク。『ストI』では白い鉢巻とカンフー靴を身に着け、髪を赤く染めていたが[5]、時系列順で『ストII』以降の作品では素足に黒髪(濃い茶髪)、赤い鉢巻となり、フルコンタクト空手の要素が入れられグローブにパットが付くようになった[6]。『ストI』の直後を描いた『ストリートファイターZERO』(以下『ストZERO』と表記)シリーズでは『ストI』に近い白い鉢巻と赤茶色の髪で、『ストリートファイターZERO2』(以降『ストZERO2』と表記)のケンのエンディングにて、ケンの髪留めのリボンを譲り受けることになる。『スト6』では髭を蓄え、晒巻の半裸に袈裟と雪駄を着用している。
初登場作品である『ストI』におけるリュウは、幼少から学んだ様々な格闘技を独自の格闘スタイルに昇華させた若き天才格闘家と設定されており「最強の格闘家」となるべく世界中のストリートファイターたちと戦う旅に出発する。戦いの末に「ムエタイの帝王」サガットを「昇龍拳」で倒し、世界一の称号と栄誉を手に入れるが、嬉しそうな素振りも見せずにすぐに姿を消し[7]、その後は“強い奴”と戦うため修行の旅を続ける。
続編である『ストII』において、暗殺拳を昇華させた格闘術を使う剛拳(ゴウケン)の弟子という設定が追加され、以後は一つの格闘流派に固執することなく他流派の技も積極的に取り入れ、空手、柔道、テコンドーといった各種格闘技をミックスした、独自のスタイルを作り出している[8]。その後は自身の中に眠る「殺意の波動」と呼ばれる悪しき力に苦しみながらも「真の格闘家」になることを目指して戦い続けることを決意する。
『ストI』当時は確立した人物像はなかったが、時期を経た『ストII』では落ち着いた人物として描かれる。『ストII』が世に出てからしばらくは豪快な性格に描かれることもあったが、徐々に剛毅木訥な一面が強調されていく。
『ストII』以後確立されたリュウの人物像としてまず挙げられるのは、ストイックな性格である。『ストII』以降の各作品でのエンディングでは、戦いに勝利しても自分自身は満足せず、最初から修行をやり直したり、自分が求めているものは何なのかを探し直すといった描写が多い。そこからリュウのイメージは、格闘に関しては非常に求道的で妥協を許さない。礼儀正しく謙虚な性格で自分の能力を他人にひけらかすことは無い、というのが専らとなっている。技名には頓着が無く、師匠から教わった「波動拳」「昇龍拳」などに対し、自ら開発した技は「上段三連撃」など味気ない名前になっている[9]。
またリュウの人柄を表す設定に、ホームステージとして使用される「朱雀城」にある師匠、剛拳の墓を参るため年に一度訪れる、とするものもある[8]。幼き頃は「朱雀城」を修行場とし、その近辺に位置する原野「玄武ヶ原」なども一部作品ではリュウのホームステージとして用いられる。
着替えの道着が入ったザックを持ち歩いている[10]。『ストIII』では対戦前のデモで背景の方に置き、攻撃などによってその付近が揺れるとザックが倒れるといった細かい演出がある。『CAPCOM FIGHTING Jam』ではアナカリスの「王家の裁き」にかかった際に姿をザックに変化させられる。
勝利時の動作により演出される姿には、『ストI』からあった片手を突き上げるもの(ケン、ショーンも同様の動作を行う)と、『ストII』からの結わえ垂れた鉢巻の布が風に流される腕を組んだ姿があり、その二つが代表的。それらの演出は『ストII』以降のシリーズにおいて、ほとんどのゲームで見られる。
主人公ならではの特別な存在として位置づけられることも多く、劇場版アニメ『ストリートファイターII MOVIE』においては、シャドルーが調査した潜在格闘値が3620(それまでの最高が2000)という高い数値を示すというシーンもあった。また潜在的な力として、“殺意の波動”(後述)を秘めているとする設定が生まれている。しかし『ストリートファイター』の世界は勧善懲悪ではない設定のため、リュウが真の格闘家を目指して己のために戦うことはあっても、世界を救うことを目的として戦うということはない[9]。
