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ラジオやテレビジョンを用いて、番組や情報を伝えること ウィキペディアから
放送(ほうそう、英: broadcasting[1], 英: transmission[2])とは、電気通信を用いて、音声・映像(動画)・文字などで表現された情報を、「1対多」の形で送信すること。
主にラジオ放送およびテレビジョン放送など、1対多の送信を指す。また、有線放送やケーブル放送もあり、近年ではインターネットを用いたインターネット放送も放送の一種と分類することが増えている。
放送を行う事業体およびその設備全体を放送局というが、運営主体では、民間放送、公共放送、国営放送に分類される。数は民間放送が多い。国営放送はない国も多い。
アメリカでは、ラジオ放送(民間ラジオ放送局)は2024年の統計で、1万5千局以上あり[3]、民間テレビ放送局は2017年の統計で1761局である[4]。 大きな公共放送局はないが、en:National Public Radioやen:Public Broadcasting Service(略称:PBS。日本語訳:公共放送サービス)がある。政府や州の交付金、大学などさまざまな組織からの寄付金、広告などを収入源とし、小さな放送局を数多く有するネットワークである。 アメリカ国内向けに放送している国営放送はないが、国外で放送を行うボイス・オブ・アメリカ(VOA、アメリカの声)、ラジオ・フリー・アジア(RFA)、ラジオ・フリー・ヨーロッパ(RFE)、AFNはあり、AFNは世界各地(バーレーン、ベルギー、キューバ、ドイツ、ギリシャ、イタリア、スペイン、トルコ、日本、韓国など)で放送局を持ち、放送を行っている。
イギリスの民間放送で、ライセンスを得ているラジオ放送局の数はおよそ600局。 公共放送としては英国放送協会(British Broadcasting Corporation、BBC)があり、ラジオ・テレビの放送を行っている。BBCが運営しているチャンネルはBBC One, BBC Two, BBC Three, BBC Four, BBCスコットランド, BBC iPlayer, CBeebies、CBBCがある。(2030年ころを目処に旧来のラジオ放送などは停止し、インターネットによる情報伝達を事業の中核に据える構想もある[5]。) イギリスでも国営放送はない。
日本の民間放送は、ラジオ放送は総務省の統計(2018年3月末時点、コミュニティ放送局を除く)によれば、日本全国で100局ある[6]。テレビ放送は2022年4月現在、民放地上波放送局は「キー局」「準キー局」「ローカル局(地方局)」「独立局」合わせて127局[7]。 公共放送としては、日本放送協会(NHK)と放送大学学園がある。 国営放送は存在しない。
国内において受信されることを目的とする国内放送と、外国において受信されることを目的とする国際放送、と分類する方法もある。
電波を使った放送は、放送局からの信号を地上の中継所などの施設を経由して各家庭に届ける地上波放送と、衛星を経由して各家庭に届ける衛星放送に分類する方法もある。特にテレビ放送でこの分類が頻繁に使われ、この2つに加えて、ケーブルを使う「ケーブルテレビ」という分類が併せて挙げられることも多い。さらに「インターネット放送」(ストリーミング)も並べられることがある。
第一次世界大戦後のアメリカではレコードが普及するとともに、軍事利用されていた無線の使用制限が解除され、無線機メーカーとレコード製造会社が放送事業を計画するようになった[8]。ペンシルベニア州ピッツバーグのウェスティングハウス電気製造会社の技術者フランク・コンラッドの実験局「8XK」を母体に世界初の商業放送局「KDKA」が開設され、1920年11月2日、ウォレン・ハーディング大統領の当選を伝えた[8]。ただし、実際にはアマチュア無線家が運営する小規模の放送が既に実施されていた[8]。
アメリカの放送事業は、ラジオ放送による受信機の売上、および放送で流される音楽のレコードの売上で経営されていた[8]。しかし、放送がスタートした時期のレコードは録音時間が3分程度しかなく、レコードを交換するタイミングで商業広告が入るスタイルとなった[8]。
アメリカで多数の放送局が設立されるようになると、イギリス政府内では大量生産による安価な受信機がアメリカから流入するのではないかとの懸念があり、国土の狭いイギリスでアメリカと同じように多くの放送局が競合すれば経営難に陥ることが予想されたため政府主導による免許制とすることが好ましいと考えられていた[9]。
1922年、マルコーニ無線電信会社などがイギリス政府の意向を受けて「英国放送協会(BBC)」の設立に合意し、政府はBBCの経営安定のため受信料を徴収することを特許した[9]。
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英国放送協会(BBC)は2034年を目処に伝送路をインターネットへ移行させ、地上波放送電波を返上(停波)することを検討している[10] 。