ゲーム内にて血縁関係については一切描かれていない。公式にそれを示す設定はなく、両親や家族がいるかは不明である。リュウ自身も自分の出生を知らず、物心つく頃から修行の日々を送っていたと語っている。しかし漫画などメディアミックス作品の中には豪鬼との何らかの関係を示唆するものがあり、中平正彦の漫画『RYU FINAL』ではケンの台詞で血縁関係の可能性に言及している(後日、作者がそう取れるよう描いたことを認めている)。OVA『ストリートファイターZERO: ジェネレーションズ』では豪鬼がリュウの父親であると受け取れる描写がなされた。また当作においてリュウは轟鉄の弟子である剛拳の許で養育されたという設定だが、『ストIV』においては、轟鉄と面識無しとする従来の設定から、幼少期より彼らと修行に明け暮れていた、と設定が改められている。
『ストII』以降は前述の彼の性格から多くの格闘家に影響を与えている様子が描かれている。リュウの人間性や真の格闘家への道をひたむきに探求する生き様に感銘を受ける者も多く、好敵手となっている格闘家も幾人か存在する。
かつて倒したサガットに加え、『ストZERO2』以降ではリュウに憧れる女子高生・春日野さくらも登場し、リュウは格闘家として追い掛けるべき存在と目された。中平正彦の漫画『RYU FINAL』では『ストIII』のキャラクターたちからも一目置かれており、仙人であるオロにも弟子入りを勧められている。
主人公という立場上、漫画作品や4コマ漫画などでは女性ファイター兼ヒロインである春麗やさくらを始めとする、彼と関わり合いを持つ女性たちに恋愛感情を抱かれていることが多々あるが、肝心の本人がその手の話に疎く、彼女たちの想いに気付く気配は全く無い(春麗は友人の1人、さくらは後進の1人という認識)。またゲーム本編では直接そういった描写がされることは少ない。『ゲーメスト』の『ストI』攻略ページに掲載された短編漫画では恋人に別れを告げて師匠の敵討ちの旅に出たという描写があるが、これは元ゲーメストライターの転清がカプコンの許諾なしに創作したものであり、公式の設定ではない[11]。
「日本の春が似合う女性」が好みの女性のタイプ[10]とする設定もある。
「複数の作品で関わる」「互いのストーリーに影響しあう」など、重要性の高いキャラクターのみを特記、概要を述べる。
「放浪の格闘家」というキャラクター設定に加え、「常に裸足で道着姿」という特徴的な風貌のリュウは、プレイヤーに「服を買うお金がない」などの印象をしばしば与える。『ストリートファイターZERO3』(以下『ストZERO3』と表記)では住所不定、無職と設定されている[8]。そのためパロディ4コマ漫画などの二次創作では貧乏ネタを描かれることが多く、カプコン公式トレーディングカードでの描き下ろしイラストでは、コインランドリーの洗濯機をブリーフ一丁のリュウが仁王立ちでにらんでいる、というものがある。イラストを担当したイケノは「リュウの普段の生活ぶりを描こうとしてやりすぎた。本当はもっと常識のある人だと思う」と語っている[12]。
ゲーム中における他キャラクターとの会話でもそれらに触れる描写もあり、『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』(以下『SVC』と表記)では逆に、リョウ・サカザキのことを「貧乏な方が無敵の龍か」と本人の目の前で発言して怒らせるシーンもあったが、『ストリートファイターIV』(以下『ストIV』と表記)ではクリムゾン・ヴァイパーに敗北した際に、「税金はちゃんと払っているのか。保険には加入しているのか」と問い詰められている。
カプコンデザイン部部長のSHOEIは「リュウが貧乏という設定を作った覚えはなく、ちゃんとお金を持っている」と語っている。またあきまんの設定によると、ギャングの用心棒など危ないことも普通にやり、基本的にはストリートファイトでお金がなくなったら自分に賭けて稼ぐという[13]。
中平正彦の漫画『さくらがんばる!』では、中国の飲食店で短期間働いていたと店主が話し、『RYU FINAL』では自炊の買い出しに出かけた際、安い食材ばかり購入するリュウに対し同行して来たオロに「お前の不味い飯には飽きた」「たまには美味い物が喰いたい」とぼやかれ、「粗食も修行だ」と鼻であしらった。OVA『ストリートファイターZERO: ジェネレーションズ』や『スト6』のワールドツアーでも、少なくとも無一文である様子には描かれておらず、修行中などの時以外は普通に道着以外の服を着ており、靴も履いている。ドラマCD『ストリートファイターZERO3 ドラマアルバム』ではリュウの家も登場する。『ストIV』の勝利台詞では裸足で戦うことについて「裸足の方が楽なだけで、(金銭的に)買えないわけではない」と語っている。『週刊ファミ通』2018年11月1日号に掲載されたガイルとの対談においても、定住所を持ちオフの時は普通の生活を送っていることや、飛行機に乗るだけの金銭も持っていることを語り、放浪者扱いされていることに対しては不満を見せていた。
『スト6』のワールドツアーにおいては、基本的に現地で稼いだ金を現地で使うことで暮らしているが、時には「黒いカード」で支払うこともあると語っている。各武術大会の賞金や異種格闘大会のゲスト参加、ちょっとしたトラブル解決の礼などでリュウ自身が稼いだお金を代わりにケンが受け取って管理しているという。なお「今の使い方のままだと一生かかってもなくならない」との事だが、具体的にどれほどの蓄えがあるのかは明言されていない。
師匠、剛拳の設定が生まれたことを切っ掛けにして、やがてリュウが使う格闘術は古来からの源流を持つ「暗殺拳」がベースとなっているとされていく。『スーパーストリートファイターII X』(以下『スパII X』と表記)にて豪鬼が登場し、リュウに関わる「暗殺拳」の一類の者と位置付けられ、続く『ストZERO』シリーズにて“殺意の波動”という名称がゲーム上で語られ始める(瞬獄殺、豪鬼#殺意の波動も参照)。同シリーズでは豪鬼はその力を持っているとされ、リュウもまた潜在的に殺意の波動を秘めているとされた。
以後より現在まで、シリーズを通してその設定は引き継がれている。しかし殺意の波動とはどのような力なのか、ゲーム本編で言及されることはほとんどない。ただ発現した者に強大な戦闘力をもたらすということは表現されており、ゲーム以外の媒体でも描かれている。
漫画作品、映像作品にはリュウがこれを克服することがテーマとなっているものがあり、ゲームによっては殺意の波動を忌まわしいものとするリュウが、克服を目標として旅するストーリーとなっているものもある。また『ストリートファイターZERO2 ALPHA』(以下『ZERO2 ALPHA』と表記)以降のゲームのいくつかでは、殺意の波動に呑まれてしまったリュウを個別のキャラクターとして使用できる(後述)。
この力を持つリュウを利用するため、登場する悪役キャラクターが彼に目をつける、というシークエンスもある。ゲーム本編の一つのストーリーでは、殺意の波動の使い手である豪鬼はリュウが完全に殺意の波動に目覚めて自らに匹敵する相手となることを望んでいる。また一つに、軍事企業・S.I.N社のCEOであるセスは殺意の波動を兵器に利用することを計画しており、リュウの身柄を狙っている、というものもある。
『ストIII』においてのリュウは殺意の波動を克服することも修行の旅の目的となっており、スーパーアーツのひとつ「電刃波動拳」は、殺意の波動をある程度制御することで使用を可能としている[10]。また同作品に登場するショーンが殺意の波動に目覚めるにはリュウやケンに近いレベルまで成長する必要があり、まったく可能性がないわけではない[10]。
時系列が『ストII』以後、『ストIII』以前のものとなっている『ストIV』では、リュウのエンディング、並びにオリジナルアニメーション『ストリートファイターIV〜新たなる絆〜』の終盤にて、リュウが殺意の波動を御するシーンがある。
『ストリートファイターV』(以下『ストV』と表記)のゼネラルストーリーでは、今まで抑えつけていた殺意の波動と向き合い、ネカリとの二度目の闘いにおいて「破壊の力」としか考えていなかった殺意の波動を、自らの力のひとつとして受け入れることで、無の波動の覚醒に成功。この力を用いてネカリやベガ、豪鬼との決着を果たす。