とりあえず以下を参照のこと。
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とりあえず以下を参照のこと。
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声優#テレビ初期も参照。
日本では放送事業を規制していた法規としては「放送用私設無線電信電話規則」というものがあった。同規則に代わり、1950年(昭和25年)に放送法が新しく制定・公布された。
放送法では「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」(放送法第2条1)と定義した。
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
根拠となる法律により以下のように区分される。一般的に「放送」という場合、放送法(以下、「法」)に基づく放送を指す。
新聞・雑誌などの他のメディアと比較して、放送には特殊な位置づけが与えられている。理由の一つは「電波の有限性(利用出来る電波の周波数帯域は限られている。)」があげられる。 また、放送は音声(テレビであれば映像も含まれる。)で情報を伝えるメディアであり、生放送・生中継が出来ることから即効性もある。それゆえ、放送は他のメディアに比較し国民の思想・世論・人格形成などに与える影響が特に強いと考えられている。そこで、放送の中立性をはじめとして青少年の健全育成に配慮し、公共の福祉の為にこれを活用する必要があるとされる。 そのため、放送事業は、放送法により規制され、総務省(従前は郵政省)によって周波数の割当てを受ける免許事業(許認可事項)であり、勝手に放送事業を行ってはならないとされていた。しかし、2010年(平成22年)の平成22年法律第65号(平成23年6月30日施行)により放送法が改正され、放送局の免許を受けた者が自ら放送事業を営む特定地上基幹放送事業者、後述の#放送法令適用外の放送のほか、認定基幹放送事業者は総務大臣の認定[11]、一般放送事業者は総務大臣の登録[12]又は総務大臣若しくは都道府県知事への届出[13]により放送の業務を行うことができることとなった。
放送系とは、同一の放送番組の放送を同時に行うことのできる放送局の総体 (法第2条の2第2項第3号)を表す。
同一の放送番組の基幹放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域(法第91条第2項第2号)。基幹放送普及計画により放送系毎に定められる。
放送を行う事業者を放送事業者という。そのうち、放送法第92条において、「特定基幹放送事業者、及び基幹放送局提供事業者は、その基幹放送局を用いて行う基幹放送に係る放送対象地域において、当該放送があまねく受信できるように努めるものとする」と規定されている。 飛地、地形上の制約、物理的制約その他によりこの規定を達成していない主な放送事業者は次の通り(†は平成新局)。
など、平成新局のほとんどが規定を達成できていない。また、平成新局は資金面が乏しいことから2006年以降の地上デジタル放送の中継局整備であまり多く設置することが出来ず、CS再送信やIP放送に任せてしまおうと検討する放送局があったが、総務省や地元自治体などの支援(建設費用の一部を助成すること)によりアナログ未開局地域を含めて先発局と同等の数で設置が進められてきている。逆に放送対象地域外に電波が飛んでいる場合がある(スピルオーバー現象。IP放送の場合方式によれば全国からの受信を可能にしてしまうおそれがある)。デジタル放送の電界強度次第ではアナログでは難視聴状態でもデジタルでは鮮明に受信できる可能性も地域によって出てくる。なお、ラジオ(AM/FM・短波)放送については上記以外のFM局でも山間部などの辺境地の多くは難聴や聴取不可となる地域も多い。AMの場合、送信所・中継局の設置に波長の関係から送信鉄塔自体が高くなり、その高い鉄塔を支えるためのワイヤー設置等で広大な土地が必要とする関係から、中継局を多く設置できず、民放を中心に放送対象地域全域をカバー出来ていないケースが多く、一方で高出力局を中心にスピルオーバーが起こっている既存の親局・中継局が多いことから、既存の親局・中継局の増力はスピルオーバーをなお一層拡大させる問題があるため、増力を実施できるケースはほとんどないのが実情である。