作品によって若干差異がある。ここでは『スト6』で使用する技の名称を掲載。
操作 | 立ち | しゃがみ | ジャンプ |
---|---|---|---|
弱パンチ | ジャブ | ジャブ | 肘落とし |
中パンチ | 鉤突き | ストレート | すくい突き |
強パンチ | 正拳突き | 突き上げアッパー | ストレート |
弱キック | ローキック | キック | ひざ蹴り |
中キック | 横蹴り | くるぶしキック | 跳び蹴り |
強キック | 後ろ回し蹴り | 回転足払い | 飛び前蹴り |
腰を低く構え、気を高める動作を取る。この技を出して以降はスタンゲージの回復速度が向上する。効果はラウンド中永続し、最大3回まで蓄積する。
操作方法などの関係で通常技から特殊技に変更されたものは記載しない。
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
また『ストリートファイターEX3』(以下『ストEX3』と表記)では、ケンまたはさくらのパートナーにリュウがいた場合、該当キャラクターが発動する技としてリュウとのメテオタッグコンボ(合体技)が存在する。こちらはリュウ自身が発動する技ではないため詳細は省略する。
中平正彦の漫画『RYU FINAL』にて登場した技である。同作ではリュウが長年追い続けてきた、「真の格闘家」への答えとして「一撃必殺の境地を越えた」究極の形をリュウが見出す展開で、この技が生まれる。
殺意の波動に支配された状態のリュウ。「殺意リュウ」とも略される。黒の道着を身に着け、肌の色は浅黒い姿で表され、『NAMCO x CAPCOM』では普段の白い道着が、殺意の波動に目覚めると同時に黒に変色する演出がある。
基本的に「もしリュウが殺意の波動に目覚めたら?」という設定の、いわばif的な存在であるため、一部を除いてストーリー上でこの状態が正史になることはない。
初出は『ストZERO2』の北米版『Street Fighter ALPHA2』(以下『ALPHA2』と表記)であり、同ゲームでのキャラクター名は「Evil Ryu」[注 8]。ザンギエフやダルシムとともに裏性能の隠しキャラクターとして登場し、隠しコマンドを入力することで使用できた。この時点では単なるリュウのバージョン違いに過ぎず、各種メッセージやエンディングなどは通常のリュウと全く同じものだった。
『ALPHA2』のこのリュウの存在が知られたことで、「殺意の波動に目覚めたリュウを使いたい」という要望が国内のプレイヤーによりカプコンに寄せられ、『ストZERO2 ALPHA』にて隠しキャラクターとして登場したという経緯がある。『ストZERO2 ALPHA』全体の調整により、『ALPHA2』の同キャラクターよりも性能が低下している他、通常のリュウとは異なる独自の勝利メッセージや中間デモ、エンディングなどが追加された。同作の日本版の殺意リュウについては「Black Ryu」という英字表記が攻略本などで使われている。またセガサターン移植版『ストZERO2』では『ALPHA2』と同様のコマンドで「殺意の波動に目覚めたリュウ」が使用でき、こちらは『ALPHA2』に準じた性能で『ストZERO2 ALPHA』と同様のメッセージおよびデモが搭載されている。『ストZERO2 ALPHA』の移植版にあたるセガサターン・PlayStation版『ストリートファイターZERO2'』にも登場する。
『ストZERO2 ALPHA』の殺意リュウにおける勝利メッセージの台詞は、波動に精神を囚われた状態と我に返った状態が半々で、後者では道を誤ったことへの後悔や力への恐れが見られるものとなっている。対CPU戦のボスは通常のリュウと同じく豪鬼であるが、殺意リュウの場合は意識が混濁した状態で師匠の敵である豪鬼を前にし、勝利後のエンディングシーンにおいて失踪するという結末になる。