一の基幹放送局の放送に係る区域。一般的にいえば、標準の受信設備で放送を良好に受信できると想定される区域(強・中電界地域)のことであり、地上波電界強度により機械的に定まる。これらは総務省令基幹放送局の開設の根本的基準第2条第1項第15号で規定されている。 放送対象地域が放送系毎に定められるのに対し、放送区域は無線局(送信所)毎に定められる。 例えば地上アナログテレビジョン放送の場合、電界強度が3mV/m(70dBµ)以上である区域、地上デジタルテレビジョン放送の場合、地上波電界強度が1mV/m(60dBµ)以上である区域が放送区域である。これは、UHFテレビ放送の場合アナログ放送は地上4mの高さ、デジタル放送は地上10mの高さで14〜20素子程度のUHF八木・宇田アンテナを設置した場合の受信できる範囲に相当する。移動体端末で1セグメント放送受信の場合、地上10m未満の高さでの受信となるため、放送区域内でも受信時に電界強度が弱い場合は受信できない。逆に放送区域外でも環境によっては受信が容易な場合も多い。地上波のFM放送・テレビ放送の場合、パラスタックアンテナをアナログ放送は地上4mを超える高さ、デジタル放送は地上10mを超える高さに設置することによって放送区域外(弱電界地域)でも良好に受信できる場合がある。場合によってはアンテナと受信機の間に受信ブースターを取り付ける。
放送が影響力の大きいメディアであることをかんがみ、基幹放送事業者、認定放送持株会社並びに基幹放送局提供事業者への外資規制が設けられている。
これに抵触した特定地上基幹放送事業者あるいは基幹放送局提供事業者に対して、総務大臣は改善命令や電波法第75条第1項に基づく無線局免許の取消しの処分を行わなければならない。但し無線局免許の残存期間中はその状況を勘案し、免許を取り消さないことができる(電波法第75条第2項)ため、抵触しても必ずしも取消しになるとは限らない。
同様に、これに抵触した認定基幹放送事業者及び認定放送持株会社に対しては、総務大臣はその認定を取り消すことができる(法第104条、第166条第1項第1号)としている。
これらを防ぐための防衛措置として、外国人からの株式の名義書換請求を拒否することを認めている(法第116条、第125条、第161条)。
なお一般放送事業者に関してはこのような規定がなく、基幹放送事業を兼業している、あるいは無線局免許を受けている場合を除き、外資支配を理由とした事業者登録の抹消、若しくは業務の停止処分を受けることはない。
ビル内、事業所内などに備え付けたスピーカーに、有線、場合によっては無線の通信設備により、一斉送信をして連絡や呼び出しなどに使われる。これらも放送法においては一般放送の定義に含まれるが、受信障害対策中継放送、微弱電力無線通信設備(ワイヤレスマイクの一部等)、単一の構内に完結する自営有線電気通信設備(構内放送)やこれに類似する車両・船舶・航空機内の有線電気通信設備(車内放送等)、引込端子数が50以下の有線電気通信設備により行われる有線一般放送(その全てが同時再放送又は共同聴取業務であるものその他これに類するものとして総務大臣が別に告示するものに限る。)などは、原則として放送法の適用除外となり、放送法上の登録・届出手続を要しない[16]。また、屋外の大型ビジョンによる映像広告、もしくはデジタルサイネージによる動画広告については、演奏所と掲出箇所を同一建物とする、あるいはデータ蓄積型配信により放送の範疇外とするなど、放送法の適用を受けない範囲での広告事業を行っている。
但し、有料放送業務や協会放送受信契約締結義務など、放送法またはこれに基づく政省令や技術基準において「除外の除外」条項を設けている場合や、有線電気通信法における有線電気通信設備、消防法における非常用放送設備などの他法令による規制あるいは基準が設けられている事がある点に注意が必要。また、受信障害対策中継放送については、電波法に基づく無線局免許が必要であるほか、基幹放送普及計画などの放送法の一部の規定の適用を受ける[17]。
なお在日米軍による無線放送(AFN)は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律に基づき日米地位協定に定めるところによる。
小学校、中学校、高等学校などの学校には、校内向けの放送設備が整えられている。児童、生徒や教員がこれを使い、全校生徒への連絡等に利用する。これを校内放送と言う。 利便性から、その設備を使用しての特定の生徒への呼び出しや連絡に使用される場合もある。 児童、生徒の委員会活動として一般的に放送委員会や、それに類する組織が設けられており、これらに所属する児童、生徒を放送委員という。放送委員は、全校朝礼の放送設備の準備、昼休みにいわゆるお昼の放送、下校時刻を知らせる放送や、運動会など学校行事の放送を行う。 設備の整っている学校では、校内でテレビ中継のようなこと(学校内での各教室への映像配信)ができる場合もある。 これら校内放送を基にし、中高生のメディアリテラシーの実践の場として、アナウンスや、朗読、ラジオ番組やテレビ番組の技術等を競うNHK杯全国高校放送コンテストや、NHK杯全国中学校放送コンテストが開催されている。
特にテレビの放送番組を送出することを、「放映する」と表現する場合がある。だが、NHK放送文化研究所[18]によると、「放映」はテレビ番組全般を放送する意味と、映画番組を放送する意味とに用いられ、「放映」を用いた場合その範囲や区別がはっきりしないため、NHKでは原則として「放送」を使い「放映」は使わない。
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