続編の『ストZERO3』のアーケード版では登場しないが、家庭用および『ストリートファイターZERO3↑』での追加キャラクターとして再び登場した。ここでは、精神は殺意の波動に引き寄せられ、殺意の波動とそれに目覚めた自分を肯定する様子が勝利メッセージ画面の台詞からうかがえる。同作の対CPU戦を殺意リュウでプレイした場合、ボスとして真・豪鬼が登場する。その戦いに勝利したエンディングシーンでは、殺意リュウ自身の台詞により豪鬼を「殺した」ことが語られ、殺意リュウは殺意の波動に完全に魅入られて第二の「拳を極めし者」へと変貌する(この時に「滅」の字を背負う演出がなされる)。以降のゲームの「殺意の波動に目覚めたリュウ」はいずれも完全に殺意の波動に呑まれた状態での登場であり、PlayStation版『ストリートファイターEX plus α』(以下『ストEX plus α』と表記)を除いてはゲームクリア後のエンディングシーンでは正気に戻ることなく失踪する。
『ストEX plus α』では辛うじて己の拳の間違いに気づき、格闘家として修行をやり直すことで、殺意の波動を克服しようとするリュウの姿が描かれている。また『ストリートファイターZERO3↑↑』のイングリッドのストーリーではベガによって殺意の波動を引き出されたリュウが登場し、このリュウに勝利した場合、正気を取り戻すシーンが演出される。
『スーパーストリートファイターIV アーケードエディション』(以下『スパIV AE』と表記)でも登場。本作では、頭髪は豪鬼のように赤黒く染まり毛が逆立ち、肌が褐色になり、黒くなった道着は袈裟懸けに破れている。また胸部には背中まで突き抜けた巨大な穴状の傷(背中側は6方向に裂けている)[注 9]が存在する。眼が赤く光り、全身から常時炎のような気が放たれている。リュウの記憶は遺すものの精神は喪失し、従来作以上に強者への殺人衝動が強くなっている。『ウルIV』のオメガエディションでは新たな技も追加され、豪鬼のように重い闘い方ではなく、とにかく荒々しい闘い方が目立つ。
『ウルトラストリートファイターII』(以下『ウルII』と表記)では後のシリーズから逆輸入される形で登場。アーケードモードには出現しないが、バディファイトの2戦目の相手として登場。BGMを『ニュージェネレーション』に設定している場合は新たに作曲された専用BGMが流れる。ボイスはクラシック、ニューともにリュウのボイスを加工した物が使用されている。エンディングでは、『ストZERO2 ALPHA』などと同じく、正気に戻ることなく失踪する。
『スパIV AE』で殺意の波動に目覚めたリュウのデザインが変更されたことに関して、アシスタントプロデューサーである綾野智章は「ユーザーの反応を知るのが怖かった」と語っている[1]。
『MvCI』ではダウンロードコスチュームとして登場。同作では『ストIV』のデザインをベースに、道着は破れていない代わりに体毛の白化が加わっている。
殺意の波動に目覚めたリュウは、必殺技の性能が通常のリュウとは異なり全体的に豪鬼に近い性能となっている。
通常のリュウの技はそのままに、移動技「阿修羅閃空」や、スーパーコンボ「滅殺豪昇龍」、「瞬獄殺」が追加されている。必殺技も豪鬼同様、弱以外の「昇龍拳」や「竜巻旋風脚」は複数ヒットする。しかし「竜巻旋風脚」の動作速度は通常のリュウと同じであるため、豪鬼と同じ連続技を決めることができない場合が多い。
『ストZERO2 ALPHA』と『ストZERO3』における「瞬獄殺」は移動を始めるまでが豪鬼よりも一瞬遅い。だが『ALPHA2』およびサターン版『ストZERO2』での「波動拳」は目前の相手にヒットさせれば弱であっても「灼熱波動拳」となりダウンさせることが可能で、豪鬼のものよりも性能が高い。また豪鬼の特性を受け継いでおり、他のキャラクターと比べて気絶しやすいという弱点もある。
『スパIV AE』では新技が追加され、阿修羅閃空が弱体化したが瞬獄殺が大幅に強化されている。
特定の条件を満たすとセスの後に乱入する。乱入した殺意リュウは「阿修羅閃空」発動直後から移動中に他のあらゆる攻撃(必殺技、通常技、通常投げ)にキャンセルすることができるなど通常版より非常に強力になっている。
『ウルII』ではリュウと比較して性能が上がった代わりに体力が低下している。また距離を問わずに常に遠距離用の通常技が出るという特徴があり、キーを後ろに入れることで近距離用の通常技を繰り出せる。スーパーコンボは「瞬獄殺」。
通常のリュウが使用できない技や、性能の差異を中心に記載する。
カプコンのゲーム『アスラズ ラース』のダウンロードコンテンツでリュウで登場し、殺意の波動に目覚めたリュウとしても戦う。殺意の波動に目覚めたリュウ時は『アスラズラース』のシステムで戦うこととなり、その際必殺技の多くの性能が大幅に変更されている。ここでは『スパIV』との技の違いおよび、『アスラズ ラース』の主人公アスラの技に対する動作を記述する。
瞬獄殺での相打ちになるとバトルが終了し、殺意リュウはリュウの姿に戻る。その際、貫かれた胸の傷や黒い道着、焦げたハチマキなども元に戻る。
リュウから乖離した「殺意の波動」の化身。「殺意の波動に目覚めたリュウ」とは違い、殺意の波動の化身という思念体のような形で登場[注 10]。姿形はリュウそのもので服装は道着を上半身だけ脱いだ状態。肉体の一部からオーラのような光が漏れ出し、また頭部には鬼の角のようなものが付いている。目は豪鬼などと同じように白目の部分は黒く、黒目の部分は赤い。
殺意の波動に目覚めたリュウに比べると破壊衝動よりも殺人衝動が強い。
ゼネラルストーリーで己が有する殺意の波動の「力」を「自身の力の一部」とリュウが受容したことで、リュウの心身の支配を求めていた殺意の波動の「精神」が乖離して自我を持ちリュウの姿で強者との死合いを求め彷徨い始める。その後、同じく殺意の波動を秘めるサガットや豪鬼の所に現れ力を受け入れるよう促すも、サガットには「確かな強さだが、お前では帝王の心は砕けない」と一蹴され、「魂なき影法師風情」と断じた豪鬼には「真の一撃は肉のみにて練るに非ず、殺意のまま突くに非ず」と言われ、新たな奥義「崩天正拳撃」で打ち消された。
秘める殺意の波動を受け入れたリュウ本人からは「在りたければ在るがいい」「去りたければ去るがいい」と言われ、リュウの「ありのままの自分を受け入れる」という考え方を理解できずに消滅した。
影ナル者はリュウや豪鬼、殺意リュウとも違う独自の性能を持つ。体力の低さに加え「波動拳」が飛ばないため遠距離戦は難しく、「竜巻旋風脚」が「空靂刃」に置き換えられる、「阿修羅閃空」はVトリガー[I]発動時限定、強襲用の禊と瞬獄殺はVトリガー[II]発動時限定と、相手に接近するための手段が限られているため、よりプレイヤーの工夫が必要になっている。
『ストI』から全作を通じて使われている「波動拳」(はどうけん)、「昇龍拳」(しょうりゅうけん)、「竜巻旋風脚」(たつまきせんぷうきゃく)の3つの技は、一部で「三種の神器」と呼ばれるようになった[26]。このことから、他の格闘ゲームの必殺技コマンド入力を確認・説明する場合などに「波動コマンド」「昇竜コマンド」というように使われている[27]。
この3つの技を考案したのは西山隆志であり、西山によるとパンチとキックだけではゲームとしてのダイナミックさに欠け、より奥深い駆け引きを実現するにあたってできることを考えたときに必殺技のアイデアが生まれたという[1]。「昇龍拳」が無敵技となったのは『ストI』のプランナーである松本裕司によるアイデア[1]。
『ロックマンX』シリーズにも隠し要素などに採用されており、特に「波動拳」「昇龍拳」は複数のキャラクターが使用する。『デビルメイクライ』シリーズにも「昇龍拳」「竜巻旋風脚」をモデルにした攻撃アクションが存在している。
また各雑誌に掲載されているコラムや漫画などでも、ツッコミなどで「昇龍拳」が使われることがあり、ゲーム業界以外にも影響を与えている。お笑い芸人の猫ひろしは「昇龍拳」を自らのギャグとして使用している[28]。
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